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ONE PIECE百科事典ANNA MOVIES

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小説『ONE PIECE 倒せ!海賊ギャンザック』

小説『ONE PIECE 倒せ!海賊ギャンザック』は、濱崎達弥が執筆し、集英社のJUMP j BOOKSから1999年6月3日に発売されたノベライズ作品である。

小説『ONE PIECE 倒せ!海賊ギャンザック』は、濱崎達弥が執筆し、集英社のJUMP j BOOKSから1999年6月3日に発売されたノベライズ作品である。1998年のジャンプ・スーパー・アニメツアーで上映された同名OVAを文章化し、ルフィ、ゾロ、ナミが、島民を強制労働させる海賊ギャンザックと戦う。

集英社は本書を「人気ナンバーワンコミック、初のノベライズ」と紹介する。『ONE PIECE』の名を持つ最初期の小説であり、テレビアニメが放送を始める1999年10月より前に刊行された。原作漫画の特定章をそのまま小説化した本ではなく、Production I.G制作のOVAを基礎とする派生作品である。

書誌情報

  • 正式名:ONE PIECE 倒せ!海賊ギャンザック
  • 著者:濱崎達弥
  • 原作:尾田栄一郎
  • レーベル:JUMP j BOOKS
  • 出版社:集英社
  • 発売日:1999年6月3日
  • 判型:B6判変型
  • ページ数:228ページ
  • ISBN:4-08-703084-9
  • 現行ISBN表記:978-4-08-703084-6
  • 形態:同名OVAのノベライズ

一部の中古書店データには6月8日発売、218ページという異なる記録があるが、出版社公式書誌は6月3日、228ページとする。百科事典では出版社の情報を基準にし、現物の奥付とノンブルを公開前に確認する。価格も刊行時と現在の税込表示が同じとは限らないため、版と時点を付けずに固定価格として扱わない。

OVAから生まれた最初の小説

原型となるOVA『ONE PIECE 倒せ!海賊ギャンザック』は、テレビアニメ版とは別の制作・声優体制で作られた。監督は谷口悟朗、アニメーション制作はProduction I.Gが担当し、ルフィ、ゾロ、ナミの三人が登場する初期の一味を描く。

小説は、この映像作品の出来事を削除して別筋へ変えたものではない。島への漂着、メダカとの出会い、ギャンザックの支配、捕縛と反撃、悪魔の塔を備えた船との決戦という中心線を保ちながら、映像では短く通過する人物の事情や会話を補う。

したがって、小説とOVAを「同じ題名だから完全に同一」とまとめるのも、「二つの独立した事件」と数えるのも正確ではない。一つの基本物語に映像版と小説版があり、小説側に追加場面と追加説明がある。記事では共通の出来事と小説固有の記述を分ける。

冒頭――三人の漂着

モンキー・D・ルフィロロノア・ゾロナミの三人は、小舟で航海中に砲撃を受ける。さらにギャンザックが使役する首長竜が襲い、ルフィとゾロは海へ投げ出され、ナミは連れ去られる。

ルフィは島へ流れ着き、少女メダカと出会う。島はギャンザックとその海賊団に占領され、働ける男たちは武器製造のために連行されていた。女性、子供、老人は人質として残され、逆らえば報復を受ける。メダカの父へリングも強制労働をさせられている。

メダカは海賊を嫌っており、ルフィを最初から救い手とは見ない。彼女にとって海賊とは、家族を奪い、村を支配するギャンザック一味と同じ肩書である。ルフィが「海賊王になる」と名乗ることは安心材料にならず、行動によって違いを示す必要がある。

ギャンザックの支配

ギャンザックは蟹を思わせる鎧をまとい、銃火器と部下、巨大な首長竜を使う海賊である。島民を労働力と人質へ分け、巨大兵器を完成させようとする。本人の戦闘力だけでなく、逃げ場を奪い、住民を盾にすることで反抗を封じる。

ギャンザック海賊団の拠点「悪魔の塔」は、見張り台だけではない。首長竜に曳航される船体と巨大砲を組み合わせ、島を海上から破壊できる兵器として機能する。住民が作らされた武器が、完成後には住民自身へ向けられる構造である。

ルフィは空腹とメダカの頼みから悪魔の塔へ向かうが、敵は正面からの殴り合いだけを選ばない。人質を使えばゾロも剣を収めざるを得ず、三人は拘束される。勝つ力があっても、守る相手を同時に危険へさらされると動けないという初期一味の課題が表れる。

ナミとギャンザックの追加場面

小説版で特に増えたのが、連れ去られたナミとギャンザックの最初の対面である。ナミは悪魔の塔へ運ばれ、ギャンザックから一味に加わり「自分の女」になるよう求められる。彼女はギャンザックの名を知っており、懸賞金について問いながら相手の情報を測る。

ギャンザックの懸賞金は、過去の800万ベリーから1000万ベリーへ上がったとされる。ゾロも名を聞いて以前の額を思い出すため、小説はギャンザックが突然現れた無名の海賊ではなく、東の海で一定の悪名を持つ人物だと補う。ただし、この懸賞金の変化は小説・OVA系の設定で、原作漫画の賞金首一覧へ無条件に加えない。

ナミは表面上ギャンザックへ近づいても、ルフィとゾロを裏切って定着するつもりはない。捕らえられた仲間を解放し、反撃の機会を作る。ギャンザックは戦いの最中にも彼女へ加入を迫るが、ナミは繰り返し拒む。小説はこのやり取りを増やし、ナミが敵の欲と自信を利用して内部から状況を動かす過程を見せる。

メダカの母と海賊嫌いの理由

捕らえられたルフィ、ゾロ、メダカは牢でへリングと会う。小説では、メダカの母もかつて島へ流れ着いた海賊だったこと、その後に元の仲間が島を襲い、彼女を殺したことが語られる。この過去が、メダカの海賊嫌いを個人的な喪失へ結び付ける。

メダカの母が海賊だったという事実は、「海賊は全員同じ」という判断を単純にはしない。母は島で家族を持ったが、元仲間の海賊は彼女を殺した。現在もギャンザックは住民を苦しめる一方、海賊を目指すルフィはメダカと父を助けようとする。肩書ではなく選択で人物を分ける物語になる。

この説明は小説版の重要な補完で、OVAの映像だけから同じ詳細を断定してはならない。メダカの記事では「小説版で明かされた背景」と明示し、映像版に映った事実、原作漫画の設定を分ける。

反乱と悪魔の塔

へリングら島民は反乱を起こすが、ギャンザック一味に制圧される。ギャンザックが見せしめとしてへリングを処刑しようとすると、メダカが立ちはだかり、ルフィたちも再び戦線へ戻る。個々に抵抗していた人物が、ナミの救出をきっかけに一つの反撃へまとまる。

ギャンザックは悪魔の塔を船として島から離し、海上から巨大砲で攻撃する。ルフィとメダカはギャンザックへ、ゾロは部下たちへ向かい、島民とナミは首長竜と船を止める。主人公だけが敵の全戦力を処理するのではなく、人質だった住民が自分たちの島を取り戻す役を担う。

追い詰められたギャンザックは最後の砲撃を試みるが、ルフィに殴り飛ばされ、自らの砲弾と衝突する。OVAでは映像の終わり方から生死を一意に断定しにくいのに対し、小説の語りはギャンザックの死を明示するとされる。この差は後年の別作品に姿が描かれたことと衝突し得るため、媒体ごとの結末として記録する。

原作漫画との時系列

登場する一味がルフィ、ゾロ、ナミの三人であるため、人物構成だけを見れば東の海編の初期に置ける。しかし、原作漫画で三人が同じ事件を経験した描写はなく、島やギャンザックとの戦いも本編の航路へ組み込まれていない。

原作者がOVA用人物のデザインに関わり、小説に尾田栄一郎が「原作」と記載されていることは公式派生作品である証拠だが、物語全体を原作正史にする証拠ではない。本記事では「公式小説」「OVAノベライズ」「非原作本編」の三点を併記する。

後年の映画等でギャンザックを思わせる姿が使われても、それだけで小説の死亡記述が撤回されたり、すべての媒体が一つの連続時系列になったりはしない。作品ごとの設定範囲を優先する。

小説版を読む意義

本書は、最初期の映像版『ONE PIECE』を文章で追えるだけでなく、映像では説明しにくい人物の認識を補う。ナミが敵の情報を測りながら内側へ入り込むこと、ゾロがギャンザックの過去の懸賞金を知ること、メダカが海賊を憎む家族史、結末での生死が代表例である。

一方、文章の説明が増えたから「小説が原作」「OVAが要約版」になるわけではない。小説はOVAを基礎とした翻案であり、共通場面を調べるときは映像、追加設定を調べるときは小説現物を見る。書影だけで内容を推測せず、本文、奥付、OVA本編を突き合わせることが、初期メディア展開を正確に理解する方法となる。

後続ノベライズとの違い

本書以後、『ONE PIECE』には映画の小説版、各人物を主役にした短編小説、原作本編の空白を補うノベライズが刊行された。だが本書は、テレビアニメ放送開始前のイベント上映OVAを最初に文章化したという成立事情を持つ。長期連載後の設定を整理するために書かれた小説ではなく、まだ一味の人数も世界設定の公開範囲も限られていた時期の派生作品である。

そのため、後年に確立した人物像や用語を遡って説明へ足すと、刊行当時の作品像を見失う。ギャンザックの懸賞金やメダカの家族史は本書で確認し、原作漫画で後に示された東の海の勢力図とは別の資料層として扱う。この切り分けによって、本書固有の追加描写とシリーズ全体の設定を混同せずに読める。

関連項目

  • OVA『ONE PIECE 倒せ!海賊ギャンザック』
  • ギャンザック
  • ギャンザック海賊団
  • メダカ
  • へリング
  • 悪魔の塔
  • 首長竜
  • モンキー・D・ルフィ