01ストーリー解説
夢の中で、まどかは廃墟と化した街に立ち尽くしている。崩れたビルの只中で、黒髪の少女・暁美ほむらがたった一人、巨大な異形の魔女に挑み、傷つき敗れていく。その隣に白い小動物・キュゥべえが現れ、「この結末を変えたいとは思わないか」「君がその気になれば、すべてを変えられるかもしれない」とまどかに語りかける。手を伸ばそうとした瞬間、彼女は目を覚ます。
ベッドで目覚めた鹿目まどかは、いつもの朝を迎える。母・詢子の出勤前にリボンの色を相談し、幼い弟・タツヤや父・知久と朝食をとる、ごく平凡で温かな家庭の風景が描かれる。先ほどの夢を「変な夢」として受け流しながら、まどかは見滝原中学校へと向かう。冒頭の終末的光景とのギャップが、この回の不穏さを静かに際立たせる。

通学路では親友の美樹さやか、上品なお嬢様の志筑仁美と合流し、三人で他愛もないおしゃべりをしながら登校する。明るい校舎、賑やかな教室、何の変哲もない日常が丁寧に積み上げられていく。まどかにとって当たり前の、平和で満ち足りた毎日が提示され、ここがやがて崩れていく「失われる日常」であることが後にわかる構成になっている。
その日、クラスに転校生・暁美ほむらがやってくる。黒く長い髪に冷たく整った美貌、教師に当てられた数式を黒板で完璧に解いてみせる才媛で、しかも体育まで万能。クラスメイトたちは彼女に羨望と好奇の視線を注ぐが、ほむら本人はどこか冷ややかで、まるで周囲を拒むかのよう。彼女はなぜか、まどかをじっと意味ありげに見つめている。

体調が悪いと申し出たほむらを、まどかが保健室へ案内することになる。二人きりの廊下や階段で、ほむらは唐突に「鹿目まどか……これでいいの? あなたは今のあなたのままでいたい?」「家族や友達を大切に思う?」と問いかける。そして「だったら、今の自分を変えようなんて思わないことね。そうしないと、何もかも失うことになる」と謎めいた警告を残す。
放課後、まどかはさやかと共にショッピングモールへ出かける。CDショップで音楽を試聴するなど、女の子らしい寄り道を楽しんでいたそのとき、まどかの頭の中に直接、助けを求める声が響き渡る。「助けて……」という弱々しいテレパシーのような呼びかけに導かれ、まどかは人気のない通用口やダクトの奥へと、声の主を探して足を踏み入れていく。

声をたどった先で、まどかは傷つき倒れたキュゥべえを発見する。だがそこへ暁美ほむらが現れ、なぜかキュゥべえを冷酷に始末しようとする。「その子から離れて」と迫るほむらに対し、まどかは怯えながらもキュゥべえを抱きかかえて庇い、駆けつけたさやかと共にその場から逃げ出す。ほむらの追撃を振り切るように、二人はエレベーターへと飛び込む。
逃げ込んだ先で、まどかとさやかを取り囲む空間が突如として歪み出す。壁や床がコラージュのように溶け、毒々しい色彩と不気味な切り絵じみた光景が広がる——魔女の結界である。意味不明な「使い魔」たちが二人にじわじわと襲いかかり、逃げ場を失ったまどかとさやかは、わけもわからぬまま恐怖のどん底へと追い詰められていく。

絶体絶命のその瞬間、上級生の魔法少女・巴マミが颯爽と現れる。彼女はドレス姿に変身し、無数のマスケット銃を次々と生み出して使い魔を撃ち倒し、二人を鮮やかに救出する。キュゥべえも事なきを得る。日常のすぐ裏側に魔女と魔法少女の戦いが潜んでいたという衝撃とともに、まどかとさやかの運命が大きく動き出すことを予感させて、第1話は幕を閉じる。


