ハイウェイ・スター
はいうぇい・すたー
ネタバレ範囲: Part 4「ハイウェイ・スター」編以降
# ハイウェイ・スターハイウェイ・スターは、第4部『ダイヤモンドは砕けない』に登場する[噴上裕也](/jojo/character-4-yuya-fungami/)の遠隔自動追跡型スタンドである。匂いを記憶した標的を時速六十キロメートルで追い続け、接触すると養分を吸収して本体へ送る。人型から多数の足跡へ分解でき、壁や床を越えて長距離を追跡する。
偽の部屋と負傷者の幻覚で標的を一度誘い込み、匂いを取得してから逃走不能の追跡へ移る二段構えを持つ。
名称と使用者
英語表記はHighway Starで、道路上の高速追跡と結び付いた名称である。海外版ではHighway Go Goなどの変更名が使われる媒体がある。使用者の噴上裕也は、バイク事故で重傷を負い、病院へ入院していた青年である。吉良吉廣の矢によってスタンド使いとなり、他人の生命力を奪って自分の回復を早めようとする。
高速移動、鋭い嗅覚、生命力への執着は、事故前から速度を好む裕也の性格と負傷後の欲求を反映する。
外見
人型のハイウェイ・スターは細身で、身体全体が格子状の模様に覆われる。顔には大きな眼と口に似た部分があり、人間的な表情より追跡装置の無機質さが強い。追跡時には人型を保たず、裸足の足跡が連なった群れへ分解する。足跡は床だけでなく壁や物体の表面へ続き、進路の自由度を高める。
人型と足跡は別のスタンドではなく、接近、追跡、吸収の段階に応じた同じ能力の形態である。
匂いの記憶
ハイウェイ・スターは標的の匂いを一度取得すると、長い距離を離れても追跡できる。視界から消えたり、曲がり角を何度通ったりしても、残された匂いの道をたどる。本体の裕也自身も鋭い嗅覚を持ち、人間の体調や感情に伴う微細な匂いを感じ取る。標的が乗り物で高速移動しても追跡を続け、停止した瞬間に距離を詰める。
別人の匂い、強い香料、空気の流れを利用してどこまで欺けるかは限定的で、取得後の執着は非常に強い。
時速六十キロの追跡
足跡形態は時速六十キロメートルという一定の速度で進む。人間の走力を大きく上回り、市街地では自動車やバイクを使わなければ距離を保てない。一時的にそれ以上の速度を出せば引き離せるが、減速、信号、障害物によって再び追い付かれる。速度が一定であることは弱点にもなり、到達時刻を計算して罠や移動手段を準備できる。
止まらない追跡の恐怖は、最高速度の大きさより、標的が休めない持続性から生まれる。
養分の吸収
ハイウェイ・スターが接触すると、標的の生命活動を支える養分を吸い取る。被害者は急速に力を失い、身体がしぼむような状態になる。吸収した養分は遠くにいる裕也へ送られ、事故で傷ついた身体の回復を促す。血液だけを吸う吸血能力ではなく、身体全体から活力を奪うため、傷口を塞ぐだけでは止められない。
接触時間が長いほど被害が増え、捕まった相手は追跡を振りほどく力まで失っていく。
トンネルの幻覚
追跡を始める前に、ハイウェイ・スターは道路のトンネル内へ存在しない部屋を見せる。部屋には負傷して助けを求める人物がいるように見え、通行者の善意や好奇心を利用して中へ誘う。幻覚へ近づいた者から匂いを取得し、標的として登録することが狙いとなる。罠の場所は一瞬で通過する道路上にあり、引き返して確認したくなる違和感そのものが誘導になる。
追跡能力だけでは得られない最初の接触を、空間の幻覚によって作る構成である。
岸辺露伴が標的になる
[岸辺露伴](/jojo/character-4-rohan-kishibe/)はトンネルの異常を調べ、部屋の罠へ接近する。彼はスタンド攻撃だと理解しながら、好奇心と観察欲を抑えず、匂いを取得される。ハイウェイ・スターは露伴を追い、接触して養分を奪い始める。露伴は[ヘブンズ・ドアー](/jojo/stand-4-heaven-s-door/)で情報を読もうとしても、自動追跡の足跡を完全には止められない。
自分の危機より謎の正体へ踏み込む露伴の性格が、能力の最初の標的選びと噛み合う。
仗助への引き継ぎ
露伴は[東方仗助](/jojo/character-3-4-josuke-higashikata/)へ助けを求めるが、二人の関係は良好ではない。それでも仗助は露伴を見捨てず、追跡を自分へ向けて病院にいる本体を捜す。ハイウェイ・スターは新たに仗助の匂いを記憶し、町中の追跡戦が始まる。仗助は逃げ切ることだけを目標にせず、時速六十キロより速く移動しながら裕也の所在へ近づく。
遠隔自動型に対し、追跡の糸を逆に本体までたどる発想が攻略の中心となる。
バイクによる逃走
仗助は道路上のバイクを利用し、ハイウェイ・スターより高い速度を確保する。しかし燃料、曲がり角、交通状況があり、走り続けるだけではいつか追い付かれる。進路上の障害を[クレイジー・ダイヤモンド](/jojo/stand-4-crazy-diamond/)で壊し、通過後に修復して移動を続ける。壊したバイクや道路設備も直せるため、通常なら不可能な強引な走行を成立させる。
修復能力が治療ではなく高速移動の経路作りへ使われ、追跡戦に独自の速度感を与える。
自動追跡と本体の距離
裕也は病院に留まりながら、ハイウェイ・スターを遠くのトンネルや町へ送る。細かな角の曲がり方を常に手動で操作しているわけではなく、匂いを基準に自動で進む。本体が安全な場所で回復できる一方、追跡中の状況を完全に理解できない可能性がある。標的が逃げずに自分のいる病院へ向かっていると気付く頃には、距離上の優位が失われる。
射程の長さは本体を守るが、能力を逆探知される時間も相手へ与える。
病院での決着
仗助はハイウェイ・スターに追い付かれる前に病院へ到達し、裕也本人を見つける。本体へ接近すれば、遠隔追跡の速度や耐久力を相手にする必要はない。裕也は負傷者でありながら他人の養分を奪った責任を問われ、仗助の怒りを受ける。仗助はクレイジー・ダイヤモンドで裕也の傷を治した後、健康な状態にしてから殴る。
治療と制裁を分ける行動によって、敵の負傷を理由に見逃さず、自分の能力で弱者を一方的に殴った形にもさせない。
噴上裕也の変化
敗北後の裕也は、吉良を追う側へ協力する。鋭い嗅覚と長距離追跡は、敵としてだけでなく行方不明者や不審な匂いを捜す能力として役立つ。彼は自分を慕う女性たちを大切にし、危険を承知で仲間を救う場面も見せる。他人の養分で自分を治した初登場時から、他人のために追跡能力を使う側へ変化する。
スタンドの性能が変わらなくても、何を追うかという目的が使用者の成長によって反転する。
エニグマ戦での応用
裕也は人間を紙へ閉じ込める敵を追う際、匂いから仲間の存在と状態を探る。ハイウェイ・スターは一度得た匂いを追えるため、視界から消えた相手の移動先を絞り込める。養分吸収を主目的にせず、索敵と救助へ能力を転用する場面である。自動追跡の足跡は危険な攻撃にもなるが、急いで仲間へ到達する移動手段にもなる。
第4部では敗北したスタンド使いが町の一員となり、同じ能力を別の倫理で使う変化が繰り返される。
嗅覚とスタンドの分担
裕也自身の嗅覚とハイウェイ・スターの追跡は、似ていても同じ作用ではない。裕也は近くに残る匂いから人物の状態や感情を推測し、誰を追うべきか判断する。スタンドは取得した匂いを長距離にわたって保持し、決めた標的へ機械的に近づく。本体が分析、能力が移動と捕獲を担うことで、視覚情報の少ない場所でも追跡が成立する。
標的を取り違えれば自動追跡の長さが逆効果になるため、最初に匂いを選ぶ裕也の判断が精度を左右する。
追跡される側の選択
ハイウェイ・スターから逃げる者は、速度を上げるほど周囲の安全確認が難しくなる。市街地でバイクを走らせれば、歩行者や車を巻き込む危険があり、単純な最高速度競争にはできない。仗助は壊した物を修復できるため大胆な経路を選べるが、それでも人間の生命を障害物として扱うことはできない。追跡能力は標的へ肉体的な圧力を掛けるだけでなく、町の被害を避けたいという倫理を利用して進路を狭める。
逃走者が守るものの多い環境ほど、自動で進み続ける足跡の優位が大きくなる。
捕獲後の危険
足跡へ一度囲まれると、養分を吸われた身体は急速に動けなくなる。振りほどくために力を使うほど消耗し、次の接触を避ける速度も失われる。仲間が救助する場合も、追跡対象の匂いを自分へ移す可能性や、触れた足跡から養分を奪われる危険がある。完全に捕まる前に速度差を作るか、本体へ到達して命令の根を断つ必要がある。
追跡と吸収が連続しているため、接触は攻撃の終点ではなく、逃走能力を奪う次段階の始まりとなる。
強み
匂いを記憶した標的を長距離かつ自動で追い、視界や曲がり角に左右されにくい。時速六十キロで持続移動し、人間を休ませず追い詰める。接触によって養分を吸収し、標的を弱らせながら本体を回復できる。足跡へ分解して壁や狭い場所を進み、通常の障害物を越える。
幻覚の罠を使って最初の匂いを取得するため、追跡開始までの手順も能力内に備える。
弱点
匂いを取得していない相手を無条件に遠方から追うことはできない。速度が時速六十キロで一定なので、それ以上の乗り物なら一時的に距離を取れる。自動追跡中は標的の作戦を細かく判断できず、本体の位置へ誘導される可能性がある。本体の裕也が負傷中なら、直接接近された際の防御力は低い。
匂いを利用する以上、強い臭気や複数人の痕跡が重なる環境では精度を試される。
評価
ハイウェイ・スターは、幻覚による登録、匂いの記憶、定速追跡、養分吸収を連続させた完成度の高い狩猟型スタンドである。直接打ち勝つより、標的が疲れるまで追い続ける設計が、入院中の裕也の立場と合っている。仗助は速度だけで逃げず、追跡を本体へ届く道筋に変えることで遠隔型の優位を崩す。後には索敵と救助へ使われ、危険な捕食能力にも仲間を守る用途があると示される。
道路、トンネル、バイク、病院を一続きの戦場へ変え、第4部でも特に移動そのものを物語にしたスタンドである。