「レッド・ティアーの秘密」とは
本項は、2012年8月11日(土)に読売テレビ・日本テレビ系『名探偵コナン』の放送枠で放映されたテレビスペシャル『まじっく快斗』第8話「レッド・ティアーの秘密」を解説する。『名探偵コナン』本編の話数は付かない番外編で、2012年8月に4週連続で組まれた特別編成「夏の怪盗キッド祭り」の第2週にあたる。原作は青山剛昌『まじっく快斗』第4巻収録の「レッド・ティアー」(同作品内の通算No.20とされる)。なお2015年には別シリーズ『まじっく快斗1412』の第22話「レッド・ティアー」として同じ原作が再びアニメ化されているが、本項で扱うのは2012年の放送版である。

放送概要と番組の位置づけ
読売テレビの公式番組記録によると、本作は2012年8月11日(土)18時、『夏の怪盗キッド祭り 「レッド・ティアーの秘密」』の番組タイトルで放送された。祭りの編成は全4週。第1週の8月4日は『まじっく快斗』第7話「華麗なるライバルたち」、第2週が本作、続く8月18日と25日は『名探偵コナン』本編「怪盗キッドと四名画」(前編・後編、第469・470話)のデジタルリマスター版が充てられた。本編側で見ると、前週7月28日は第666話「雨の夜の脅迫者」、次の本編新作は9月1日の第667話「ウェディングイブ(前編)」である。 『まじっく快斗』のテレビスペシャルは、2010年4月の第1話「蘇る怪盗」に始まり、『名探偵コナン』の枠を借りる形で断続的に放送されてきた。本作はその第8話で、スネイクら「組織」とキッドの対決を描くエピソードの一本にあたる。コナンも劇中にわずかに登場し、オープニングとエンディングも本編放送と共通だ。オープニングはなついろ「君の涙にこんなに恋してる」、エンディングは倉木麻衣「恋に恋して」が使われた。 本作の放送内では、翌週の四名画(前編)へ向けた「次回のコナンのヒント」として「監視カメラ」が提示された。コナンによる冒頭の案内ナレーションなど、コナン枠での放送らしい体裁も取られている。
制作スタッフと収録DVD
スタッフは、シリーズ監督の平野俊貴のもと、脚本が吉永亜矢、絵コンテが宮繁之、演出が三瓶聖(さんぺい聖)、作画監督が相坂ナオキと南伸一郎。制作は読売テレビ・小学館・トムス・エンタテインメント、アニメーション制作はトムス(V1Studio)である。視聴率は8.3%だったと伝えられる(柯南百科の記録による)。本作はその後、『まじっく快斗』DVD第3巻(2012年12月21日発売、ONBD-2581)に第7話から第9話の一本として収録された。

あらすじ――予告と取り消し
以下は読売テレビ公式ページのあらすじに沿った前半部分である。 世界最大のルビー「レッド・ティアー」を所有するのは、港ホテルでディナーショーを開くホッパー奇術団だ。この宝石は「悪魔の石」と呼ばれ、手に入れようとする者に災いをもたらすと言われている。怪盗キッドは、明日のディナーショーでレッド・ティアーを奪うと予告した。 ところが快斗は、亡き父・盗一がこのルビーについて語っていたことを思い出す。予告は取り消された。キッドは警察へ、撤回の旨を記した手紙を送りつけたのだ。
ディナーショーとジョディの事情
翌日、青子とのデートに出かけた快斗は、ひょんなことから奇術団の団長ジョディ・ホッパーと知り合う。ジョディの祖父ジェームズ・ホッパーは「炎の魔術師」と呼ばれた、イギリス屈指の大マジシャンだ。ジョディは盗一のことも知っていたが、マジシャンを「人の目をごまかして金を巻き上げるペテン師」と軽蔑し、マジックそのものを嫌っていた。2年前に亡くなった祖父の跡を仕方なく継いだものの、今夜のディナーショーを最後に奇術団を畳むつもりだという。ジョディは青子をラストショーに招待して去っていく。そのとき快斗は、ジョディの様子を窺うスネイクと部下たちの姿に気づいた。スネイクもまた、レッド・ティアーを狙っている。 夜、奇術団は港ホテルでディナーショーを開催した。青子は快斗に断られ、父の中森警部と一緒にショーを観ることになる。中森は念のため、会場に数人の刑事を潜り込ませていた。近くのテーブルにはスネイクの姿もある。ステージでは団員のポールが見事なマジックを披露し、ジョディはその上達ぶりに驚く。団員のロバートは、奇術団を続けてもらうために皆が技を磨いてきたとジョディに伝えるが、彼女は団員の新しい仕事先が決まるまでの2年間だけ団長を務めると決めていた。 ショーの合間には、レッド・ティアーを身につけたジョディが観客に挨拶して回る。中森と青子はロバートからジョディの身の上を聞く。10年前、ジョディの両親はショーの最中に事故で亡くなった。それはジェームズが2人に宝石を譲った日でもあり、以来ジョディはマジックをやめ、ルビーは「悪魔の石」と呼ばれるようになったという。
原作との関係
原作は『まじっく快斗』第4巻(2007年発売)収録の「レッド・ティアー」で、同作品内の通算No.20にあたる。初出は1995年の『週刊少年サンデー』増刊誌とされる。アニメは原作をほぼ1話対応で映像化したが、細部の改変は少なくない。 天井に写真が投影されるクライマックスについて、青山剛昌は単行本のとっておき版(宝蔵版)第4巻のインタビューで、映画『ニュー・シネマ・パラダイス』の最終幕へのオマージュだと語ったと柯南百科は伝えている。

アニメ版での主な改変
柯南百科の整理によれば、原作との主な相違点は次のとおりだ。快斗が予告を知るきっかけは、原作では新聞だったものが、アニメでは携帯電話や街頭の大型テレビに置き換えられた。白馬探が雑誌でスパイダーの欧州公演を知る場面や、紅子が白馬に近づく描写が追加された。快斗と青子が映画館へ出かける描写が加わり、映画館の前にコナンがカメオ出演している。原作では快斗がポールを気絶させて変装したが、アニメではポールにマジックを教えて協力を取りつける展開に改められた。展望レストランの回転制御は、原作ではキッド自身の仕掛けだったものが、アニメでは寺井による遠隔操作になっている。スネイクへの「組織ごとブッ潰す」という宣言や、ラストにジョディとポールが舞台でマジックを演じる場面は、アニメの追加要素である。一方で、盗一がジェームズを師と呼ぶ趣旨の原作の台詞は削られている。
『まじっく快斗1412』版との違い
同じ原作エピソードは、2014年から2015年に放送された別シリーズ『まじっく快斗1412』でも、第22話「レッド・ティアー」(2015年3月14日放送)としてアニメ化されている。1412版ではジョディ・ホッパーを瀧本美織が演じるなど、キャストと制作体制が異なり、演出の細部も別物だ。本項の2012年版は『まじっく快斗』スペシャルとしての放送であり、どちらも同じ「レッド・ティアー」を題材にするが、シリーズ・話数・制作年の異なる2つのバージョンとして区別する必要がある。

登場人物と声の出演
レギュラー陣は、黒羽快斗/怪盗キッド役の山口勝平、中森青子役の藤村歩、中森銀三警部役の石塚運昇、寺井黄之助役の矢田耕司、黒羽盗一役の池田秀一、白馬探役の石田彰、小泉紅子役の沢城みゆき、スネイク役の大塚芳忠、コナン役の高山みなみ。ゲストは、ジョディ・ホッパー役の日笠陽子、ジェームズ・ホッパー役の島香裕、ポール役の稲田徹、ロバート役の阪脩のほか、偽キッド役の藤本たかひろ、紺野刑事役の中谷一博らが名を連ねる。
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襲撃――偽キッドの囮と楽屋の発砲
フィナーレが近づいたころ、会場にキッドが現れた。中森たちは外へ逃げるキッドを追うが、それはスネイクの部下が演じる偽物で、警察を会場から引き離すための囮だった。本物のキッドは、このときまだ会場内にいる。 ジョディが楽屋へ逃げ込むと、そこには銃を持ったスネイクが待ち構えていた。ルビーを渡せと迫るスネイクが発砲し、とっさにポールがジョディをかばって銃弾を受ける。ジョディは忌まわしい石とばかりにルビーをスネイクへ投げつけようとするが、その手首をポールが掴んで止めた。撃たれたはずのポールは防弾チョッキを着て無事だった。正体は、ポールに変装していた本物のキッドである。快斗はショーの前に舞台裏でポールへマジックのコツを教え、その見返りに頼み事をしていたのだった。
回転展望レストランでの反撃
キッドは正体を明かし、「あなたとルビーを守る」とジョディに約束する。煙幕でスネイクたちの目を欺き、ジョディを連れて会場を脱出。階段で追いつかれた際には、ジョディが酒とライターでスネイクを退けた。2人は屋上の回転展望レストランへ逃げ込むが、逃げ場を失う。しかし寺井がレストランの回転速度を遠隔操作し、キッドは吸盤を天井へ発射してジョディを抱えたまま張り付いた。勢いで窓際に寄ったスネイクへ、キッドはポーカーガンでガラスを撃ち砕き、退場させる。このときキッドは「ボスに伝えろ!必ずこの怪盗キッドが組織ごとブッ潰してやると!」と言い放った。
レッド・ティアーの秘密(核心ネタバレ)
宝石の「秘密」とは、ジェームズ・ホッパーが込めた仕掛けそのものだった。レッド・ティアーにライターの炎を近づけると、宝石の反射角度を利用した細工が作動し、天井に思い出の写真が映し出される。初めて舞台に立ったときの感動をジョディに思い出させ、マジシャン・ジョディをよみがえらせる。それがジェームズの狙いだった。炎をともして初めて、ルビーはその名の通りの赤を見せる。宝石には「愛するジョディよ……この宝石が赤く輝く時、マジックの申し子ジョディ・ホッパーが甦ることを願って……」という祖父からのメッセージが託されていた。 結末は「保護成功」である。ジョディはマジシャンとしての心を取り戻し、ポールとともに舞台でマジックを披露する場面で物語は締めくくられる。予告を取り消してまで宝石を守り抜いた快斗は「レッド・ティアーの後じゃ、何やったってかすんじまうからな。」と独白し、亡きマジシャンが遺した演出に怪盗として敬意を払った。
出典
- 夏の怪盗キッド祭り「レッド・ティアーの秘密」
- 名探偵コナン 事件ファイル
- まじっく快斗1412 公式サイト
- まじっく快斗(Webサンデー公式作品ページ)
- まじっく快斗 DVD情報(Musing公式ページ)
- まじっく快斗1412 第22話「レッド・ティアー」
- まじっく快斗スペシャル一覧(Detective Conan World)
- まじっく快斗スペシャル スタッフ一覧
- まじっく快斗第4巻(Detective Conan World)
- まじっく快斗スペシャル放送一覧(nconan)
- MKTV8「レッド・ティアーの秘密」項目
- まじっく快斗 作品項目(柯南百科)
- まじっく快斗(日本語版項目)
- ジョディ・ホッパーのキャラクター項目
