JOJOジョジョの奇妙な冒険 百科事典
Part 7 / 人物

マジェント・マジェント

まじぇんとまじぇんと

第二世界線main_manga

ネタバレ範囲: Part 7第62話「D4C」まで

# マジェント・マジェントマジェント・マジェントは、第7部『スティール・ボール・ラン』に登場するファニー・ヴァレンタイン配下の刺客である。第6ステージの凍ったマキナック海峡でウェカピポと組み、聖人の遺体の両脚を持つ狼とジョニィ、ジャイロを襲う。スタンド「20thセンチュリー・ボーイ」は、ひざまずいて両手を地面へ付ける間、受けた攻撃と環境の作用を地中へ逃がす絶対防御を作る。

最初の戦いでウェカピポに見捨てられたことを恨み、後にスティーブン・スティールを撃って復讐相手を誘い出す。最後はケーブルで縛られてデラウェア川の底へ沈み、能力を解除できないまま待つことも考えることもやめる。

基本情報

マジェント・マジェントは31歳未満の男性で、ヴァレンタインから暗殺任務を受けるスタンド使いである。本名、国籍、出自、スタンドの発現経緯は明かされない。レース参加者として走っておらず、政府側が遺体を回収するため経路へ配置した刺客に当たる。初登場時はウェカピポの相棒だが、二人の間に長い信頼関係はなく、任務のため一時的に組まれている。

能力が完全な防御へ偏るため、攻撃には散弾銃、拳銃、消音器、爆薬など現実の武器を使う。

外見

マジェント・マジェントは細身で背が高く、黒い巻き毛を帽子からのぞかせる。短いつばの帽子、毛皮の襟、鋲を打った厚い上着、指のない手袋、鋲付きのネクタイを身に着ける。衣服は防寒具としても機能し、凍結した海峡で長時間待ち伏せできる構成である。最初の敗北後は左顔面から眼にかけて大きな傷が残り、奥行きを測りにくくなる。

後の襲撃では照準を補うため、スティーブンへ定規を持たせて距離と方向の基準にする。

性格

マジェント・マジェントは人なつこく見える調子で話し、無言の時間を嫌って相棒へ雑談を振る。飛行機が短時間で長距離を移動できる未来へ興奮し、氷の破片を涙に見立てる冗談も試す。ウェカピポが会話へ乗らないと不満を募らせ、深刻な任務中にも集中を切らす。鼻水をなめる癖、甲高く濁った声、感情を音のまま引き延ばす話し方が粗野な印象を強める。

一方、侮辱や見捨てられた経験を長く覚え、復讐すると決めた相手を執拗に追う。

20thセンチュリー・ボーイ

20thセンチュリー・ボーイは、装甲服の一部に似た小型のスタンドが本体へ装着される能力である。マジェント・マジェントが座るかひざまずき、両手を地面へ付けて固定姿勢を取ると発動する。銃弾、爪弾、鉄球、刃物、爆発、水圧など外部から来る力を身体に残さず、地面へ受け流す。対象を跳ね返して攻撃者へ返すのではなく、衝撃の行き先を足元へ移すことで本体を無傷に保つ。

防御中は呼吸を必要とせず、水中でも溺れない状態になる。作中で防御を力ずくで破った攻撃はなく、倒すには解除時を狙うか、動けない姿勢そのものを利用しなければならない。

絶対防御の代償

能力を使う間、マジェント・マジェントはひざと両手を固定し、自分から歩く、撃つ、泳ぐ動作ができない。敵の攻撃へ耐えても、反撃するには手を離して能力を解除する必要がある。解除した瞬間には通常の肉体へ戻り、銃弾や窒息がそのまま致命傷となる。防御姿勢のまま身体を運ばれたり、地面ごと移動させられたりする状況には対処しにくい。

無敵であることと戦いに勝つことが一致せず、相手は彼を殺せなくても放置、拘束、隔離できる。この差が二度の敗北を決める。

ウェカピポとの組み合わせ

ウェカピポのレッキング・ボールは、小さな衛星球を飛ばして命中者へ左半身失調を起こす。影響を受けた相手は左側の物や身体感覚を認識できず、マジェント・マジェントが左へ回れば姿を見失う。マジェントは死角から銃撃し、反撃を受ける瞬間だけ20thセンチュリー・ボーイへ入る。ウェカピポは氷上に黄金長方形の目印が少ないこと、ジャイロの手を傷つければ回転の代替尺度も作れないことまで計算する。

防御役と攻撃役を固定するのではなく、知覚の穴を作る鉄球使いと無傷で射線へ残れる銃手を組み合わせた挟撃である。

凍結海峡での待ち伏せ

二人はミシガン湖とスペリオル湖の間にある凍った海峡を見下ろす高所で待つ。聖人の遺体の両脚が狼へ宿り、ジョニィとジャイロの進路へ近づいている情報を得ていた。雪と氷には植物や貝殻のような黄金長方形の基準が乏しく、ジャイロは精密な回転を作りにくい。マジェントはそりで左側へ回り込み、散弾銃を撃ちながら移動する。

ジョニィは身体ごと右へ回転して見えない左側を視界へ入れ、タスクの爪弾で対抗する。

無傷の防御

ジョニィの爪弾が命中する直前、マジェントは雪上へひざまずき、防御姿勢を取る。爪弾は身体を貫かず、衝撃だけが地面へ流れる。ジャイロの鉄球を受けても回転の力は同じように逃がされ、装甲へ傷が残らない。敵の攻撃へ耐えたまま射線を維持できるため、ジャイロの左手へ銃創を負わせる。

ウェカピポはその防御を高く評価し、一度姿勢に入れば世界の誰にも倒せないと考える。

落下する弾丸

ジャイロは左半身失調の中でおおよその方向へ鉄球を投げ、マジェントの肩へ当てる。同時に放たれた銃弾を身を沈めて避け、別の弾丸へ回転を与えてマジェントへ返す。マジェントは防御姿勢で弾丸を上空へそらし、危険が去ったと思って能力を解除する。ウェカピポは上へ飛んだ弾が重力で戻ると警告するが、解除は間に合わない。

落下した弾丸が顔面を貫き、マジェントは雪上へ倒れる。防御を貫いたのではなく、本人が攻撃の軌道を最後まで見ず、解除時刻を誤った敗北である。

雪原からの生還

ジョニィ、ジャイロ、寝返ったウェカピポは、負傷したマジェントを凍結海峡へ残して去る。顔と眼へ重傷を負った彼は死なず、約15キロの雪原をはってマキナック・シティまで進む。極寒と失血を越える生存力は高く、飛行機がもっと早く普及していれば治療も早かったと不満を述べる。ルーシーが大統領の敵である情報を聞き、彼女と接点を持つ者からウェカピポを探そうとする。

ディエゴに発見されて町へ運ばれ、治療後は緩い協力関係を結ぶ。ヴァレンタインの正式な再命令より、恨みと自分の利益を優先した行動である。

スティーブン襲撃

フィラデルフィアでマジェントは、ルーシーの消息を知るスティーブン・スティールの馬車へ入り込む。片眼を失って距離感が弱いため、スティーブンへ定規を持たせ、その目盛りを射撃の照準へ利用する。胸へ二発撃つが、すぐ殺さず、情報と救援者を引き出す餌として残す。ウェカピポが馬車へ到着すると、屋根に隠れて消音器付き拳銃から奇襲する。

馬が驚いて動いたことで影が見え、ウェカピポはレッキング・ボールを屋根越しに投げる。互いの攻撃はかすり、マジェントは再び絶対防御へ入る。

復讐戦

ウェカピポはナイフを顔へ突き立てようとするが、刃が折れて防御を破れない。鉄球を頭部へ直接打ち付けても、回転と打撃は地面へ流れる。マジェントは動けない姿勢の陰で、衣服の内側へ巻いたダイナマイトの導火線へ火を付ける。爆発なら自分は20thセンチュリー・ボーイで無傷のまま、馬車とウェカピポを破壊できるという計画である。

防御能力を受け身だけでなく、至近距離の自爆攻撃へ利用しようとする。

ウェカピポの逆転

ウェカピポは煙と、マジェントの服から逃げる小さな恐竜を見て爆薬へ気付く。一個の鉄球でスティーブンの身体を硬化させ、爆発の損傷を軽減する。もう一個を馬へ当てて左半身失調を起こし、馬車の進路を右へ大きく曲げる。馬車はデラウェア川へ突入し、マジェントとウェカピポを水中へ投げ出す。

爆発の破片はウェカピポへ傷を負わせるが、マジェントは防御中なので無傷で沈む。能力を解除し、拳銃で水中の相手へとどめを刺そうとする。

デラウェア川の底

マジェントが復讐の成功を確信した時、馬車の車軸から伸びたケーブルが身体へ巻き付く。ウェカピポは馬へ投げた鉄球の軌道で、事前にケーブルをマジェントの周囲へ引いていた。重い車軸とともに川底へ固定され、浮上も射撃もできなくなる。能力を解除すれば窒息し、防御を使えば呼吸は不要でも姿勢を変えて縄を外せない。

マジェントはディエゴが救出に来ると期待して20thセンチュリー・ボーイを維持する。しかし誰も来ず、待つことをやめ、やがて考えること自体をやめて川底に残る。

生死の扱い

作中はマジェント・マジェントが明確に死亡したとは記さない。20thセンチュリー・ボーイが防御姿勢中の呼吸を不要にするため、肉体がどれだけ長く生存できるかは不明である。意識を失っても姿勢と能力が維持されるのか、老化や飢餓まで地面へ逃がせるのかも説明されない。したがって人物台帳では死亡ではなく、戦闘不能または昏睡状態として扱うのが適切である。

永遠に近い拘束という結末は、第2部のカーズが宇宙で思考をやめた結末を想起させるが、同一の現象だとは断定できない。

戦闘能力

マジェントは銃器の扱いに慣れ、散弾銃で走る相手を狙い、片眼を失った後も補助線を作って射撃する。爆薬と消音器を準備し、標的の周辺人物を餌にする計画性も持つ。一方、相手を仕留める前に挑発へ時間を使い、防御解除の判断を早める。能力は極端に強いが、攻撃と防御を同時に行えないため、感情的な判断の遅れがそのまま隙になる。

ウェカピポはこの性格と姿勢条件を読み、殺さずに永久拘束する答えを選んだ。

ウェカピポとの対照

二人は大統領側の刺客として同じ任務に入るが、動機と規律が大きく異なる。ウェカピポは追放された故郷と妹への罪を抱え、目的や名誉を重く考える。マジェントは雑談と冗談を求め、見捨てられると任務以上に個人的な恨みへ固執する。最初の共闘ではウェカピポの戦略がマジェントの能力を最大化する。

二度目の戦いでは同じ知識が弱点の利用へ反転し、防御姿勢を川底の牢獄へ変える。

名前と表記

日本語名は「マジェント・マジェント」、英字表記はMagent Magentである。名称はSOUL'd OUTの楽曲「Magenta Magenta」に由来し、原曲とは母音の表記が異なる。スタンド名はT・レックスの楽曲「20th Century Boy」に由来する。海外版では能力名がMillesimal Boyへ変更される場合があるため、原作名と海外版名を別名として結び付ける。

物語上の役割

マジェント・マジェントは、無敵の防御が行動不能と表裏一体であることを二度の戦いで示す。最初は落下する弾丸を待てず、二度目は姿勢を崩せないまま場所そのものを変えられる。倒せない相手を倒すのではなく、解除の瞬間を作る、または戦場から隔離する発想が攻略となる。ウェカピポを政府の刺客から主人公側へ移すきっかけとなり、スティーブンを負傷させてルーシーの正体へ情報をつなぐ。

誰かが助けに来ると思い続けた末に誰にも思い出されない結末は、仲間との信頼を築かなかった人物の孤立を能力の形で固定している。