少年アナキン・スカイウォーカーとの出会いから、銀河を蝕む陰謀の始まりを描くプリクエル三部作の第1作。
ルーカス自身が16年ぶりにメガホンを取ったプリクエル三部作の第1作。上映時間136分。
旧三部作の約32年前。共和国と元老院、ジェダイ全盛の時代に潜む陰謀の端緒と、奴隷の少年アナキンの発見を描く。
ポッドレースとダース・モール戦は高評価。一方ジャー・ジャー・ビンクスや政治劇の比重には批判もあり、評価が大きく割れた作品。
オープニング・クロール全文、全編のあらすじ、登場要素、制作、特別篇の差分、舞台裏まで網羅。クワイ=ガンの最期等のネタバレあり。
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概要
『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(Star Wars: Episode I – The Phantom Menace)は、ジョージ・ルーカスが監督・脚本を務め、1999年5月19日に米国で公開されたスペースオペラ映画である。ルーカスが『新たなる希望』以来16年ぶりに自ら監督した、プリクエル(前日譚)三部作の第1作にあたる。
物語は旧三部作のおよそ32年前。銀河共和国と元老院が健在で、ジェダイ・オーダーが平和の守護者として全盛を誇る時代を舞台に、惑星ナブーの通商封鎖をめぐる事件を入口として、後に銀河を覆う陰謀の端緒が描かれる。そしてジェダイのクワイ=ガン・ジンとオビ=ワン・ケノービが、砂漠の惑星タトゥイーンで奴隷の少年アナキン・スカイウォーカー——後のダース・ベイダー——と出会う。
公開は社会現象的な注目を集めたが、評価は大きく割れた。ポッドレースやダース・モールとのライトセーバー戦は高く評価される一方、ジャー・ジャー・ビンクスの描写や通商・政治劇の比重、子役を中心に据えた語り口には批判も多かった。賛否を含めて、シリーズの拡張と映像技術の転換点となった作品である。
本記事は結末を含む全編の内容に踏み込む。物語の重大な驚きを保ちたい場合は、まず本編を鑑賞してから読むことを勧める。
- 原題
- Star Wars: Episode I – The Phantom Menace
- 監督・脚本
- ジョージ・ルーカス
- 製作
- リック・マッカラム
- 音楽
- ジョン・ウィリアムズ
- 米国公開
- 1999年5月19日
- 上映時間
- 136分
- ジャンル
- スペースオペラ、SF、冒険、ファンタジー
オープニング・クロール
本作のクロールは、銀河規模の戦争ではなく、辺境惑星をめぐる通商紛争という地味な火種から始まる。その小さな対立の裏に大きな陰謀が潜むという構図が、副題『見えざる脅威』に対応している。
エピソード1/ファントム・メナス(見えざる脅威)
銀河共和国に不穏の影が差していた。
辺境の小さな惑星ナブーへの課税問題が紛糾し、強欲な通商連合は通商航路の争いを終わらせるべく、致死性の戦艦の大軍でこの惑星を封鎖した。
共和国議会が果てしない議論に明け暮れるなか、最高議長は事態の秘密裏の解決を願い、二人のジェダイ・ナイト——フォースの守護者——を派遣した……。
あらすじ
以下は結末までを含む全編のあらすじである。物語はナブー封鎖、タトゥイーンでのアナキンとの出会い、コルサントの政治、そしてナブーの戦いという流れで進む。
ナブー封鎖と脱出
ジェダイ・マスターのクワイ=ガン・ジンと、その弟子オビ=ワン・ケノービは、最高議長の密命を帯び、通商連合によるナブー封鎖を調停するため連合の戦艦へ派遣される。だが交渉の席は最初から罠であり、連合総督ヌート・ガンレイは、立体通信でのみ姿を見せる謎の人物ダース・シディアスの指示で、二人のジェダイの暗殺と惑星ナブーへの全面侵攻を進めていた。毒ガスとデストロイヤー・ドロイドの襲撃を切り抜けた二人は、侵攻部隊を乗せた揚陸艦に紛れて地表へ降りる。
ナブーの森で、二人は追放された不器用な水棲種族グンガンのジャー・ジャー・ビンクスを偶然救い、彼の案内で水中のグンガンの都へ至る。グンガンの長から借り受けた潜水艇で湖底のトンネルを抜け(巨大魚に襲われる難所を切り抜け)、侵攻されたナブーの王都シードへ向かう。
二人は占領下の王宮から若き女王パドメ・アミダラと侍女・護衛団を救出し、連合の封鎖網を強行突破して脱出する。しかし離脱の際に宇宙船のハイパードライブが損傷し、共和国の法も連合の支配も及ばない辺境の砂漠惑星タトゥイーンへ、修理部品を求めて不時着せざるを得なくなる。
タトゥイーンと少年アナキン
クワイ=ガンはパドメ(侍女に変装している)とジャー・ジャー、R2-D2を伴い、宇宙港町モス・エスパで部品を探す。共和国の通貨が通用しない辺境で資金繰りに窮した一行は、ジャンク屋ワトーの店で、母シミとともに奴隷として暮らす少年アナキン・スカイウォーカーと出会う。
アナキンは並外れた操縦と工作の才を持ち、自作のポッドレーサーやプロトコル・ドロイド(C-3PO)を組み上げているほどだった。クワイ=ガンは少年に異常なほど高いフォースの素質を感じ取り、父を持たぬ出生を知って、彼こそフォースに均衡をもたらす「選ばれし者」ではないかと考える。彼の血中ミディ=クロリアン値はジェダイの記録を超えていた。
資金のない一行は、アナキンの提案に乗る。少年が命がけのポッドレース「ブーンタ・イヴ・クラシック」に出場し、クワイ=ガンがワトーと賭けを交わす——勝てば部品とアナキンの自由が手に入る、という賭けである。砂漠の難コースと妨害をくぐり抜けてアナキンはレースを制し、自由の身となるが、賭けの対象から外れた母シミは奴隷のまま惑星に残る。別れを惜しむアナキンを、クワイ=ガンはジェダイとして育てるべく連れて発つ。その直後、シディアスが放った刺客がタトゥイーンに到達し、出発するクワイ=ガンへ襲いかかる。
ブーンタ・イヴのポッドレース
アナキンの自由と部品を懸けたポッドレースは、本作屈指の見せ場である。前夜、クワイ=ガンはアナキンの血を分析させ、ミディ=クロリアン値が記録的に高いことを知る。レース当日、巨大な観客とともにジャバ・ザ・ハットが開始の合図を出し、人間には反応速度が不可能とされる超高速のレースが始まる。
アナキンは強豪セブルバの妨害でエンジンを止められ最後尾へ沈むが、機転で再始動し、砂の峡谷、サンドピープルの狙撃、機体トラブルを次々にくぐり抜けて追い上げる。最終ラップでセブルバ機を出し抜き、アナキンは劇的に優勝する。クワイ=ガンは賭けに勝ってハイパードライブの部品を獲得し、さらにワトーとの第二の賭けでアナキンの身柄を解放させる。喜びも束の間、賭けの対象に含められなかった母シミは奴隷のまま残され、母子は涙の別れをする。
ダース・モールと元老院
タトゥイーンを発つ間際、クワイ=ガンは両刃のライトセーバーを操る赤黒い肌の戦士に襲撃される。これがシスの暗黒卿の弟子ダース・モールであり、千年絶えたはずのシスが密かに復活していたことを示す重大な事実だった。ジェダイ評議会はこの報せに動揺する。
舞台は共和国の首都、都市惑星コルサントへ移る。クワイ=ガンはジェダイ評議会にシスの刺客の出現を報告するが、千年絶えたはずのシスの復活は容易には信じられない。一方パドメは元老院で封鎖の不正を訴えるが、官僚機構と汚職は議論を膠着させ動かない。ナブー選出のパルパティーン議員は、現職議長は無力だとパドメに囁き、不信任動議を促す。パドメがそれを提出した結果、同情票を集めたパルパティーン自身が次期最高議長の有力候補へと押し上げられていく。表の善意と正当な手続きの裏で、見えざる脅威が着実に権力の階段を上る——という劇的アイロニーが鮮明になる。
ジェダイ評議会はアナキンをフォースで試すが、修行を始めるには年齢が高すぎること、そして少年が母との別離ゆえに抱える強い恐れを見て取り、その恐れが怒りや憎しみ、ひいてはダークサイドへ通じることを危ぶんで、訓練を認めない。それでもクワイ=ガンは、自らの責任においてアナキンを弟子にすると評議会の前で宣言する。
ナブーの戦いとクワイ=ガンの最期
コルサントの膠着に見切りをつけたパドメは、ナブーへ戻って自力で祖国を解放する決断を下す。彼女は女王として正体を明かしてグンガンの長ボス・ナスに頭を下げ、両種族のわだかまりを越えた共闘を取りつける。作戦は四つの戦線で同時に進む。グンガンの大軍が平原で連合のドロイド軍をおびき出して足止めし、その隙にパドメ率いる部隊が王宮へ突入して連合総督ガンレイを捕らえ、宇宙ではナブーのパイロット隊が軌道上の制御艦を攻める。複数の戦線が連動して一つの勝利へ収束するこの構成は、以後のシリーズの定型となる。
その裏で、クワイ=ガンとオビ=ワンは、宮殿の発電施設でダース・モールと壮絶なライトセーバー戦を繰り広げる。三人が炉のシャフトに沿った狭い通路と明滅するレーザー隔壁の間を移動する殺陣は、シリーズのアクション表現を刷新した名場面である。隔壁に分断され単身モールと対峙したクワイ=ガンは、隙を突かれて胴を貫かれ、致命傷を負う。隔壁が開くと同時に飛び込んだオビ=ワンは、一度はモールにシャフトへ蹴り落とされかけるが、フォースで跳躍して師のライトセーバーを引き寄せ、無防備になったモールを両断して谷へ落とす。瀕死のクワイ=ガンは、駆け寄ったオビ=ワンに、アナキンを必ず訓練し選ばれし者として育てるよう遺言し、息を引き取る。
戦いののち、ジェダイ評議会はオビ=ワンを正騎士と認め、彼の願いを容れてアナキンを彼の弟子とすることを許す。ヨーダは、復活したシスへの拭えない不安を口にする。クワイ=ガンは盛大に火葬され、勝利を祝う祝祭が開かれるが、群衆の中に佇むパルパティーンの不敵な視線が、勝利の影に潜む本当の脅威を観客に告げて物語は閉じる。
登場要素
本作に登場・言及される主な要素を分類して示す。固有名詞はシリーズ理解の手がかりだが、初見で暗記する必要はない。
キャラクター
- クワイ=ガン・ジン
- オビ=ワン・ケノービ
- アナキン・スカイウォーカー
- パドメ・アミダラ
- パルパティーン議員/シディアス
- ダース・モール
- ヨーダ
- メイス・ウィンドゥ
- ジャー・ジャー・ビンクス
- シミ・スカイウォーカー
- ワトー
- ヌート・ガンレイ
- シオ・ビブル
- パナカ隊長
- キ=アディ=ムンディ
- ボス・ナス
- C-3PO(製作中)
- R2-D2
種族
- 人間
- グンガン
- トゥイレック
- ニモーディアン
- ハット(ジャバ)
- トイダリアン(ワトー)
- ヨーダの種族
- セレアン
- 各種エイリアン
ドロイド
- R2-D2
- C-3PO(自作中)
- バトル・ドロイド
- デストロイヤー・ドロイド(ドロイデカ)
- ピット・ドロイド
- プローブ・ドロイド
クリーチャー
- オパッチ(巨大魚)
- サンドー・アクア・モンスター
- イオピー
- エオポー
- タトゥイーンの生物
場所
- ナブー(シード、グンガンの都)
- タトゥイーン(モス・エスパ)
- コルサント(元老院、ジェダイ聖堂)
- 通商連合の戦艦
- ナブーの平原
組織・称号
- 銀河共和国
- 銀河元老院
- ジェダイ・オーダー/評議会
- シス
- 通商連合
- ナブー王室
- グンガン軍
乗り物・宇宙船
- ナブー・ロイヤル・スターシップ
- ナブー・スターファイター(N-1)
- ポッドレーサー
- シス・インフィルトレイター
- 通商連合の制御艦
- MTT/AAT(連合の戦車)
- バンサ
テクノロジー・武器
- ライトセーバー
- 両刃ライトセーバー
- ブラスター
- ディフレクター・シールド
- ハイパードライブ
- ポッドレース機関
- 通信妨害
フォースと概念
- フォース
- ライトサイド/ダークサイド
- ジェダイ
- シス(二人の掟)
- 選ばれし者
- ミディ=クロリアン
- フォースのバランス
- ナブーの戦い
主要登場人物
本作は、後のサーガを動かす人物たちの出発点を提示する。アナキン、オビ=ワン、パルパティーンの三者の関係が、ここから長い悲劇へと伸びていく。
アナキン・スカイウォーカー(ジェイク・ロイド)
タトゥイーンで母とともに奴隷として生きる少年。並外れた操縦と工作の才、そして異常に高いフォースの素質を持ち、クワイ=ガンに「選ばれし者」と目される。
母との別れの不安と、自由への憧れを抱えたこの純真な少年が、後にダース・ベイダーへと転落する——という前提を観客が知っているがゆえに、本作のアナキンには静かな悲劇性が漂う。彼の出発点を描くことが、本作のサーガ上の最大の意義である。
クワイ=ガン・ジンとオビ=ワン・ケノービ(リーアム・ニーソン/ユアン・マクレガー)
クワイ=ガンは、評議会の方針より自らの直感とフォースの導きを重んじる異端のジェダイ・マスター。アナキンの素質を見抜き、規律を押し切って彼の道を開くが、ダース・モールに敗れて命を落とす。
その弟子オビ=ワンは、本作で正騎士となり、師の遺志を継いでアナキンの師となる。後の三部作で重要な役割を担う若き日のオビ=ワンの出発点が、ここで描かれる。
パルパティーンとダース・モール(イアン・マクダーミド/レイ・パーク)
ナブー選出の温厚な議員パルパティーンは、封鎖事件を巧みに利用して最高議長へと上り詰める。その正体はシスの暗黒卿シディアスであり、本作の副題が指す「見えざる脅威」とは彼のことにほかならない。
その弟子ダース・モールは、両刃のライトセーバーを操る寡黙な戦士で、千年絶えたはずのシスの復活を体現する。台詞は少ないが、強烈な造形とアクションでシリーズ屈指の人気悪役となった。
パドメ・アミダラ(ナタリー・ポートマン)
若くしてナブーの女王を務める聡明な指導者。封鎖の不正を元老院に訴え、自らグンガンとの和解を取りつけて祖国を解放へ導く。後にアナキンの伴侶となり、サーガの悲劇の中心に立つ人物の出発点が、本作で描かれる。
舞台と用語
舞台は、緑豊かなナブー、無法の砂漠タトゥイーン、官僚機構の中枢コルサントという三つの世界に分かれる。自然・辺境・政治という対比が、平和の時代の表層と、その下で進む陰謀という二層構造を空間で表現する。
用語面では、フォース、シス(師弟二人のみという掟)、選ばれし者、フォースのバランスが鍵となる。本作で言及される「ミディ=クロリアン」は、フォース感応を数値で示す概念としてシリーズに導入され、神秘の説明をめぐって賛否を呼んだ。固有名詞は暗記より物語の流れで把握するほうが自然である。
制作
本作はシリーズの16年ぶりの新作であり、デジタル映像技術の大規模導入という映画史的な転換点でもあった。以下、主要な経緯を整理する。
企画と脚本
ジョージ・ルーカスは、ベイダー=アナキンの転落を描く前日譚を構想していたが、技術が追いつくのを待って長く着手を見送っていた。デジタル特撮の成熟を見て自ら脚本・監督を引き受け、奴隷の少年が選ばれし者として見出される出発点として本作を設計した。
政治的陰謀(封鎖・元老院・議長への昇進)と、少年の冒険を並走させる構成は、共和国がいかにして内側から崩れていくかという三部作全体の主題の布石である。
キャスティング
クワイ=ガンにリーアム・ニーソン、若きオビ=ワンにユアン・マクレガー、パドメにナタリー・ポートマン、少年アナキンにジェイク・ロイドが起用された。パルパティーン/シディアスは『ジェダイの帰還』で皇帝を演じたイアン・マクダーミドが続投し、ダース・モールの身体を武術家のレイ・パークが演じた。ヨーダは引き続きフランク・オズが担当し、本作ではパペットが用いられた(後の改訂でデジタルに置換)。
撮影とロケ地
本編撮影は主に英国のリーヴズデン・スタジオで行われ、タトゥイーンの砂漠は再びチュニジアでロケされた。ナブーの宮殿の壮麗な内装にはイタリアのカゼルタ宮殿が用いられ、自然と建築の荘厳さが惑星ナブーの世界観を支えている。
本作は実景セットを撮影したうえで、背景・群衆・クリーチャー・乗り物などの膨大な要素をデジタルで重ねる手法を全面採用した。撮影現場ではブルー/グリーンバックと簡素なセットが多用され、完成画面の多くがポストプロダクションで構築される、当時としては先進的かつ実験的な制作様式が採られた。
視覚効果
本作はILMによるCGとデジタル合成を大規模に導入し、完全CGの主要キャラクター(ジャー・ジャー・ビンクス)、群衆、都市、ポッドレースなどを実写と融合させた。砂漠やイタリア・チュニジアなどの実景に膨大なデジタル要素を重ねる手法は、以後の大作映画の制作様式を大きく変えた。
ポッドレースの疾走感とダース・モール戦のスピーディな殺陣は、技術と演出が噛み合った見せ場として高く評価された。一方、CGへの全面依存は、後年「実在感の希薄さ」をめぐる議論も生んだ。
音楽
ジョン・ウィリアムズはロンドン交響楽団とともに新たな主題を書き、クライマックスの三つ巴のライトセーバー戦に合唱付きの楽曲「運命の闘い(Duel of the Fates)」を投入した。サンスクリット由来の歌詞を聖歌のように歌い上げるこの曲は、プリクエルを象徴する楽曲となり、シリーズ音楽の表現の幅を大きく広げた。
また本作のスコアには、後の三部作でアナキンの転落とともに変奏される旋律の萌芽が、おだやかな少年のテーマとして埋め込まれている。音楽が物語の運命を先取りして語るという、シリーズ伝統の手法がここでも貫かれている。
編集とポストプロダクション
膨大なデジタル要素を実写に統合する本作のポストプロダクションは長期に及び、編集段階でも構成の調整が重ねられた。複数の戦線が並行するクライマックスは、ポッドレース同様、観客が状況を見失わないリズムへと編集で整えられている。
実景・パペット・CGを混在させる制作様式は、以後のハリウッド大作の標準的なワークフローへとつながり、本作はその転換点の一つとして映画制作史にも記録される。
公開と興行
1999年5月19日に公開された本作は、16年ぶりの新作という社会現象的な期待を背負い、世界的な記録的ヒットとなった。全世界興行収入は再公開分を含めおよそ10億ドル規模に達し、当時の興行記録を塗り替える商業的成功を収めた。
一方、批評と長年のファンの評価は大きく分かれた。ポッドレースとダース・モール戦、ウィリアムズの音楽は広く称賛されたが、ジャー・ジャー・ビンクスの描写、子役を中心に据えた語り口、通商・政治劇の比重、ミディ=クロリアンの導入には強い批判も寄せられた。商業的成功と評価の分裂が同居する、議論の多い作品である。
特別篇とバージョン違い
本作は比較的新しい作品だが、後年のソフト化・配信で細部が調整されてきた。代表的なのは、パペットで演じられたヨーダが、プリクエル他作との統一のためフル3DCGのモデルへ置き換えられた点である。
そのほか配信・ソフト版で色調や一部ショットが調整されており、初公開版とは細部が異なる。どの版を観ているかによって、ヨーダの見え方などが変わる点に留意したい。
批評・評価・文化的影響
本作は、商業的には記録的成功でありながら、シリーズ評価史において最も議論を呼んだ作品の一つである。期待値の高さと作品の方向性のずれは、後年「過剰な期待が作品評価をゆがめる」事例としてしばしば参照される。
一方、ダース・モール、ポッドレース、「運命の闘い」など本作発の要素は強い人気を獲得し、後の派生作品で繰り返し回収・再評価された。デジタル制作の本格導入という点でも、映画産業の様式を変えた里程標である。時間の経過とともに、当時批判された世代が懐古的に再評価する動きも見られる。
舞台裏とトリビア
ルーカスにとって本作は『ジェダイの帰還』以来16年ぶりの監督作だった。完全CGの主要キャラクターを実写と並べて主役級に据えた試みは当時前例が乏しく、賛否両論を呼んだ。
ダース・モールの両刃ライトセーバーは公開前に厳重に秘匿され、公開時の驚きを最大化する宣伝戦略が採られた。武術家レイ・パークの身体能力を活かした殺陣は、シリーズのアクション表現を刷新した。子役のアナキンと後のベイダー像との落差は、シリーズの長期的な悲劇性を逆説的に強める結果となった。
テーマと解釈
中心にあるのは「見えざる脅威」である。表向きは通商紛争と一惑星の解放の物語だが、その裏で本当に進行しているのは、民主的手続きを利用した一人の人物の権力掌握である。観客だけがその正体を知っているという劇的アイロニーが、サーガ全体の悲劇を準備する。
もう一つの軸は、希望と危うさを同時に宿す「選ばれし者」の出発である。純真な少年アナキンの発見は救いの物語であると同時に、後の転落の種でもある。母との別れ、恐れ、規律と直感の対立といったモチーフが、ここで静かに蒔かれる。平和と繁栄の絶頂にこそ崩壊の根が芽生えるという主題が、空間と政治の描写を通して提示される。
見る順番(補助)
本作はサーガの時系列上の出発点だが、初見では旧三部作(エピソード4〜6)を公開順で観たあとにプリクエル(1〜3)へ進む方が、ベイダーの正体やパルパティーンの陰謀の「驚き」を損なわずに楽しめる。
時系列順(1→2→3→4…)で観ると、アナキンの転落を順を追って体験できる利点がある一方、旧三部作の最大の仕掛けが先に割れてしまう。初見か復習かで最適な順番が変わる作品である。
- 本作共和国全盛期。アナキン少年との出会いとシスの復活
- 次作『クローンの攻撃』でクローン大戦が勃発
- 以降『シスの復讐』を経てアナキンがベイダーへ転落、旧三部作へ
よくある質問(補助)
「あらすじだけ知りたい」場合は、ナブー封鎖、タトゥイーンでのアナキン発見、ナブーの戦いとクワイ=ガンの最期という流れを押さえれば十分である。「結末・ネタバレを知りたい」場合は、パルパティーン=シスであること、ダース・モールの撃破、オビ=ワンがアナキンの師となるまでが核となる。
「評価を知りたい」場合は、商業的成功と評価の分裂、そして時を経た再評価の動きを分けて理解するとよい。「見る順番」は初見なら旧三部作の後に観るのが安定する。
参考資料・脚注
作品名、キャラクター名、画像、各種権利はそれぞれの権利者に帰属する。公開年・興行・制作・配信状況・外部評価は変動しうるため、視聴前に公式および各データベースの最新表示を確認されたい。本記事の本文は各種公開情報をもとに、Anna Movies用の独自の日本語文章として構成している。
参照・確認先
公式画像、作品名、キャラクター名、権利は各権利者に帰属する。公開年、配信状況、外部評価は変わる場合があるため、視聴前に公式・配信元・作品データベースで確認したい。