01来歴

オトー・ガンガでの引見と追放
ボス・ナスは、映画『スター・ウォーズ/エピソード1 ファントム・メナス』で初登場する。物語前半、通商連合(Trade Federation)のナブー侵攻から逃れてきたジェダイのクワイ=ガン・ジンとオビ=ワン・ケノービをオトー・ガンガ議場で引見し、ジャー・ジャー・ビンクスには町への侵入を理由に追放を申し渡す厳格な統治者として描かれる。最終的にクワイ=ガン・ジンの説得を受け、地上のナブー王国へ向かう一行に潜水艇ボンゴ(Bongo)の貸与を認め、物語を前進させる。
同盟承認とガンガン大軍提供
『ファントム・メナス』終盤、首都シード(Theed)を占拠された惑星ナブー人類側の代表として戻ってきたパドメ・アミダラが、女王としての身分を明かしガンガン族の前にひざまずいて援軍を懇願する。ボス・ナスはこの場面で人類側との歴史的同盟を承認し、ガンガン高等評議会はガンガン大軍(Gungan Grand Army)を編成する。これにより通商連合のドロイド軍を草原地帯の地上決戦『ナブーの戦い(Battle of Naboo)』へ誘引する作戦が始動し、ジャー・ジャーも『ブラッシュ・ジェネラル(Bombad General)』の階級を得て指揮側に加わる。
平和の宝珠と和解の象徴
クライマックス後、シード王宮前広場のナブー戦勝パレードで、ボス・ナスは女王パドメ・アミダラから平和の象徴である球体『平和の宝珠(Globe of Peace)』を手渡され、頭上に掲げて物語を締めくくる。長年地上のナブー王国と地下のガンガン族の間にあった相互不信を解消し、惑星規模の和解を視覚的に成立させる象徴的場面である。地下と地上の二文化が対等に並ぶ、シリーズでも数少ない場面として位置付けられる。
シスの復讐での短い再登場
ボス・ナスは、映画『スター・ウォーズ/エピソード3 シスの復讐』のラスト近く、暗殺されたパドメ・アミダラの惑星ナブー国葬パレード場面に、ガンガン族代表として隊列に並ぶ無台詞の短いカットで再登場する。プリクエル三部作における最終登場場面であり、平和の宝珠を掲げた指導者が、物語内時間軸で6年後(19 BBY)にナブー惑星規模の弔意を担う構図へ置き換わる対比演出として描かれる。
拡張正史での本名と登場範囲
ボス・ナスの本名は拡張正史で『ルゴール・ナス(Rugor Nass)』と記載され、役職名は『Rep Boss(代表ボス)』とされる。劇中で『ボス・ナス』と呼ばれるのは、族長称号『Boss』と本名『Nass』を組み合わせた通称である。本人はアニメシリーズ『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』のいくつかのエピソードで言及・短い登場機会を持つが、主要登場ガンガンはジャー・ジャー・ビンクス中心に切り替えられ、シークエル三部作およびDisney+配信実写ドラマ群には登場しない。
02能力・特徴

- ガンガン高等評議会代表ボスとしての統治権限:出入境管理・追放処分・地上の人類側との外交締結など、ガンガン族の最終意思決定権限を持つ立場として描かれる。
- ガンガン大軍の最高指揮権:通商連合の侵攻に対し、ファンボー搭載のシールド発生装置とカータパルト・ブースマを装備したガンガン大軍の編成と派遣を承認する最高指揮官として描かれる。
- 同盟締結権限:長年相互不信が続いた地下のガンガン族と地上のナブー王国との歴史的同盟を承認する権限を持つ唯一の指導者で、終盤の和解を成立させる。
- 外交儀礼と威厳の体現:太く長い耳冠を持つ指導者層の典型として、様式化された大仰な所作と野太い発声で『地下都市の長』としての威厳を体現する。
- 判断の柔軟性:序盤はジャー・ジャーを即決で追放する厳格さを見せる一方、クワイ=ガン・ジンの説得で議場決定を覆し、終盤は対立軸を一夜で同盟へ転じる決断力を併せ持つ。
03関連人物

04登場・関連作品
05名場面

オトー・ガンガ議場引見(『ファントム・メナス』前半):クワイ=ガン・ジンとオビ=ワン・ケノービを引見し、ジャー・ジャー・ビンクスの処遇を交渉する場面。説得を受け潜水艇ボンゴの貸与を認める物語の転換点。
パドメ・アミダラ懇願(同前半終盤):首都シードを占拠された人類側代表の女王が身分を明かしひざまずき援軍を懇願し、ボス・ナスが歴史的同盟を承認する、シリーズ屈指の交渉場面。
戦勝パレードの『平和の宝珠』(同クライマックス後):シード王宮前広場で女王パドメから『平和の宝珠』を受け取り頭上に掲げ、二文化の和解を惑星規模で宣言する象徴的場面。
ガンガン大軍出発式(同終盤):同盟承認直後、ファンボー搭載のシールド発生装置とカータパルト・ブースマを装備した戦士団が草原地帯へ出発。ジャー・ジャーが指揮側に加えられる演出と組み合わさる。
国葬パレードの無台詞カット(『シスの復讐』ラスト近く):暗殺されたパドメ・アミダラのナブー国葬に、ガンガン族代表として隊列に並ぶ数秒の無言ショット。平和の宝珠を掲げた指導者との対比演出。
06制作背景

ボス・ナスの声・モーションキャプチャは、英国の舞台・テレビ・映画俳優ブライアン・ブレッスド(Brian Blessed/1936年10月9日英国ヨークシャー州メックスバラ出身)が担当した。BBCドラマ『Z-CARS』のパーシー・ウィリアム・ジョーンズ巡査役でテレビデビュー後、マイク・ホッジス監督『フラッシュ・ゴードン』(1980年)のヴァルタン王子役、ケネス・ブラナー監督『ヘンリー五世』(1989年)のエクセター公爵役、同監督『ハムレット』(1996年)の亡霊役、ディズニー長編アニメ『ターザン』(1999年)のカーチャク役など、半世紀以上のキャリアを持つ大ベテランである。大柄で野太い声を活かした族長・父親像を持ち芸とし、ボス・ナスの威厳と、追放処分を即決する厳格さから同盟承認へ至るキャラクターアークは、ブレッスドの俳優としての個性と直結している。
監督・脚本・原案はジョージ・ルーカス(George Lucas)。同作は1977年『新たなる希望』以来22年ぶりの実写新作かつルーカスの監督復帰作として製作され、製作をリック・マッカラム、配給を20世紀フォックスが担当した。米国では1999年5月19日、日本では同年7月10日に公開され、全世界興行収入は約10.27億ドル(2012年3D再公開を含む)に達した。一方でジャー・ジャー・ビンクス周辺の造形やコメディ演出は賛否が分かれ、ボス・ナスを含むガンガン族描写も議論の的となった。
ボス・ナス本人とオトー・ガンガ議場の場面は、ILM(Industrial Light & Magic)がCGアニメーションとブレッスドのモーション・キャプチャ・音声収録を組み合わせて構築した。ヴィジュアル・エフェクト・スーパーバイザーはジョン・ノル(John Knoll/Adobe Photoshopの共同開発者としても知られる)、撮影監督はデビッド・タッタソール、編集はベン・バートとポール・マーティン・スミスが担当した。クリーチャー・デザインはテリル・ウィットラッチやイアン・マッケイグを含むコンセプト・チームが手がけ、身分階層を視覚的に示す長い耳冠(haillu)が造形された。
音楽はジョン・ウィリアムズ(John Williams)が作曲した。ボス・ナスが平和の宝珠を掲げるフィナーレの楽曲『Augie's Great Municipal Band』は、メインテーマと『Duel of the Fates』モチーフを祝祭的に変奏する構成で、サウンドトラック盤の最終トラック(13曲目)に収録された。公開当時は独特のガンガン語やコメディ演出への評価が分かれたが、デイヴ・フィローニ監修のアニメシリーズ『クローン・ウォーズ』以降はガンガン族の文化的位置付けの再評価が進み、惑星ナブーの二文化共存というテーマとしてボス・ナスの役回りも見直されている。
07評価・考察

ボス・ナスは、惑星ナブーにおける『地下のガンガン族/地上の人類側ナブー王国』という二文化分離構造を体現する指導者として位置付けられる。前半では『よそ者を追放する厳格な族長』として分離を強調し、終盤では『惑星規模の危機に和解を承認する指導者』へと役回りを転じる。この構造的造形により、プリクエル三部作が描く『銀河共和国の崩壊と二文化の対立』というテーマを、惑星単位の縮図として担う。
クライマックスで掲げる『平和の宝珠』の場面は、『新たなる希望』ラストの『ヤヴィン勲章授与式』と並ぶ、公の戦勝儀礼で物語を締めくくる数少ない演出として位置付けられる。祝祭的なフィナーレ・スコアと共に描かれるこの『純然たる勝利と和解の終幕』は、後年のディズニー期作品ではほぼ用いられなくなった古典的演出の最終例の一つとも評される。
ボス・ナスの劇中描写は、長年ファン・批評双方で議論されてきたガンガン族描写の中核的キャラクターとして位置付けられる。公開当時はコメディ演出やガンガン語への評価が大きく分かれたが、『クローン・ウォーズ』以降はガンガン族の文化的位置付けの再評価が進み、惑星ナブーの二文化共存というテーマ表現としてボス・ナスの役回りも再評価の対象になっている。
08トリビア
- 本名は拡張正史で『ルゴール・ナス(Rugor Nass)』と記載される。劇中で呼ばれる『ボス・ナス』は、族長称号『Boss』と本名『Nass』を組み合わせた通称で、役職名は『Rep Boss(代表ボス)』にあたる。
- 指導者層を示す太く長い耳冠(haillu)が造形上の特徴で、ジャー・ジャー・ビンクスの細く短い耳冠と対比される。議場後方の評議員も同様の耳冠を持ち、身分階層をワンカットで視覚化する演出になっている。
- 統治する水中都市オトー・ガンガは、惑星ナブー湖底の洞窟群にバブル状のフォース・フィールド技術で築かれた球状建造物群の都市で、水中・水上・地上のスケールを一作品内で連結して描いた作例として知られる。
- ボス・ナスが話すガンガン語(Gungan Basic)は英語ベースのピジン語的造語で、劇中では『Yousa guds in nuten』等の台詞を発する。ルーカス、アーメッド・ベスト、ブレッスドらの協力で構築され、様式美のため発声・抑揚を誇張した口調で語る設計である。
- 本人の登場は『ファントム・メナス』と『シスの復讐』の二作品に限定される。ガンガン族自体は『クローン・ウォーズ』でジャー・ジャー・ビンクスを中心に再登場するが、ボス・ナス本人の実写以降の出番はない。
09よくある質問
『スター・ウォーズ/エピソード1 ファントム・メナス』(米国1999年5月19日/日本同年7月10日公開)に主要キャラクターとして登場する。加えて『エピソード3 シスの復讐』のラスト近くの国葬パレードに無台詞の短いカットで再登場する。シークエル三部作やDisney+配信実写ドラマ群には登場しない。
英国の舞台・テレビ・映画俳優ブライアン・ブレッスド(Brian Blessed)が担当した。『フラッシュ・ゴードン』のヴァルタン王子役や『ターザン』のカーチャク役など、野太い声を活かした族長・父親像で世界的に知られる。
ボス・ナスはジャー・ジャー・ビンクスを水中都市オトー・ガンガから追放した族長で、当初は厄介者として冷遇する。しかし終盤、ジャー・ジャーがクワイ=ガン・ジンとパドメ・アミダラを引き合わせた功で、『ブラッシュ・ジェネラル』の階級を与えて指揮側に加え、関係を取り戻す。
オトラ・ガンガン種族(Otolla Gungan)の男性で、ジャー・ジャー・ビンクスと同じガンガン族である。両生類的な大柄の体格と長く垂れ下がる耳冠が特徴で、指導者層を示すためジャー・ジャーより太く長い耳冠に造形されている。
ナブー戦勝パレードで女王パドメ・アミダラから『平和の宝珠』を受け取り頭上に掲げる場面は、長年不信の続いた地下のガンガン族と地上のナブー王国の和解を惑星規模で宣言する演出である。プリクエルが描く二文化対立のテーマを、ナブー単位の縮図として成立させる祝祭的フィナーレに位置付けられる。
10出典
- StarWars.com 公式: The Phantom Menace 映画紹介
- StarWars.com 公式: Revenge of the Sith 映画紹介
- Wookieepedia: Rugor Nass (Boss Nass)
- Wookieepedia: Otolla Gungan
- Wookieepedia: Gungan High Council
- Wookieepedia: Otoh Gunga
- IMDb: Brian Blessed フィルモグラフィ
- IMDb: Star Wars: Episode I - The Phantom Menace (1999)
- IMDb: John Knoll フィルモグラフィ
- IMDb: John Williams フィルモグラフィ
- Wookieepedia: Battle of Naboo