Earth-982は、MC2(Marvel Comics 2)作品群の舞台となる未来世界です。『What If?』#105で初登場したメイ・“メイデイ”・パーカーが『Spider-Girl』の主人公となり、ピーター・パーカーとメリー・ジェーンの娘として、自分の世代のヒーロー活動を始めます。MC2は約15年後のマーベル世界を基本とし、引退や成長を経験した旧世代と、新しいアベンジャーズ、ファンタスティック・ファイブ、J2らが同時に存在します。破滅した未来ではなく、過去の遺産が家庭、学校、仕事と衝突する比較的明るい継承世界です。Earth-982は映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』のメイデイや、Earth-616の別のパーカー家と同一ではありません。
- 世界番号
- Earth-982
- 出版ブランド
- MC2(Marvel Comics 2)
- 起点
- 『What If?』(1989)#105
- 代表シリーズ
- 『Spider-Girl』(1998)、『A-Next』(1998)、『J2』(1998)
- 中心人物
- メイ・“メイデイ”・パーカー/スパイダーガール
- 時代
- 当時のEarth-616から約15年後を起点とする未来
- 主要制作陣
- トム・デファルコ、ロン・フレンツほか
- 注意
- 映画の幼児メイデイや他世界のスパイダーガールとは別人物・別連続性
01What If?からMC2世界が始まるまで
メイデイは『What If?』#105「もしスパイダーマンの娘がスパイダーガールになったら?」で登場します。単発の可能性を描く形式でしたが、人物と世界への反響を受け、1998年に『Spider-Girl』が創刊されました。そこから『A-Next』『J2』が並行し、共通の未来MC2が形成されます。
MC2はEarth-616の人物が年を取り、結婚、引退、子育てを経験した先を描きます。ただし後のEarth-616が必ず同じ未来へ到達するという予言ではありません。刊行時点の設定から分岐した独立世界であり、主世界の改変や経過によって人物の現在が変わっても、Earth-982の履歴は別に残ります。

ブランド名の「2」は単純な続編番号ではなく、次世代へ焦点を移す方針を示します。親のコードネームを受け継ぐ人物、悪役の子ども、過去と無関係な新顔が同じ社会で活動する。血縁だけを正統性にせず、継承した力を何へ使うかでヒーローを判断します。
02メイデイ・パーカーがスパイダーガールになる理由
メイデイはピーターとメリー・ジェーンの娘として育ち、運動能力の高い学生でした。十代になると壁に張り付く力、危険を察知する感覚、敏捷性が現れます。両親は能力の意味を理解しているからこそ、彼女を戦いへ出したくありません。秘密を知らない親との衝突ではなく、知りすぎている家族の対立です。
ピーターはグリーン・ゴブリンとの最後の戦いで片脚を失い、ヒーロー活動から退いています。彼にとってスパイダーマンは誇りだけでなく、家族を危険へ巻き込み続けた仕事です。メイデイがベン・ライリーの衣装を着る行為は、父を否定する反抗でも、完全な再現でもありません。家族の経験を知った上で自分の責任を選びます。

メリー・ジェーンは娘の意思とピーターの恐怖の間に立ちます。危険を軽視せず、禁止だけで解決しないことも理解する。MC2のスパイダー物語は、正体を隠して孤独に耐える青年期ではなく、秘密を共有する家族がどこまで支え、どこで本人に判断を返すかを中心にします。
03ピーターの引退と旧世代の現在
Earth-982のピーターは能力を失ったわけではありませんが、負傷と家族への責任から第一線を退き、警察の科学捜査に関わります。完全な隠居ではなく、経験と知識を別の方法で社会へ使う。メイデイの活動が進むと、訓練や装備、判断の助言を通して父としての役割を作り直します。
旧世代のヒーローも同じ姿では残りません。引退、死亡、役職変更、家庭生活を経て、新世代へ直接または間接に影響します。MC2は全員を若いまま並べる共有世界ではなく、時間が身体と制度を変えた後を描く。だから新チームは旧メンバーの単純な代役ではありません。

過去の悪役の遺産も残ります。ゴブリンの名、犯罪組織、科学技術、家族の恨みが次世代へ渡り、子どもが親と同じ道を選ぶとは限らない。メイデイ自身もパーカー家とオズボーン家の歴史へ巻き込まれますが、相手の出自だけで敵味方を決めない姿勢を学びます。
04A-Next、J2、Fantastic Fiveが示す継承
『A-Next』では、アベンジャーズの名が新しい構成で復活します。スティンガー、サンダーストライク、メインフレーム、J2らは、旧メンバーとの血縁や装備を持つ者もいれば、別の経路から参加する者もいます。名を受け継ぐだけではチームにならず、危機のなかで指揮と信頼を作り直します。
J2ことゼイン・ヤマはジャガーノートの息子で、変身によって巨大な力を得ます。父の悪名は周囲の評価へ影響しますが、本人の選択を決定しません。荒々しい力を持つ若者が、家族史から逃げるだけでなく、他者を守る行動で新しい意味を与える。MC2の世代交代を端的に示す人物です。

Fantastic Fiveはファンタスティック・フォーの家族と冒険の構造を未来へ広げます。人数が四人から変わっても、科学、探索、家族の衝突という核は続く。各シリーズが相互に登場人物を行き来させるため、Earth-982はスパイダーガール一人の背景ではなく、複数チームが同じ時間を共有する世界になります。
05明るい未来にも存在する喪失と責任
Earth-811やEarth-807128と比べ、Earth-982は社会全体が崩壊した未来ではありません。学校、家庭、メディア、ヒーローチームが続き、若者は世界の終末だけでなく進路や友人関係に悩みます。この日常があるから、戦う理由は生存だけでなく、受け取った社会を次へ渡す責任になります。
一方で、旧世代の負傷や死、メイデイの危険、家族の秘密が軽く扱われるわけではありません。明るさは苦痛がないという意味ではなく、喪失後も人間関係を修復できる余地が大きいことです。ピーターが娘を信じるまでの時間や、メイデイが失敗後に活動へ戻る過程が世界の基調を作ります。

長期連載となった『Spider-Girl』では、短期企画の設定紹介を越え、メイデイ自身の敵、友人、恋愛、チーム経験が蓄積します。親の物語を繰り返すだけなら世代交代は成立しません。父の読者に理解できる入口を残しながら、娘の判断が次の連続性を作る点にシリーズの強さがあります。
06他のメイデイ、スパイダーバース、映像版との区別
多元宇宙作品では、メイ・パーカーやスパイダーガールの名を持つ別人が登場します。Earth-982のメイデイは、1998年から長期連載を持つ十代のヒーローです。幼児、別衣装、別の両親の経歴を持つ人物を、名前だけで同一人物と判断しないよう世界番号を確認します。
コミックの『Spider-Verse』ではEarth-982の人物も多元宇宙規模の危機へ巻き込まれます。その際も出身世界で築いた家族史は保持され、イベント用の一時的な変異体へ置き換わりません。クロスオーバーから入る場合は『What If?』#105と『Spider-Girl』#1へ戻ると、彼女が守ろうとする生活を理解できます。

映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』に登場するピーター・B・パーカーの娘メイデイは幼児で、Earth-982の十代ヒーローと同一ではありません。映画の世界番号表記とコミックの分類も常に一致しないため、媒体、年齢、両親の経歴、初出作品の四点で区別します。