「招かれざる客」とは
「招かれざる客」(まねかれざるきゃく)は、青山剛昌の漫画『名探偵コナン』の単行本52巻に収録されたFile4の題名である。週刊少年サンデー連載時の通し番号はFILE.536にあたり、2005年40号(2005年8月31日発売)に掲載された。小学館の公式事件データベースでは、事件番号154「本庁の刑事恋物語 偽りのウェディング」を構成する3本のFileのうち真ん中の1本である。前章「式場パニック」の終わりで、提無津川べりの空き倉庫から礼装姿の焼死体が見つかった。その爪から連続強盗殺人犯の指紋が出たことで、警察は「犯人が招待客を殺して成りすまし、式場へ紛れ込んだ」と読む。本章は、その「招かれざる客」を新郎新婦の顔の記憶と左手の傷から絞り込んでいく章である。犯人の指摘と捕獲は次章「ウェディング・バトル」へ持ち越される。
収録位置と掲載
52巻はFile1からFile11までを収録し、「招かれざる客」はその4番目に置かれる。File3「式場パニック」から本章、File5「ウェディング・バトル」までの3本が事件番号154を構成し、本章はその中間章にあたる。直前のFile1・2は事件番号153「因縁と友情の試写会」、File6から8は事件番号155「ひっくり返った結末」、File9から11は156「園子の赤いハンカチ」で、1冊に4事件が収まる編成である。 掲載号は週刊少年サンデー2005年40号で、発売は2005年8月31日。52巻には2005年36号から45号までと47号・48号の掲載分が収められ、本章は4番目の掲載分にあたる。単行本52巻の新ISBNは978-4-09-120026-6、税抜価格390円、ページ数は188ページ。発売日は資料で揺れ、コワレ処は2006年1月14日、Detective Conan Wikiは2006年1月16日、アガサーチは初版2006年2月15日と記す。巻末の名探偵図鑑はテレビドラマ「アイアンサイド」のロバート・アイアンサイド、裏表紙の鍵穴は山村刑事の祖母・山村ミサエが務める。

File4で起きること
冒頭、目暮警部は結婚式の中止と出席者の退去を進言する。連続強盗殺人犯が、すでに式場内へ入っている可能性が出てきたからだ。この日、式場では何組もの婚礼が並行して行われており、中止の検討は平と麗の式だけにとどまらない。新郎の平正輝は、犯人が式場にいるという証拠が示されない限り中止に応じない。白鳥警部は犯人が新郎へ強い恨みを抱いていること、2日前に脅迫めいた紙が届いていたことを指摘する。佐藤刑事は提無津川べりで見つかった焼死体の状況を説明する。喉を切られて焼かれた遺体の左手の爪からは強盗殺人犯の指紋が検出されており、殺し方は連続犯人の手口と一致していた。数日前に新郎のマンションへ空き巣が入り、パソコン内の招待客リストを見られた形跡があることから、犯人が客の1人を川べりへ呼び出して殺害し、その客に成りすまして式へ潜り込んだという推理が示される。 そこへ、新郎新婦宛の届け物を持った警察官が入ってくる。差出人は2人のチャット仲間、清水で、中身はハンディのビデオカメラだった。映像には新郎のマンションの玄関前が写っており、目暮は新郎が部屋の鍵を玄関の照明の裏へ隠す場面に気づく。いつもそこへ隠しているという平の言葉を受け、小五郎は撮影者の清水が鍵を持ち出して空き巣を働いた可能性を疑うが、新婦の益戸麗は彼女がそんなことをする人間ではないと否定する。平は空き巣のあと、結婚式の日付を予定より1日遅らせたと明かす。リストの日付だけを頼りにした犯人なら、1日前へ来てしまう算段だったが、佐藤は、成りすます予定の客へ電話して正しい日付を聞き出せば済むと切り返す。ここでコナンは、新郎新婦に招待客を1人ずつ確認させて犯人を特定する提案をする。

3人の不審な客
佐藤が高木と由美へ連絡するため廊下へ出ると、式場のカップルを次々と撮影しては「知り合いと間違えた」と謝って去る男が目に留まる。蘭もその男を不審に思う。新郎新婦が目暮・小五郎とともに会場を見回ると、2人とも顔に見覚えのない客が3人浮かび上がる。その1人が、さきほどの撮影の男だった。 浮かび上がった3人は、海外を飛び回るカメラマンの郡司倫造、スノーボードのインストラクターの島袋貞悟、温泉サイトの管理人の軽辺福春である。郡司とは近頃会っておらず、島袋は帽子とゴーグルで顔の分からない相手、軽辺とはその日が初対面だった。招待リストに名前はあっても、当事者が顔を知らないという意味では、3人とも成りすましの格好の対象である。 コナンは指紋の検出状況をあらためて尋ね、目暮は経緯を説明する。指紋が出たのは、燃え残った遺体の左手の爪である。被害者が抵抗して犯人の体を掻いたなら、犯人の皮膚にはいまも引っかき傷が残っているはずだ。麗もまた、半年前の襲撃時の記憶をたどる。玄関の扉を開けて外へ出ようとしたところを、背後から掴まれて床へ投げ倒された。そのとき何かを見た気がするが、はっきり思い出せないでいる。

左手の傷と麗の記憶
蘭が気づいたのは、3人の左手の不自然さだった。軽辺は左手の小指と薬指に包帯を巻き、郡司は左手の薬指に絆創膏を貼り、島袋は左手をポケットへ入れたまま出そうとしない。指紋が検出されたのは遺体の左手の爪であり、3人の左手はいずれも隠す様子がある。平は指紋を採って照合すればよいと言うが、コナンはすでに会場へ出て、本人たちへの聞き取りを済ませていた。軽辺は草野球で突き指したと言い、郡司は自宅のドアに指を挟んだと言い、島袋はポケットへ手を入れるのはただの癖だと答える。島袋が屋内でもサングラスを外さないのは、右目にものもらいができているせいだった。 説明を聞いた麗の記憶が動く。半年前に実家へ押し入った犯人の右目にも、ものもらいがあったのだ。小五郎はサングラスの島袋を疑う。コナンは確信する。連続強盗殺人犯は、すでに式場内にいる。ここで本章は終わり、対決の場面は「ウェディング・バトル」へ続く。

「招かれざる客」という題名
本章で警察が追うのは、招待状を奪って式場へ紛れ込んだ「招かれていない客」である。新郎新婦の顔の記憶を頼りに侵入者を探す本章の展開を、題名はそのまま指す。前章の「式場パニック」が式場全体の混乱を題に取ったのに対し、本章の題は探すべき対象を1人の侵入者へ絞る。郡司・島袋・軽辺の3人は、招待客として場にいても当事者が顔を知らないという意味で、いずれも「招かれざる客」候補として描かれる。Detective Conan Wikiの英題は「The Uninvited Guest」、ConanWikiのドイツ語版収録題は「Der uneingeladene Gast」で、いずれも「招かれざる客」の直訳である。ドイツでの収録巻の発売は2007年10月10日だった。

事件の中での位置づけ
事件番号154はFile3から5までの3章構成で、本章はその中間章である。開始章の「式場パニック」が替え玉の新郎新婦という状況と焼死体の発見までを描き、解決章の「ウェディング・バトル」が式中の対決と逮捕へ向かうのに対し、本章は容疑者の絞り込みにほぼ全編を使う。殺人の実行場面は描かれず、脅迫状・空き巣・焼死体という3つの痕跡と、3人の客の左手という小さな手がかりが論点となる。 コワレ処の52巻「内容のポイント」はこの事件を「狙われていた新郎新婦の代わりに、高木君と由美さんが代役となる式場での事件」と要約する。事件の属する「本庁の刑事恋物語」シリーズは、警視庁捜査一課の面々とその恋愛を軸に据える長期シリーズである。本章は替え玉の新郎新婦という設定の上で絞り込みを進め、佐藤と高木の関係が絡む場面は解決章へ引き継がれる。
事件資料と本章の登場人物
公式事件データベースが事件154のメインキャラクターに挙げるのは、江戸川コナン、毛利蘭、毛利小五郎、目暮十三、佐藤美和子、高木渉、白鳥任三郎、宮本由美、千葉和伸の9名である。コワレ処の52巻データがFile4の登場として数えるのは、コナン、小五郎、蘭、佐藤刑事、高木刑事、宮本由美、目暮警部、白鳥警部の8名で、川べりの捜査へ出ている千葉刑事は本章の一覧には入っていない。ConanWikiの本章の出演一覧は千葉を含む9名である。
新郎新婦と事件の当事者
事件の当事者は、31歳の新郎・平正輝と28歳の新婦・益戸麗である。2人を狙う連続強盗殺人犯は、4件の強盗で6人を殺害し、半年前には麗の実家へも押し入っていた。本章に犯人の犯行場面はない。脅迫状・空き巣・焼死体という3つの痕跡だけが、その存在を読者へ示す。ゲストとして挙がる郡司倫造(42歳)・島袋貞悟(30歳)・軽辺福春(36歳)は本章の顔合わせの対象であり、清水はビデオの差出人として名前だけが出る。

テレビアニメ第449話
アニメ化は第449話「本庁の刑事恋物語 偽りのウエディング」。2006年8月21日に1時間スペシャルとして放送され、視聴率は11.8%だった。File3から5の3章を1本へまとめており、本章の内容は中盤にあたる。国際話数では487・488話に数えられ、収録DVDはPART15の6巻である。監督は佐藤真人、脚本は古内一成、絵コンテは前園文夫・戸澤稔・荻原露光、演出は佐藤真人、作画監督は佐々木恵子・増永麗・田内亜矢子が務めた。流れていた主題歌はオープニング「100もの扉」(愛内里菜&三枝夕夏)、エンディング「もう君だけを離したりはしない」(上木彩矢)である。

ゲスト声優とアニメ独自の演出
ゲスト声優では、平正輝を山寺宏一、益戸麗を井上喜久子、郡司倫造を江原正士、島袋貞悟を内田直哉、軽辺福春を二又一成、清水を氷上恭子、目出し帽の男を川津泰彦が演じる。アニメでは舞台の式場に「東都迎賓館」という固有名が付き、開始直後に高木が由美との結婚式を夢見て床から転げ落ちる導入場面が追加されている。清水のビデオは、式後に温泉サイトの仲間が開く集まりで流す映像を本番前に確認してほしいという頼まれ物という設定になっている。原作では目暮がビデオ内の鍵の隠し場所に気づく流れだが、読売テレビのあらすじではコナンが映像の不審な点に気づくと記され、着眼者が異なる。Detective Conan Wikiは、本話がサンシャインコーポレーションによる最後の制作協力回だと記す。ネクストコナンズヒントの記述は資料で食い違い、アガサーチは「舞台照明」、Detective Conan Wikiは「Ominous message」としている。

よくある質問
「招かれざる客」は何巻の何話か――単行本52巻のFile4で、連載時の通し番号はFILE.536。週刊少年サンデー2005年40号(2005年8月31日発売)に掲載された。事件番号154「本庁の刑事恋物語 偽りのウェディング」の中間章で、開始章はFile3「式場パニック」、解決章はFile5「ウェディング・バトル」にあたる。 アニメでは何話にあたるか――テレビアニメでは第449話「本庁の刑事恋物語 偽りのウエディング」。2006年8月21日放送の1時間スペシャルで、File3から5までを1話にまとめている。 式場で疑われた3人は誰か――新郎新婦が顔に見覚えのない客として挙げたのは、カメラマンの郡司倫造、スノーボードインストラクターの島袋貞悟、温泉サイト管理人の軽辺福春の3人。3人とも左手に傷を隠す様子があり、焼死体の左手の爪から犯人の指紋が出たことと結びつけて疑われた。真犯人は記事内の折りたたみ節「事件の結末」に記した。 「招かれざる客」とは誰を指すか――本章で警察が追うのは、招待状を奪って客に成りすました連続強盗殺人犯である。題名が指す構図の答えは次章で明かされるため、詳細は折りたたみ節を参照。
出典と確認の範囲
事件の構成・人物・舞台・公開あらすじは小学館公式事件データベース(事件番号154)の保存スナップショットと52巻の公式収録一覧で照合した。章内の場面展開・掲載号・出演一覧はConanWiki第536章項目(アーカイブ)を参照した。File別の登場一覧や単行本の書誌・表紙の記述はコワレ処の52巻データで確かめ、アニメ側は読売テレビ公式の第449話事件ファイルとアガサーチの同話データを用いた。スタッフ・視聴率・解決内容・英題・ゲスト声優はDetective Conan Wikiと突き合わせている。52巻の発売日はコワレ処の2006年1月14日を軸に、Detective Conan Wikiの1月16日、アガサーチの初版2006年2月15日との差を記録する。川べりの発見現場の表記は公式が「提無津川」、読売テレビが「堤無津川」と揺れ、本章に千葉刑事が登場するかはコワレ処のFile4一覧になくConanWikiの出演一覧にはある。ネクストコナンズヒントはアガサーチが「舞台照明」、Detective Conan Wikiが「Ominous message」と書くため両説を示した。原文現物、すなわち単行本52巻とサンデー2005年40号の直接確認は行っていない。
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成りすましの読みと事件の真実
本章で警察が追った「客に成りすました強盗犯」という読みは、途中まで正しく核心で外れていた。提無津川べりの焼死体の正体は、招待客の誰でもなかった。焼かれて名の分からなくなっていたのは連続強盗殺人犯その人である。左手の爪から出た指紋も、被害者が抵抗して犯人を掻いた痕だという警察の読みとは違い、遺体自身のものだった。強盗犯を殺したのは新郎・平正輝である。平は強盗犯の共犯者であり、麗との結婚そのものが財産目当ての計画で、式後に彼女を殺すつもりでいた。式場へ現れた目出し帽の男は、平を追い詰めるため警察が用意した千葉刑事の変装だった。
式中の対決と写真の行方
平は包丁で由美を刺そうとするが、ドレスの中身は危険を察して事前に入れ替わっていた佐藤だった。ウェディングドレスのコルセットが刃を防ぎ、佐藤は無事だった。外へ逃げる平を、キック力増強シューズを履いていないコナンは蘭と協力して取り押さえる。駆けつけた佐藤は高木を平と取り違えて投げ飛ばし、馬乗りで押さえ込む。その瞬間を郡司が写真に収め、後にその写真は結婚式場の宣伝看板へ使われた。引きずり降ろそうとする白鳥へ千葉が器物損壊になるとたしなめる場面で、事件番号154は閉じる。
