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ONE PIECE百科事典ANNA MOVIES

人物

アーロン

アーロンは、『ONE PIECE』に登場する魚人の海賊で、異名は「ノコギリのアーロン」。ノコギリザメらしい鋸歯状の長い鼻と、折れても瞬時に生え変わる歯を持つアーロン一味の船長で、東の海のコノミ諸島を本拠とした。

アーロンは、『ONE PIECE』に登場する魚人の海賊で、異名は「ノコギリのアーロン」。ノコギリザメらしい鋸歯状の長い鼻と、折れても瞬時に生え変わる歯を持つアーロン一味の船長で、東の海のコノミ諸島を本拠とした。ナミの故郷ココヤシ村を八年間支配し、養母ベルメールを殺した因縁の相手として、アーロンパーク編ではモンキー・D・ルフィとの決戦に敗れている。

初登場は原作第69話、TVアニメ第31話。かつてはタイヨウの海賊団の一員としてフィッシャー・タイガーやジンベと同じ船に乗り、タイガーの死をきっかけにインペルダウンへ収監された後、ジンベの王下七武海入りに伴う恩赦で自由になり、一味を率いて東の海へ進出した。人間を劣った種と見下す彼の思想は、後の世代のホーディ・ジョーンズに受け継がれ、魚人島編で「憎悪の連鎖」の起点として描き直される人物である。

基本情報

  • 名前:アーロン
  • 異名:ノコギリのアーロン
  • 種族:魚人(ノコギリザメ)
  • 所属:アーロン一味船長。元タイヨウの海賊団
  • 年齢:39歳(初登場時)/41歳(2年後)
  • 誕生日:5月3日
  • 身長:263cm
  • 血液型:F
  • 出身:魚人島の魚人街
  • 懸賞金:2000万ベリー(東の海最高額。麦わらの一味が世に出るまで)
  • 武器:鋸歯状の鼻、生え変わる歯、大刀キリバチ
  • 声優:小杉十郎太(アニメ)。実写版はマッキンリー・ベルチャー三世、日本語吹替は東地宏樹

淡い水色の肌に黒い長髪、頭には毛皮の帽子を載せ、首の後ろには魚人の鰭とえらが残る。左の胸にはタイヨウの海賊団の刺青、左の前腕にはアーロン一味の海賊旗の印が入る。開襟の黄色いシャツに紫の帯、サンダルという装いで、指に見える輪っかは指輪ではなく水かきのある手に通したピアスだと作者がSBSで答えている(第12巻)。魚人の腕力は人間の十倍とされ、水中ではさらに上乗せされる。家屋を素手で持ち上げ、鉄や石を噛み砕く顎の力が、彼の「人間は下等」という思想を裏付ける物理的な根拠になっていた。

懸賞金の2000万ベリーは、当時の東の海では最高額だった。ただし本人の力について、賞金稼ぎのヨサクは「東の海最強の軍事力とされるクリークより上」と評し、海軍がより脅威と見なしたのは巨大な艦隊を擁するクリークの側だったという(第69話)。アーロンは海軍大佐ネズミを賄賂で抱え込んでいたため、手配書の額が実際の危険度を映していなかった面もある。

一味の幹部は魚人街時代からの仲間で固められている。六刀流のタコ魚人はっちゃん、水鉄砲のチュウ、魚人空手のクロオビが主力で、海獣のモームも飼っていた。アーロンは幹部を「兄弟分」と呼び、仲間が倒されると露骨に怒りを見せた。魚人への情は本物で、はっちゃんは「アーロンはどんな時も魚人には手を出さない」と証言している(第627話)。仲間思いと人間への無残さが同居する点が、この人物の恐ろしさである。

魚人街で育った孤児時代

アーロンの生い立ちは魚人島の貧民街、魚人街である。幼くして父に捨てられ、父の顔も覚えていなかった。15歳のとき、父を名乗る男が現れて母親の違う幼い少女を置いていった。これが後の占い師シャーリーで、異母妹としてアーロンは少女の面倒を見た(SBS第67巻)。

同じ魚人街にはジンベ、マクロ、フィッシャー・タイガーも育った。若い頃のアーロンは、はっちゃんやチュウ、クロオビとともに海の向こうのシャボンディ諸島にある遊園地の観覧車を眺め、人間たちの豊かな暮らしを羨んだ記憶を持つ(第499話・第620話)。25歳のときに自らの海賊団を旗揚げしている(第621話)。魚人島では人間と仲良くする住民を襲ってはジンベに止められ、幼いホーディ・ジョーンズらに人間への憎しみを吹き込んでいた(第644話)。羨望が憎悪へ転じる構図は、この頃からすでに形をとっている。

タイヨウの海賊団での日々

フィッシャー・タイガーがタイヨウの海賊団を結成すると、アーロンは自分の一味ごとジンベとともに合流した。船上では一貫して人間への敵意を隠さず、乗せることになった人間の少女コアラには「人間だから」という理由だけで手を上げ、はっちゃんに取り押さえられている。

ただし、この時期のアーロンは残虐一辺倒ではなかった。海軍との戦いでは、意識を失った敵をなお殴り続けるジンベを制止する場面もある(第621話)。タイガーは「殺し合えば同じになる」と二人を戒め、人間を殺さない方針を貫いたが、アーロンは恐怖で支配するやり方を提案してジンベに殴られた。船長への敬意と、方針への不満が、彼の中では別々に置かれていた。

タイガーの死とインペルダウン、そして釈放

タイガーはコアラの故郷フールシャウト島で住民の裏切りに遭い、海軍に致命傷を負わされた。船上で仲間が人間の血による輸血を勧めたが、かつて奴隷だったタイガーはそれを断って死んだ。この事実は後の憎悪の核になる。

復讐に燃えたアーロンはフールシャウト島へ戻り住民を皆殺しにしようとしたが、当時中将だったボルサリーノに敗れて捕縛された(第623話)。G-2基地での尋問では「タイガーは人間に輸血を拒まれたせいで死んだ」と偽証している。本当は断ったのがタイガー本人だったが、船長の名誉を守るため、憎しみの物語を公式記録に残したのである。そのまま大監獄インペルダウンへ送られた。

転機はジンベの王下七武海加入だった。加入に伴う恩赦でアーロンは釈放され、作中で確認できる限り、インペルダウンから放免された唯一の人物となった(第624話)。釈放されたアーロンは「政府の犬になった」ジンベを憎み、船長の座に戻ると宣言して殴り合いを挑む。結果は完敗だったが、ジンベは彼を殺さず見逃した。ジンベがアーロン一味を東の海に野放しにした判断は、本人が後にナミへ謝罪するほどの悔恨になった(第627話)。ヒョウゾウへの勧誘は報酬の安さで断られ、バンダー・デッケン9世にも「人の下には就かない」と断られている(第615話)。

ココヤシ村の八年間

東の海へ移ったアーロン一味が最初に目をつけたのがココヤシ村だった(第77話)。村ごと人頭税を課し、大人は一人10万ベリー、子どもは5万ベリー。払えなければ殺す取り立てだった。ナミとノジコの養母ベルメールは、手持ちの10万ベリーで娘二人分を支払い、自分の分を放棄する形をとった。アーロンは抵抗したベルメールを村人たちの面前で拳銃で撃ち殺している(第78話)。

このときアーロンは、ナミが描いた精密な海図を見て彼女を一味へ引き込む。「1億ベリーで村を買い戻せ」という約束を交わし、ナミは八年かけて海賊から盗んだ金を貯め続けた。その金が支払いに充てられる直前、アーロンは結託する海軍大佐ネズミに隠し場所を知らせ、「海賊から盗んだ金」の押収という名目で全額を奪わせた。「約束は破らない」と言いながら文言の隙を突くのが彼のやり方で、約束を守る気は初めからなかった(第79〜80話)。

乗ってきたガレオン船を解体して建てた八階建ての本拠アーロンパークから、周辺の村々を束ねて東の海制覇を狙った。ナミが描き溜めた水中地形の海図は、その侵略計画の中核だった(第79話)。ネズミへの賄賂は常態化し、東の海最高額の懸賞金首でありながら取り締まられない構造を自力で作っていた。

「金」と取り引きで縛る支配のしかた

アーロンの思想は「魚人は人間より高等だ」という一点に尽きるが、人間への実際の態度は単純な虐殺主義ではない。彼がネズミとの交渉で口にする「金はいいもんだ。人が唯一信じられるもんだ」(第69話)という台詞が指針を表している。村を焼くより、金と契約で縛るやり方を好んだ。ナミの才能だけは人間のものと認め、幹部たちが「1億集めても手放すな」と進言したほど評価していた。彼にとってナミは道具でありながら、決戦の最中にも「友達」と呼ぶほどの歪んだ愛着の対象でもあった。

この合理性の裏では苛烈な虐待が続いていた。ナミは塔に閉じ込められ、満足な食事も与えられずに海図を描かされ続けた(第620話の回想)。幼いナミが海図ではなくベルメールの絵を描いたときには、彼女の頭を机に叩きつける場面があり、海外の一部放送版では規制対象になったほどの描写である。力の誇示と、必要な相手への歪んだ寵遇の使い分けが、八年間の支配を支えた。

力と武器:鼻・歯・キリバチ

戦闘ではノコギリザメの身体をそのまま武器にする。30センチを超える鋸状の鼻は刀剣並みの切れ味を持ち、これ一本で、ミホーク戦の深手とはっちゃん戦の疲労を抱えたロロノア・ゾロを剣技で打ち破った(第89話)。本人は鼻を「折れない」と自負していたが、ルフィにへし曲げられ、痛みも見せずに手で戻している。

歯は抜いて熊ばさみのような手持ち武器「トゥースガム」に変え、抜いた跡には数秒で新しい歯が生える。生え変わるたびに硬さが増す仕組みで、ルフィは抜き取った歯を自分の口に詰めて噛みつき返す荒業で対抗した。魚人の強靭な顎筋があってこそ歯は威力を発揮する、というのが本人の説明である(第90〜91話)。水を掬って投げる攻撃は銃撃のような威力を持ち、「人間には少しの水でも致命傷になる」という嘲笑を込めたものだった(第88話)。若い頃からの得物であるノコギリ状の大刀キリバチは、建物を両断する威力を持つ(第93話)。激昂すると目が海王類のように変わり、破壊の度合いが増す。

ルフィとの決戦と敗北

幹部が倒れた後、アーロンは傷ついたゾロとサンジを自ら相手にして一蹴した。現れたナミには「永遠の航海士になるなら村人を助ける。ただしサンジとゾロは殺す」という二者択一を突きつけたが、水中へ投げ込まれたルフィが仲間に救い出されたことで形勢は変わる(第87〜88話)。

ルフィとの決戦では、鋸鼻の突進「シャーク・オン・ダーツ」、噛み砕く「シャーク・オン・歯車(トゥース)」、水中での魚雷のような加速と、三段階の攻めを見せた。それでも決め手にならないと見るやキリバチを抜き、ナミが海図を描かされ続けた最上階の部屋まで追い込んだ。アーロンは「ナミは俺の友達だ。お前らといても才能が無駄になる」と言い張ったが、ルフィの答えは部屋の粉砕だった。全力の「ゴムゴムの斧」が、襲いかかるアーロンごと八階建てを貫いて地階へ叩き落とし、八年間の支配の象徴は崩れた(第92〜93話)。

敗北の衝撃は関係者の間にも響いた。東の海のルーキーがアーロンを倒したと知ったジンベは、かつての仲間の実力を知る者として驚愕した描写がある(第1102話)。

敗北のあと:逮捕とその後

倒れたアーロン一味は海軍に逮捕された。一味の中で唯一はっちゃんが逃げ延び、残りがどこに収監されたかは作中で明かされていない(第492話)。一度目のインペルダウン収監はジンベの七武海加入で釈放された経緯があるため、二度目の収監先もインペルダウンかどうかは断定できない。

その後の消息として確認できるのは、SBS第111巻の読者質問への回答である。収監から二年後、ジンベが麦わらの一味へ加わった報せを知ったアーロンは、侮蔑の笑みを浮かべていたと描かれている。人間への憎悪を言語化して次代へ残した男の姿は、新魚人海賊団を率いたホーディ・ジョーンズの末路と重ねて読む構造になっている。

アニメと実写での描かれ方

TVアニメでは第31話から登場し、声を小杉十郎太が務める。低音の粘る喋りで、知性と残忍さが同居した初期の強敵像を定着させた。幼いナミへの虐待場面を含む残虐描写は、海外の一部放送版では削除・改変されている。

Netflixの実写ドラマではマッキンリー・ベルチャー三世が演じ、日本語吹替を東地宏樹が担当した。実写版ではバギーを捕らえてルフィの行方を追わせ、海上レストラン・バラティエへも先に襲来するなど、原作より早い段階から脅威として描かれる。ネズミがナミの貯えた金を奪う筋書きは実写版にも引き継がれた。

関連項目