プアー・トム
ぷあーとむ
ネタバレ範囲: Part 8最終話まで
# プアー・トムプアー・トムは、第8部『ジョジョリオン』に登場する岩人間である。TG大学病院では産婦人科医として不妊治療を担当し、裏ではロカカカ組織の病院研究チームに所属する。アーバン・ゲリラとドレミファソラティ・ドを監督する立場にあり、二人の消息が途絶えた後、自ら新ロカカカの枝を回収しようとする。
スタンド「オゾン・ベイビー」は広い範囲の気圧を操作し、密閉空間と屋外で異なる圧力障害を起こす。東方常敏を協力者として利用しながら東方家全員を攻撃範囲へ入れ、最後には味方である岩人間側から口封じを兼ねて始末される。
基本情報
自称57歳で、生年は1953年から1954年ごろとされる。国籍は日本で、マンゴーへのアレルギーを持つ。喫煙と女性との交際を好み、作戦の相談中にも恋人との予定や通行人の女性へ気を取られる。外見は幼児に見えるほど小柄だが、顔や皮膚には年齢相応のしわがあり、言動も成人男性のものである。
2011年9月10日、東方家果樹園で新ロカカカの枝を奪った直後、頭部を撃ち抜かれて死亡する。
外見
背丈は子供ほど低く、胴体は丸みを帯びている。頭髪の大部分を曲線状に剃り、頭頂部へ小さな円形の毛を残し、額には短い前髪が垂れる。顔は幼く見える一方、目元や口元には深いしわがあり、煙草を吸う姿が見た目と実年齢のずれを強調する。普段の衣服は短パンとサンダルが中心で、襟、袖口、胸ポケット、ネクタイなどは身体へ描いた模様のように表現される。
ネクタイには自分の名が入り、胸元には「CODA」の文字を含む飾りがある。TG大学病院で勤務する時には、体格に合わせた医師用の服装を着用する。
産婦人科医としての顔
プアー・トムはTG大学病院の産婦人科で、不妊治療を専門としていた。幼児のような姿でも医師免許と診療能力を持ち、患者や職員に岩人間だと悟られず職業生活を続けている。病院には羽伴毅、明負悟、アーバン・ゲリラら複数の岩人間が配置され、ロカカカの医学的利用を調べていた。出産や生殖を扱う職業は、人間の命を軽視する戦闘時の態度と強く対照をなす。
作中で診療場面は中心にならないものの、病院の記録によって所属と専門分野が後から明かされる。社会の制度へ適応する知性と、裏側で果実を独占する犯罪性を同時に持つ人物である。
ロカカカ組織での立場
プアー・トムは田最環の密売グループより上位に連なる病院チームへ属する。アーバン・ゲリラとドレミファソラティ・ドの行動を管理し、豆銑礼の捕獲と護衛者の排除を命じる。報告が来ない状況から二人が倒されたと判断し、敵が新ロカカカへ近づいていると素早く読む。本人は前線へ出る前に常敏を利用し、能力の核となる模型を敵地へ運ばせる。
監督役として状況判断と罠の設計に長けるが、仲間への情より任務の結果を優先する。彼の死後、病院側の仲間も枝の回収だけを実行し、本人を救おうとはしない。
アーバン・ゲリラの失敗
アーバン・ゲリラは豆銑、定助、康穂を山中で襲うが、ガソリンへ引火した反撃で敗れる。予定された連絡が途絶えると、プアー・トムは失敗または死亡を推測する。新ロカカカの枝が東方家の果樹園に存在する可能性が高まり、外からの追跡だけでは回収が間に合わない。そこで東方家内部にいて果実を欲する常敏へ連絡する。
相手の目的が孫つるぎの治療であると知りながら、その焦りを作戦へ利用する。部下の死を悼む時間を取らず、同じ標的へ別の能力を投入する判断は、組織の冷淡な指揮関係を示す。
常敏との接触
プアー・トムは駐車場で常敏と会い、鉄でできた小さな家の模型を渡す。模型を東方家の果樹園へ埋めれば、敷地を外から遮断して定助と豆銑を近づけなくできると説明する。常敏は新ロカカカを守る目的が一致すると考え、指示に従って模型を土中へ設置する。しかしプアー・トムは、能力が侵入者だけでなく、東方家にいる人間すべてへ無差別に及ぶことを十分に伝えない。
常敏を対等な協力者として扱わず、罠を設置する運搬役として使ったのである。能力の一部を明かして信用させ、最も危険な条件を伏せる交渉に、彼の狡猾さが表れる。
オゾン・ベイビー
スタンド「オゾン・ベイビー」は、広範囲の気圧を変化させる遠隔自動操縦型である。休止時には鉄製の家の模型へ収まり、模型を地面へ埋めることで周囲およそ100メートルを攻撃範囲にする。土は能力の影響を弱める蓋のように働き、模型を掘り出すと圧力変化がさらに強くなる。発動中は空気のような姿のスタンド像が現れることもあるが、通常の打撃で直接破壊することは難しい。
本体が遠方にいても作用し続け、範囲内の敵味方を区別しない。人物記事ではプアー・トムの運用と目的を扱い、能力そのものの細かな物理条件はオゾン・ベイビーの記事で整理する。
密閉空間の加圧
能力範囲で扉や窓を閉じると、室内の気圧が上昇する。密閉容器は外側から潰されたように変形し、人間には耳の痛み、鼻血、内臓への圧迫が現れる。通常の気圧変化なら身体が徐々に適応する余地があるが、オゾン・ベイビーは短時間で差を広げる。常敏とつるぎは洗濯室へ逃げ込んだ結果、密閉空間で圧力障害を受ける。
常敏は模型を埋めた自分まで攻撃されることで、プアー・トムに欺かれたと理解する。単に屋内へ逃げれば安全になる能力ではなく、閉じるか開けるかの選択ごとに別の危険が生じる。
屋外の減圧
扉や窓を開けて屋外へ出ると、今度は急激な減圧が身体を襲う。体内の空気や血液へ圧力差が生じ、皮膚や血管、臓器が損傷する。つるぎは屋外へ出たことで重い減圧症状を受け、常敏は息子を室内へ戻して守ろうとする。定助と豆銑も普通に歩いて果樹園へ入れば損傷するため、ソフト&ウェットのシャボン玉を身体へまとい、局所的な空気環境を保つ。
圧力そのものは目に見えず、境界を越えた瞬間に症状が変わるため、敵の位置や攻撃方向だけでは攻略できない。
東方家への無差別攻撃
発動時、東方邸には憲助、鳩、常秀、大弥、密葉ら家族がいる。プアー・トムは彼らの生死を考慮せず、果樹園と邸宅をまとめて能力範囲へ入れる。常敏が模型を設置した事実を利用すれば、東方家の内部対立も誘発できる。彼の本当の狙いは、定助と豆銑を排除した後、常敏を含む目撃者が倒れるのを待ち、自分だけで枝を探すことだった。
果実を共同利用する約束ではなく、協力者まで消して独占する計画である。この裏切りによって、常敏は火災を起こして本体を果樹園へ呼び寄せる反撃へ転じる。
果樹園の放火
常敏はつるぎの折り紙を利用し、スピード・キングの熱を伝えて果樹園へ火を放つ。火事が広がれば、プアー・トムが探す新ロカカカの枝も燃える可能性がある。安全な場所から能力を維持していた本体は、枝を失う危険に耐えられず現場へ急ぐ。遠隔自動型の利点は本体が目的物へ執着したことで失われ、罠を仕掛けた本人が攻撃範囲へ入る。
プアー・トムは土中から模型を掘り出し、能力の出力を高めながら枝を捜索する。常敏が正面衝突を避け、敵の欲望を使って行動を誘導した局面である。
豆銑礼との枝の争奪
燃える果樹園でプアー・トムは豆銑礼と鉢合わせる。植物鑑定人である豆銑は、新ロカカカの接ぎ木を見分け、果実が実るまでの日数も判断できる。豆銑はドギー・スタイルで身体を線状にほどき、プアー・トムの首へ巻き付いて枝を奪おうとする。本体へ近づけば遠隔型を止められるという判断だったが、プアー・トムの周辺ではオゾン・ベイビーの作用が特に強い。
直接触れた豆銑は顔面と内臓を圧力で潰され、地面へ倒れる。プアー・トムは小柄で格闘力が低く見えても、本体周辺こそ最大の危険域である。
イチイの種による毒
定助と豆銑は反撃として、プアー・トムへイチイの種を飲み込ませる。種には毒性があり、放置すれば本体の生命を脅かす。プアー・トムは追い詰められると、助ければ大金を支払うと持ちかけ、命乞いを始める。他者の死を前提に作戦を立てた態度とは対照的に、自分の危険には強く動揺する。
それでも枝を手放さず、倒れた豆銑へさらに圧力を加え、逃走を選ぶ。欲望、恐怖、任務への執着が同時に表れ、冷静な監督役の仮面が崩れる場面である。
定助のシャボン玉
定助は複数の層を重ねたシャボン玉を放ち、逃げるプアー・トムを追跡する。プアー・トムはシャボン玉の内部に何らかの攻撃が隠れていると考え、接触を避ける。逃げ切れないと判断すると、オゾン・ベイビーを解除して気圧を戻し、泡の進路を変えようとする。泡が割れても中には何もなく、定助の攻撃は能力を解除させるためのはったりだったと分かる。
解除によって果樹園の圧力障害は止まるが、プアー・トムは枝を持ったまま救急車と消防車へ走る。
偽の枝とつるぎの能力
プアー・トム、豆銑、定助が奪い合った枝は、本物に見える別の枝だった。つるぎがペーパー・ムーン・キングを使い、視覚認識を操作していたためである。本物の新ロカカカの枝は常敏が密かに回収し、サボテンへ接ぎ木する。プアー・トムは強力な圧力で果樹園を制圧しても、物の識別を誤らせる能力までは見抜けなかった。
争奪戦の勝者に見えた瞬間、持っている物の価値そのものが失われている。
死亡
救急車には羽伴毅が乗り、さらに透龍のスタンド能力が関与していた。プアー・トムは仲間が救援へ来たと思い、枝を渡そうとして車両へ近づく。その直後、飛来した攻撃によって頭部を撃ち抜かれ、即死する。当初は何者が撃ったか不明だが、後に透龍を追う行為がワンダー・オブ・Uの厄災を招き、羽の身体を介した攻撃へつながったと判明する。
病院側はプアー・トムの救命ではなく枝の回収を優先し、倒れた本体を置いて立ち去る。部下を使い捨てにした人物が、自分も上位者から同じように処分される結末である。
性格
プアー・トムは軽薄で下品な言動が多く、女性を品定めし、作戦中にも交際予定を口にする。同時に、部下の連絡途絶から状況を推測し、敵地全体を封鎖する計画を立てる知性を持つ。他人の命へ冷淡で、常敏、つるぎ、東方家全員を罠へ巻き込むことにためらいがない。自分の死が迫ると金銭で助命を求めるため、覚悟を共有する戦士ではなく、生存と利益を優先する策略家である。
戦い方の強みと弱点
強みは約100メートルの広域を本体から離れて攻撃し、敵味方をまとめて行動不能へできる点にある。気圧は見えず、屋内と屋外で反応が変わるため、初見では安全な場所を判断しにくい。本体に近づくほど出力が増すので、能力者を倒す定石も危険になる。弱点は、発動核となる模型と、守りたい枝の位置が割れると本体の行動を誘導されることである。
能力が無差別なため協力者も守れず、裏切りに気付かれれば孤立する。環境を支配する強さを持ちながら、枝への執着と味方を欺く性格が敗北を招いた。
物語上の役割
プアー・トムは、新ロカカカ争奪戦を東方家の秘密調査から、病院組織との直接対決へ移す敵である。常敏と定助の双方を攻撃し、果実を守る者、治療へ使いたい者、組織へ持ち帰る者の目的を一つの果樹園へ集める。死の直前に味方の車両へ向かったことで、さらに上位の敵が存在し、同じ岩人間も厄災の対象になり得ると示される。医師として生命の誕生を扱う一方、スタンドで家族全員の生命を圧迫する矛盾も、岩人間が人間社会の役割を利用して潜伏する構図を象徴する。
関連項目
- 豆銑礼- アーバン・ゲリラ- 羽伴毅- 透龍