ラトラート
らとらーと
ネタバレ範囲: Part 9第32話まで
# ラトラートラトラートは、第9部『The JOJOLands』に登場する19世紀のイタリア人船員であり、HOWLER社とハウラー家の始祖である。1843年の海難でハワイ島ワイピオ渓谷へ漂着し、現地女性と結婚した。ハワイ王室の許可を得てフアラライ山北斜面へ入り、雨水が火山岩の隙間へ浸透する地質を読み、横穴を掘って地下水脈を発見する。
荒れた溶岩地帯を牧草地へ変えた事業は、後のHOWLER Farms、さらに水資源、交通、港湾、軍需へ拡大するHOWLER社の基盤になった。雷でできた雷管石と溶岩の関係にも到達し、価値ある物を引き寄せる溶岩を一族へ残した。
基本情報
19世紀のイタリアに生まれた男性で、ファーストネームは明かされていない。「ラトラート」は姓であり、イタリア語で吠え声や遠吠えを表す語に由来する。ハワイが米国へ併合された後、一族は英語の意味に合わせて姓を「ハウラー」へ変更する。キリスト教徒で、家族の礼拝堂へ十字架を残した。
すでに故人であり、本編では日記、写真、家系の説明、子孫の回想を通じて姿を見せる。
外見
長い黒髪を波打たせて後方へ流し、幅のある鼻と薄い口ひげを持つ男性である。船員時代には水兵帽、頭巾の付いた上着、裾を折ったズボンを着用する。ハワイで土地を開いた後は長袖の衣服や広いつばの帽子を身に着け、日記に残る写真では防寒帽もかぶる。もみあげが稲妻に似た折れ方をする写真があり、後に判明する落雷と溶岩の関係を視覚的に連想させる。
若い漂着者から土地経営者へ移る年月は断片的に描かれるが、死亡時の年齢と死因は示されない。
1843年の漂着
ラトラートは船員として海へ出ていた1843年、船の遭難に巻き込まれる。生き延びてハワイ島北東部のワイピオ渓谷へ流れ着き、島で暮らす女性に助けられる。二人はやがて恋愛関係となり、結婚する。妻の氏名、家系、結婚年は明かされないが、この結婚から後のハウラー家が続く。
外来者だったラトラートが土地へ定着できたのは、自分だけの力ではなく、救命した女性と現地社会の受け入れがあったためである。会社史だけを扱う場合にも、現地女性の存在を省いて単独の開拓者として描かない配慮が必要になる。
ハワイ王室から得た許可
ラトラートはハワイ王室の信頼を得て、フアラライ山北斜面へ住み、農地を作る許可を受ける。当時の土地を現代的な私有地として無条件に譲渡されたのか、利用権を認められたのかは作中説明だけでは細部を確定できない。後世のHOWLER社は、この歴史的な関係を所有と立入制限の根拠へ拡張する。州政府は王族の子孫に法的な土地権利があると判断し、会社の支配へ疑義を突き付ける。
ラトラート個人が後世の不正取得を計画した証拠はないため、王室からの許可と現代企業の所有権主張を同一の事実として扱わない。
水のない火山斜面
ハワイ島の火山地帯では、雨が降っても多孔質の溶岩へ浸透し、地表に川や池が残りにくい。フアラライ山北斜面は乾燥し、通常の農業には厳しい土地だった。ラトラートは地形を読む直感に優れ、地表から見えなくても、火山岩の層の間に雨水が蓄えられていると推測する。上から深い井戸を掘るのではなく、山腹から水平に坑道を伸ばせば水脈へ届くと考える。
この発想は溶岩地帯を障害として避けるのではなく、岩層の構造を水の通路として読むものだった。
地下水脈の発見
ラトラートは数か月にわたり、山の斜面へ横穴を掘り続ける。掘削の末に地下を流れる水へ達し、乾燥地へ継続的に水を供給できるようになる。水の確保によって牧草地を作り、農牧業を成立させる。開設された事業は後にHOWLER Farmsと呼ばれ、ハウラー家の最初の組織的資産になる。
ラトラートの成功は偶然の財宝発見だけではなく、地質の観察、仮説、長期間の掘削という実務の積み重ねに支えられている。
溶岩との出会い
ラトラートはフアラライ山で落雷の跡を調べ、地中へ伸びた雷管石を手掛かりに溶岩を発見する。雷管石は雷の高熱によって地中の物質が溶け、管状に固まったものである。彼はその一部を十字架に加工し、家族の礼拝堂へ残す。見つけた溶岩は、触れた所有者のもとへ価値ある物の流れを引き寄せる性質を持つ。
ラトラートが能力の規則をどこまで実験したかは示されないが、単なる石として捨てず、家族へ伝える価値を認識していた。
日記に残した言葉
ラトラートの日記には、世界の流れを数字、神、フアラライの溶岩、月と雷に結び付けた文章が記される。内容は採取場所を直接示す地図ではなく、特定の月相、落雷、大地に残る痕跡を読み解く暗号に近い。子孫のアッカは幼いころ日記を見せられても意味を理解できず、長年にわたって新しい溶岩を探して失敗する。メガヨットの礼拝堂で、雷管石の十字架と古い写真を見比べた時、ようやく雷が地下の所在を示す可能性へ気づく。
日記は知識を保存した一方、解釈できなければ再現できない形で継承された。
箱とティントレットの絵画
ラトラートは溶岩を価値ある品とともに箱へ保管し、その箱を家族へ伝える。後世にハウラー家が山火事で破産寸前になった時、箱にあったティントレットの絵画が一度失われる。絵画は犯罪組織の摘発と競売を経て大きな価値を持つ形で戻り、一族の危機を救う。この出来事は溶岩が物を直線的に引き寄せるのではなく、第三者、犯罪、売買、偶然に見える出来事を経由して流れを作る例になる。
ラトラート自身がこの絵画を購入した時期や、戻る過程を生前に見たかは明かされない。
HOWLER Farmsの成立
ハワイが米国へ併合されると、ラトラート家はハウラー姓を用い、牧場事業をHOWLER Farmsとして組織化する。会社の創業年は1898年とされ、ラトラートの漂着から半世紀以上が経過している。本人が創業時まで生存したか、家族と共同で法人化したか、当時の制度上どの形だったかは細かく描かれない。百科事典上ではラトラートを創業者としつつ、地下水発見、牧場形成、会社名の成立を別の段階として整理する。
企業帝国への拡大
1960年代に高級ホテルと別荘の開発が進むと、ハウラー家が押さえる水源の価値が急増する。子孫は水資源管理と水力発電を足場に、運輸、港湾権益、軍需産業へ事業を広げる。HOWLER社はフアラライ山北斜面への立ち入りを制限し、警察や州の担当者さえ容易に入れない支配力を築く。第9部の時点では資産評価が500億ドル規模に達し、第八代当主アッカ・ハウラーが率いる。
この巨大化はラトラートの地下水発見から始まるが、後世の政治工作、軍需疑惑、公金流用まで彼個人の意思として遡らせることはできない。
ハウラー家との関係
ラトラートはアッカから数えて七代前の祖先で、アッカは会社の第八代当主に当たる。ウルトラジャンプ掲載時の第19話では世代数が異なっていたが、単行本第5巻で七代前へ修正された。現在の人物記事では単行本の記述を基準にし、連載版の数字は版差として注記する。ハウラー家では代々の名がアルファベット順に対応するという整理があり、ラトラートの未知の名はAで始まる可能性が示される。
ただしフルネームは作中で確定していないため、「A・ラトラート」のような補完を正式名にしない。
水源の発見と土地所有の違い
ラトラートが地下水を発見して牧草地を作った事実は、北斜面の全域を永久に私有する権利と同じではない。水へ到達する坑道、農地として利用した範囲、王室が認めた居住や事業の範囲は、作中で一枚の契約書として示されていない。後のHOWLER社は水源を管理する実力と政治的な影響を積み重ね、広大な土地への立ち入りを拒むようになる。州政府が問題にするのは、創業者の労働そのものではなく、歴代企業が王族の子孫の権利を押しのけ、公金と軍需事業を使って支配を固定した疑いである。
ラトラートの記事では開墾者としての功績を認めつつ、それを現代企業の全所有権を正当化する証拠へ変換しない。
現在へ伝わる情報の限界
ラトラートの生涯は、客観的な同時代記録だけで構成されているわけではない。アッカが知る一族の来歴、祖父から渡された日記、礼拝堂の十字架、古い写真、企業の由来が断片を補う。日記には宗教的で象徴的な言葉が多く、採取手順を現代の技術文書のように一義的には読めない。また、後世の一族は溶岩の利益を受けた側なので、成功譚の語りから現地住民や王室との対立が省かれている可能性も残る。
確定できる出来事、子孫が信じる伝承、現在の人物による推測を分けることで、創業者を英雄または略奪者のどちらか一方へ固定せずに読める。
スタンド使いか
ラトラート固有のスタンドは登場しない。地形を読む直感、地下水の発見、雷と溶岩の関連への気づきは優れた観察と経験として説明される。溶岩は超常的な性質を持つが、所有者のスタンドとして発現する存在とは確認されていない。ラトラートをスタンド使いに分類せず、溶岩の発見者および初期所有者として記録する。
物語上の役割
ラトラートは、現在の500億ドル資産が突然生まれたものではなく、水、土地、家族、政治、超常的な流れの上へ積み上がったことを示す。外来の漂着者が現地女性と王室の助けを得て土地へ根を下ろし、その成功を子孫が巨大な排他的権力へ変える。彼の日記と十字架は、アッカが探し続けた新しい溶岩への手掛かりになり、過去の発見が現在の争奪戦へ戻る。ジョディオたちが狙うのは会社の帳簿上の数字だけではなく、ラトラートが水と溶岩を見つけた場所そのものである。
関連項目
- アッカ・ハウラー- アッカの祖父- ハウラー家- HOWLER社
- 溶岩- フアラライ山- ティントレットの絵画- 雷管石