ハートの海賊団は、「死の外科医」トラファルガー・D・ワーテル・ローが率いる海賊団である。 黄色い潜水艦ポーラータング号を本船とし、航海士ベポ、ペンギン、シャチ、ジャンバールらが所属する。 最悪の世代の海賊団でありながら、船長の医術、潜水航行、海中戦、救命を組織の大きな特色とする。
麦わらの一味とはパンクハザードからワノ国まで海賊同盟を結び、ドフラミンゴとカイドウの打倒に関わった。 ワノ国後、勝者島で黒ひげ海賊団に敗れ、ポーラータング号を失う。 ただしローとベポの生存は確認され、他の団員の生死と海賊団の最終的な解散は確定していない。
概要
ハートの海賊団の旗は、笑顔のような意匠へ放射状の突起を組み合わせたマークである。 船員は白地に団の印が入ったつなぎを着ることが多く、医療・潜水船の乗員を思わせる統一感を持つ。
船長ローはオペオペの実で手術空間を作り、身体の切断、移動、治療、内部破壊を行う。 船員も医療補助、操船、潜水、海中戦を担い、単に強い船長へ同行する戦闘員ではない。
本隊の戦闘描写が少ないため「ロー以外は弱い」と評価されることがある。 しかしマリンフォードからルフィを救出し、海中から鬼ヶ島へ潜入し、黒ひげ海賊団の能力者を海へ落とそうとするなど、環境を選べば独自の強みを発揮する。
結成の背景
ローはフレバンスを失い、ドンキホーテ・ロシナンテの犠牲によって珀鉛病から生き延びる。 その後、北の海のスワロー島でベポ、シャチ、ペンギンと出会い、最初の仲間を作る。
ベポはゾウを出て兄ゼポを探す途中、北の海へ流れ着いていた。 シャチとペンギンは当初ベポをいじめるが、ローとの衝突と交流を経て仲間になる。 結成過程の詳細は原作本編だけでなく公式小説『ONE PIECE novel LAW』などで補われるため、媒体を明示して扱う必要がある。
船名や海賊団名に「ハート」が使われる理由は、コラソンとの関係を連想させる。 ただし作者が作中で名称の由来を一文で確定した場面と、読者が読み取る象徴性は区別する。
ローは家族と故郷を失った後、血縁ではない仲間と航海の共同体を作る。 復讐だけの人生へ進みかけた人物に、帰る船と待つ仲間が生まれる点が重要である。
船長トラファルガー・ロー
ローは船長であると同時に医師であり、戦闘と救命の中心を担う。 冷静に作戦を組み立て、相手の能力と地形を利用するが、コラソンやDに関わる問題では個人的な感情が強く表れる。
シャボンディ諸島でルフィ、キッドと共闘した後、頂上戦争終盤へ現れる。 エースを失い重傷を負ったルフィとジンベエを潜水艦へ収容し、海軍の追跡から逃れながら手術を行う。
ローにとってルフィは将来の同盟相手になるが、この時点で見返りの契約はない。 Dの名を持つ者への関心、海賊としての直感、医師として目の前の患者を救う判断が重なる。
船長の能力は強力だが、長距離の転送と覚醒技は体力を大きく消耗する。 船員が退路、治療環境、航行を支えなければ、ロー一人で長期作戦を完結できない。
ベポ
ベポはミンク族のシロクマで、ハートの海賊団の航海士である。 謝り癖があり、低い懸賞金と気弱な反応を笑われることがあるが、機敏な体術と航海知識を持つ。
ゾウで生まれ、兄ゼポを探して海へ出た。 海へ出たミンク族として、新世界の特殊な航路と象主へ戻る道を知ることが船の航海へ役立つ。
満月の光を浴びればスーロン化できるが、通常は夜と天候という条件に左右される。 勝者島ではチョッパーから受け取った薬を使い、昼間でも一時的にスーロンとなってローを救う。
薬の再現性、副作用、他のミンク族へ同じように使えるかは完全には説明されていない。 一度の成功を常用可能な能力として書かないことが必要である。
敗北後、ローが仲間を置いていけないと言っても、ベポは幼い頃から一緒にいる仲間を信じるよう答え、船長を海へ運ぶ。 命令へ従うだけでなく、船長が生き残るため反対意見を実行できる航海士である。
ペンギンとシャチ
ペンギンとシャチは初期からの船員で、潜水艦の操船と戦闘へ参加する。 名前と帽子の意匠は海の生物を連想させるが、ミンク族ではなく人間である。
ワノ国では潜水艦からローを支え、赤鞘九人男の移送や鬼ヶ島への潜入に関わる。 勝者島では海中へ潜り、能力者が多い黒ひげ海賊団の船を下から攻撃する。
悪魔の実能力者は海へ入れば力を失う。 ペンギンとシャチは海中で高速に泳ぎ、敵船を沈めようとすることで、陸上の戦闘力差を環境で縮める。
個別の大技や懸賞金が明示されなくても、潜水船を中心とする団に必要な専門技術を担う。
ジャンバールとその他の船員
ジャンバールはかつて海賊船長だったが、天竜人ロズワード聖の奴隷とされる。 シャボンディ諸島でローに解放され、その場で仲間へ勧誘される。
巨大な身体と防御力を持ち、勝者島ではヴァン・オーガーの銃撃からローをかばう。 奴隷から解放した者を従属させるのではなく、海賊として新しい役割を提示する加入である。
ほかにイッカク、クリオネ、ウニ、ハクガンらが所属し、ポーラータングの運用、治療、戦闘を分担する。 全員の役職と過去が同じ深さで明かされているわけではない。
記事では名前の一覧だけを増やすのではなく、どの事件で何を担ったかが確認できる人物を中心に説明する。
ポーラータング号
ポーラータング号は黄色い船体を持つ潜水艦で、ハートの海賊団の本船である。 海上の風と海流だけに頼らず、水中へ潜って敵の包囲を避けられる。
頂上戦争ではマリンフォードの湾からルフィとジンベエを乗せ、黄猿や青雉の追撃を受けながら逃走する。 ゾウへ向かう航路、ワノ国の滝を避けた接近、鬼ヶ島への潜入でも潜水能力を活用する。
船内は手術室と医療設備を備え、ローの医術を海上で実行できる。 戦闘船、移動拠点、病院の三役を持つ。
勝者島で黒ひげ海賊団に破壊され、海底へ沈む。 船の喪失は移動手段だけでなく、海賊団の戦術と生活の中心を失う出来事である。
シャボンディ諸島
ハートの海賊団はシャボンディ諸島へ到達し、最悪の世代の一団として紹介される。 人間オークション会場でルフィが天竜人を殴った後、ローとキッドは海軍の包囲へ巻き込まれる。
三船長は競い合いながら共闘し、能力を使って海兵を突破する。 同盟ではなく、その場の利害が一致した即席の協力である。
ローはジャンバールを奴隷から解放し、仲間へ加える。 混乱を戦力獲得の機会として使うが、本人へ選択を与える。
この出会いは後のルフィとの同盟、キッドとのワノ国共闘へつながるが、三者が常に味方になることを意味しない。
マリンフォードでの救命
頂上戦争が終わりかけた時、ローはポーラータング号でマリンフォードへ現れる。 ジンベエが重傷のルフィを運び、バギーの能力を介して船へ引き渡す。
ハートの海賊団は追撃を避け、海中へ逃げながら2人を治療する。 ハンコックの案内でアマゾン・リリー近海へ向かい、ルフィが意識を取り戻すまで支える。
海賊団の代表的な功績が敵の撃破ではなく、主人公の救命である。 ローの外科技術と、船員の操船・医療補助が組み合わさって成立する。
ローがなぜ危険を冒したかはすべて言語化されない。 それでも結果として、麦わらの一味が再集結する未来をつないだ。
パンクハザードと海賊同盟
ローは王下七武海となり、パンクハザードへ滞在する。 ハートの海賊団本隊はゾウへ先に向かい、船長と別行動を取る。
ローはルフィへカイドウを倒す海賊同盟を提案する。 表向きの目標は四皇打倒だが、最初の計画はSAD製造を止め、カイドウとドフラミンゴを衝突させることにある。
ロー個人にはコラソンの仇であるドフラミンゴを止める目的があり、生還を前提にしていない部分もある。 ゾウで待つ仲間は計画の全容を知らないまま、船長を信じる。
同盟は船長同士の契約だが、実行には双方の船員が協力する必要がある。 麦わらの一味の予測不能な行動と、ローの計画重視の性格は繰り返し衝突する。
ゾウでの再会
ハートの海賊団はミンク族の国ゾウへ到着し、百獣海賊団ジャックの襲撃後に住民を支援する。 ベポにとっては故郷への帰還でもある。
ローはドレスローザ後に仲間と再会し、ルフィたちへ紹介する。 ゾウ、光月家、ワノ国、ロードポーネグリフの情報が共有され、同盟の目的はカイドウとの全面戦争へ移る。
海賊団は船長の復讐が終わった後も解散せず、次の目的へ同行する。 ローとコラソンの物語だけを目的にした一時的な集団ではない。
ワノ国での役割
ハートの海賊団はワノ国へ潜入し、反乱勢力と協力する。 ベポ、シャチ、ペンギンが捕らえられ、ローは仲間を救うため自分を差し出す。
ローは同盟の情報漏洩を疑われても、仲間を見捨てる選択をしない。 船員も拷問で作戦を話していないと主張し、信頼の亀裂を最小限にする。
鬼ヶ島討ち入りでは、ポーラータング号で赤鞘九人男を海から運び、島の裏側へ上陸させる。 カイドウ戦後、海へ落ちたルフィを潜水艦の船員が救助し、治療する。
ロー自身は屋上と地下で戦い、キッドとともにリンリンを倒す。 船員は四皇と直接戦う以外の輸送・救命を担い、同盟軍の継続を支える。
勝者島での黒ひげ海賊団戦
ワノ国出航後、ハートの海賊団は勝者島近海で黒ひげ海賊団の待ち伏せを受ける。 ティーチはワノ国から出る3船長のいずれかを狙い、ロードポーネグリフの写しを奪おうとしていた。
ドクQはシクシクの実で女体化する病を広げるが、ローは強い覇気で能力を破る。 能力を解除できるという情報を敵へ与えながら、船員全体への感染を止める。
ペンギンとシャチは海中から敵船を攻撃し、能力者を海へ落とそうとする。 ジャンバールはオーガーの銃撃を防ぎ、ベポは敵の位置を知らせる。
ローはティーチへ覚醒技を当てるが、グラグラとヤミヤミを持つ四皇に敗れる。 ポーラータング号は破壊され、ハートの海賊団は敗北したと報じられる。
敗北後の状態
ティーチがローのオペオペの実を奪おうとする中、ベポはチョッパーから受け取った薬でスーロン化する。 ローを抱えて海へ飛び込み、追撃から逃れる。
ローは仲間を残すことへ抵抗するが、ベポは仲間の生存を信じるよう伝える。 船長を失えば救出の可能性も消えるため、最優先で生かす判断である。
原作の報道は「敗北」を示すが、海賊団が完全に壊滅した、全員が死亡したとは書かれていない。 海上へ残った団員の捕虜・生存・散開の状況は不明である。
また、ローとベポは船を失って海へ逃げたため、自力で長距離航海できる状態ではない。 次にどの勢力へ救助されるか、海賊団を再結成するかは未確定である。
麦わらの一味との関係
ハートの海賊団と麦わらの一味は正式な傘下関係ではない。 パンクハザードで結んだ対等な海賊同盟であり、ワノ国でカイドウを倒すまで利害を共有する。
ルフィはローを友達として扱い、ローは同盟だと訂正する。 船員同士も宴や共同作戦を通じて信頼を築くが、同じ旗へ統合されない。
ワノ国後、3船長は航路をくじで決め、ロードポーネグリフの写しを分けて競争へ戻る。 共闘したことが海賊王争いの放棄を意味しない。
ハートの海賊団が麦わら大船団へ加入した、ローが麦わらの一味の正式な仲間になったという記述は誤りである。
組織を読み解くポイント
ハートの海賊団はローの強さが注目されやすいが、潜水艦と専門船員によって他の海賊団にない戦術を持つ。 陸上の個人戦だけで組織の価値を測ると、救命、潜入、海中攻撃、輸送が見えなくなる。
ローは計画を一人で抱え、仲間を危険から遠ざける傾向がある。 船員は命令に従うだけでなく、仲間として船長の自己犠牲を止め、生存を優先する。
勝者島の敗北は戦力不足の結果であると同時に、海中戦で四皇の能力者集団へ対抗できることを示した。 敗北をもって過去の功績や組織の専門性が消えるわけではない。
今後の焦点は、ポーラータング号を失った後も同じ海賊団として集まり直せるかにある。 船は共同体の中心だったが、ベポがローへ仲間を信じさせたように、関係そのものは船体と同時に沈んでいない。
関連項目
- トラファルガー・ロー
- ベポ
- ペンギン
- シャチ
- ジャンバール
- ポーラータング号
- ゾウ
- 黒ひげ海賊団


