世界 / 設定・概念
結末Dパターン
冨樫義博が2023年11月21日にテレビ番組で公開した『HUNTER×HUNTER』の未採用の結末案。A・B・Cの3案から漏れた案で、連載の正式な最終回ではない。
結末Dパターンは、『HUNTER×HUNTER』の作者・冨樫義博が公開した結末の草案である。連載の正式な最終回ではない。冨樫義博がA、B、Cとは別に示し、作品が未完のままになった場合の結末として公開した案であり、3つの候補から漏れた案という位置づけで開示された。
初公開は、2023年11月21日に放送された『イワクラと吉住の番組』である。この回の中で結末Dパターンが世界初公開された。『HUNTER×HUNTER』の大ファンであるゲスト、元櫻坂46の関有美子が結末は決まっているのかと質問し、冨樫義博が直筆の手紙で答えている。手紙にはA・B・Cそれぞれに対する作者自身の賛否予想が添えられ、続けてDパターンの筋書きが記された。筋書きは、島の店を継ごうとする少女ギンと、娘にハンターを勧める母親のやりとりを軸にした短い場面の連なりである。

結末Dパターン 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

結末Dパターン 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

結末Dパターン 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

結末Dパターン 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博
基本情報
| 分類・種別 | A・B・Cの3案から漏れた未採用の結末案。連載の正式な最終回ではなく、作品が未完のままになった場合の結末として公開された。 |
|---|---|
| 性質・特徴 | 本編の続きを描く物語ではなく、島の日常を切り取った短い場面の連なり。会話と独白で進み、最後は「完」の一字で閉じる。 |
| 初公開 | 2023年11月21日に放送された『イワクラと吉住の番組』。ゲストの元櫻坂46の関有美子の質問に、冨樫義博が直筆の手紙で答える形で世界初公開された。 |
| 作者による賛否予想 | Aは賛が8で否が2、Bは賛否が拮抗、Cは賛が1で否が9。Aの数値は評価の高さではなく、無難な展開で批判票が集まりにくいという読み。否が圧倒的なCを残しているのは、それが作者自身の一番の好みだから。 |
| 登場・実例 | 場面に姿を見せるのは、池の主を釣り上げる少女ギン、狩猟に目覚めることを期待する母親、娘の希望を尊重する父親、山菜を抱えて店に入ってくる小太りの少年の4人。 |
| 関連概念 | ミト大ばあば、ノウコばば、ゴンじいは母親と娘の言葉に名前が出るだけで、場面には現れない。ミトとノウコに血縁関係がないことを、母親は知らないまま話している。 |
| 主題 | ハンターとして家を離れる生き方と、島に残って店を継ぐ生き方の対比。誰かの帰りを待つことも自分が誰かを待たせることも拒むギンの独白が転換点になる。 |
定義と概要
結末Dパターンは、連載の正式な最終回ではない。冨樫義博がA、B、Cとは別に示し、作品が未完のままになった場合の結末として公開した案である。手紙で作者は、終わり方を大まかにA・B・Cの3パターン用意していると説明したうえで、この3パターンのどれも選ばず済むくらい面白い結末を考え作ることが理想であり目標だと述べた。Dパターンは、その3つの候補から漏れた案として参考までに開示された。未完のまま自分が死んだらこれが結末だったということで容赦してほしい、という言葉が添えられている。
内容は本編の続きを描いた物語ではなく、島の日常を切り取った短い場面の連なりである。既存の登場人物は会話に名前が出るだけで、姿を見せるのは少女ギンとその両親、そして山菜を持ち込む少年に限られる。進行は台詞と独白が中心で、最後は「完」の一字で締めくくられる。
仕組みと特徴
2023年11月21日に放送された『イワクラと吉住の番組』の中で、結末Dパターンが世界初公開された。『HUNTER×HUNTER』の大ファンであるゲスト、元櫻坂46の関有美子が、結末は決まっているのかと質問した。これに対し、冨樫義博から直筆の手紙で回答があった。番組ではその手紙が読み上げられ、案ごとの賛否予想とDパターンの筋書きが同時に明かされている。
手紙は、読者の反応を賛否の比率に置き換えて各案を見積もっている。Aは賛が8で否が2。ただしこれは評価が高いという意味ではなく、私的には無難な展開で批判票が集まりにくいだろうという読みだと作者は補足した。Bは賛否が拮抗し、Cは賛が1で否が9くらいではないかと予想している。否が圧倒的なCをなぜ残しているのかについては、それが一番自分の好みだからだと説明した。
Dパターンはこの3案の外側に置かれる。採否を競う候補ではなく、連載が未完に終わった場合に備える控えの結末として示された点が、A・B・Cとの違いである。したがって、この案の内容から本編の結末が確定するわけではない。
筋書きの展開
冒頭は池のほとりの場面である。釣り竿を握った少女は微動だにしない。やがて竿が大きくしなり、少女が叫ぶ。手応えに歓声を上げる彼女の名はギンという。釣り上げた池の主を担ぎ、得意気にギンは1人の女性の前に立ち言い放つ。約束通り主を釣ったと母親へ告げると、さらに女性に近づき小さな声で、これでもう二度と自分にハンターになれとは言わないはずだと念を押す。そしてギンは主を担ぎながら去って行く。
残された母親は、主を釣り上げることで狩猟に目覚めてくれると思ったのだが、と隣の夫に同意を求める。父親は、島から一生出ないで店を継ぐのが現在のギンの希望だと答え、尊重してやろうと応じる。母親は途中で気が変わるかも知れないと言いつつ、夫が娘にこだわるのはミト大ばあばとノウコばばの血筋だろうと口にする。ミトとノウコに血縁関係がないことを、この女性は知らないらしい。夫は静かにほほ笑む。あきらめきれない母親が、ゴンじいは有名なハンターだったのだから娘もいつかはきっと島を、と言いかけると、姿すら見えなくなった森の奥から、両親のやりとりが聞こえるはずもないのに娘が出ないからねと叫び返す。父親は楽しそうにつぶやく。
場面が変わり、ミトのころから続くお店が舞台になる。主はきれいにさばかれ、全ての部位が下ごしらえされている。作業をしながらギンの独白が続く。母は分かっていない、じいがハンター時代の思い出を楽しそうに話す時に大ばぁばがさり気なく席を外していること、ノウコばばの相槌が全て誰かからの伝言で、ばばがじじのそばにいられなかった寂しさを控えめに滲ませていること。包丁を持つ手でまな板を強くたたき、誰かの帰りを何ヶ月も何年も心が締め付けられる想いをしながら待つのも、自分が誰かを待たせるのもまっぴらだと胸の内で言い切る。
そこへのんびりとした穏やかな声が響く。小太りの少年が植物を抱え入ってくる。山菜をとったと告げた少年は、本当に主を釣ったのかと驚き、島民全員にふるまおうと言い出す。皆の喜ぶ顔が目に浮かぶ、さあ始めようと調理へ向かう少年に、ギンは自分はずっと一緒にいたい人とずっと一緒にいるのだと胸の内で答え、声に出してうなずく。満面の笑顔で料理を作る2人の姿で、この場面は閉じる。
実例と関連概念
結びでは、島から一羽の鳥が飛び立つ。大空を舞う鳥の下にはどこかの街と様々な人々が広がる。誰かの息子、誰かの娘、誰かの孫が色々な場所で暮らし、誰かと笑顔を交わしている。それはあのキャラの子どもや、あのキャラの孫かも知れないと示されるだけで、特定の人物の名前は挙げられない。やがて鳥が空の彼方へ飛び去り、それを見送っている誰かの後ろ姿で幕が下りる。
描かれる題材は、池の主釣り、ミトのころから続く店での調理、ハンターをめぐる親子の食い違いに絞られている。ミト、ノウコ、ゴンは会話の中で言及されるだけで、場面には現れない。家を離れて狩る生き方は、待つ側にも待たせる側にも負担を残すものとしてギンの独白に置かれ、島に残って店を継ぎ、一緒にいたい人と過ごす選択がその対極に据えられている。ミトとノウコに血縁関係がないという設定も、それを知らない母親の言葉を通してこの案の中で触れられている。