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ハリー・ポッター百科事典ANNA MOVIES
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人物

ピーター・ペティグリュー

友情で得た信頼を裏切り、鼠スキャバーズとして身を隠しながらヴォルデモート復活を助けた元マローダーズの一人。

「弱い友人」が選んだ裏切り

ピーター・ペティグリューは、ホグワーツ在学中にジェームズ・ポッター、シリウス・ブラック、リーマス・ルーピンと行動を共にした人物である。四人は後に「忍びの地図」を作った仲間として知られ、ペティグリューは鼠の動物もどきになれるようになる。学生時代の彼は、ジェームズやシリウスほど目立つ存在ではなく、二人の自信や才能のそばにいる人物として見える。

しかし、目立たないことと、裏切りを選ぶことは同じではない。第一次魔法戦争の終盤、ペティグリューはポッター夫妻を守るフィデリウスの呪文の秘密の守り手となり、その居場所をヴォルデモートへ渡す。ジェームズとリリーが殺され、幼いハリーが孤児となった出来事は、ペティグリューの一つの選択と切り離せない。

彼の物語は、最初から強大な悪の魔法使いだった人物の物語ではない。自分より強い者の近くにいれば守られると考え、恐怖からより大きな力の側へ移り続けた人物の物語である。彼は愛情や忠誠を失った時に苦しむより、危険を避けるために友人を手放す。その積み重ねが、ヴォルデモート復活を可能にし、二度目の戦争へつながる。

マローダーズの一人として

ホグワーツでペティグリューはグリフィンドールに所属し、ジェームズ、シリウス、リーマス・ルーピンと親しくなる。ルーピンが狼人間であることを知った三人は、彼が満月の夜に孤立しないよう、非登録の動物もどきになる方法を身につける。ジェームズは牡鹿、シリウスは犬、ペティグリューは鼠になる。小さな鼠は、狼人間の近くを動くうえで都合がよく、後には彼の逃走の手段にもなる。

この動物もどきへの変身は、四人が友情のために困難な技術を学んだ証拠でもある。だからこそ、後の裏切りは単に「最初から仲間ではなかった」とは言い切れない重さを持つ。ペティグリューは仲間と時間を共有し、秘密を知り、忍びの地図の制作にも関わった。彼が得た信頼は偶然のものではなく、長い関係の中で与えられたものだった。

一方で、彼は自分より才能がある仲間を敬愛しつつ、そこに劣等感も抱えていたと読める。ジェームズとシリウスの大胆さ、ルーピンの知識は、ペティグリューにとって自分を守ってくれる力であると同時に、自分の小ささを突きつけるものでもあった。作品は彼を臆病な人物として描くが、臆病さが裏切りを必然にするわけではない。恐怖をどのような行動へ変えるかは、彼自身が選んだことである。

秘密の守り手になった経緯

ヴォルデモートがポッター夫妻を狙うようになると、彼らはフィデリウスの呪文でゴドリックの谷の居場所を隠す。呪文は秘密を一人の生きた守り手へ託し、その人物が明かさない限り、他者には居場所を知ることができない。最初はシリウスが守り手になると思われていた。ジェームズにとってシリウスは親友であり、命を懸けて秘密を守る人物だったからである。

ところがシリウスは、自分が守り手だと思わせたまま、目立たないペティグリューへ役目を渡す計画を立てる。敵がシリウスを追えば、実際の守り手であるペティグリューは安全だという考えだった。計画の前提には、ペティグリューが友人を裏切らないという信頼がある。シリウスは自分なら死んでも秘密を渡さないと思っていたため、ペティグリューにも同じ忠誠を期待した。

ペティグリューはすでにヴォルデモート側へ情報を渡していた。彼は秘密の守り手になったことで、最も重要な情報を持つ。そこで彼はポッター夫妻の居場所を明かし、ヴォルデモートを家へ導く。フィデリウスの呪文は高度な防御であったが、魔法の強さは守り手の選択を保証しない。信頼を一人へ集中させる制度の危険を、この裏切りは示している。

シリウスを陥れた偽の死

ポッター夫妻の死後、シリウス・ブラックは裏切りの真相を知り、ペティグリューを追う。追いつめられたペティグリューは、通りで大きな爆発を起こし、多数の死傷者を出したように見せかける。彼はシリウスが自分を裏切ったと叫び、指を一本だけ残して、鼠へ変身して逃げる。

この偽装は見事に機能する。魔法省は、現場にいたシリウスを殺人犯、ペティグリューを被害者と見なし、シリウスをアズカバンへ送る。ペティグリューは自分が死んだ人物になり、友人へ全ての責任を背負わせた。ここで彼は単に逃げたのではない。自分が生き延びるために、シリウスの人生、ハリーが得るはずだった家族、魔法界が信じる歴史を作り変えた。

ペティグリューが鼠の姿を選べたことは、学生時代の友情から得た技術が、後には裏切りを完成させる道具になったことを意味する。動物もどきの登録をしていなかったため、魔法省は鼠の存在へ注意を向けない。魔法の制度にある監視の穴と、彼を死者だと信じ込んだ人々の思い込みが重なり、彼は長く見つからずに済む。

スキャバーズとして過ごした十二年

逃げ延びたペティグリューは「スキャバーズ」と名乗る鼠になり、ウィーズリー家に引き取られる。後にはロン・ウィーズリーのペットとしてホグワーツへ入り、ハリーのすぐ近くで十二年間を過ごす。鼠としての生活は、彼にとって単なる変装ではない。ヴォルデモートが力を失っている間、責任を負わず、誰かの家で守られながら生きるための方法だった。

『賢者の石』や『秘密の部屋』のスキャバーズは、古く、元気のないペットとして見える。だが『アズカバンの囚人』では、彼の年齢、欠けた指、クロックシャンクスへの恐怖、シリウスが脱獄したことへの反応が、正体を示す手がかりになる。読者は後から前の作品を振り返り、背景にずっといた鼠が、物語の最大の裏切り者だったと知る。

シリウスがアズカバンを脱獄した理由も、スキャバーズの存在と結びつく。新聞の写真に写った鼠を見て、シリウスはペティグリューが生きていると確信する。彼の脱獄はハリーを襲うためではなく、友人を裏切った人物を見つけ、自分の無実を示すための行動だった。ペティグリューの偽装は、シリウスを犯罪者にしただけでなく、ハリーにとって守り手になり得た人物を長く奪った。

叫びの屋敷で明かされた正体

『アズカバンの囚人』で、ペティグリューの正体は叫びの屋敷で明かされる。ルーピンは忍びの地図にピーターの名を見つけ、シリウスとともにスキャバーズを追う。ハリー、ロン、ハーマイオニーは、シリウスがロンの鼠を狙っていると思っているため、最初は二人を信じられない。

ペティグリューが人間の姿へ戻ると、彼はすぐに昔の友情へ訴え、命乞いをする。しかし彼の言葉は、守るために危険を引き受ける言葉ではない。強い側がどちらかを見極め、その場で助かるための言葉である。シリウスとルーピンは彼を殺そうとするが、ハリーは父の友人を殺人者にしたくないとして、魔法省へ連れて帰ることを求める。

この決断は、ペティグリューを許したこととは違う。ハリーは彼の罪を消さず、裁きを受けさせるべきだと考える。だが満月でルーピンが変身し、混乱の中でペティグリューは再び鼠となって逃げる。シリウスの無実を証明する証人は失われ、ペティグリューはもう一度、他人の混乱を利用して生き延びる。

ヴォルデモート復活への加担

逃亡後のペティグリューは、アルバニアの森に隠れていたヴォルデモートを探し出す。彼は自分の安全を求めて主のもとへ戻るが、この選択はヴォルデモートへ肉体を取り戻すための手足を与えることになる。バーサ・ジョーキンズを捕らえ、バーティ・クラウチ・ジュニアの脱出を助け、三大魔法学校対抗試合を利用する計画に加わる。

墓地で行われる復活の儀式では、ペティグリューは自分の手を差し出し、ハリーの血を使ってヴォルデモートの肉体を再生させる。ヴォルデモートは報酬として銀の義手を与える。彼が得たのは望んでいた強い主からの承認のように見えるが、その義手は彼の自由を保障する贈り物ではない。ヴォルデモートの側へ従う者が、いつでも使い捨てにされ得ることを形にしたものだ。

銀の義手と最期

『死の秘宝』でペティグリューはマルフォイ邸におり、捕らえられたハリーたちを見張る。そこへドビーが助けに入り、ハリーは過去に自分がペティグリューの命を救ったことを思い出させる。ペティグリューは一瞬だけ躊躇する。そのわずかなためらいを、ヴォルデモートから与えられた銀の手は許さない。義手は主人への完全な忠誠から外れた彼を締めつけ、彼自身を殺す。

彼の死は、因果応報を単純に楽しむための場面ではない。ペティグリューはずっと、強い者へ従えば自分は守られると考えてきた。だが彼が最後に持つ身体の一部は、まさにその従属の代価として、彼の迷いを罰する。誰かの力に自分の判断を預け続けた人物が、最後には自分の判断を取り戻す一瞬さえ許されない。

原作と映画での描かれ方

原作では、スキャバーズの不自然な長寿、忍びの地図、叫びの屋敷での説明、復活の儀式、銀の義手までが長い因果として結ばれる。ペティグリューが何度も逃げられたのは、強い魔力より、周囲が彼を小さく無害な存在だと思い込んだためでもある。映画版では、正体の暴露と復活の儀式が大きな転換点として描かれ、彼の逃亡後の細部や最期は原作より圧縮されている。

ペティグリューは、仲間の中で最も弱かったから裏切った人物ではない。自分の弱さを認めず、恐怖を理由に他者の命と信頼を差し出した人物である。彼の生き方は、友情、忠誠、保護の魔法が、相手の選択まで保証するものではないという厳しい事実を作品世界へ残している。