初めて見るなら最も入りやすい、反乱軍と帝国の冒険の始まり。

基本データ 1977年・ジョージ・ルーカス監督

ルーカスフィルム製作/20世紀フォックス配給。製作費およそ1100万ドル、上映時間121分。スター・ウォーズ・サーガすべての出発点となった一本。

物語上の位置 銀河帝国成立から約19年後

公開順では最初の作品だが、物語の時系列では旧共和国が倒れた約19年後。直前は『ローグ・ワン』、直後は『帝国の逆襲』。

受賞・評価 アカデミー賞6部門+特別業績賞

編集・美術・衣装・録音・作曲・視覚効果を受賞。米国国立フィルム登録簿にも初年度(1989年)で選定された映画史の里程標。

この記事の範囲 結末まで含む完全解説

オープニング・クロール全文、全編のあらすじ、登場要素一覧、制作、公開と興行、特別篇の差分、舞台裏まで網羅。結末のネタバレを含む。

目次 38項目 開く

概要

『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(Star Wars: Episode IV – A New Hope)は、ジョージ・ルーカスが監督・脚本を務め、1977年5月25日に米国で公開されたアメリカのスペースオペラ映画である。公開当時の題名は単に『スター・ウォーズ』であり、「エピソード4/新たなる希望」という副題が画面上に加えられたのは1981年の再公開からだった。それでも本作は、後に九部作へと拡張されるスカイウォーカー・サーガの起点であり、シリーズ全体の文法を決定づけた作品として知られている。

舞台は銀河帝国が圧政を敷く時代である。反乱同盟軍は帝国の巨大兵器デス・スターの設計図を奪取するが、設計図を運ぶレイア・オーガナはダース・ベイダーに捕らえられる寸前、ドロイドのR2-D2に設計図と救援メッセージを託す。R2-D2と相棒のC-3POは砂漠の惑星タトゥイーンへ落ち、農場で生きる青年ルーク・スカイウォーカーと、隠遁していた老ジェダイのオビ=ワン・ケノービを巻き込みながら、物語は銀河規模の戦いへと広がっていく。

本作は単なる空想科学の見世物ではなく、神話の構造を宇宙へ持ち込んだ点で画期的だった。辺境で燻る若者が導き手と出会い、故郷を失い、ならず者を仲間にし、囚われの姫を救い、巨大な要塞へ最後の一撃を放つ——という古典的な英雄譚の骨格を、当時最先端の特撮と音楽で語り直したのである。商業的にも記録的な成功を収め、映画産業のブロックバスター戦略、関連商品展開、視覚効果と音響技術の進歩、フランチャイズという発想そのものを大きく変えた。

本記事は結末を含む全編の内容に踏み込む。未視聴で物語の驚きを保ちたい場合は、まず本編を鑑賞してから読むことを勧める。

原題
Star Wars: Episode IV – A New Hope
公開時題名
Star Wars(1977年)/1981年再公開で副題追加
監督・脚本
ジョージ・ルーカス
製作
ゲイリー・カーツ
音楽
ジョン・ウィリアムズ(演奏:ロンドン交響楽団)
撮影
ギルバート・テイラー
視覚効果
インダストリアル・ライト&マジック
製作会社/配給
ルーカスフィルム/20世紀フォックス
米国公開
1977年5月25日
日本公開
1978年6月(東宝東和)
上映時間
121分
製作費
約1100万ドル
ジャンル
スペースオペラ、SF、冒険、ファンタジー

オープニング・クロール

映画は漆黒の宇宙に浮かぶ一文「遠い昔、はるか彼方の銀河系で——」から始まり、スター・ウォーズのロゴが遠ざかったあと、黄色い文字が画面奥へ流れていく有名なオープニング・クロールへと続く。1977年の公開時にはエピソード番号が存在せず、以下の副題と前文が画面に加えられたのは1981年の再公開以降である。クロールは世界史を逐一説明せず、観客が物語に入るために最低限必要な状況だけを提示する。

エピソード4/新たなる希望

内乱の時代——。

反乱軍の宇宙船が、隠された基地から出撃し、邪悪な銀河帝国に対して最初の勝利を収めた。

戦闘のさなか、反乱軍のスパイたちは帝国の究極兵器〈デス・スター〉の極秘設計図を盗み出すことに成功した。それは惑星をまるごと破壊できるほどの力を秘めた、装甲に覆われた宇宙ステーションである。

帝国の不吉な追っ手から逃れながら、レイア姫は自らの宇宙船で母星へと急ぐ。盗み出された設計図を携えて——それは民を救い、銀河に自由を取り戻すことのできる鍵だった……。

あらすじ

以下は結末までを含む全編のあらすじである。物語は大きく、設計図をめぐる逃走、ルークの旅立ち、デス・スター潜入とレイア救出、そしてヤヴィンの戦いという四つの流れで進む。

タンティヴIVの拿捕

物語は前置きなく宇宙空間から始まる。惑星タトゥイーンの上空を、反乱同盟軍の小型外交船タンティヴIV(CR90コルベット、別名ブロッケード・ランナー)が逃走しており、その背後から画面を埋め尽くすほど巨大なインペリアル・スター・デストロイヤーが追いすがる。両船の砲火が交わされたのち、スター・デストロイヤーはトラクター・ビームでタンティヴIVを捕らえて格納庫へ引き込む。閉ざされたエアロックがブラスターで焼き破られ、白い装甲のストームトルーパーが雪崩れ込む。反乱軍兵士たちは応戦するものの次々に制圧され、廊下は瞬く間に帝国の支配下に置かれる。

混乱する船内を、対照的な二体のドロイドがさまよっている。神経質に状況を実況する金色のプロトコル・ドロイドC-3POと、寡黙で行動的な青白いアストロメク・ドロイドR2-D2である。C-3POが「もう終わりだ」と嘆くなか、R2-D2は重要な任務を帯びている。反乱軍の指導者であり、オルデランの王女でもあり、帝国元老院議員でもあるレイア・オーガナが、奪取したデス・スターの完全な技術設計図をR2-D2のメモリーに収め、さらにオビ=ワン・ケノービへ宛てたホログラムの救援メッセージを記録させたのだ。

任務を受けたR2-D2は、不安がるC-3POを伴って脱出ポッドへ乗り込み、船を離れて眼下のタトゥイーンへ降下する。砲手は逃げるポッドに照準を合わせるが、生体反応がないことを確認した士官が「撃つな、生命体は乗っていない」と発砲を止める。この一つの判断ミスが、設計図を帝国の手から逃すことになる。

やがて黒い甲冑と機械的な呼吸音をまとった長身の人物——ダース・ベイダーが、制圧された廊下を歩いて現れる。反乱軍士官を片手で締め上げて情報を問い質し、答えないと見るや投げ捨てる冷酷さが、台詞を多く費やさずに彼の危険性を示す。捕らえられたレイアは「これは外交使節船です。私はオルデランへ向かう途中の元老院議員です」と毅然と抗議するが、ベイダーは彼女を反乱軍のスパイと断じ、奪われた設計図の在処を吐かせるべく拘束する。物語が始まってわずか数分で、観客は善悪の構図と、帝国が振るう圧倒的な暴力を理解させられる。

タトゥイーンのドロイドたち

灼熱の砂漠に不時着したC-3POとR2-D2は、進むべき方向をめぐって早々に仲違いする。R2-D2は「秘密の任務がある」と頑なに別の方角へ進み、呆れたC-3POは反対側の砂丘へ歩き去る。世界規模の戦争の発端が、口論する二体のドロイドの当てのない放浪へと一気にスケールダウンする——この緩急の切り替えが、巨大な世界観を持つ本作の入口を親しみやすいものにしている。

砂上を漂うC-3POは、遠くに動く装軌車を見つけて救助を求める。一方の峡谷を進むR2-D2は、廃品を漁って暮らす砂漠の小柄な種族ジャワに気絶させられ、捕獲される。ジャワたちはドロイドやスクラップを回収し、修理して売り歩く商人で、巨大な装軌車サンドクローラーの内部には捕らえた多数のドロイドが並んでいる。さまよっていたC-3POも同じく回収され、二体は再会する。

サンドクローラーは水分農場を営むラーズ家へ商売に立ち寄る。農場主オーウェン・ラーズと、その甥である青年ルーク・スカイウォーカーがドロイドを物色し、C-3POと赤いアストロメクのR5-D4を選ぶ。ところがR5-D4は起動直後に部品(モチベーター)が破裂して故障する。C-3POの口添えもあり、ルークは代わりに隣にいたR2-D2を購入する。こうして二体のドロイドはラーズ農場へ引き取られる。

ルークがR2-D2の煤を落として整備していると、機体内部に記録されたレイアのメッセージの断片が偶然投影される。「助けて、オビ=ワン・ケノービ。あなただけが頼りなのです」という短い言葉を繰り返す美しい王女の立体映像に、ルークは強く心を奪われる。R2-D2は、メッセージの相手が近隣に住む隠者ベン・ケノービのことではないかと示唆するが、夕食の席でルークが叔父オーウェンに尋ねると、話ははぐらかされ、父について深入りするなと釘を刺される。砂漠の双子の夕日を見つめるルークの姿は、ここではないどこかへ行きたいという閉塞感を静かに語る。その夜、R2-D2はメッセージの主を探して農場を抜け出してしまう。

ベン・ケノービとフォース

翌朝、R2-D2の出奔に気づいたルークは、C-3POを連れてランドスピーダーで砂漠へ追跡に出る。広大なジャンドランドの荒野でようやくR2-D2を見つけ出すが、その直後、砂漠の先住民タスケン・レイダー(サンド・ピープル)の襲撃を受け、ルークは殴り倒されて気を失う。

意識を取り戻したルークの前に現れたのは、隠者として暮らす老人ベン・ケノービだった。ベンはクレイト・ドラゴンの鳴き真似でタスケンを追い払い、ルークを救い出していた。ベンは自らがオビ=ワン・ケノービであり、かつてジェダイの騎士であったことを明かす。隠れ家でオビ=ワンは、ルークの父も自分と並ぶ優れたパイロットでありジェダイだったと語り、銀河を保ってきたジェダイの存在と、彼らを狩り滅ぼした帝国の影について話す。

オビ=ワンはルークの父の形見だというライトセーバーを手渡し、その光刃を初めて見せる。彼は、ルークの父はダース・ベイダーという名のかつての教え子に裏切られ殺された——と説明する(この語りは後のプリクエル三部作で覆され、本作の解釈に新たな重みを与えることになる)。続いてオビ=ワンは、生命が生み出し銀河を結びつける神秘的なエネルギー、フォースについてルークに語る。

R2-D2が記録していたレイアの完全なメッセージが再生される。そこには、かつてクローン大戦をともに戦った旧友オビ=ワンへの呼びかけと、R2-D2に収めた設計図をオルデランの父ベイル・オーガナのもとへ届けてほしいという切実な依頼が示されていた。オビ=ワンはルークに、ともにオルデランへ来てジェダイの道を学ぶよう促す。だが農場の責任を背負うルークは「帝国と戦うなんて無理だ」と一度はこれを断り、せめて宇宙港のある街まで送ると申し出る。

故郷の喪失

宇宙港へ向かう途中、彼らは焼き払われたジャワのサンドクローラーの残骸に行き当たる。周囲にはジャワの死体が散乱し、襲撃はタスケン・レイダーの仕業に見せかけられているが、オビ=ワンは弾痕や足跡の正確さからこれをストームトルーパーの偽装だと見抜く。帝国がドロイドの行方を追い、サンドクローラーの売却記録からドロイドを買った農場へたどり着くと悟った瞬間、ルークは血の気を失い、叔父夫婦の身を案じてランドスピーダーで全速力で帰路につく。

オビ=ワンの制止も聞かず農場へ駆け戻ったルークが目にしたのは、焼け落ちた我が家と、無惨に殺された叔父オーウェンと叔母ベルーの亡骸だった。育ててくれた家族も、帰る場所も、留まる理由も、すべてを一度に失う。打ちのめされて立ち尽くしたルークは、オビ=ワンのもとへ戻り、「一緒にオルデランへ行く。ジェダイになりたい」と告げる。憧れていた旅立ちは、もはや夢の実現ではなく、取り返しのつかない喪失を背負った選択へと変わっている。明るい冒険活劇の表層に深い痛みを潜ませる構成が、本作の物語を単純な娯楽以上のものにしている。

モス・アイズリーとミレニアム・ファルコン

一行は無法者の巣窟として知られる宇宙港の街モス・アイズリーへ入る。検問所でストームトルーパーがドロイドの素性を質すと、オビ=ワンはフォースによる暗示——ジェダイ・マインド・トリック——で「このドロイドたちはお前が探しているものではない」と兵士の認識を操り、難なく通過する。フォースの実用的な力を観客が初めて目にする場面である。

彼らは雑多な異星人と無法者がひしめく薄暗い酒場(モス・アイズリー・カンティーナ)へ入り、輸送手段を探す。軽快なバンドの演奏が流れるなか、ルークが粗暴な前科者たちに絡まれると、オビ=ワンが一閃のライトセーバーで相手の腕を切り落とし、老人の正体と実力を一瞬で示す。彼らはウーキーのチューバッカに導かれ、その相棒である密輸業者ハン・ソロと交渉する。

ハンは自船ミレニアム・ファルコンを「ケッセル・ランを12パーセクで駆け抜けた船だ」と誇り、帝国の妨害をかいくぐってオルデランまで運ぶ高額の報酬を提示する。先払いを渋るルークに対し、オビ=ワンは資金の工面を約束し、取引が成立する。一方、酒場を出ようとしたハンは、ジャバ・ザ・ハットの差し向けた賞金稼ぎの一人グリードに銃を突きつけられ、テーブルの下から先んじて発砲し、グリードを始末する(誰が先に撃ったかという描写は、後の改訂版で繰り返し編集が変えられた有名な論点である)。

資金を得るためにルークがランドスピーダーを売り払う一方、帝国軍はドロイドの足取りを発着場(ドッキング・ベイ94)まで追ってくる。ストームトルーパーとの銃撃戦のなか、ハンとチューバッカの操るファルコンは強引に発進し、追撃するスター・デストロイヤーとTIEファイターを振り切ってハイパースペースへ跳躍する。船内では、ルークがオビ=ワンの指導でフォースを感じる訓練(遠隔球レメディエーターを使った目隠し稽古)を始め、師弟関係が形を取り始める。

オルデランの破壊

場面はデス・スターの内部へ移る。司令官グランド・モフ・ターキンを中心に帝国の高官たちが会議を開いており、ターキンは皇帝が帝国元老院を恒久的に解散させたことを告げ、これからは恐怖と力によって直接銀河を統べると宣言する。一人の将校がデス・スターの安全性を侮るベイダーを嘲ると、ベイダーはフォースで遠隔から首を絞めて黙らせ(「圧倒的な力に対する貴官の信仰心が足りないようだ」)、ターキンに制止される。帝国内部にも力学と緊張があることが示される。

ターキンは反乱軍の秘密基地の所在を吐かせるため、捕らえたレイアを兵器の試射に立ち会わせる。レイアは観念したふりをして、見せしめの標的に名前を出された辺境の惑星名を偽って告げる。しかしターキンは容赦せず、その場で彼女の故郷である平和な惑星オルデランへ照準を合わせ、デス・スターのスーパーレーザーを発射する。オルデランは閃光とともに完全に粉砕され、数十億の命が一瞬で消滅する。レイアは目の前で母星と同胞を失い、しかも告げた基地はそもそも偽りだった。

遥か遠方を航行するファルコンの船内で、オビ=ワンが突然胸を押さえ、苦しげに椅子へ崩れ落ちる。「フォースに大きな乱れを感じた……まるで無数の声が一斉に恐怖の悲鳴を上げ、突如かき消されたかのようだ。何か恐ろしいことが起きた」と彼は呟く。フォースという概念が、物語の出来事と感情のレベルで結びついた瞬間である。約束されたはずの目的地を知らぬまま、ファルコンはオルデランへと進んでいく。

デス・スターへの曳航と潜入

ファルコンがオルデランの座標へ到達すると、そこにあるはずの惑星はどこにもなく、無数の岩塊が漂う広大な破片帯が広がっているだけだった。ハンは航路計算の誤りを疑うが、オビ=ワンは「オルデランは破壊されたのだ」と静かに告げる。そこへ一機のTIEファイターが現れ、近くの小さな衛星のような物体へ向かう。それを追ううちに、彼らは目標が衛星ではなく完成間近の宇宙要塞デス・スターであることに気づくが、すでにトラクター・ビームに捕らえられており、振り切ることができないまま内部の格納庫へ曳き込まれてしまう。

拿捕を察知した一行は、ファルコンの船底に設けられた密輸用の隠し区画に身を潜め、乗り込んできた臨検の兵士たちをやり過ごす。隙を見て、ルークとハンは見張りのストームトルーパー二名を倒してその装甲を奪い、変装する。チューバッカを「捕虜」に見せかける偽装で管制ブースを制圧し、R2-D2をデス・スターのコンピュータ網へ接続する。

R2-D2が引き出した情報から、トラクター・ビームの動力源が七つの端子に分かれていること、そしてレイア・オーガナがこの基地の監房区画21に囚われ、処刑が予定されていることが判明する。オビ=ワンは「私一人で動力を切りに行く。フォースが共にあらんことを」と告げ、単身でトラクター・ビームの停止に向かう。当初は脱出さえできれば良いと考えていたハンも、ルークが持ち出した王女の身代金という餌に釣られ、しぶしぶレイア救出作戦へ加わる。

レイア・オーガナ救出

ストームトルーパーに変装したルークとハン、捕虜役のチューバッカは監房区画へ潜入する。詰所の士官に怪しまれて銃撃戦となり、ルークは独房を開けて寝台に横たわるレイアを見つける。レイアは突然現れた背の低いストームトルーパー(ヘルメットを脱いだルーク)を一瞥し、「君、ちょっと背が低くないかい、ストームトルーパーにしては」と切り返す。救われる立場で登場しながら即座に状況を読み、皮肉を返す——受け身のヒロインではなく、反乱軍を率いる指導者としての強さがこの一言に凝縮されている。

監房区画は警報で封鎖され、増援に包囲されて袋小路に追い込まれる。ハンが「もっとマシな救出計画はないのか」と毒づくと、レイアは自らハンのブラスターを奪い、壁のメンテナンス用シャフトを撃ち抜いて「ゴミ捨て場へ飛び込みな、操縦士さん」と叫び、一行をダクトへ追い込む。四人はゴミ圧縮機の汚水へ落下する。

圧縮機の汚泥には触手を持つ生物ダイアノガが潜んでおり、ルークが水中へ引き込まれ、間一髪で逃れる。直後、ダイアノガが消えると同時に左右の壁が稼働し始め、彼らを生きたまま押し潰そうとする。ルークはコムリンクでC-3POへ連絡を試みるが、当のC-3POとR2-D2は別室で兵士の捜索をやり過ごしている最中で応答できない。壁が肉薄するなか、ようやく連絡を受けたR2-D2がデス・スターの制御系へ割り込み、区画21の全圧縮機を緊急停止させる。歓喜の絶叫を上げる一行——緊張と笑いを高速で往復するこの場面は、完璧でない即席チームが失敗と機転で生き延びる本作の魅力を象徴している。

オビ=ワン・ケノービの最期

ゴミ圧縮機を脱した一行は廊下を駆け、混乱に乗じて格納庫のファルコンを目指す。途中、ルークとレイアは追撃を振り切るために深い縦坑をグラップリングフックで跨ぎ越え、ハンとチューバッカは別ルートで多数のストームトルーパーを引きつける。

一方、トラクター・ビームの動力を無事に切ったオビ=ワンは、格納庫近くの通路でダース・ベイダーと対峙する。「またお前と会うとはな、オビ=ワン。最後に会ったとき私はまだ教えを受ける身だった。だが今は私が達人だ」とベイダーが告げ、二人のライトセーバーが交わる。後年の作品のような高速の剣戟ではなく、かつての師弟の間に長い因縁が横たわっていることを感じさせる、緩やかで重い立ち合いである。

格納庫へ走り込んだルークたちがその対決を目撃する。オビ=ワンはルークと視線を交わすと、戦いを止めて静かに剣を立て、ベイダーの一閃に自ら身を委ねる。斬られたオビ=ワンの肉体は衣だけを残して忽然と消失する。彼は死んだのではなく、フォースと一体化し、肉体を超えてルークを導く存在になったのである。「ベン!」と叫ぶルークの耳に、「逃げろ、ルーク。逃げるんだ」というオビ=ワンの声が直接届く。

悲嘆をこらえてファルコンで離脱した一行を、四機のTIEファイターが追撃する。ルークとハンは砲座に就き、迫る敵機を一機ずつ撃ち落とす。辛くも全機を退け、彼らは追跡を振り切ったと安堵する。だが帝国は意図的に彼らを逃がしていた。ファルコンには発信機が仕掛けられ、ターキンとベイダーは反乱軍の秘密基地へ案内させる算段だったのである。レイアもそれを察しているが、設計図を届けることを優先する。

ヤヴィン4と最後の作戦

ファルコンは赤い巨大ガス惑星ヤヴィンの第4衛星——密林に覆われた古代遺跡に築かれた反乱同盟軍の秘密基地——へ到着する。R2-D2が運び続けたデス・スターの設計図が直ちに解析され、致命的な設計上の弱点が見いだされる。要塞表面に開いた幅わずか2メートルの熱排気口へプロトン魚雷を撃ち込めば、シャフトを通じて主炉心で連鎖反応が起こり、デス・スター全体を内部から崩壊させられるというのだ。だが排気口は防御の薄い長大な谷(トレンチ)の奥にあり、対空砲火を浴びながら超低空で突き抜け、コンピュータでも至難の精密射撃を成功させねばならない。ドドンナ将軍が「不可能に近いが、これしかない」と作戦を説明する。

報酬を受け取ったハンは、追われている借金を返すと言ってチューバッカとともに基地を去ろうとする。「お前なら残ってくれると思った」と落胆するルークに、ハンは「死んでも金は使えない。お前も馬鹿な真似はよせ」と背を向ける。ルークは反乱軍のレッド中隊にレッド・ファイブとして加わり、出撃前の整列で、タトゥイーン時代の幼なじみで先に反乱軍へ加わっていたビッグズ・ダークライターと再会し、健闘を誓い合う。デス・スターはヤヴィンを回り込み、衛星の基地を射程に収めるまで残り三十分と迫っていた。

ヤヴィンの戦い

三十機ほどのXウィングとYウィングが出撃し、ヤヴィンの戦いが始まる。基地の管制室では、迫るデス・スターまでの距離がカウントされ、緊張が高まる。Yウィングのゴールド中隊がまず谷へ突入するが、両壁の対空砲と、ベイダー自ら率いるTIEファイター部隊に背後から狩られ、リーダーを含めて全滅する。続くレッド中隊の攻撃も命中せず、魚雷は排気口の表面で爆発するだけで損害を与えられない。パイロットは一人また一人と撃墜され、戦力は急速に削られていく。

ついにルークの番が来る。僚機のウェッジは被弾して離脱を命じられ、ビッグズもベイダーに撃墜され、トレンチを進むのはルークとR2-D2だけとなる。背後にはベイダー機を含む三機のTIEが迫る。照準コンピュータに頼ろうとするルークの耳に、亡きオビ=ワンの声が静かに響く。「フォースを使え、ルーク。私を信じろ」。ルークは照準装置のスイッチを切り、機械ではなくフォースへの信頼に身を委ねる。管制室は計器が外れたことに動揺するが、ルークは落ち着いている。

ベイダーがルークを照準に捉え、「フォースは……この者と共にある」と呟いて引き金にかけたまさにその瞬間、戦線を離れたはずのハン・ソロのファルコンが太陽を背に急襲する。僚機を撃ち抜かれて制御を失ったベイダーのTIEアドバンストは、回転しながらトレンチの外へ弾き飛ばされ、宇宙の彼方へ消えていく(死亡せず、続編へ生き延びる)。「やったぞ坊主! さあ家に帰してやる!」とハンが叫ぶ。好機を得たルークは、オビ=ワンの声に導かれるまま二発のプロトン魚雷を熱排気口へ正確に撃ち込む。デス・スターが基地を射程へ収める寸前、要塞は内部から白く膨れ上がり、巨大な爆発とともに完全に消滅する。生還した戦闘機がヤヴィン4へ帰投し、ルークとレイアは抱き合って勝利を分かち合う。

表彰式

ヤヴィン4の古代寺院の大広間で、勝利を讃える盛大な表彰式が執り行われる。整列した反乱軍将兵が見守るなか、白い式服のレイアが待つ祭壇へ、ルークとハン、そしてチューバッカが並んで進む。レイアはルークとハンの首に英雄の勲章を掛け、二人は破壊からの生還を喜ぶ群衆へ向き直る。磨き上げられて修復されたC-3POと、新しい部品で輝くR2-D2も傍らに並ぶ。ジョン・ウィリアムズの高揚する音楽とともに、画面は反乱軍の希望に満ちた表情で締めくくられる。

ただし、勝利は完結ではない。破壊されたのはデス・スターという一つの兵器であり、銀河帝国そのものは健在で、ダース・ベイダーも生き延びている。邦題『新たなる希望』が指すのは、すべてが解決したという意味ではなく、それまで絶望的だった反乱軍に、初めて未来へ進めるだけの希望が生まれた——という意味である。本作は一本の冒険として満足のいく結末を迎えながら、来たるべき帝国の反撃と、ルーク・スカイウォーカーの修行の物語へ続く扉を、確かに開いたまま幕を閉じる。

登場要素

本作に登場・言及される主な要素を分類して示す。固有名詞はシリーズ全体を理解する手がかりになるが、初見では暗記する必要はない。

キャラクター

  • ルーク・スカイウォーカー
  • レイア・オーガナ
  • ハン・ソロ
  • オビ=ワン(ベン)・ケノービ
  • ダース・ベイダー
  • グランド・モフ・ターキン
  • チューバッカ
  • C-3PO
  • R2-D2
  • オーウェン・ラーズ
  • ベルー・ラーズ
  • グリード
  • ジャバ・ザ・ハット(特別篇で復元)
  • ビッグズ・ダークライター
  • ウェッジ・アンティリーズ
  • ガーヴェン・ドレイス(レッド・リーダー)
  • ジェク・ポーキンス(レッド・シックス)
  • ジャン・ドドンナ将軍
  • レイモス/反乱軍管制要員
  • モティ提督
  • コーナン・アンティリーズ艦長
  • ベイル・オーガナ(言及)
  • アナキン・スカイウォーカー(言及)

種族

  • 人間
  • ウーキー
  • ジャワ
  • タスケン・レイダー(サンド・ピープル)
  • ロディアン(グリード)
  • ハット(ジャバ)
  • トゥイレック
  • アクアリッシュ
  • デヴァロニアン
  • 各種カンティーナのエイリアン

ドロイド

  • R2-D2
  • C-3PO
  • R5-D4
  • GNK(ガンク)パワー・ドロイド
  • トレッドウェル・ドロイド
  • マウス・ドロイド
  • IT-O 尋問ドロイド
  • CZ/LIN系ジャワの在庫ドロイド

クリーチャー

  • バンサ
  • デューバック
  • ロント
  • ダイアノガ(ゴミ圧縮機の生物)
  • スカリエ
  • クレイト・ドラゴン(叫び声のみ)
  • ワンプ・ラット(台詞で言及)

場所

  • タトゥイーン
  • ラーズ水分農場
  • モス・アイズリー
  • モス・アイズリー・カンティーナ
  • ジャンドランド・ウェイスト
  • オルデラン(破壊)
  • デス・スター
  • ヤヴィン
  • ヤヴィン第4衛星(反乱軍基地)
  • タンティヴIV船内
  • 宇宙

組織・称号

  • 銀河帝国
  • 反乱同盟軍
  • 帝国宇宙艦隊
  • 帝国元老院(解散)
  • ジェダイ・オーダー(壊滅、過去)
  • グランド・モフ
  • レッド中隊
  • ゴールド中隊
  • ストームトルーパー隊
  • オルデラン王家

乗り物・宇宙船

  • ミレニアム・ファルコン(YT-1300)
  • タンティヴIV(CR90コルベット)
  • インペリアル・スター・デストロイヤー
  • デス・スター
  • Xウィング・スターファイター
  • Yウィング・スターファイター
  • TIEファイター
  • ベイダーのTIEアドバンストx1
  • ランドスピーダー
  • サンドクローラー
  • 脱出ポッド
  • バンサ(騎乗)

テクノロジー・武器

  • ライトセーバー
  • ブラスター
  • DL-44ブラスター(ハン)
  • デス・スターのスーパーレーザー
  • トラクター・ビーム
  • ハイパードライブ
  • プロトン魚雷
  • 熱排気口
  • ホロ通信
  • ターボレーザー
  • 尋問用薬剤
  • フォース・フィールド

フォースと概念

  • フォース
  • フォースのライトサイド/ダークサイド
  • ジェダイの騎士
  • ジェダイ・マインド・トリック
  • フォースとの一体化
  • クローン大戦(言及)
  • ケッセル・ラン(言及)
  • ヤヴィンの戦い
  • オルデランの破壊

主要登場人物

本作の人物関係はシンプルだが、シリーズ全体を支える強度を持つ。誰が何を求め、誰の選択で物語が動いたのかを軸に見ると、続編以降の関係も入りやすくなる。

ルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)

タトゥイーンの水分農場で育った青年。物語の開始時点では英雄ではなく、退屈な日常に苛立ち、友人たちが先に外の世界へ出ていくことに焦りを感じている。特別な血筋の人物というより「ここではないどこかへ行きたい」一人の若者として描かれるため、観客は自然に感情を重ねられる。

叔父夫婦を失い、オビ=ワンと出会い、フォースを知ることで、ルークは遠い銀河の歴史へ巻き込まれていく。終盤、修行を積んだ完成形のジェダイではないにもかかわらず、照準コンピュータを切ってフォースを信じるという選択を下す。未熟なまま一歩を踏み出すその姿こそ、『新たなる希望』という題名にふさわしい。

ルーク・スカイウォーカーの人物ページ 次作:帝国の逆襲

レイア・オーガナ(キャリー・フィッシャー)

オルデランの王女であり、反乱同盟軍の指導者。冒頭から自分の意思で動く人物として登場し、設計図をR2-D2へ託し、ベイダーやターキンの尋問にも屈しない。救出される側として現れながら、その瞬間から状況を読み、ルークやハンに指示を出して脱出経路を切り開く。

故郷オルデランの破壊は彼女個人にとって計り知れない喪失だが、レイアはそれでも反乱軍の責任者として立ち続ける。彼女を単なるヒロインとして見ると、本作の政治的な重みを見落とすことになる。

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ハン・ソロとチューバッカ(ハリソン・フォード/ピーター・メイヒュー)

ハン・ソロはミレニアム・ファルコンを駆る密輸業者で、報酬と生き残りを優先する現実主義者。反乱軍の理念に最初から共感しているわけではない。だからこそ、クライマックスで戦線へ引き返し仲間を選ぶ決断が、単なる援軍以上の意味を持つ。

相棒のウーキー、チューバッカは人間の言葉を話さないが、ハンとの信頼関係だけで性格が伝わる。スター・ウォーズの多様な種族描写を、説明ではなく関係性として見せる存在である。古びてクセのあるファルコンもまた、二人の生活と誇りを背負ったもう一つの「居場所」として描かれる。

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オビ=ワン・ケノービ(アレック・ギネス)

タトゥイーンに隠遁していた老ジェダイ。ルークに父の形見のライトセーバーとフォースの存在を授ける導き手であり、世界の見方を変える人物である。すべてを説明しきらず「この銀河にはまだ知らない歴史がある」と感じさせる語り口が、物語に余白を生む。

ベイダーとの対決で彼は自ら斬られ、肉体を残して消える。これは単なる敗北ではなく、フォースと一体化して別の形でルークを導く存在になることを意味する。終盤の「フォースを使え」という声が、その継承を静かに証明する。

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ダース・ベイダーとグランド・モフ・ターキン(D・プラウズ/J・E・ジョーンズ/ピーター・カッシング)

ダース・ベイダーは黒い装甲と呼吸音で登場する帝国の執行者。デイヴィッド・プラウズが身体を演じ、ジェームズ・アール・ジョーンズが声を吹き込むことで、軍人でありながらフォースの神秘を背負った異質な存在として強烈な印象を残す。本作時点では正体の多くが謎のまま置かれている。

グランド・モフ・ターキンはデス・スターの指揮官であり、惑星破壊を戦術ではなく恐怖政治の道具として用いる冷徹な人物。ベイダーですら一定の敬意を払う相手として描かれ、官僚的支配と神話的な闇という帝国の二重の恐ろしさを体現している。

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舞台と用語

タトゥイーンは双子の太陽を持つ辺境の砂漠惑星で、ルークが広い銀河へ憧れる理由そのものとして機能する。ジャワ、タスケン・レイダー、水分農場、無法地帯モス・アイズリーといった要素が、帝国の政治より先に「そこで生きる厳しさ」を観客へ伝える。

デス・スターは惑星を一撃で破壊できる宇宙要塞で、帝国の支配思想を可視化した存在である。対するヤヴィン第4衛星の反乱軍基地は、密林に隠れた小さな希望の拠点として対比的に描かれる。フォースとジェダイは本作では全貌が明かされず、信頼と直感を通じて示される神秘として留め置かれている。この「説明しすぎない余白」が、初見の観客を細かい理屈ではなく人物の選択へ集中させる。

用語:フォース 用語:デス・スター 用語:タトゥイーン 用語:オルデラン 用語:ヤヴィン4 用語:ジェダイ・マインド・トリック 用語:ミレニアム・ファルコン 用語:ヤヴィンの戦い

制作

本作の制作は、後の映画産業を変えるほどの困難と挑戦の連続だった。以下、企画から音楽までの主要な経緯を整理する。

企画と脚本の変遷

ジョージ・ルーカスは『THX 1138』に続く『アメリカン・グラフィティ』の成功で発言力を得たのち、子ども時代に親しんだ連続活劇『フラッシュ・ゴードン』を下敷きにした宇宙冒険映画を構想した。だが既存キャラクターの版権交渉が不調に終わったため、彼は誰のものでもない神話的な宇宙活劇を一から創造する道を選ぶ。1973年には「The Star Wars」と題した粗筋(トリートメント)が書かれ、そこから脚本の改稿が始まった。

脚本は数年にわたり何度も全面的に書き直され、主人公の名前や設定、勢力の構図は草稿ごとに大きく入れ替わった。物語の骨格には、黒澤明『隠し砦の三悪人』の「無力な脇役の視点から事件を語る」構造(二体のドロイドへ受け継がれた)や、神話学者ジョーゼフ・キャンベルが体系化した英雄神話の旅(モノミス)が影響を与えている。連続活劇、西部劇、第二次大戦の空戦映画、時代劇、剣戟、宗教的モチーフといった既知の型を未知の宇宙へ移植することで、ルーカスは子どもにも大人にも届く普遍性を狙った。

20世紀フォックスのアラン・ラッド・ジュニアが企画を強く後押しし、社内の懐疑論を押し切って製作が承認された。当初予算は逼迫し、最終的な製作費はおよそ1100万ドルにふくらんだ。ルーカスは監督報酬の上乗せを求める代わりに、続編の製作権と関連商品(マーチャンダイジング)の権利を自社(ルーカスフィルム)に確保する契約を結んだ。当時は軽視されたこの判断が、後にスター・ウォーズを一作品の枠を超えた巨大フランチャイズへ育てる決定的な礎となる。

キャスティング

主要キャストの選考は、友人の監督ブライアン・デ・パルマと合同で行った公開オーディションを通じて進められた。無名に近い若手から、マーク・ハミルがルーク、キャリー・フィッシャーがレイアに選ばれる。ハリソン・フォードは当時、俳優業が振るわず大工仕事で生計を補っていたが、オーディションの相手役として他の候補者にセリフを読み聞かせるうちにハン・ソロ役を射止めた。台詞回しの自然さを重んじたフォードは、書きにくい説明的なセリフをルーカスに突き返したという逸話も知られる。

重みを与えるベテラン勢として、オビ=ワン・ケノービ役に名優アレック・ギネスが起用された。ギネスは出演条件として興行収入の歩合契約を結び、世界的大ヒットの結果として生涯にわたる多額の報酬を得た。グランド・モフ・ターキンには、ホラー映画で知られる名優ピーター・カッシングが配された(足に合わない長靴を嫌い、多くの場面を足元が映らない範囲でスリッパのまま演じたという)。

ダース・ベイダーは、長身で体格の良いデイヴィッド・プラウズがスーツの中で身体を演じ、威圧的な声は別途ジェームズ・アール・ジョーンズが吹き込んだ(ジョーンズは公開当初クレジットを辞退した)。仮面の造形と、身体・声・剣技を複数の人物が分担する構造が、ベイダーという存在を一人の俳優を超えた象徴へ押し上げている。C-3POをアンソニー・ダニエルズ、R2-D2を小柄な俳優ケニー・ベイカー、チューバッカを長身のピーター・メイヒューが演じ、いずれも続く三部作以降も同じ役を担い続けた。

撮影とロケ地

本編撮影は1976年、チュニジアのロケから始まった。砂漠の惑星タトゥイーンの風景はトズール、ネフタ、ジェルバ、マトマタなど各地で撮られ、ラーズ家の地下住居には実在の洞窟式ホテルが使われた。撮影初日から数十年ぶりという季節外れの豪雨や砂嵐に見舞われ、ロボットや小道具が故障し、スケジュールは初日から遅延した。砂漠の追加撮影には米国カリフォルニアのデスヴァレーも使われている。

ヤヴィン第4衛星の密林の遺跡はグアテマラのティカル国立公園で、室内シーンの大半は英国ロンドン近郊のEMIエルストリー撮影所のサウンドステージで撮影された。広大なセット、不調が続くロボット、限られた予算と日程のなかで、現場は常に逼迫していた。仕上がりつつあるラッシュ(編集前の素材)に確信を持てなかった20世紀フォックスの首脳陣は一時、製作の打ち切りすら検討したと伝えられる。それでもルーカスとスタッフ・キャストは撮影を完遂し、長く困難なポストプロダクションへ移行した。

視覚効果とILM

ルーカスが思い描いた高速で動き回る宇宙戦を実現できる技術は、当時どこにも存在しなかった。そこで彼は、若い技術者やアーティストを集めて専用の視覚効果スタジオ、インダストリアル・ライト&マジック(ILM)を倉庫の一角に立ち上げた。ジョン・ダイクストラを中心に開発されたコンピュータ制御のモーションコントロール・カメラ「ダイクストラフレックス」は、同一のカメラの動きを正確に再現して何度も撮影できるため、別撮りした多数のミニチュアや背景を違和感なく合成することを可能にした。

宇宙船や要塞は精巧なミニチュア、宇宙や地形の広がりはマット・ペインティング、ライトセーバーの発光する光刃はフィルムにコマ単位で描き込むロートスコープで作られた。当初ILMは予算を浪費して成果が出ず危機に陥ったが、後半に体制を立て直して映像を完成させた。完成までに長大なポストプロダクションを要したものの、ここで確立された手法と育った人材は、その後数十年にわたり映画産業全体の視覚効果を牽引し続けることになる(後のピクサーへ連なる系譜もこの源流から生まれた)。

音楽と音響

ルーカスは当初、既存のクラシック音源を流用する案を持っていたが、スティーヴン・スピルバーグの紹介でジョン・ウィリアムズと組み、フルオーケストラによる完全オリジナルの劇伴を採用した。演奏はロンドン交響楽団。ウィリアムズは人物や概念ごとに固有の旋律(ライトモティーフ)を割り当てるワーグナー的な手法を採り、メインタイトルの行進曲、フォースのテーマ、レイア姫のテーマなどが、台詞に頼らずに場面の意味と感情を観客へ手渡す。背景に流れるだけでなく、作品世界そのものを構築する音楽として、後の映画音楽の基準を塗り替えた。カンティーナで流れる軽妙な楽曲は、劇中の異星人バンドが演奏しているという設定で書き分けられている。

音響デザインも同じく革新的だった。サウンド・デザイナーのベン・バートは、世界の物音を素材に未知の音を作り上げた。ライトセーバーの唸りは映写機のモーター音とブラウン管テレビの干渉音を合成したもの、ダース・ベイダーの呼吸はスキューバ用呼吸器を録音したもの、ブラスターの発射音は張られた支線をハンマーで叩いた音、チューバッカの咆哮は熊などの動物の声を加工したものである。古い効果音ライブラリの悲鳴「ウィルヘルム・スクリーム」も劇中で使われ、以後シリーズや他作品の遊び心ある定番となった。これらの音はキャラクターや兵器の印象を台詞以上に決定づけ、その功績はアカデミー特別業績賞として評価された。

編集

最初の編集版はテンポが悪く、ルーカスが親しい映画作家仲間(スピルバーグやデ・パルマら)に見せた試写でも反応は芳しくなかったと伝えられる。そこからマーシャ・ルーカス、ポール・ハーシュ、リチャード・チュウら編集陣が映画を大胆に組み直し、語り口を引き締めた。

とくにクライマックスのヤヴィンの戦いは、第二次世界大戦の実際の空戦記録映画を参考フィルムとして用い、緊張と高揚が交互に来るリズムへ再構成された。デス・スター接近のカウントダウン、トレンチ突入、僚機の撃墜、ベイダーの追撃、フォースへの決断、ハンの帰還、命中という一連の流れが画面上で整理され、観客が状況を見失わない「見やすいクライマックス」に仕上げられている。編集が作品の成否を分けた好例として、しばしば映画の教材にも取り上げられる。

公開と興行

1977年5月25日、本作はわずか数十館という限定的な規模で公開された。フォックスは大ヒットを予期しておらず、配給規模も控えめだった。ところが封切り直後から熱狂的な口コミが広がり、映画館の周囲を取り巻く長蛇の列が連日報道される社会現象へと発展する。上映館は急速に拡大され、本作はその年の興行を席巻した。以後も1978年・1979年・1981年(このとき画面に「エピソード4/新たなる希望」の副題が加えられた)・1982年と劇場再公開を重ね、1997年には映像を改訂した特別篇として再び劇場にかけられた。

初公開と再公開を合わせた北米興行収入はおよそ3億ドル超、全世界では再公開分を含めておよそ7億7500万ドルに達した。チケット価格のインフレを調整した実質的な動員規模では、本作は今なお映画史上屈指の数字を保っている。

第50回アカデミー賞では、作品賞・監督賞(ジョージ・ルーカス)・脚本賞・助演男優賞(アレック・ギネス)を含む10部門にノミネートされた。受賞は、美術賞・衣装デザイン賞・録音賞・作曲賞(ジョン・ウィリアムズ)・編集賞・視覚効果賞の6部門に加え、ベン・バートの音響効果に対する特別業績賞。作品賞そのものはウディ・アレン監督『アニー・ホール』に譲ったが、技術系部門をほぼ独占したことが本作の革新性を物語る。

1989年、本作は米国議会図書館の国立フィルム登録簿の初年度(第1回)選定作品25本の一つに選ばれ、文化的・歴史的・芸術的に重要な映画として永久保存の対象となった。アメリカン・フィルム・インスティテュート(AFI)の映画史ランキングでも繰り返し上位に挙げられている。

特別篇とバージョン違い

本作は、再公開やソフト化のたびに映像へ手が加えられてきた、シリーズでも特にバージョン違いの多い映画である。1997年の特別篇(スペシャル・エディション)では、モス・アイズリーへCGの群衆や生物・デューバックが追加され、撮影当時に未完成でカットされていたハン・ソロとジャバ・ザ・ハットの対面シーンがCGのジャバとともに復元され、デス・スター攻防戦の映像が強化された。同時に、ハンとグリードの撃ち合いが再編集され、もとは一方的にハンが先に撃っていた描写が「グリードが先に撃つ/ほぼ同時」へ変更された。これは作品のテーマ(ハンというキャラクターの危うさ)に関わるとして、ファンの間で今も議論される有名な論点(いわゆる「ハンが先に撃った」問題)となった。

その後も改訂は続いた。2004年のDVD版ではさらに色調や細部が調整され、2011年のBlu-ray版ではオビ=ワンが発するクレイト・ドラゴンの鳴き真似などが差し替えられ、配信開始後にもグリードの台詞(「マクランキー」)が追加されるなど変更が重ねられている。撮影当時の劇場公開版(いわゆるオリジナル・トリロジー)を高画質の公式手段で観ることは難しく、ファンによる「非特別篇化(デスペシャライズド)」復元の試みも続いている。自分がどの版を観ているのかを意識すると、スター・ウォーズが半世紀にわたり更新され続けてきた「動く古典」であることが見えてくる。

批評・評価・文化的影響

公開当時、本作は映像・音響技術の革新性とともに、古典的でわかりやすい英雄譚を未知の世界で語り直した語り口が高く評価された。一方で、単純な勧善懲悪を「子ども向けの娯楽」と見なす批評や、物語の素朴さを物足りないとする声も当初は存在した。しかし時間の経過とともに評価は定まり、現在では映画史において最も影響力のある作品の一つとして広く認知されている。批評家・観客双方の評価で長く高位を保ち、各種の名作リストやランキングにも繰り返し選ばれている。

本作が産業に与えた影響は計り知れない。夏休みに大作を全国規模で公開し巨額を回収するブロックバスター戦略、玩具・書籍・ゲーム・アパレルなど関連商品でフランチャイズ全体を収益化するビジネスモデル、ILMを起点とする視覚効果産業とコンピュータ映像(後のピクサーへ連なる系譜)、ドルビーやTHXに象徴される劇場音響の高品質化——いずれも本作の成功が決定的な転機となった。物語面でも、神話的構造を持つ大型シリーズの量産という潮流を生んだ。スター・ウォーズという固有名詞は一映画の枠を超え、フォース、ダークサイド、ジェダイ、デス・スターといった語とともに、現代大衆文化の共通言語の一部となっている。

舞台裏とトリビア

1977年の公開時、画面に「エピソード4」の表記はなく、観客はこれを一本の独立した冒険映画『スター・ウォーズ』として受け取った。エピソード番号と「新たなる希望」の副題が画面に加わったのは、続編公開後の1981年再公開からである。冒頭の「遠い昔、はるか彼方の銀河系で……」という一文は、本作を歴史でも未来予測でもない「おとぎ話」として宣言する役割を持ち、シリーズの代名詞となった。

デス・スターの一場面で、扉をくぐるストームトルーパーが上枠に頭をぶつける小事故がそのまま使われており、後年シリーズ自身がパロディ化する有名な小ネタになっている。「嫌な予感がする(I have a bad feeling about this)」という台詞は本作以降ほぼ全てのスター・ウォーズ作品に登場する定番フレーズとなり、「フォースと共にあらんことを(May the Force be with you)」も現実世界の慣用句として定着した。

撮影と長期のポストプロダクションの重圧で、ルーカスは公開直前に胸の痛みを訴えて病院へ運ばれたと伝えられるほど消耗していた。彼は本作が当たる確信を持てず、同時期に公開されたスピルバーグ作品とヒットの行方を賭けた——という有名な逸話も残る(結果はルーカスの大勝だった)。報酬の一部と引き換えに確保した続編権・関連商品権が、後にスター・ウォーズ帝国とも呼ばれる巨大なビジネスの基盤となった。デザイン面では、ミレニアム・ファルコンの初期案が他のSF作品の宇宙船に似ていたため公開前に円盤型へ再設計され、不採用となった当初案がレイアの乗艦タンティヴIVへ転用されたという制作裏話も知られている。

テーマと解釈

中心にあるのは「希望はどこから生まれるのか」という問いである。反乱軍は弱く、帝国は巨大で、ルークはまだ何者でもない。それでも、設計図を守り抜くレイア、故郷を失って旅立つルーク、いったん背を向けながら戻ってくるハン、信じることを教えて自ら消えるオビ=ワンの選択が積み重なり、勝利の可能性が生まれる。希望は約束された運命ではなく、弱い者同士が下す小さな選択の総和として描かれる——これが題名『新たなる希望』の核である。

もう一つの軸は継承である。オビ=ワンが知るジェダイの時代を、ルークは直接には知らない。父の形見のライトセーバーと、語り継がれるフォースは、武器や能力である以上に、過去から未来へ手渡される記憶として機能する。オビ=ワンの死が終わりではなく継承の始まりであることが、終盤に響く彼の声によって証明される。

本作はまた、機械の照準コンピュータを切ってフォースを信じるルークの最後の選択を通じて、技術への過信と、直感・信頼・精神性の対比という主題を提示する。巨大な技術の極致であるデス・スターが、機械に頼らない一人の信念によって崩される構図は象徴的である。これらの主題はすべて、ジョーゼフ・キャンベルの言う英雄の旅——日常からの召命、師との出会い、試練、喪失、帰還——という普遍的な物語構造の上に置かれており、複雑な世界設定を観客に負担と感じさせない強度を生んでいる。汚れ・傷・使用感のある「使い込まれた宇宙(used universe)」の美術設計も、絵空事を現実として信じさせるこの作品の説得力を支えている。

見る順番(補助)

初見は本作から『帝国の逆襲』『ジェダイの帰還』へ進む公開順が最も分かりやすい。ルークと同じ目線で銀河を知ることができ、ベイダーやフォースの情報も本来の驚きに近い順で受け取れる。

時系列順で復習するなら『ローグ・ワン』の直後に本作を置くと、設計図がどれだけの犠牲で届いたかを踏まえて冒頭の見え方が変わる。プリクエル三部作を先に見ているとオビ=ワンとベイダーの対峙に別の重みが加わるが、初見では謎のまま残すほうが情報の出し方を楽しめる。

  1. 前史『シスの復讐』で共和国が倒れ、帝国とベイダーの時代が始まる
  2. 直前『ローグ・ワン』で反乱軍がデス・スター設計図を奪取する
  3. 本作設計図がルークたちへ渡り、ヤヴィンの戦いへ至る
  4. 次作『帝国の逆襲』で帝国の反撃とルークの修行が描かれる
ローグ・ワン エピソード5/帝国の逆襲 初心者向け見る順番

よくある質問(補助)

「あらすじだけ知りたい」場合は、設計図の逃走、ルークの旅立ち、レイア救出、ヤヴィンの戦いという四つの流れを押さえれば十分である。「結末・ネタバレを知りたい」場合は、オビ=ワンの犠牲、ハンの帰還、ルークがフォースを信じる選択までを見ると、本作がなぜ強いのかが伝わる。

「評価・感想を知りたい」場合は、古さと原型としての強さを分けて考えるとよい。最新作の映像密度を期待すると地味に感じるかもしれないが、世界観とキャラクターの入口としての完成度は極めて高い。「見る順番で迷う」場合は、本作から公開順で旧三部作へ進むのが最も安定する。時系列順は復習向きである。

参考資料・脚注

作品名、キャラクター名、画像、各種権利はそれぞれの権利者に帰属する。公開年・興行・制作・配信状況・外部評価は変動しうるため、視聴前に公式および各データベースの最新表示を確認されたい。本記事の本文は各種公開情報をもとに、Anna Movies用の独自の日本語文章として構成している。

  1. StarWars.com 公式作品ページ
  2. ルーカスフィルム公式
  3. Wookieepedia(日本語版)エピソード4/新たなる希望
  4. IMDb: Star Wars (1977) tt0076759
  5. Academy of Motion Picture Arts and Sciences(第50回アカデミー賞記録)
  6. Library of Congress National Film Registry

関連ページ

エピソード4 / 新たなる希望と関係の深い作品、人物、用語、見る順番を確認できる。

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参照・確認先

公式画像、作品名、キャラクター名、権利は各権利者に帰属する。公開年、配信状況、外部評価は変わる場合があるため、視聴前に公式・配信元・作品データベースで確認したい。

IMDb Disney+ StarWars.com公式 公式/外部情報 公式/外部情報 Lucasfilm公式 Wookieepedia参考 スター・ウォーズトップ スター・ウォーズ作品一覧