JOJOジョジョの奇妙な冒険 百科事典
Part 8 / 人物

苦竹財平

にがたけざいへい

第二世界線main_manga

ネタバレ範囲: Part 8第57話まで

# 苦竹財平苦竹財平は、第8部『ジョジョリオン』の「ミラグロマン」編に登場する杜王町の住人である。二年間にわたってミラグロマンの呪いを負い、使っても捨てても増殖する紙幣に生活を圧迫されていた。東方常秀の盗癖と攻撃的な性格を利用し、呪われた金が入った財布を故意に盗ませることで負担を移す。

しかし常秀は能力の移転条件を理解すると、ナット・キング・コールで紙幣を瓶へ取り付け、財平自身の手で破かせる。呪いを押し付けた側が同じ手順で取り返されるため、財平は二話だけの登場ながらミラグロマンの規則を明らかにする役を担う。

基本情報

財平は杜王町の集合住宅で一人暮らしをする日本人男性である。年齢と職業は作中で明かされない。平均的な体格で、短い髪、裾が複数の布片に分かれた上着、縞の入った暗色のズボンを身に着ける。アイドルの七並玲奈を熱心に応援し、部屋にはポスターや写真を多数飾る。

キャッシュカードの暗証番号にも玲奈の名前に由来する数字を使っており、常秀はその情報から預金を引き出す。部屋は物が積み上がって整理されていないが、原因のすべてを性格だけに求めることはできない。持ち物を買って現金を減らそうとしても、それ以上の紙幣が戻ってくる生活を二年続けていたからである。

名前の由来

「苦竹」は仙台市宮城野区に実在する地名と同じ表記である。第8部の杜王町はM県S市にあり、仙台を連想させる地名が作中人物の姓にも使われる。読みは地名と同じ「にがたけ」で、名は「ざいへい」と読む。財平という名には「財」の字が含まれ、本人が金銭の呪いへ縛られる筋書きと重なる。

ただし作中で人物が名の意味を説明する場面はなく、能力の発生原因が名前にあるわけでもない。

七並玲奈のファン

財平が常秀と接触する場所は、七並玲奈の関連商品を扱う売り場である。財平はカタログを確認しながら複数の商品をまとめて購入しようとし、常秀は自分より先に会計する財平を割り込みだと決め付ける。財平にとって大量購入には、好きな人物の品を集める趣味と、手元の現金を減らそうとする目的の両方がある。ところがミラグロマンの作用下では支出が損失にならず、支払った額を上回る金が別の形で戻る。

商品を買う行為は呪いから逃れる方法にならない。それでも玲奈のポスターを手に入れた時には喜んでおり、趣味そのものが偽装だったわけではない。

ハンブルクで受けた呪い

本編の二年前、財平はドイツのハンブルクで音楽公演を鑑賞した。終演後、ホテルへ戻るタクシー代が足りず、路上生活者に見えた男から紙幣を一枚盗む。相手は本当に困窮していたのではなく、ミラグロマンを他人へ渡すため路上生活者を装っていた。財平が盗んだ紙幣には呪いが宿り、所有者はその時点で入れ替わる。

出来心による窃盗が発端であるため、財平は完全に無関係な被害者ではない。一方、紙幣が超常的な危険物だと知る手段はなく、軽率な罪に対して二年間の生活破壊は著しく過大な結果である。

ミラグロマンによる生活の崩壊

ミラグロマンは金を奪う呪いではなく、所有者のもとへ金を増やし続ける。買い物をすれば釣り銭や返金が増え、紙幣を捨てても別の経路で戻ってくる。物理的に破壊すると、裂いた一枚が多数へ増殖する。財平は紙幣を裁断する方法も試すが、現金の総量を減らすどころか部屋へ収まらないほど増やしてしまう。

資産額だけを見れば富豪でも、紙幣を安全に保管し、運び、処分する自由がない。増えた金は生活費を解決する財産ではなく、空間と行動を奪う物質になる。財平が呪いから解放された瞬間に見せる喜びは、金額の多寡では説明できない。

杜王町で移転できなかった理由

呪いを他人へ渡すには、相手が所有者から金を盗み、その後に呪われた紙幣を損傷させる必要がある。財平が事情を説明して直接金を渡しても、受け手は新しい所有者にならない。相手の自発的な窃盗が成立条件に含まれるため、誰かへ協力を頼んで処分することもできない。財平は杜王町で警察や政治家を含む複数の人物へ移そうとしたが、町ではミラグロマンの噂が知られていた。

怪しい現金や置き忘れた財布へ手を出せば危険だと理解され、罠が成立しない。二年間も所有者だったのは、呪いが強いだけでなく、周囲が防御法を共有していたためである。

常秀を選んだ理由

常秀は売り場で財平を割り込み客と決め付け、相手の説明を聞かずに不満をぶつける。財平はその言動から、目の前に利益を残せば所有権を確かめず持ち去る人物だと見抜く。会計後、呪われた現金とキャッシュカードを入れた財布をわざと置き忘れ、常秀が拾っても呼び止めない。常秀は拾得物として届けず、暗証番号を推測して預金まで引き出す。

財平は直接盗ませたわけではないが、相手が犯罪を選ぶ状況を計画して作っている。偶然の出会いを利用しながら、呪いを知らない人物へ二年間の苦痛を移した点で、本編では敵対する立場になる。

財布とキャッシュカードの罠

財布の中に現金だけでなくキャッシュカードを残したことには二つの効果がある。第一に、持ち主を探して返すべき物だと明確になるため、常秀がそれでも使えば窃盗の意思が確定する。第二に、口座からまとまった金を引き出させ、常秀をミラグロマンの増殖へ早く巻き込める。常秀は七並玲奈に関係する暗証番号を当て、財平の預金を自分の金のように使う。

財平のファン趣味は部屋を飾る特徴にとどまらず、罠を成立させる情報にもなる。暗証番号が容易に推測できることまで計画したかは明言されないが、財平は常秀が財布を奪った時点で目的を達する。

解放された後

常秀へ所有権が移ると、財平の周囲では紙幣の異常増殖が止まる。財平は玲奈のポスターを買い、二年間続いた負担から解放された喜びを味わう。元の所有者がハンブルクで路上生活者を装ったのと同じく、財平も被害者から次の加害者へ変わった。呪いの履歴は、一人の悪意ある能力者が遠隔操作しているのではなく、所有者が他人を罠へ誘うことで続く。

財平はスタンド使いとして扱われるが、ミラグロマンを自在に操り、好きな時に解除できるわけではない。能力の管理者というより、逃れる方法だけを探し続けた一時的な宿主である。

常秀との対面

翌日、現金を減らせなくなった常秀は財平の住所を突き止め、部屋へ押しかける。財平は暴力的に壁へ押し付けられても、財布を盗んでくれたことへ感謝し、ミラグロマンの由来と規則を説明する。態度に罪悪感は乏しく、苦痛から脱した安堵が常秀の窮状への配慮を上回る。常秀に返却を求められても、所有権はすでに移ったとして応じない。

自分も同じ方法でだまされた経験がありながら、新しい被害者へ解決策を教えず追い返そうとする。この応対によって常秀は、説得では呪いを返せないと判断する。

ナット・キング・コールによる逆転

常秀は、相手から盗んだ金を破損した者へ呪いが移るという説明を聞き、財平自身に同じ条件を踏ませる。ナット・キング・コールは物体へネジを付け、接合と分解を操作できる。常秀は呪われた紙幣の一部を瓶へ取り付け、外見から判別しにくい状態にする。財平が瓶を開けると紙幣が裂け、所有権が再び財平へ戻る。

直接殴って押し付けたのではなく、財平が常秀へ使った罠を、能力で構造だけ変えて返したのである。ルールを説明したこと自体が攻略材料になり、財平は解放への喜びから一転して再び増殖の中心へ置かれる。

現金に埋まる結末

呪いが戻った直後、財平の部屋には大量の紙幣があふれ出す。紙幣は床へ積もるだけでなく、身体を覆い、呼吸や移動が難しいほどの量へ達する。財平は常秀へ引き取るよう懇願するが、常秀は扉を閉めて立ち去る。作中で財平の死亡は示されず、再起不能となった人物として扱われる。

この結末は金が増えること自体を報酬とみなす考えを反転させる。利用可能な範囲を越えた紙幣は、価値の保存手段ではなく、部屋を満たして所有者を押し潰す物質でしかない。

人物としての評価

財平は窃盗によって呪いを受け、別の窃盗を誘って逃れようとした。行動には一貫して他人の所有物を軽視する姿勢がある。ただし二年間に試した処分法と杜王町での失敗から、通常の取引や善意では解決できない事情も理解できる。直接的な殺傷を目的とする敵ではなく、自分の生活を取り戻すため未知の他人へ損害を移した人物である。

常秀も財布と預金を盗んでいるため、対立は善人と悪人の単純な構図にならない。互いに相手の強欲と不注意を利用し、最後に能力の規則をより早く応用した常秀が勝つ。

物語上の役割

財平の説明によって、ミラグロマンが戦闘型スタンドではなく、所有権と窃盗を条件に継承される呪いだと判明する。使用者と能力の関係も、通常のスタンド使いとは異なる。財平は能力を命令できず、能力から逃げるために次の所有者を必要とする。その構造は、日常の買い物、財布、暗証番号、空き瓶という身近な物だけで一話ごとの危険を拡大させる。

ロカカカを巡る本筋から離れた短編だが、杜王町には土地と家系だけでなく、由来の異なる怪異が流れ込むことを示す挿話でもある。財平はその怪異をドイツから町へ持ち込み、常秀との争いを通じて規則を読者へ伝える。

関連項目

- 東方常秀- ミラグロマン- ナット・キング・コール- ミラグロマン編

- 杜王町(第8部)