エースは、海賊王ゴール・D・ロジャーが愛用したカトラス型の刀である。世界に十二工しかない「最上大業物」の一振りに数えられ、ロジャーが大きな戦いへ臨む際の主武装になった。湾曲した刀身、金色の丸い鍔、黄色系の柄、黒い鞘を備え、拳銃と併用される場面もある。
同じ「エース」という名を持つポートガス・D・エースとは別項目である。刀の名称と位列は本編の台詞ではなく、公式キャラクター資料「VIVRE CARD」で明かされた。ロジャーが息子の名を決める際に愛刀を意識したかどうかは説明されておらず、同名である事実から命名理由まで断定できない。
基本情報
- 日本語名:エース
- 英語表記:Ace
- 種別:カトラス型の刀
- 位列:最上大業物十二工
- 使用者:ゴール・D・ロジャー
- 主な使用場面:ゴッドバレー事件、エッド・ウォー海戦、光月おでんとの遭遇、白ひげとの激突、最後の航海
- 確認できる技:神避
- 初登場:原作第0話「STRONG WORLD」
- 名称・位列の初出資料:VIVRE CARD(ロジャーのキャラクターカード)
- 現在の所有者・所在:不明
- 正史区分:原作漫画の正史に存在。アニメ版では彩色・細部表現に差がある
刀の「最上大業物」は、所有者の強さを測る称号ではなく、作中世界の名刀に与えられた最高位の分類である。ロジャーが強大な覇気を込めて使った事実と、刀そのものの位列は分けて考える必要がある。
外見
刀身は一般的な日本刀より幅があり、先端へ向けて緩やかに反る。海賊を象徴するサーベルに近い輪郭だが、公式分類では名刀の位列へ含まれる。刃には波または鋸歯を思わせる模様が走り、単色の直線的な刃ではない。
柄は黄色系で、菱形が連なるような模様を持つ。鍔は金色の半球状で、手を守る細い護拳が柄の前方へ伸びる。鞘は黒く、携行時には腰へ帯びる。ロジャーの赤い船長服、帽子、口ひげと並んで描かれるため、人物の輪郭を識別する道具にもなっている。
第0話を映像化した『ONE PIECE FILM STRONG WORLD EPISODE:0』では、後に確立した意匠と一致しない簡略化された刀として描かれる箇所がある。制作時点で名称と設定画が公表されていなかった可能性はあるが、作中設定として別の愛刀へ持ち替えたと決めつけない。媒体と制作時期によるデザイン差として記録するのが安全である。
最上大業物十二工
『ONE PIECE』の名刀には、最上大業物、大業物、良業物、業物などの位列がある。エースはその最上位である「最上大業物十二工」に属する。十二工という名称は、同格の刀が世界に十二あることを示すが、全名称が同時に明かされたわけではない。
判明している同格の武器には、ジュラキュール・ミホークの黒刀「夜」、エドワード・ニューゲートの薙刀「むら雲切」などがある。刀身の形や使用法は異なり、最上大業物がすべて日本刀型であるわけではない。
エースはロジャーの戦闘で損傷した描写がなく、ニューゲートのむら雲切と激突する場面にも耐えている。ただし、その耐久力のすべてを刀の位列だけで説明することはできない。ロジャー自身の武装色・覇王色の覇気が防御と攻撃へ作用し、武器を保護した可能性を含むためである。
刀工、製造地、製造年代、黒刀かどうかは明かされていない。黒い鞘と黒刀は別の要素であり、鞘の色から「エースは黒刀」と分類しない。
ロジャーの主武装
ロジャーは悪魔の実の能力者としてではなく、剣と拳銃、そして強大な覇気を使って戦う姿が描かれる。エースはその剣撃を受け止める主武装であり、儀礼用の飾りではない。片手で振るう場面が多く、もう一方の手に火縄式の拳銃を持つ場合もある。
エッド・ウォー海戦では、ロジャー海賊団が金獅子のシキ率いる大艦隊に包囲される。第0話のロジャーはエースと拳銃を構え、圧倒的な戦力差を前に逃げず戦う。この時点で刀名は作中に表示されないが、後発資料によって同じ愛刀として整理された。
ロジャーの戦い方を「剣士」の一語だけで定義できるかは、作中で明言されていない。剣を主武装として高度に扱うのは確かだが、拳銃、覇気、徒手の戦闘を含む人物である。エースの記事では刀の使用事実を記録し、作品内で与えられていない流派や称号を補わない。
ゴッドバレー事件
ゴッドバレー事件を描く回想では、若いロジャーが刀を携え、海軍のガープやロックス海賊団が関わる戦場へ入る。初期の短い回想と後に追加された詳細な回想では、武器の描写が完全には一致しない。後発の場面では、エースと同じ意匠を持つ刀を当時から使用していたことが確認できる。
年代上、ゴッドバレー事件はロジャーが海賊王と呼ばれるより前である。つまりエースは、最後の航海だけで手にした記念品ではなく、少なくともロジャーの全盛期に長く携行された武器だった。最新の回想で入手時期や戦闘が追加される場合は、単行本化された日本語版のコマを基準に年表を更新する必要がある。
事件の勝敗やロックス・D・ジーベックとの戦いを、刀単独の戦果として数えない。ロジャーとガープをはじめ多数の勢力が交錯した事件であり、エースが誰へどの傷を与えたかは、明示された攻撃だけに限定する。
「神避」と光月おでん
ロジャーが名称を示して放った代表的な剣技が「神避」である。白ひげ海賊団と遭遇した際、光月おでんが先行して斬りかかると、ロジャーはエースを振り、離れた位置から強烈な一撃を放った。おでんは両刀で防ごうとしたが、大きく吹き飛ばされる。
神避は刀身で相手を直接切断するだけの技としては描かれない。振り抜いた方向へ強い衝撃が走り、覇気を伴って対象を押し飛ばす。ロジャーの死後、シャンクスも同名の技を使うが、同じ刀を継承したことは示されていない。技の継承と武器の継承は分ける。
エースに「神避を自動的に発生させる能力」があるわけでもない。技を成立させるのはロジャーの剣技と覇気であり、別の人物が刀を持てば同じ威力を出せるとは限らない。刀固有の特殊能力、悪魔の実、意思が明示されたこともない。
白ひげとの激突
おでんへの一撃の後、ロジャーはエドワード・ニューゲートと正面から激突する。エースとむら雲切は互いの刃が直接触れる寸前で止まりながら、周囲へ巨大な衝撃を広げた。覇王色の覇気を武器へまとわせた最高水準の衝突として描かれ、空間には黒い稲妻のような表現が走る。
ここで注目されるのは、二本の最上大業物が単に硬さを競ったわけではない点である。武器を介して二人の覇気がぶつかり、接触せず周囲を吹き飛ばす。エースの性能はこの力を受け止める器として重要だが、衝撃の規模をそのまま刀固有の攻撃力へ置き換えない。
ロジャー海賊団と白ひげ海賊団の戦いは数日に及び、その後は物資交換と宴へ移る。エースは決闘後もロジャーの手元にあり、折れや欠けは描かれていない。おでんがロジャーの船へ同行した後も、ロジャーは最後の航海でこの刀を携行する。
最後の航海
ロジャー海賊団は、ロードポーネグリフを追い、世界一周を成し遂げる。航海中のロジャーはエースを腰に帯び、戦闘時以外でも自分の装備として保持している。船員へ譲渡した描写や、ラフテルで置いてきた描写はない。
ロジャーは航海後に船員と別れ、自ら海軍へ出頭し、ローグタウンで処刑された。処刑台へ上がる際には武器を持っていない。出頭前にエースを誰かへ託したのか、海軍が押収したのか、船や財宝とともに隠したのかは現在まで不明である。
候補としてシルバーズ・レイリーやシャンクスを挙げる考察はできても、所持者として台帳へ登録する根拠にはならない。ロジャーの死後にエースが使用された場面もなく、現在地は「不明」とする。
ポートガス・D・エースとの同名
ロジャーは、自分の子が男子なら「エース」、女子なら「アン」と名付ける意向を示していた。実際に生まれた息子はポートガス・D・エースと名付けられる。父の愛刀も同じ「エース」だが、ロジャーが刀にちなみ息子の名を選んだという説明はない。
検索や索引では二つを明確に分ける必要がある。「エース」だけなら人物記事を主要候補にし、本項は「エース(刀)」「ロジャーの愛刀エース」「最上大業物エース」から到達できるようにする。人物の戦歴、メラメラの実、白ひげ海賊団での活動を本項へ混ぜない。
刀の擬人化は単行本第108巻のSBSで描かれた。柄を思わせる髪型、口ひげ、サングラスを持つ中年男性風の姿で、神避に言及する。これはSBSの遊びとしての擬人化であり、刀に人間の人格が宿るという本編設定ではない。
判明していないこと
エースには重要な空白が残る。
- 刀工と製造地
- ロジャーが入手した正確な時期と経緯
- 名前を付けた人物
- 黒刀化しているかどうか
- 刀固有の性質・能力の有無
- ロジャー処刑前後の移動
- 現在の所有者と保管場所
- 息子エースの命名との直接的な関係
これらは「海賊王の愛刀」という重要性から推測されやすいが、未判明であること自体が現在の正確な情報である。新しい回想、SBS、VIVRE CARDの改訂で明かされた場合は、初出資料と既存描写の整合を確認して更新する。
関連項目
- ゴール・D・ロジャー
- ロジャー海賊団
- ポートガス・D・エース
- 覇気
- 光月おでん
- シャンクス
- シルバーズ・レイリー
- むら雲切
- 夜
- ジュラキュール・ミホーク
- エッド・ウォー海戦
- ゴッドバレー
- ゴッドバレー事件
- 能力・覇気・戦闘様式一覧


