ANNA MOVIES 映画あらすじ
ジョーカーのポスター8.3/10

IMDb 91位 ・ 2019

『ジョーカー』のあらすじ

笑いの発作を抱え、母と暮らす派遣道化師アーサー。仕事、治療、憧れを一つずつ失った彼の犯罪は、格差に揺れるゴッサムで本人の意図を超えた意味を持ち始める。

  • クライム映画
  • スリラー映画
  • ドラマ映画
  • サイコスリラー
8.3IMDb評価(10点満点)1.7M件・取得時点

『ジョーカー』のあらすじ【ネタバレなし】

1981年のゴッサム・シティ。アーサー・フレックは派遣ピエロとして働き、病気の母ペニーを介護しています。緊張すると自分の意思に反して笑い続ける発作があり、福祉のカウンセリングと薬に頼る生活です。それでもコメディアンを夢見て、人気司会者マレー・フランクリンの番組へ出演する自分を思い描いています。

街では失業と貧困が広がり、アーサーも仕事中の暴行、同僚の裏切り、福祉予算の削減に追い詰められます。護身用に渡された拳銃を持つ彼は、地下鉄で三人の男に襲われた夜、取り返しのつかない一線を越えます。犯人のピエロ姿は富裕層への反発の象徴となり、無名だったアーサーは社会の熱狂と自分自身の変化に巻き込まれていきます。

詳しいあらすじ【ネタバレあり】

地下鉄の殺人とピエロ運動

同僚ランドルから渡された拳銃を小児病棟で落とし、アーサーは解雇されます。帰りの地下鉄で発作を嘲られ、ウェイン証券の社員三人から暴行を受けると、二人を反射的に撃ち、逃げた一人も追って殺します。実業家トーマス・ウェインは犯人を非難しますが、貧しい市民は事件を格差への反撃と受け止め、ピエロの仮面を掲げます。

母の秘密と崩れる現実

ペニーの手紙から、自分がトーマスの息子かもしれないと知ったアーサーはウェイン家へ向かいます。しかしトーマスは、アーサーは養子で、ペニーには妄想障害の病歴があると告げます。病院の記録には、幼いアーサーがペニーの恋人から虐待され、母がそれを放置した事実が残されていました。隣人ソフィーとの恋愛も実際には起きておらず、彼の願望だったことが示されます。アーサーは入院中の母を窒息死させます。

生放送へ向かうジョーカー

マレーの番組はアーサーの舞台映像を笑いものとして放送し、反響を受けて本人を招待します。出演当日、アーサーはランドルを殺す一方、自分に親切だったゲイリーは帰します。緑の髪と化粧を施し、自らをジョーカーと紹介してほしいと頼んだ彼は、当初予定していた自殺ではなく、地下鉄殺人を告白して社会とマレーへの怒りを語ります。

結末を解説【ネタバレ】

マレーが殺人を正当化するなと批判すると、アーサーは生放送で彼を射殺します。逮捕され護送される途中、暴徒の車がパトカーへ衝突。救い出されたアーサーは車上に立ち、自分の血で笑顔を描き、ピエロ姿の群衆から喝采を受けます。同じ暴動の中、トーマスと妻マーサは路地で殺され、息子ブルースだけが残されます。

最後は施設内でカウンセラーと話すアーサーへ移ります。彼は思いついた冗談を相手には理解できないと言い、血の足跡を残して廊下を歩きます。暴動後の現実なのか、どこまでが彼の語った物語なのかを断定せず、個人の悲劇が群衆の象徴へ変換された不穏さを残します。

人物の選択と物語の仕組み

福祉面談と七種類の薬

アーサーは市の福祉担当者と定期的に面談し、日記を見せながら七種類の薬を服用していると話す。苦しいと訴えても担当者は決められた質問を読み上げ、彼が以前より悪化しているという感覚へ具体的な支援を返せない。

やがて予算削減で面談と処方が打ち切られる。担当者自身も制度から切り離される側であり、冷淡な一人の失敗ではない。アーサーは治療を拒んで薬をやめたのではなく、継続する経路を失い、街で一人の時間を増やしていく。

看板を奪われても笑いが止まらない身体

ピエロ派遣の仕事中、少年たちに店の看板を奪われたアーサーは路地まで追い、看板で殴られる。倒れた彼を囲んで蹴る者はいても、通行人は立ち止まらない。仕事道具の弁償まで求められ、被害を説明する言葉も疑われる。

彼には緊張や苦痛で笑いが出る症状があり、誤解を避けるため説明カードを携帯している。本人が楽しんでいない笑いを周囲は嘲笑や挑発と受け取る。内面と表情が一致しない身体が、助けを求める場面でさらに孤立を作る。

ランドールが渡す拳銃と解雇

同僚ランドールは身を守れと拳銃を渡し、代金は後でよいと言う。アーサーは職場へ銃を持ち込み、病院で子どもたちを楽しませる最中に床へ落としてしまう。説明する前に仕事を外される。

ランドールは自分が渡した事実を隠し、アーサーが購入を頼んだと上司へ話す。善意に見えた接近が責任回避へ変わり、彼は収入と職場の居場所を同時に失う。銃だけは手元に残り、次の衝突へ持ち越される。

地下鉄の三人を撃つ境界

帰宅中の地下鉄で、証券会社に勤める三人の男が女性へ絡み、笑い出したアーサーを標的に変える。床へ倒されて蹴られた彼は拳銃を抜き、二人を車内で撃つ。逃げた一人もホームから階段まで追って殺す。

最初の発砲は暴行から逃れる反応でも、最後の追跡は目前の危険を越えている。駅のトイレへ入った彼は慌てて逃走せず、ゆっくり踊り始める。恐怖の後に自分が状況を支配した感覚を得たことが、以後の姿勢を変える。

ピエロの仮面へ拡大する殺人事件

被害者が富裕層の会社員だったため、トーマス・ウェインは犯人を妬みに動かされた臆病者と呼ぶ。その発言に反発する市民はピエロの仮面を着け、格差への抗議を始める。アーサーの個人的な犯行は、本人の意図を離れて政治的な象徴になる。

彼は群衆を組織せず、事件の責任も公表しないまま、テレビで自分の行為が語られるのを見る。社会に無視されてきた人物が、名を伏せた殺人によって初めて影響を感じる。承認と暴力が結びつき、後の告白を準備する。

母の手紙が示すウェイン家との関係

母ペニーはトーマス・ウェインへ救いを求める手紙を書き続け、アーサーに投函させる。彼が封を開けると、自分はウェインとの間に生まれた息子だという記述がある。貧しい暮らしから抜ける希望が、知らなかった父の存在へ集中する。

ペニーは二人の関係を秘密にする書類へ署名させられたと説明する。アーサーは母を疑いながらも、これまで得られなかった家族の答えを信じたい。真偽を確かめるためウェイン邸へ向かい、門の外で幼いブルースと出会う。

劇場の洗面所で拒まれる父子関係

アーサーは抗議デモへ紛れて劇場へ入り、洗面所でトーマス本人へ話しかける。トーマスはペニーが妄想を抱いていた雇用人で、アーサーは養子だと告げる。接近をやめなければ警察へ通報すると警告し、殴り倒す。

アーサーが求めたのは金だけでなく、一度抱きしめられることである。返されたのは家族関係の否定と母の病歴だった。権力者の説明が正しくても、彼には確認できる資料がなく、侮辱された感覚だけが残る。

アーカムの記録に残る養子と虐待

州立病院の職員から記録を奪い、アーサーは自分が養子であることを知る。書類には、ペニーの交際相手が幼い彼を縛って暴行し、母がそれを放置したとある。頭部外傷も記録され、幸福な子だったという母の話が崩れる。

トーマスが記録を偽造した可能性を完全には排除できないが、写真や新聞資料は母の説明と一致しない。アーサーにとって決定的なのは、唯一自分を愛したと思っていた相手が、苦痛を見ないことにした事実である。帰宅後、彼は病床の母を窒息させる。

ソフィーとの関係が空想からほどける夜

同じ階のソフィーはエレベーターで短い会話を交わし、アーサーの公演や母の入院にも付き添ったように描かれる。彼は恋人として受け入れられたことで、日常が変わり始めたと感じる。

しかし彼女の部屋へ入ると、ソフィーは怯え、娘が寝ているから帰ってほしいと頼む。これまでの親密な場面が彼の想像だったと分かる。現実にあったのは最初の挨拶程度で、支えとしていた関係まで自分の内側だけに存在していた。

失敗した舞台が番組の笑いになる

アーサーはコメディクラブの舞台へ立つが、緊張による笑いが止まらず、用意した話へ入れない。ようやく話しても客席の反応は薄い。それでも自分が挑戦した記録として受け止めようとする。

後日、人気司会者マレーの番組が映像を取り上げ、才能のない芸人の例として全国へ流す。憧れていたマレーは、空想の中では父親のように彼を抱きしめた人物である。その相手が視聴率の素材として失敗を使ったため、出演依頼は承認と復讐の両方になる。

ランドールとゲイリーを分ける応対

テレビ出演の準備中、元同僚のランドールとゲイリーが訪ねてくる。ランドールは警察へ何を話したか探り、自分に不利な証言をしないよう求める。アーサーは隠していた刃物で彼を殺す。

小柄なゲイリーには、自分へ親切だったのは君だけだと言って帰す。玄関の鍵へ手が届かず助けを求める彼へ扉を開けるため、殺害直後にも相手の困難を認識している。無差別な狂気ではなく、恨みと好意を選別する判断が残っている。

階段の踊りと追跡する刑事

化粧と赤い衣装を整えたアーサーは、毎日重い足取りで上っていた階段を踊りながら下りる。困窮した市民として帰宅する通路が、ジョーカーとして街へ出る舞台へ変わる。

そこへ地下鉄事件を追う刑事が現れ、彼は仮面のデモ隊で混雑する列車へ逃げ込む。刑事の発砲で乗客が負傷し、群衆は警察へ襲いかかる。本人が直接命令しなくても、彼の装いと事件が生んだ混乱が逃走を助ける。

生放送でジョーカーと名乗る選択

控室でアーサーは、自分を紹介するときジョーカーと呼んでほしいとマレーへ頼む。番組側が嘲笑に使った呼び名を自分の名前として引き取る。登場時には踊り、客へキスし、用意した冗談を始める。

会話が地下鉄事件へ移ると、彼は三人を殺したと認める。政治運動の代表ではなく、自分を踏みつけた者への怒りだったと話し、社会が善悪を都合よく決めると非難する。匿名の象徴でいる道を捨て、公の責任と注目を同時に得る。

マレー射殺と暴動の祝祭

マレーは苦しみを理由に殺人を正当化できないと反論し、アーサーを問い詰める。アーサーは自分を放送へ呼んだのも笑いものにするためだと言い、考えていた最後の冗談として司会者を撃つ。

逮捕後の護送車から彼は燃える街を眺める。救急車が車へ突入し、仮面の群衆が彼を運び出す。同じ頃、路地では暴徒がトーマス夫妻を殺す。個人的な復讐を越えて広がった暴力が、本人の知らない家族史まで変える。

血の笑顔と病院の廊下

意識を戻したアーサーは群衆の前に立ち、口から出た血で笑顔を描く。観客から存在を認められる夢が、殺人と暴動の中心で実現する。喝采は彼の回復ではなく、破壊を続ける役割への固定でもある。

後の病院で彼は面談相手を見て笑い、思いついた冗談は理解できないだろうと言う。廊下には血の足跡が残り、職員が追いかける。出来事が事実か回想かを閉じず、彼が語る物語を誰が制御できるのかという不確かさを残す。

ペニーを看病する生活と笑顔の命令

アーサーは高齢の母の食事、入浴、郵便を支え、二人でマレーの番組を見る。ペニーは息子をハッピーと呼び、人を笑わせるために生まれたと繰り返す。彼の芸人志望は自分だけの夢でなく、母から与えられた役割でもある。

しかし本人が苦しい時にも、その呼び名は明るく振る舞うことを要求する。母を守る関係と、母の言葉に自分の価値を預ける関係が重なる。病歴を知った後の殺害は、依存していた唯一の物語まで壊す行為となる。

日記に書かれた笑わせたい願い

面談へ持参するノートには、冗談の案と苦痛の記録が同じページに並ぶ。観客を喜ばせたいという文のそばへ、自分の死が人生より意味を持つのではないかという考えも書かれている。

舞台で読む材料を集める作業が、誰にも話せない感情の保管場所になっている。マレーの番組に出る時もノートを持ち込み、最後の冗談を準備する。言葉でつながるための道具が、公開の暴力を演出する台本へ変わる。

ゴッサムのごみと止まった公共サービス

清掃業者のストライキで街路にはごみ袋が積み上がり、地下鉄や福祉窓口も余裕を失っている。アーサー個人の部屋だけでなく、都市全体が手入れを止めた状態として映る。

ごみの山は人を犯罪へ変える直接原因ではないが、困窮する者を見ない仕組みを可視化する。富裕層の宴会と路上の荒廃が同じ街にあり、地下鉄殺人を契機に溜まった不満が仮面の群衆へまとまる。

写真の裏に残るトーマスの署名

母の持ち物を調べたアーサーは、若いペニーの写真の裏に、笑顔が好きだという文とトーマスの頭文字らしき署名を見つける。病院の記録が示す養子の事実とは別に、二人の間に何らかの親密さがあった可能性を残す。

それが恋愛の証拠でも父子関係の証明でもないため、真相は確定しない。権力者の説明、母の妄想、書類の記録のどれか一つへ完全に寄りかかれず、アーサーは自分の出自を整理できないままジョーカーの名を選ぶ。

物語が描くもの

見られることへの渇望

アーサーが求めるのは名声以前に、自分の苦痛を誰かに認識してもらうことです。支援者、母、観客、憧れの司会者が彼を理解せず、笑いの対象にするほど、注目と暴力が結びつきます。

個人と社会の共振

映画は犯罪の原因を一つに還元しません。病、虐待、孤立、行政の縮小、格差が重なる一方、アーサーの選択の責任も消しません。群衆は本人の事情を知らず、都合のよい象徴としてジョーカーを受け取ります。

この映画の見どころ

  • 地下鉄事件の後、無人の洗面所で踊るアーサー
  • 病院記録によって出生と虐待の記憶が覆る場面
  • 階段を踊りながら下りるジョーカー
  • マレーの生放送と暴動が交差する終盤

こんな人におすすめ

  • 犯罪者の心理と社会背景を切り離さず考えたい人
  • 信頼できない視点を用いた物語が好きな人
  • コミック原作を現実的な人物劇として見たい人

『ジョーカー』のよくある質問

ソフィーはアーサーの恋人だったのですか?

いいえ。親しく過ごした場面の多くはアーサーの妄想で、実際のソフィーは彼をほとんど知りません。

アーサーはトーマス・ウェインの息子ですか?

病院記録では養子で、ペニーの主張は妄想とされています。ただし映画は記録の背景まで完全には保証しません。

最後の場面は何を示しますか?

アーサーが施設に収容され、なお暴力を続けた可能性を示します。同時に、直前までの出来事を彼の語りとして疑う余地も残します。