JOJOジョジョの奇妙な冒険 百科事典
Part 8 / 人物

東方花都

ひがしかたかあと

第二世界線main_manga

ネタバレ範囲: Part 8最終話まで

# 東方花都東方花都は、第8部『ジョジョリオン』に登場する東方家の元夫人である。四代目東方憲助の元妻であり、常敏、鳩、常秀、大弥の母、つるぎの祖母にあたる。幼い常敏を岩のようになる病気から救うため、息子をいじめていた少年を壁の目の土地へ埋め、殺人罪で十五年間服役した。

出所後は家族の前へ戻り、カードの間へ物体を収納するスタンド「スペース・トラッキング」を使って常敏の新ロカカカ計画へ加わる。終盤では瀕死の透龍等価交換の相手にしてつるぎを救い、自身は厄災で負った傷により死亡する。

基本情報

花都は2011年時点で52歳の日本人女性である。かつて東方憲助と結婚して東方家で暮らし、四人の子供を育てた。常敏の病気をめぐる事件で有罪となり、杜王町の刑務所で十五年の刑期を務める。服役中に憲助から離婚され、子供たちには母が死亡した、または家を捨てたと説明されていた。

出所後は東方邸近くの部屋を借り、家族へ自由に会いに行こうとする。東方家の財産と屋敷の半分には自分の貢献が含まれると主張し、失った十五年への補償を憲助へ求める。2011年9月25日、東方邸で厄災による剪定用のこぎりの傷を受け、つるぎの治療を終えた直後に死亡する。

外見

花都は肩付近まで伸ばした黒髪を中央で分け、左右へ渦巻き状の束を作っている。出所時には東方家の家紋とトランプの裏面を思わせる図柄を配した衣服を着る。腕には大きな長方形の飾りを付け、腰回りには房飾りを垂らす。衣服の意匠と常に携帯するカードは、スペース・トラッキングの能力を外見へ組み込んでいる。

刑務所を出る際には収監前の服へ着替え、憲助との婚約指輪を投げ捨てる。過去の妻という立場を捨てる仕草であるが、東方家と子供たちへの権利まで放棄したわけではない。終盤に東方邸へ戻った時には服装の形が変わり、カードに隠した枝とつるぎを運ぶ戦闘態勢を整えている。

性格

花都は自分の人生を他者へ決めさせないという意志が強い。家族への愛情を語りながらも、目的のために無関係の少年を犠牲へ選び、倫理より東方家の繁栄を優先する。十五年の服役を後悔せず、自分の行動は息子を救うために必要だったと考える。常敏には特に深い愛情を向け、幼少期から身体と気持ちの変化を注意深く見ていた。

一方で、成人した常敏が迷うと平手打ちをし、家族の幸運を守る覚悟を迫る。優しい母親と支配的な指導者は別々の顔ではなく、子供を生かし、より高い立場へ押し上げるという同じ価値観から生じる。不平等な場所へ生まれた者は幸福を求めて上へ登るしかないと考え、下にいる者を踏み台へすることも認める。この思想は東方家の病気が要求してきた自己犠牲を拒否する力になるが、他者犠牲を正当化する危険も伴う。

常敏の病気

十五年前、幼い常敏は東方家の長男へ遺伝する岩のようになる病気を発症した。当時の常敏は少年団の年長者からいじめられ、花都の下着を盗むことや入浴中の写真を撮ることまで強要されていた。花都は息子の異変を知り、常敏が発現させたスピード・キングによっていじめ役の少年が意識を失った後、少年を車へ積む。二人は六壁神社の土地へ向かい、少年を生きたまま土中へ埋める。

壁の目に通じる土地の等価交換が起こり、常敏の病気は少年へ移される。花都は親が病気を引き受ける従来の方法を選ばず、息子を苦しめた他人へ代価を負わせた。常敏へ上へ登るよう説き、自分は男性や家の慣習に人生を決められる女性にはならないと言い切る。

逮捕と服役

埋められた少年の遺体は事件から五年後に発見される。遺体に残った証拠と花都の車が結びつき、彼女は殺人の責任を問われた。常敏を守るため、自分が主導した犯行として刑を受け、十五年間収監される。服役中に憲助は離婚し、東方家の子供たちへ母の実情を隠した。

鳩は後に自分で事件を調べ、母が子供の殺人で服役していることを知る。花都は刑務所内で周囲から慕われ、出所の際には職員たちが別れを惜しむ。犯罪の重大さと日常で築いた人間関係が並置され、単純な悪人像には収まらない人物として再登場する。

出所

花都は田最環が東方邸を襲った事件の後に刑期を終える。刑務所から持ち出したカードの間には携帯電話を収納しており、外へ出ると常敏へ連絡する。家族には出所を知らせず、憲助を驚かせるため秘密にするよう求める。婚約指輪を捨てながら、自分が奪われた人生を取り戻すと決める。

この帰還は謝罪や和解を最初の目的にしていない。子供たちへ会う権利、東方家の財産へ関与する権利、家の将来を決める権利を自分から取り返す行動である。常敏だけは出所を知っており、母を東方邸へ入れる役を担う。

東方家との再会

花都は東方邸の居間で長時間待ち、憲助が現れると家族の母親であると名乗る。鳩は事情を理解しているが、常秀と大弥には突然現れた見知らぬ女性に近い。憲助は殺人と服役を理由に退去を求め、花都は自分が子供を救った正しい母だと反論する。常秀は椅子を蹴って花都を転ばせ、ナット・キング・コールで衣服を外して侮辱する。

花都は落としたカードを拾わせ、カードに収納していた椅子の脚を常秀の顎へ突き刺す。息子への反撃をためらわない一方、四人を愛してきたことを繰り返し伝える。再会場面は家族愛だけで関係が元へ戻らないことと、花都が家の序列へ従う人物ではないことを示す。

憲助との対立

憲助は子供たちを守るため花都を遠ざけようとする。花都は離婚後も東方家の成功へ自分の犠牲が含まれると考え、屋敷と資産の半分を要求する。庭のハンモックで高価な酒を飲み、以前と同じ家の住人のように振る舞う。憲助が自分を追い出す動きを見せると、常敏へ電話し、父が定助と共に何かを企てていると警告する。

両者の対立は離婚した夫婦の財産争いだけではない。憲助は家族の誰かが犠牲になるとしても倫理と秩序を保とうとし、花都は息子の生存と家の上昇へ結果を集中させる。新ロカカカを誰が管理するかという終盤の争いは、この家族観の違いを引き継ぐ。

スペース・トラッキング

スペース・トラッキングは、複数のトランプを媒体にして物体をカードの間へ収納するスタンドである。収納中の物体はカードの薄さから外見上想像できない大きさでも隠せる。花都は携帯電話、椅子、鉢植えの一部、新ロカカカの枝、つるぎの身体をカードへ収める。カードをめくる、離す、配置する動作によって、収納した物体の一部または全体を必要な位置へ出せる。

常秀への反撃では椅子の脚だけを顎の下へ出し、終盤では透龍の手足をカードで地面へ固定する。攻撃そのものより、相手に内容物を悟らせない携帯性と配置能力に強みがある。十五年の服役中もカードを所持できたため、監視下で携帯電話を隠す手段にもなった。収納可能な質量、距離、持続時間の上限は作中で数値化されていない。

常敏との同盟

プアー・トムによる果樹園襲撃の後、常敏は新ロカカカの接ぎ木を花都へ見せる。新しい果実は接触した二人の間で等価交換を起こし、従来のロカカカより狙った治療へ使える可能性を持つ。花都は憲助へ知らせないよう助言し、常敏の判断を支持する。鉢植えの一部をカードへ隠し、敵や家族に見つかった場合へ備える。

母子はつるぎを救う目的を共有するが、果実を東方家の事業へ使って家を繁栄させる野心も持つ。花都は病気を治すだけで満足せず、常敏へ東方家の幸運を自分たちの側へ引き寄せるよう求める。この同盟は憲助、定助、豆銑礼が進める治療と調査から新ロカカカを切り離す。

東方邸への帰還

ワンダー・オブ・Uの厄災が東方邸へ達した時、花都は常敏の好物であるインカのめざめを使ったクリームシチューを持って家へ戻る。しかし常敏はすでに厄災で致命傷を受け、動かなくなっている。透龍は自分も重傷を負いながら新ロカカカを食べ、近づく花都を等価交換へ利用しようとする。康穂は花都へ接近しないよう警告するが、花都は透龍を追跡して攻撃する意図を見せない。

追跡の意思へ反応する厄災を避け、家族を救うための配置だけを進めていたからである。常敏の死を前にしても、その場で復讐へ走らず、次代であるつるぎの命を優先する。

透龍との等価交換

花都はスペース・トラッキングで透龍の両手足をカードへ挟み、地面へ固定する。さらにカードの間から岩の病気が末期へ達したつるぎを出し、透龍へ接触させる。花都が隠していた新ロカカカの枝を潰すと、樹液が二人へ届き、等価交換が始まる。つるぎの病気は透龍へ移り、透龍の身体は岩のように崩壊する。

花都は透龍へ病気をすべて引き受けさせ、その罪は自分が背負うと告げる。これは常敏を救った十五年前と同じく他者を代価にする選択だが、病気の連鎖を孫の世代で終わらせる結果を生む。同時に、透龍は新ロカカカを奪い、東方家と康穂を厄災へ巻き込んだ当事者である。花都の行為が正当な治療か私刑かは一つへ決められず、家族を救う愛情と意図的な殺害が重なる。

最期

新ロカカカの枝を潰した際、ワンダー・オブ・Uの厄災によって剪定用のこぎりが花都の胸へ刺さる。つるぎが回復し、透龍が消滅したことを確認した後、花都は家族を思いながら倒れる。十五年前には常敏を救って刑務所へ入り、出所後にはつるぎを救って命を失った。どちらの行動でも、自分が決定者となり、代価を誰へ負わせるかを選んでいる。

ただし最期には自分も厄災の犠牲となり、罪を背負うという言葉を身体で引き受ける。花都の死は常敏の死を取り消さないが、東方家の長男を苦しめた病気を終わらせ、残された家族へ次の時間を渡す。

母親としての評価

花都は子供を救うためなら自分を犠牲にする母親という型から外れている。常敏を救う時には自分が病気を引き受けず、いじめ役の少年を選ぶ。その判断には自己決定への抵抗と、家族の外側にいる者の命を軽く扱う選民意識がある。一方、十五年の服役を引き受け、常敏の関与を隠し、出所後もつるぎの治療を最後まで実行する。

愛情が薄いのではなく、愛情を向ける範囲が東方家へ極端に限定されている。花都の存在によって、家族を守る行為が無条件に善になるわけではないことが示される。東方家の呪いを終わらせる人物が、過去に同じ呪いを他人へ押し付けた人物である点も、第8部の等価交換を象徴する。

物語上の役割

花都は東方家の過去と終盤の決着をつなぐ人物である。常敏の病気、少年の死、服役、憲助との離婚は、現在の家族が抱える秘密の出発点となる。出所後は常敏へ新ロカカカを隠す手段を与え、家族内部の対立を深める。最後にはカードへ隠した枝とつるぎを同時に出し、長期間準備してきた能力を治療へ結びつける。

登場場面は全編を通じて多くないが、常敏が抱く上昇志向と、つるぎを救う最終手段の両方を形成する。花都が選ぶ「家族の幸運は倫理より重い」という原則は、東方家を守り、同時に破壊してきた価値観そのものである。

関連項目

- 四代目東方憲助- 東方常敏- 東方つるぎ- 東方常秀

- 透龍- スペース・トラッキング- スピード・キング- 新ロカカカ