01来歴

ISB議長としての初登場
パートガス少佐は、ディズニープラス配信ドラマ『スター・ウォーズ/アンドー(Andor)』シーズン1第2話(2022年9月21日配信)で初登場する帝国保安局ISBコルサント本部の少佐である。本部ビル最上階の会議室を舞台にしたISB週次ブリーフィングの議長役として、ブロンディ・ヘイバートやデドラ・ミーロら担当地区別の監督官の管轄報告を順に裁定する。冒頭では、キャシアン・アンドーによるモルラナ・ワンでの警備員2名殺害の報告と、アルダニ方面の不審動向の報告を同時に受け止め、後の横断照合権限承認への伏線を張る人物として描かれる。
横断照合権限の承認
シーズン1第6話『The Eye』(2022年10月12日配信)で描かれるアルダニの帝国給与施設襲撃事件以降、パートガス少佐は、組織的な反乱ネットワークを疑うデドラ・ミーロに対し、同僚監督官の管轄資料を横断照合する権限を組織規律の例外として承認する。続く第7話『Announcement』(10月19日配信)と第8話『Narkina 5』(10月26日配信)のブリーフィングでは、横断照合に異議を唱えるブロンディの権限と裁量を明確に縮小し、事実上の左遷的退場へと追い込む省内人事の最終判定者として位置付けられる。
リックス・ロード暴動の事後対応
シーズン1最終話『Rix Road』(2022年11月23日配信)では、フェリックスでのマーヴァ・アンドー国葬パレードとウィルモン・パークの爆発装置起爆に始まるリックス・ロード暴動を、ISB上層部として事後対応する立場で描かれる。パートガス少佐は、デドラ・ミーロが進めるアクシス追跡作戦の進捗報告を直属上司として受け止め、シーズン2以降の本格的な対反乱軍作戦の指揮系統を整える役割を担う。シーズン1のISB側の縦糸の最終的判定者として、決算場面に立ち会う上層部代表となる。
ゴーマン虐殺の指揮系統
シーズン2(2025年4月22日〜5月13日配信、全12話)の中盤〜後半では、パートガス少佐は、惑星ゴーマンの市民虐殺事件ゴーマン・マッサカーの事前計画・実行・事後の宣伝工作を統括するISB上層部代表として描かれる。ゴーマン人の民族的アイデンティティを口実に帝国が計画的に虐殺を仕組み、ISBがコルサント側で世論工作を担う構図において、パートガス少佐はデドラ・ミーロやランス・ハート(ロニ・ユング)ら部下監督官を介して計画の各段階を裁定する。同作のISB側縦糸の終着点に立つ登壇者となる。
情報統制機構の最終形
シーズン2終盤において、パートガス少佐は、ギャレス・エドワーズ監督『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016年12月16日日本公開)本編の直前まで物語を進める『アンドー』の年表設計の終着点に立つ。この時点でパートガス少佐が体現する銀河帝国情報統制機構の最終形は、『ローグ・ワン』で描かれるデス・スター開発の最終局面と並行する帝国側の現場運用の到達点として、両作品の連続性を補完する。判定の積み重ねが『ローグ・ワン』本編のISB側不在を逆照射し、機構がどのような状況に到達していたかを観客に想像させる構造として配置される。
02能力・特徴

- 官僚機構の指揮統制:ISBコルサント本部の少佐として、地区別に配属された監督官のブリーフィングを主宰し、報告・質疑・指示・裁定を一手に担う。横断照合権限の例外承認や監督官の権限縮小など、省内人事の決定権を持つ中堅指揮官として描かれる。
- 省内政治の裁定:デドラ・ミーロがブロンディの管轄資料の横断照合権限を求める場面で、組織規律と帝国の利益を見極めて例外承認を下す。部下監督官のキャリア軌道を最終的に判定する統制者として位置付けられる。
- 皇帝勅令の現場通達:アルダニ事件を受けた皇帝勅令『公的秩序再制定法(PORD)』の発令と星間刑期延長の指示を、ブリーフィングで部下監督官に通達し、帝国上層部と現場ISBの結節点として位置付けられる。
- 対反乱軍作戦の指揮系統:デドラ・ミーロのアクシス追跡作戦の直属上司として最上位ノードを担う。同作戦はルーセン・レイルの特定とコルサント急襲に至るシーズン2終盤の起点となり、その全段階を最終承認する。
- 宣伝工作・世論操作の統括:シーズン2のゴーマン・マッサカー前後で、ISBコルサント本部側の宣伝工作・世論操作の指揮系統の最上位として描かれ、書類仕事として運営される帝国の暴力の最終承認者となる。
03関連人物

04登場・関連作品
05名場面

ISB週次ブリーフィング初登場(シーズン1第2話):コルサント本部最上階の会議室で、議長席の少佐がブロンディやデドラら監督官の管轄報告を順に裁定する、ISB側縦糸の起点となる場面。
横断照合権限の例外承認(シーズン1第6話前後):アルダニ事件の事後対応で、デドラが同僚の管轄資料の横断照合権限を求める交渉。少佐の冷静な判定がアクシス追跡作戦の起点を成立させる中核場面。
ブロンディの左遷的退場(シーズン1第7〜8話):ブリーフィングで少佐がブロンディの管轄を縮小し、デドラに横断照合権限を本格的に付与する判定を下す、序盤の決定的な省内人事場面。
ゴーマン・マッサカー指揮(シーズン2):惑星ゴーマンの市民虐殺の事前計画・実行・事後の宣伝工作を、少佐がデドラやロニ・ユングら部下を介して統括する、世論工作の指揮系統を体現する中核場面。
ロニ・ユングの登壇(シーズン1〜2):観客は二重スパイと知る一方、議長席の少佐はそれを知らぬまま会議を進行する皮肉な指揮系統が静かに継続する場面群。
06制作背景

パートガス少佐を演じるのは、英国出身の俳優アントン・レッサー(Anton Lesser、1952年2月13日英国バーミンガム出身)である。HBO/Sky『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン3〜6(2013〜2016年放送)のキバーン役、BBC One『エンデバー/オックスフォード事件簿』(2012年〜2023年放送)のレジナルド・ブライト主任警視役で世界的に知られる舞台・テレビ・映画俳優であり、シェイクスピア劇の舞台経験を背景にした細密な所作と発声を持ち味とする。
本作は、レッサーに加え、デドラ・ミーロ役のデニーズ・ゴフ、ブロンディ役のジャコブ・ジェームズ・ビーズワース、ロニ・ユング役のロベール・エムスら英国出身の舞台俳優を帝国側の文官機構に集中的に起用する。パートガス少佐の造形は、製作総指揮のトニー・ギルロイ(Tony Gilroy、1959年9月11日ニューヨーク出身)が主導した。ギルロイはボーン・シリーズの脚本・監督や、自身の監督作『フィクサー』でアカデミー賞脚本賞・監督賞にノミネートされた作家で、情報機関と書類仕事の内部から権力構造を見るモチーフをパートガス少佐に反映している。
音楽はニコラス・ブリテル(Nicholas Britell)が担当し、ISB週次ブリーフィング場面では弦楽の低音と打楽器の刻みを基調にした緊迫感のある楽曲が議長席を取り囲む。衣装デザインはシーズン1をマイケル・ウィルキンソンが担当し、白い襟章と肩章で監督官の制服と階級差を示すカーキ系の硬質な軍装で少佐を画の最上位に置く。音響ではデヴィッド・パーカーを中心とするチームが、会議室の反響音や書類捲り音・タイプ音を緻密にミックスし、帝国の官僚機構を音の側からも表現する。
シーズン1第1〜3話ブロックの監督はトビー・ヘインズが務め、パートガス少佐の初登場を含むISB週次ブリーフィングの演出設計を確立した。第4〜9話はスーザナ・ホワイトが担当し、長尺会議場面の演出を固めた。シーズン2はギルロイ総指揮の下、アリエル・クレイマンらが3話ずつブロックを担当した。ISBコルサント本部のブリーフィング場面は英国パインウッド・スタジオの大型セットで撮影され、ハイデコ調の議場・大理石調の長卓・縦長窓が20世紀の独裁体制の文官官庁の意匠を強く参照している。
07評価・考察

パートガス少佐は、『アンドー』全24話を通じて、銀河帝国の暴力を書類仕事として運営される官僚機構として描く本シリーズのテーマを最も直接的に体現する上層部キャラクターである。『新たなる希望』以来の反乱軍対帝国の二元論を、20世紀以降の現実の警察・情報機関の文脈に引き寄せて描き直す本作の方針と整合し、机上のブリーフィングの議長席という空間だけで帝国の暴力の指揮系統を成立させる。シーズン1中盤のデドラへの横断照合権限承認とブロンディの左遷的退場という一見地味な議長判定の積み重ねが、リックス・ロード暴動の事後対応やシーズン2のゴーマン・マッサカーの宣伝工作にまで連続的に接続する構造として高く評価される。
シーズン2で描かれる指揮系統は、『ローグ・ワン』本編の直前まで物語を進める年表設計と整合し、パートガス少佐が体現する情報統制機構の最終形は、デス・スター開発の最終局面と並行する帝国側の現場運用の到達点として両作品の連続性を補完する。とりわけパートガス少佐とロニ・ユングの関係は、本シリーズのテーマの最も精緻な裏返しである。観客はロニが二重スパイだと早くから知り得る一方、議長席の少佐は自らの直属部下がルーセン側に協力していることを最後まで知らない。この情報非対称性が緩慢な皮肉として蓄積し、最高度に組織化された外見の下に最も致命的な脆弱性を抱える機構の構造を観客に直接提示する。
08トリビア
- パートガス少佐は『アンドー』全24話のみに登場し、他の映画三部作・実写ドラマ群や『ローグ・ワン』本編には登場しないアンドー限定のキャラクターである。
- 階級『少佐(Major)』は帝国軍の軍事階級ではなく、ISB独自の文官階級として運用される。劇中では常にフルネーム『Major Partagaz』で呼ばれ、ファーストネームは一度も明示されない。
- パートガス/デドラ/ブロンディ/ロニの四者によるISBブリーフィングは、英国出身の舞台俳優の細密な所作と表情演技だけで政治闘争の機微を成立させる本作の演技演出の代表例とされる。
- ISBコルサント本部のブリーフィング場面は英国パインウッド・スタジオの大型セットで撮影され、ハイデコ調の議場や大理石調の長卓が20世紀の独裁体制の文官官庁の意匠を強く参照している。
- 議長席の少佐を取り囲む弦楽低音と打楽器のスコアは、作曲家ニコラス・ブリテルがHBO『サクセッション』で確立した権力闘争の音楽フォーマットを帝国の文官闘争に転用したものである。
09よくある質問
ドラマ『スター・ウォーズ/アンドー』シーズン1〜2の計24話のみに登場する。帝国保安局ISBコルサント本部の少佐で、ISB週次ブリーフィングの議長を務める。映画三部作や『ローグ・ワン』本編には登場しない。
英国出身の俳優アントン・レッサーが演じる。『ゲーム・オブ・スローンズ』のキバーン役、『エンデバー』のブライト主任警視役で知られる舞台・テレビ・映画俳優である。
コルサント本部の最高責任者格の少佐として、ISB週次ブリーフィングの議長を務める。デドラ・ミーロやブロンディら監督官を統括し、横断照合権限の承認や権限縮小など省内人事の決定権を持つ。
惑星ゴーマンの市民虐殺の事前計画・実行・事後の宣伝工作を統括するISB上層部代表として描かれる。デドラやロニ・ユングら部下を介して計画の各段階を裁定する。
ロニ・ユングは少佐の直属の部下だが、実際にはルーセン・レイルに協力する二重スパイである。少佐は組織内部の信頼を裏切られており、本作で最も皮肉な指揮系統を体現する。
10出典
- StarWars.com 公式: Andor シリーズ紹介
- Wookieepedia: Partagaz
- Wookieepedia: Imperial Security Bureau
- StarWars.com 公式映画ページ: Rogue One: A Star Wars Story
- IMDb: Anton Lesser
- IMDb: Tony Gilroy
- IMDb: Denise Gough
- IMDb: Robert Emms
- IMDb: Nicholas Britell
- IMDb: Toby Haynes
- IMDb: Diego Luna
- IMDb: Stellan Skarsgård
- IMDb: Genevieve O'Reilly
- IMDb: Gareth Edwards
- Wookieepedia: Dedra Meero
- Wookieepedia: Lonni Jung
- Wookieepedia: Ghorman Massacre