8.5/10IMDb 44位 ・ 2023
『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』のあらすじ
スパイダーマンとしての日常に悩むマイルスは、別次元から戻ったグウェンを追ってマルチバースへ飛び込む。そこで彼は、父を救うことと世界の秩序を守ることは両立しないと告げられる。
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『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』のあらすじ【ネタバレなし】
前作の事件から約1年4か月。地球1610のマイルス・モラレスは、学業や家族との約束に遅れながらスパイダーマンとして街を守っています。そんな彼の前に、身体中の穴を出入口に変えられる怪人スポットが現れます。元アルケマックス研究員のスポットは、加速器事故で今の姿になった原因はマイルスにあると考え、別次元の加速器を使って力を増していきます。
地球65では、スパイダーウーマンであるグウェン・ステイシーが、正体を知らない父ジョージから追われていました。別次元の敵との戦いを機に、彼女はスパイダーマン2099ことミゲル・オハラが率いる組織へ加わります。任務でマイルスの世界を訪れたグウェンと再会したマイルスは、彼女を追って次元の扉へ。数多くのスパイダーマンが守ろうとする「正史」と、自分で未来を選びたいマイルスの対立が始まります。
ネタバレあり
詳しいあらすじ【ネタバレあり】
グウェンとの再会とスポットの成長
グウェンは父に正体を明かしますが、ピーターを死なせた容疑で逮捕されかけ、ジェシカ・ドリューとミゲルに同行します。地球1610でマイルスと再会した後は、任務を優先してスポットを追跡。マイルスも密かに地球50101へ渡ります。現地のパヴィトル、スパイダーパンクのホービーと協力しますが、スポットは加速器の力を吸収。マイルスは、スポットが父ジェフと警部シンを死なせる未来を見ます。シンを救った結果、その世界には崩壊の兆候が現れます。
正史をめぐるミゲルとの対立
一行は地球928のスパイダー・ソサエティ本部へ連行されます。ミゲルは、スパイダーマンに近い警察署長の死など、各世界に共通する出来事を変えると宇宙そのものが崩れると説明します。父が警部へ昇進するマイルスにとって、それはジェフを見殺しにせよという命令でした。さらにミゲルは、マイルスを噛んだクモは本来地球42のもので、彼が規格外のスパイダーマンだと告げます。マイルスはホービーが残した助言を利用して拘束を破り、無数の追跡者から逃れます。
帰還先を間違えたマイルス
マイルスは帰還装置へ飛び込みますが、装置は本人ではなくクモの出身世界を読み取り、彼を地球42へ送ります。そこでは父ジェフが亡くなり、叔父アーロンが生きていました。スパイダーマンが存在しないニューヨークは犯罪に覆われています。一方、グウェンは故郷で父と和解。ジョージが警察を辞めたことで、警部の死が避けられる可能性に気づきます。ホービーの転送装置を受け取ったグウェンは、マイルスを救うため仲間を集めます。
結末まで解説
結末を解説【ネタバレ】
地球42のマイルスは母リオへ自分がスパイダーマンだと打ち明けようとしますが、彼女はその名を知りません。叔父アーロンの家へ向かったマイルスは拘束され、この世界の自分自身と対面します。地球42のマイルスはスパイダーマンではなく、悪党プラウラーとして生きていました。マイルスは電撃の力を使って脱出の機会をうかがいます。
地球1610ではスポットが攻撃の準備を進め、ミゲルたちもマイルスを追います。グウェンはピーターB、パヴィトル、ホービー、スパイダーバイトら信頼できる仲間を集め、救出へ出発します。映画はスポットとの決着や父の運命を描かないまま、複数の追跡が同時に動き始めたところで終了します。完結ではなく、次作へ直接続くクリフハンガーです。
物語を深く知る
人物の選択と物語の仕組み
グウェンの世界で壊れた友情
グウェン・ステイシーは自分の世界でスパイダーウーマンとして活動し、親友ピーターの死へ責任を感じている。いじめられていたピーターは強くなる薬を使い怪物となり、彼女との戦いで命を落とした。父ジョージはスパイダーウーマンを殺人犯として追い、娘は正体を明かせないまま家族と孤立する。
異次元から現れた敵との戦いで、グウェンは父を救うため仮面を脱ぐ。ジョージは娘だと知っても逮捕しようとし、彼女は別世界のスパイダー組織へ去る。正体を知らせれば理解されるという期待が破られ、仲間へ加わる選択には使命だけでなく、帰る家庭を失った事情がある。
二つの学校を行き来するマイルス
マイルスはエリート校で学びながら、ブルックリンの家族や地域へ強くつながっている。両親は成績と将来を心配し、本人はスパイダーマンの活動で遅刻と欠席を重ねる。父ジェフが警部へ昇進する祝賀会にも遅れ、正体を明かせないため、無責任に見える言い訳しかできない。
進路面談でマイルスは、物理学を学び別世界へ移動する可能性を語る。母リオは、家族から逃げたいのかと問い、彼は否定する。スパイダーマンとして多元宇宙を知る事実と、成長して親から離れたい普通の願いが重なるため、秘密は使命の保護だけでなく家族の距離を広げる。
スポットを軽く見た戦いの代価
身体に黒い穴を持つスポットはコンビニ強盗に失敗し、マイルスから悪役らしくない相手として扱われる。だが穴は空間同士をつなぎ、攻撃を別方向から返せる。笑いを含む戦いの中でも、彼はマイルスとの因縁を語り、自分を作った事故の責任を認めさせようとする。
スポットは前作で破壊された加速器の研究員で、爆発によって身体を変えられた。マイルスを能力の原因と呼び、自分は彼の宿敵になると決める。相手を小さな事件として放置したことで、別世界の加速器から力を吸収する時間を与える。英雄側の軽視が、悪役の自己像と能力を同時に育てる。
ムンバッタンで救う一人と崩れる世界
グウェンを追って別世界へ来たマイルスは、インドのスパイダーマン、パヴィトルと出会う。スポットが加速器を破壊し、建物と橋が崩れる中、警部シンが子どもを救って落下する。ミゲルの指示を知らないマイルスは迷わず警部を救う。
救助後、その世界には黒い裂け目が広がり、スパイダー組織が封じ込めへ入る。ミゲルは、警部の死が多くのスパイダーマンに共通する正史上の出来事であり、止めれば世界が崩れると説明する。目の前の命を救う正しい反応が、宇宙全体には危険だという規則へ衝突する。
スパイダー本部で告げられる異常点
多元宇宙の本部には、異なる姿と生活を持つ無数のスパイダーマンが集まる。マイルスは仲間へ加われると期待するが、ミゲルは彼を最初の異常点と呼ぶ。本来別世界の蜘蛛が彼を噛んだため、その世界にはスパイダーマンが生まれず、マイルスの世界ではピーターが死んだと説明する。
本人が選べなかった事故を、多元宇宙の乱れの起点として負わせる言葉である。マイルスは、それでも自分がスパイダーマンとして救ってきた事実を持つ。正統な出自を持つ者だけが役割を決められるという組織の論理へ、能力を得た後の選択と行動で反論する。
父の死を受け入れろという組織の命令
ミゲルは、間もなく警部となる父ジェフが正史の一部として死ぬと示す。世界を守るには介入せず、犠牲を受け入れなければならない。多くのスパイダーマンは自分も大切な人を失っており、痛みを共有するからこそ規則を支持する。
しかしマイルスは、誰を救うかをアルゴリズムや指導者に決めさせることを拒む。叔父やピーターを失った経験があっても、新たな死を意図的に見過ごす理由にはしない。両方を救う方法を探すと宣言し、本部から逃走する。悲劇を通過儀礼とする共同体へ、同じ傷を繰り返さない選択を突きつける。
列車上の追跡で否定される所属
数百人のスパイダーマンがマイルスを追い、都市を垂直に走る列車の上でミゲルが追いつく。彼はマイルスを蜘蛛に噛まれただけの子どもと呼び、組織へ所属できないと告げる。マイルスは電撃をため、相手の拘束を破り、自分で役割を得たと返す。
逃走は一人で全員を倒す戦いではなく、相手の注意と設備の仕組みを利用して帰還装置へ届く作戦である。ピーターBやグウェンは命令と友情の間で動けず、完全には止めない。マイルスが脱出できた事実は、組織が一枚岩ではなく、規則へ疑問を持つ者が内部にいることも示す。
帰った先が別の地球だった誤算
帰還装置は遺伝情報から故郷を判定するが、マイルスを噛んだ蜘蛛は別の地球から来ていた。そのため彼は自宅とよく似た地球42へ送られる。母はいるが父は亡く、壁画には叔父アーロンが生きている。帰宅できた安堵が、会話の細部から別世界の違和感へ変わる。
この世界にはスパイダーマンが存在せず、犯罪が街を支配している。蜘蛛が奪われたため英雄が生まれなかったという説明が、異常点と呼ばれたマイルスの別の可能性を見せる。彼が能力を得たことは一方の世界を救いながら、もう一方へ欠落を残した。本人の罪ではなくても、結果から逃れることはできない。
プラウラーとなったもう一人のマイルス
叔父アーロンに拘束されたマイルスの前へ、その世界の自分が現れる。父を失い、叔父と行動する彼はプラウラーの装備を身につけている。同じ顔でも、家族の死と蜘蛛の不在が違う役割を作った。英雄と悪役を生得的な性質へ分けず、環境と選択の組み合わせとして並べる。
マイルスは縛られた状態でも、父を救うため帰る必要を訴える。相手のマイルスは父という存在を既に失っているため、その言葉をどう受け取るかはわからない。自己との対話が共感になる保証を置かず、最も似た人物が最も異なる生活を持つ緊張を残す。
グウェンが父との関係から見つける例外
元の世界へ戻されたグウェンは、父ジョージと再び向き合う。彼は娘を逮捕するより父でいることを選び、警察を辞職したと告げる。警部でなくなったため、正史で死ぬ警部という条件自体が変わる。運命とされた出来事にも、役割を手放す選択で別の道が生まれる。
グウェンはこの例外から、マイルスの父も救える可能性を信じる。ピーターB、パヴィトル、ホービーら規則へ疑問を持つ仲間を集め、救出へ向かう。最初は友情を作ればまた失うと恐れていた彼女が、失わないため組織へ従うのではなく、友人と別の答えを探す側へ移る。
二つの救出隊が動き出す未完の結末
地球42でマイルスは電撃を使い、拘束を解く機会を探す。同じ頃、スポットは多元宇宙を横断する力を得て、ジェフの祝賀会を襲う未来を見せる。父の死までの時間が迫る一方、本人は別世界から帰る手段を持たない。
グウェンはかつての仲間たちとポータルへ入り、マイルスを探しに行く。物語は対決を完了せず、主人公側、仲間側、スポット側が別々に動き始めたところで終わる。自分の物語は自分で書くというマイルスの意志が、次に現実の父と別世界の自分をどう救うかという行動へ預けられる。
ホービーが組織の外から渡す助言
パンク・スパイダーマンのホービーは、スパイダー組織に所属しながら権威や一貫性を信用しない。マイルスへ、自分の手のひらから電撃を使えと示唆し、本部の装置から部品を抜き取る。表面上は軽口を言いながら、脱出に必要な知識と道具を渡す。
ミゲルがマイルスを拘束すると、ホービーは組織を辞め、後にグウェンへ自作の次元移動装置を残す。正面から指導者を倒すのではなく、個人が命令へ従わず動ける手段を分散させる。マイルスの自立を称賛するだけでなく、実際に選択肢を増やす行動を取る。
ピーターBが娘を抱いて選ぶ立場
前作でマイルスに救われたピーターBは、娘メイデイを連れて本部へ来る。父になる決意へマイルスの存在が影響したと伝え、成長を誇らしく見る。それでも正史を守る側に立ち、マイルスが父を救おうとするのを止めようとする。
マイルスは、ピーター自身が自分の助言で家族を得たのに、こちらの家族は犠牲にするのかと問い返す。ピーターは規則と友情の矛盾を解けず、拘束から逃げる少年を完全には追い切れない。後にグウェンの救出隊へ加わる選択は、恩を感情で語る段階から行動で返す段階への移行になる。
ミゲルが失った別世界の家族
ミゲルは別世界で自分と同じ男が死亡した後、その家庭へ入り、妻子と暮らした過去を語る。失ったはずの家族を得て幸福に過ごすが、世界は突然崩壊し、娘も腕の中から消える。正史を破れば全員を失うという確信は、抽象的な理論より本人の体験に根差す。
だから彼はマイルスの楽観を無責任と見なし、個人の救助より宇宙の安定を優先する。だが自分の失敗から導いた規則を、すべての世界へ同じ形で適用してよいかは検証されていない。恐怖を再発防止の制度へ変える一方、例外を試す者を拘束し、新しい方法を探す余地まで閉じている。
読み解き
物語が描くもの
定められた物語と選び直す意志
ミゲルは過去の事例から正史を守ろうとしますが、マイルスにとって父の死は抽象的な規則ではありません。誰かを救うことを諦めればスパイダーマンではないという反論によって、ヒーロー物語の定型そのものが問い直されます。
秘密が家族との距離を作る
マイルスもグウェンも、正体を隠すことで家族を守ろうとしながら、その秘密のために孤立します。グウェンと父の和解は、正史が絶対ではないかもしれないという希望にもつながり、マイルスが両親へ真実を話そうとする行動と呼応します。
この映画の見どころ
- 水彩の色彩が感情に合わせて変化する地球65の場面
- ムンバッタンを縦横に使ったスポットとの追跡戦
- 多数の画風と世代が混在するスパイダー・ソサエティ本部
- 地球42の正体が段階的に分かるクリフハンガー
こんな人におすすめ
- 前作で描かれたマイルスとグウェンの続きを知りたい人
- マルチバース設定を人物の選択と結びつけた物語が好きな人
- 異なる画材やコマ割りを融合したアニメーションを見たい人
『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』のよくある質問
映画の最後にスポットは倒されますか?
倒されません。スポットは地球1610への攻撃を準備し、マイルスは地球42に取り残された状態で映画が終わります。
地球42のマイルスは何者ですか?
スパイダーマンが存在しない世界で叔父アーロンと行動するプラウラーです。地球1610のマイルスを拘束して対面します。
グウェンはなぜ仲間を集めたのですか?
正史よりもマイルスを救う選択をし、ピーターBやホービーたちと別働隊を結成して地球42へ向かうためです。





