JOJOジョジョの奇妙な冒険 百科事典
Part 9 / スタンド

ウエスト・エンド・ガール

うえすとえんどがーる

第二世界線main_manga

ネタバレ範囲: Part 9第27話から第31話まで

# ウエスト・エンド・ガールウエスト・エンド・ガールは、第9部『The JOJOLands』に登場するキー・ウエストスタンドである。物と物のあいだに生じる「隙間」へ入り込み、そこから多数の小さな手を伸ばして標的を拘束、圧迫、粉砕する。スーツケースの継ぎ目、衣服と身体のあいだ、帽子の内側、IDカードの裏、階段の段差、排水口まで攻撃経路として使う。

最大射程は約25メートルで、使用者を見せずに標的を追跡し、溶岩を奪って逃走できる長距離型のスタンドである。

基本情報

使用者はHOWLER社に関わる弁護士キー・ウエストである。第27話「200バルーンズとライイン・アイズ その5」の終盤で初めて姿を現し、第29話「隙間に潜む者たち その2」で名称が判明する。英語表記はWest End Girlで、作中の片仮名表記は複数形の「ガールズ」ではなく単数形の「ガール」である。名称はペット・ショップ・ボーイズの楽曲「West End Girls」を思わせるが、元の楽曲名とスタンド名の表記差を混同してはならない。

第29話から第31話まで、アッカ・ハウラーのヨットを舞台にした溶岩争奪戦の中心能力として機能する。

外見

頭部は人型で、丸いドーム状の帽子をかぶり、分節された機械的な目、幅の広い鼻、厚い唇を持つ。頬には円形の鋲やピアスを思わせる点が斜めに三個並び、口の下にも同じ形の点がある。胴体は縦線で分割された細長い流体状で、通常の人型スタンドのような明確な脚を持たない。全身には人間に似た小さな手が多数生え、隙間へ潜る時は周囲の物質へ溶け込むように輪郭を変える。

攻撃時には本体の長い身体すべてを出さず、表面から細い前腕と手だけを伸ばすことが多い。

隙間へ潜る能力

ウエスト・エンド・ガールは、二つの物体が接する境界や、物体内部の細い空間を移動経路にする。人が指を入れられないほど狭い継ぎ目でも、スタンドの身体と手を通すことができる。隙間は出入口であると同時に、標的を両側から挟む圧力装置になる。キー・ウエストは、隙間の中へ入った時には一トン以上の力を出せると見積もっている。

正確な計測値として示された数値ではないが、人の骨を折り、頭部や胸部を押し潰すだけの出力は実際の攻撃で確認される。

多数の手

身体から生える小さな手は、つかむ、引く、ねじる、押さえる、物を運ぶという複数の作業を同時に行う。一つの巨大な拳で殴る能力ではなく、多方向から接触点を増やし、標的の逃げ道を閉じて圧力を集中させる。手は人の足首を固定したままひねり、カードを刃のように押し込み、銃をつかんで発砲できる器用さを持つ。溶岩のような小さな物も落とさず保持し、排水経路を選びながら移動する。

力と精密操作を分担できるため、殺傷だけでなく奪取と逃走を一体化した任務に向く。

スーツケースからの奇襲

キー・ウエストはヨット内の避難で運ばれる多数のスーツケースを、ジョディオの周囲へ集める。ウエスト・エンド・ガールはそれぞれのケースの継ぎ目へ潜み、複数方向から手を伸ばす。最初にジョディオの足首をつかんでねじり、骨を折って移動を封じる。続いて脚と胴体をケースのあいだへ引き込み、周囲の荷物を圧縮装置のように使って押し潰そうとする。

ジョディオはポケットの溶岩を手に取り、ノーヴェンバー・レインの重い雨を落として荷物を散らし、圧迫から脱出する。日用品の集積を攻撃陣地へ変える、能力の奇襲性と環境依存性が同時に示される初戦である。

IDカードの隙間

ジョディオ、ドラゴナ、チャーミング・マンは、ドルフィン銀行の職員を装うためIDカードを身に着けている。ウエスト・エンド・ガールはカードと衣服、カード同士のわずかな隙間へ入り込む。チャーミング・マンの親指を切断し、ジョディオとドラゴナのカードを彼の背中と胴体へ突き立てる。さらに胸部を複数の手で挟んで圧迫し、呼吸と反撃を困難にする。

攻撃の衝撃でジョディオのポケットから溶岩が落ちると、階段の段差から手を伸ばして奪い取る。標的を殺す動作と目的物を確保する動作が一つの連続攻撃として成立している。

衣服と装備の内側

スタンドはFBI捜査官の衣服へ潜み、周囲へ姿をさらさず人に運ばせる。スムース・オペレターズに衣服から引き出されても、すぐ捜査官の帽子の内側へ移る。頭部と帽子の隙間から手を伸ばして脳を押し潰し、捜査官を死亡させる。別の捜査官が遺体を支えようとすると、今度はゴーグルの内側へ移って頭を締め上げる。

衣服、帽子、保護具は本来身体を守る物だが、この能力に対しては至近距離へスタンドを導く通路へ反転する。

銃の使用

チャーミング・マンが捜査官の装備を外し、溶岩を持つスタンドの位置を露出させる。ウエスト・エンド・ガールは捜査官の拳銃を手で奪い、チャーミング・マンへ発砲する。スタンド自身の圧力だけに固執せず、周囲の武器を扱って追跡者を止める判断ができる。銃撃によって逃走時間を作り、甲板の排水口へ向かう。

能力の自動反応ではなく、キー・ウエストの目的に沿って複数の手段を選ぶ遠隔操作型として描かれる。

溶岩を持った逃走

キー・ウエストの狙いは、溶岩をアッカへ返すことではなく、自分とレム・チャバンのために横取りすることである。ウエスト・エンド・ガールは小さな溶岩を抱え、船内の排水路へ入ろうとする。排水管へ到達すれば、追跡者が経路を見失い、25メートルの射程内で安全な場所まで運べると考えられる。ジョディオは重い雨でスタンドを打ち、排水口へ完全に入る前に移動を妨害する。

攻撃がスタンドへ命中すると、離れたキー・ウエストの顔にも同じ損傷が返る。長距離から襲える能力でも、像への直接攻撃を無効化するわけではない。

プールでの追跡

傷を負ったウエスト・エンド・ガールは船尾のプールへ逃げ、底の排水口を新たな出口に選ぶ。ジョディオはノーヴェンバー・レインで重い水滴をプールへ落とし、浮遊するビニールボールを排水口へ集めてふさぐ。スタンドがボールと排水口の隙間へ入ろうとすると、重い水滴で変形したボールが棘のように突き出す。その突起がスタンドを刺し、保持していた溶岩を手放させる。

水面へ浮いた溶岩はドラゴナが回収し、キー・ウエストの逃走計画は失敗する。隙間を消すだけでなく、進入先を予測して罠へ変える対処法が成立した場面である。

水中での反撃

キー・ウエストはレム・チャバンとの連絡が途絶えたことに激怒し、背後からジョディオを殴ってプールへ落とす。ウエスト・エンド・ガールは水中でジョディオをつかみ、さらにドラゴナも引き込む。多数の手で二人の頭部を挟み、圧力でジョディオの歯を抜けさせる。水中では呼吸と視界が制限されるため、標的は通常の接近戦より早く追い込まれる。

しかしプールには隙間だけでなく、浮力を持つビニールボールがあり、それが反撃の道具になる。

スムース・オペレターズによる封印

ドラゴナはビニールボールを水中へ沈め、浮力で自分の腕を水面へ持ち上げる。水面上へ出た腕を起点にノーヴェンバー・レインの攻撃を通し、スタンドの拘束を緩める。続いてスムース・オペレターズでボールの表面を移動させ、開口部を作ってウエスト・エンド・ガールを内部へ包む。開口部を閉じると、スタンドは隙間の少ないビニール球の中へ隔離される。

ドラゴナが球をプールの手すりへ打ち付けるたび、衝撃がキー・ウエストの全身へ返る。最後は頭部へ致命的な打撃を受け、キー・ウエストが意識を失ったことで戦闘不能になる。

強み

約25メートル離れた使用者を隠し、攻撃がどこから来るかを標的へ悟らせにくい。建物、家具、衣服、携行品には必ず継ぎ目や接触面があるため、人工物の多い場所ほど入口が増える。多数の手によって複数人を同時に拘束しながら、目的物や銃を扱える。狭い場所へ入るほど圧力を高められ、相手の防具や所持品を殺傷経路へ変えられる。

奪った物を持って小さな配管へ逃げられるため、盗取任務では追跡を切りやすい。

弱点と制約

最大射程は約25メートルであり、キー・ウエストは標的とスタンドの行動範囲から遠く離れられない。能力の高い圧力は隙間へ入った状態で発揮され、平らな表面を横切る間は像が露出して無防備になる。入口となる隙間をふさがれたり、進入先を限定されたりすると、移動経路そのものが罠になる。スタンドへ受けた打撃はキー・ウエストへ伝わり、長距離型でも本体への反動を避けられない。

目的物を運んでいる間は手の一部を保持へ割くため、攻撃と逃走を同時に続ける負担が増える。

他能力との相性

ノーヴェンバー・レインは広い面へ重い雨を落とし、隙間から出た像と逃走路をまとめて攻撃できる。スムース・オペレターズは物の表面や位置を移動させるため、スタンドを隙間から引き出し、容器の開閉を作り替えられる。チャーミング・マンの変装は使用者の発見には直結しないが、捜査官を制圧して帽子を外し、潜伏場所を露出させる助けになる。反対に、IDカードや衣服のような小物を多く身に着けた状態は、ウエスト・エンド・ガールへ入口を与える。

能力単体の相性だけでなく、戦場から隙間を減らせるか、利用可能な隙間を先に予測できるかが勝敗を分ける。

物語上の役割

ウエスト・エンド・ガールは、ジョディオたちが銀行員へ偽装してアッカへ近づいた計画の「隙間」へ入り込む敵である。正体を隠した侵入者たちはIDカードを信用の道具にするが、そのカードがチャーミング・マンを刺す武器へ変わる。キー・ウエストもHOWLER社の弁護士として振る舞いながら、溶岩を自分の利益へ持ち逃げしようとする。物理的な隙間と、組織内の裏切り、偽装の綻びが同じ戦闘で重ねられている。

圧倒的な力だけでなく、日常物の境界へ潜む見えにくさによって「隙間に潜む者たち」の不安を形にしたスタンドである。

関連項目

- キー・ウエスト- ジョディオ・ジョースター- ドラゴナ・ジョースター- チャーミング・マン

- ノーヴェンバー・レイン- スムース・オペレターズ- 溶岩- 「隙間に潜む者たち」