JOJOジョジョの奇妙な冒険 百科事典
Part 4 / スタンド

チープ・トリック

ちーぷ・とりっく

第一世界線main_manga_and_tv_anime

ネタバレ範囲: Part 4「チープ・トリック」編と少女の幽霊に会える小道での消滅まで

# チープ・トリックチープ・トリックは、第4部『ダイヤモンドは砕けない』に登場する自動型の寄生スタンドである。最初の本体は一級建築士の乙雅三だが、本人の意思に従わず、背中を見た者へ移るたびに前の宿主の生命を奪う。新しい宿主の背中へ取り憑くと、その人物のスタンドとして扱われ、攻撃すれば宿主自身にも傷が返る。

破壊力は低くても通常の攻撃では排除できず、声と情報を使って周囲へ背中を見せる状況を作る。

基本情報

チープ・トリックは、吉良吉廣が「矢」で乙雅三を射たことにより発現したスタンドである。公式人物紹介では、背中へおぶさって絶えず耳元で話し、宿主をノイローゼへ追い込む存在と説明される。殺傷能力そのものは高くないが、宿主の背中を誰かが見れば精気を奪って殺し、見た人物へ移る。乙は自分がスタンド使いだと理解していない一方、背中を見られてはいけない恐怖だけを抱く。

名前と表記

日本語表記は「チープ・トリック」で、英語表記はCheap Trickである。海外版では名称が変更される場合があるが、同一の寄生スタンドとして扱う。乙雅三の所有物から岸辺露伴へ移るため、「本体」を一人に固定すると能力の性質を説明できない。記事の利用者欄には初代宿主の乙と一時的な宿主の露伴を分けて記録する。

外見

チープ・トリックは人の背中へ張り付く小型の人型で、蛙や機械を組み合わせたような姿を持つ。手足の先には吸盤を思わせる形があり、宿主へ密着したまま動く。顔には半開きの目、大きな歯、顎を覆う装置のような部品がある。乙から露伴へ移っても基本的な外見は変わらない。

原作カラー版とテレビアニメでは色が異なるため、一つの配色だけを漫画本編の固定設定としない。

自我と性格

チープ・トリックは宿主から独立した言葉と目的を持つ。現在の宿主を守ろうとせず、むしろ次の人物へ移るために背中を見せるよう追い詰める。耳元で休みなく話し、恐怖をあおり、睡眠と集中を妨げる。人間だけでなく犬や猫へも声を伝え、周囲にいるものへ宿主の背中を見るよう働き掛ける。

弱そうに振る舞いながら、宿主が直接攻撃できない仕組みを理解して挑発する。

乙雅三への寄生

乙雅三は露伴邸の火災被害を調べるために訪れた一級建築士である。訪問前に吉良吉廣の矢を受け、背中へチープ・トリックを発現させている。乙は柱、壁、家具を使い、露伴へ背中を向けないよう不自然な動きを続ける。露伴は行動へ興味を持ち、相手が何を隠しているかを確かめようとする。

乙自身は背後の姿を見られないため、恐怖の原因が自分のスタンドだと理解しない。

露伴が背中を見る

露伴は乙の背中への執着を怪しみ、隙を作って背後を見る。条件が成立すると乙は背中から精気を奪われ、身体がしぼむように死亡する。チープ・トリックは自分を見た露伴の背中へ移り、次の宿主として固定される。露伴は乙を救うために見たのではなく、異常の正体を暴こうとした結果、能力の継承条件を満たしてしまう。

見るという調査行為が攻撃の起動条件になる点で、漫画家の観察欲を逆手に取る。

背中を見られた時の移動

現在の宿主以外の誰かがチープ・トリックを背後から見ると、宿主の生命が吸い取られる。スタンドは見た人物の背中へ移り、その者を新しい宿主にする。移動は宿主の同意を必要とせず、スタンド使いかどうかにも左右されないように描かれる。新しい宿主がすでに別のスタンドを持つ場合でも、チープ・トリックは背中へ加わる。

この連鎖が続けば、宿主を替えるたびに一人ずつ死亡する。

攻撃が宿主へ返る仕組み

露伴はヘブンズ・ドアーでチープ・トリックを本にしようとする。しかし寄生後のチープ・トリックは露伴自身のスタンドとして扱われ、能力を向けた影響が露伴へ返る。殴る、引き剥がす、切り離すといった手段も、自分の背中を傷つける結果になる。通常のスタンド戦では本体とスタンドのどちらかを攻撃できるが、この場合は両者が敵の都合で接続される。

力で排除できないため、露伴は能力の規則を壊さずに宿主関係だけを終わらせる場所を探す。

精神的な攻撃

チープ・トリックは耳元で話し続け、宿主が背中を隠す負担を増やす。眠れば無防備になり、外へ出れば通行人、窓、鏡、動物の視線へ注意しなければならない。露伴が康一へ助けを求めても、背中を見せられないため危険を証明できない。康一は露伴がからかっていると思い、いったん立ち去る。

チープ・トリックは事実を説明しにくい状況を作り、宿主を社会的にも孤立させる。

周囲へ話し掛ける能力

チープ・トリックの声は宿主だけに限定されず、周囲の人や動物へ働き掛けられる。露伴が壁へ背中を付けても、犬や猫へ声を掛けて注意を向けさせる。電話や会話の邪魔をし、相手へ露伴の不自然な態度を強く意識させる。自分で宿主を振り向かせる腕力はなくても、他者の好奇心と日常の動きを使って条件を満たそうとする。

物理的な弱さを、言葉による誘導と終わらない監視で補う能力である。

康一へ助けを求める

露伴は信頼できるスタンド使いとして広瀬康一を自宅へ呼ぶ。しかし康一に背後へ回られれば、その瞬間に露伴が死んでチープ・トリックが康一へ移る。露伴は危険を説明しながら背中を見せず、康一から見ると一方的な命令と悪ふざけに見える。助けを求める行為そのものが新たな犠牲者を作る可能性を持ち、協力者へ証拠を提示できない。

露伴の移動方法

露伴は壁、車体、看板などへ背中を付け、視線を遮りながら町を移動する。人通りのある場所では横向きと後退を使い、背後へ回られない経路を選ぶ。チープ・トリックは通行人へ呼び掛け、露伴の不自然な歩き方へ興味を持たせる。防御は止まっているだけでは成立せず、周囲の視線と地形を常に更新しなければならない。

露伴はこの負担を受けながら、過去に訪れた少女の幽霊に会える小道を目指す。

少女の幽霊に会える小道

少女の幽霊に会える小道は、杜王町の地図へ載らず、死者の世界と接する特殊な場所である。出口で後ろを振り返ると、無数の手が現れて振り返った者を連れ去る。露伴は自分の背中を他人へ見せずにチープ・トリックだけを処分するため、この規則を利用する。スタンドを通常攻撃で倒せないなら、宿主とスタンドを別々に判定する小道の力へ引き渡すという発想である。

チープ・トリックの消滅

露伴は出口へ到達し、チープ・トリックが背後を確認するよう仕向ける。振り返ったスタンドへ幽霊の手が伸び、露伴の背中から引き離す。チープ・トリックは新しい宿主へ移ろうとするが、小道の規則から逃れられない。露伴はヘブンズ・ドアーを使って抵抗を封じ、幽霊の手はスタンドを死者の領域へ連れ去る。

宿主である露伴を攻撃せず、寄生した敵だけを別の超常現象へ処分したことで連鎖が終わる。

強み

背中を一度見られるだけで宿主を殺し、見た人物へ確実に移る条件は単純で強い。宿主がスタンドを攻撃すると自傷になり、通常の方法では引き剥がせない。自我と言語能力を持ち、周囲の人間と動物を誘導して発動条件を自ら整える。本体だった乙が死亡した後も能力が維持されるため、元の本体を倒す戦法も通用しない。

宿主を替える能力と自動性の組み合わせが、攻撃力の低さを上回る脅威を作る。

弱点

チープ・トリック自身の腕力と速度は低く、背中を見られない限り直接相手を倒せない。能力の規則を理解した宿主が、視線を遮る地形へ入れば即時の移動を防げる。宿主との結び付きを攻撃せずに処理する外部の超常現象には耐えられない。少女の幽霊に会える小道の規則は、スタンドが誰の一部として扱われるかより、振り返った行為を優先する。

物語上の役割

チープ・トリックは吉良吉廣が放った矢によって生まれる刺客の一つで、露伴の捜査を止めようとする。能力者本人の意思や生存と無関係に動き続け、スタンドが持ち主の精神の具現化だけでは説明できない例を示す。また、以前に登場した少女の幽霊に会える小道が、吉良を追う情報の場から具体的な攻略手段へ変わる。露伴は観察欲によって罠へ入るが、記憶した町の怪異を利用して自力で脱出する。

原作とテレビアニメ

漫画本編では「チープ・トリック」編に登場し、乙から露伴への移動と小道での消滅が描かれる。テレビアニメ版の乙雅三とチープ・トリックの声は石井真が担当する。公式人物紹介は、乙が能力の存在へ気づかず、背中を見られる恐怖だけを持っていた点を明記する。実写ドラマ『岸辺露伴は動かない』では類似する怪異が別の設定で再構成されるため、漫画第4部のチープ・トリックと媒体を分ける。

未判明事項

チープ・トリックが自動で次の宿主を選ぶ仕組み、移動できる距離、宿主が一人もいない時に維持できるかは不明である。乙が矢を受けた正確な状況、吉良吉廣が能力の詳細を事前に理解していたかも描かれない。鏡や映像で背中を見た場合に条件が成立するか、動物が見た時に宿主となるかも実演されない。作中で成立した人間同士の移動と小道での消滅を確定事項とし、未実演の条件は推測として区別する必要がある。