01来歴

クローン・ウォーズ初登場
クロスヘア(Crosshair/CT-9904)は『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』第7シーズン第1話『バッド・バッチ』で、クローン・フォース99の精密狙撃手として初登場する。同シーズン冒頭のアナクサス前哨基地奪還アークを通じて、キャプテン・レックスおよびアナキン・スカイウォーカー将軍指揮下の通常クローン部隊と協働し、行方不明のARC兵エコー救出作戦に同行する。本アークでは通常クローン兵と皮肉を交わしつつ、長距離狙撃で部隊を救う役回りを担う。
オーダー66との遭遇
スピンオフ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』第1シーズン第1話『エイフターマス』で、共和国から銀河帝国への政体転換と同時に発令されたオーダー66に立ち会う。バッド・バッチの大半はインヒビター・チップの変異により命令の影響を受けないが、クロスヘアのみチップが正常に反応し、惑星カラーでジェダイ・パダワン、キャレブ・ドゥーム(後のケイナン・ジャラス)追討の命令を実行しようとする。同話終盤では惑星カミーノのティポカ・シティに帰還するが、共和国崩壊により彼ら『欠陥クローン』の価値が急落し、ナラ・セ博士の監督下で評価対象に置かれる。
帝国残留とチップ増強
第1シーズン序盤を通じて、クロスヘアのインヒビター・チップは新生帝国軍の医療部隊によって増強処置を受け、バッド・バッチで唯一帝国軍に残留する道を選ぶ。隊長ハンターとレック、テック、エコーの4人がカミーノを離脱し、ナラ・セ博士から保護を託された少女クローン、オメガを連れて逃走するのに対し、クロスヘアは帝国エリート・スコード・トルーパー部隊の指揮を任される立場に置かれる。鎧は通常のフェイズII装甲から帝国初期の白と黒のエリート仕様へ塗装変更される。
旧部隊との決裂
第1シーズン中盤から終盤にかけて、クロスヘアは旧バッド・バッチ部隊と数度交戦する。第15話『リターン・トゥ・カミーノ』では自ら指揮する非クローンの新型ストームトルーパー部隊を旧部隊に投入するが、彼自身のチップは増強処置時点で既に除去されていたことが明かされ、帝国残留が強制ではなく自らの意思による選択であったことが確定する。最終話『カミ』ではティポカ・シティ崩壊とともにハンター側に救助されつつも、改めて帝国軍に残ることを選び、第1シーズンが閉じられる。
チップ除去と単独行動
第2シーズンでは、クロスヘアは帝国エリート・スコード・トルーパー部隊内で『単独行動するクローン』として描かれる。第3話『ザ・ソリタリー・クローン』がその位置付けの中心となる。同シーズン終盤ではナラ・セ博士の動向を追う中で帝国の機密施設タンティス山の存在に接近し、帝国軍幹部に反逆的な選択を取った結果として捕囚状態に置かれる。第2シーズン終盤で帝国側からの離脱方向へ物語が転換する。
オメガとの帝国施設脱出
第3シーズン第1話『コンファインド』から、クロスヘアは帝国の極秘クローン研究施設タンティス山に拘禁された状態で再登場する。同シーズン序盤にかけて、同じく拘禁されていたオメガとともに帝国施設からの脱出を図り、第1シーズン冒頭以来の対立関係が解消される基盤が描かれる。脱出後はバッド・バッチの隠れ家である惑星パブーに身を寄せ、ハンターやレック、オメガとの再合流を果たす。
バッド・バッチへの再帰属
第3シーズン中盤以降、クロスヘアは部隊への正式な再帰属を果たし、第1シーズン以来の対立関係を解消する。対タンティス山作戦の前線部隊員として旧部隊とともに作戦行動を取る役回りを担う。本シーズンでは射撃の手元の震え(タンティス山での囚虜体験の影響)を抱えつつ、ハンターとの信頼関係を回復していく。ロイス・ヘムロック博士が指揮する帝国のクローン強化計画に対する直接行動の主要メンバーの1人として位置付けられる。
タンティス山攻撃と生還
第3シーズン第15話『プラン99』で、クロスヘアはバッド・バッチ最後の作戦であるタンティス山攻撃に隊員として参加する。ロイス・ヘムロック博士の打倒と、オメガを含む拘禁クローン児童の解放を達成し、生存メンバー(ハンター、レック、オメガ、クロスヘア)の1人として描かれる。シリーズ完結後のエピローグでは、惑星パブーの海辺で、長じて反乱同盟軍に身を投じるオメガを見送る場面が描かれ、彼は精密狙撃手としての役回りを引退し平穏な日常を送る。
02能力・特徴

- 長距離精密狙撃:可変式の長銃身スナイパーライフルを主武装とし、帝国期のクローン部隊内で随一の精密射撃手として描かれる。遺伝的変異の核である鋭敏な視覚と空間把握を活かし、全編を通じて長距離狙撃で部隊の作戦進行を支援する役回りを一貫して担う。
- 近接戦闘・分割武装:スナイパーライフルを分割して2丁の小銃やピストルとして運用する独自スタイルを持つ。遠距離火器と近接の二丁拳銃モードを1門で賄う造形は、バッド・バッチ5名の中でクロスヘアに固有の特徴である。
- 戦術立案・暗殺任務:帝国エリート・スコード・トルーパー部隊の指揮官期には、暗殺や精密狙撃を要する特殊作戦の前線指揮官として描かれる。新型ストームトルーパー部隊を単独で指揮する場面がその能力の集約となる。
- クローン兵としての近接格闘:通常クローンと同等のARC兵相当の格闘能力に加え、部隊員としての連携戦術にも対応する。対タンティス山作戦では長距離狙撃のみならず近接掃討にも参加し、汎用戦闘員としても運用可能なことが示される。
- 心理的回復力と自己定義:オーダー66の影響を受けつつもチップ除去後に自己の選択を再構築する人物転換が独自の特性となる。『規律』『単独行動』『家族としての部隊への再帰属』という三段の自己定義を経て、部隊員として生還する。
- 射撃技術への身体的依存と回復:タンティス山での囚虜体験の影響で射撃の手元に震えが生じる描写があり、精密狙撃手としての自己同一性が主題化される。オメガとの関係再構築と部隊再帰属を経て、彼の射撃技術は本来の精度に戻る。
03関連人物

04登場・関連作品
05名場面

第7シーズン第1話の初登場。アナクサス前哨基地奪還アークで精密狙撃手として長距離狙撃で部隊を救い、可変式ライフルと分割運用ギミックが初めて描かれる。
第1シーズン第1話のオーダー66発令時、部隊4名がチップの変異で命令に従わない中、クロスヘアのみが反応しキャレブ・ドゥーム追討を実行しようとする。シリーズ全体の物語的起点。
第1シーズン第15話で新型ストームトルーパー部隊を旧部隊に投入し、彼のチップが増強処置時点で既に除去されていたことが明かされる。最終話で改めて帝国残留を選ぶ。
第2シーズン第12話『ザ・アウトポスト』で氷の惑星バーラベルをメイデンと行軍し、重傷のメイデンが帝国幹部の冷酷な扱いで死亡する。クロスヘアの帝国離脱決意の最大の転機。
シリーズ最終話でタンティス山攻撃に参加しヘムロック博士を打倒、クローン児童を解放する。エピローグでは惑星パブーの海辺でオメガを見送り、平穏な日常を送る。
06制作背景

クロスヘアの声を演じるのは米国の声優ディー・ブラッドリー・ベイカー(Dee Bradley Baker/1962年8月31日インディアナ州ブルーミントン出身)である。ベイカーは『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』(2008年〜2020年)以来、スター・ウォーズ作品のすべてのクローン役を一貫して兼任してきた。『バッド・バッチ』(2021年〜2024年)でもハンター、レック、テック、クロスヘア、エコーの部隊員5名を1人で演じ分けている。
クロスヘアの皮肉屋で挑発的な声質は、ベイカーのレンジの中でも識別性が高い造形として評価される。ファンの間では、バッド・バッチ部隊員5名を声だけで区別できることが評価の対象となっている。同時期の同シリーズ内では、キャプテン・レックス(CT-7567)やコマンダー・コーディ(CC-2224)などのクローン関連役も並行して同じベイカーが担当している。
敵対勢力の配役も実世界の話題となる。新生帝国軍の中枢人物ウィルハフ・タルキン提督の声は、『クローン・ウォーズ』以来のスティーヴン・スタントン(Stephen Stanton)が続投する。第2シーズン後半から第3シーズンの主要敵役ロイス・ヘムロック博士の声はジミー・シンプソン(Jimmi Simpson)が担当する。
07評価・考察

クロスヘアは『バッド・バッチ』全3シーズン47話の中で唯一、対立陣営から自陣営への帰属転換を経て生還した部隊員であり、シリーズの主題である『クローンの自律的選択とインヒビター・チップへの抵抗』を最も長期的かつ包括的に体現する人物である。第1シーズン序盤の帝国残留から第3シーズン終盤の再合流まで、約3年にわたるアーク全体が彼1人の自己定義の物語として読める構造になっている。
クロスヘアのチップが他の部隊員と異なり正常に反応する設定は、クローン兵の個体差が遺伝的変異のみならずチップの定着度にも依存するという、シリーズ独自の設定的拡張をもたらした。さらに第1シーズン第15話で、彼のチップが増強処置時点で既に除去されていたことが明かされ、帝国残留が強制ではなく自らの意思による選択であったと確定する設計が、本作の主題的深化の中核となっている。
右こめかみの黒い『×』タトゥーと口元の金属製ジャグナは、『クローン・ウォーズ』第7シーズンの初登場から最終話『プラン99』まで一貫して維持される識別記号であり、3シーズン47話を通じての視覚的同一性を支える造形要素として位置付けられる。
08トリビア
- クローン番号CT-9904は、ハンター(CT-9901)、テック(CT-9902)、レック(CT-9903)とセットで明示的に語られる番号で、CT-99XX系列は『クローン・フォース99』の名称起源にも対応する。
- 可変式スナイパーライフルは初登場時から分割運用ギミックを備え、長銃身モードと2丁拳銃モードの切替が全シーズンを通じた彼のシグネチャ・アクションとして繰り返し描かれる。
- 口元に常時くわえる金属製ジャグナ(爪楊枝状の金属棒)は、部隊員5名の中でクロスヘアにのみ固有の造形で、公式キャラクター・ギャラリーでも特徴として明記されている。
- 右こめかみの黒い『×』タトゥーは、Crosshair(照準器の十字線)というクローン名に直接対応するシンボルで、名前に対応する装飾を全員が持つ統一デザイン原則の中で最も抽象的かつ簡素な造形である。
- 声優ディー・ブラッドリー・ベイカーは全7シーズンの『クローン・ウォーズ』以来すべてのクローン役を兼任し、キャプテン・レックスやコマンダー・コーディなど同時期のクローン役も並行して担当している。
09よくある質問
初登場は『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』第7シーズンで、その後スピンオフ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』全3シーズン47話に主要レギュラーとして登場する。
ディー・ブラッドリー・ベイカーが担当する。『クローン・ウォーズ』以来すべてのクローン役を兼任し、バッド・バッチでは部隊員5名全員を1人で演じ分けている。
オーダー66で彼のインヒビター・チップのみが正常に反応し、さらに帝国軍医の増強処置を受けたため。ただし第15話で、チップは増強処置時点で既に除去されており、残留が自らの意思による選択だったと明かされる。
第1シーズンでは対立陣営にあったが、第3シーズンでタンティス山に同時拘禁され関係が再構築される。最終話のエピローグでは惑星パブーでオメガを見送る、シリーズ後半の最重要関係である。
生存する。最終話でタンティス山攻撃に参加し、生存メンバーのハンター、レック、オメガ、クロスヘアの1人として惑星パブーで平穏な日常を送る。