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ONE PIECE百科事典ANNA MOVIES

扉絵連載

CP9の任務外報告

「CP9の任務外報告」は、漫画『ONE PIECE』の第491話から第528話にかけて掲載された短期集中表紙連載である。エニエス・ロビー崩壊後、スパンダムを除くCP9の構成員が生き延び、重傷のロブ・ルッチを治療して故郷を離れるまでを全33回で描く。

「CP9の任務外報告」は、漫画『ONE PIECE』の第491話から第528話にかけて掲載された短期集中表紙連載である。

エニエス・ロビー崩壊後、スパンダムを除くCP9の構成員が生き延び、重傷のロブ・ルッチを治療して故郷を離れるまでを全33回で描く。

本編では敵として敗れた諜報員たちを、任務と政府の指揮から切り離して観察する後日談である。

基本情報

  • 正式題:CP9の任務外報告
  • 種別:短期集中表紙連載
  • 掲載範囲:原作第491話〜第528話のうち全33回
  • 時期:エニエス・ロビー編の直後
  • 主な舞台:エニエス・ロビー脱出路、セント・ポプラ、CP9の故郷
  • 主な人物:ルッチ、カク、ジャブラ、ブルーノ、クマドリ、フクロウ、カリファ
  • 不在の元長官:スパンダム

一枚ずつ進む扉絵連載であるため、本編のような長い台詞はない。人物の表情、行動、短い題名をつなぎ、事件の順序を読む形式である。

エニエス・ロビーからの生還

エニエス・ロビー編の終盤、司法の島はバスターコールによって砲撃される。

CP9は麦わらの一味に敗れ、ルッチはルフィとの戦闘で意識を失うほどの重傷を負った。

表紙連載は「生存者のいない島」とされた場所から始まり、ブルーノがドアドアの実の空気開扉を使って仲間を逃がしたことを示す。

政府の任務に失敗した彼らは救助される側ではない。自分たちで負傷者を運び、追跡を避け、治療できる町まで移動する必要がある。

「ロブ・ルッチを救え」

一行が最優先するのはロブ・ルッチの救命である。

ルッチは道力4000を誇るCP9最強の戦闘員だったが、敗北後は自力で移動できない。普段は感情を抑え、任務のために他者を切り捨てる諜報員たちが、今度は一人を置き去りにせず運ぶ。

これは彼らが善人になったことを意味しない。後の行動でも暴力へのためらいは薄く、正義観も変わらない。

それでも、政府の命令がない状況でルッチを救う選択をした事実は、CP9内部に命令系統だけでは説明できない結束があることを示す。

セント・ポプラへ

CP9は「春の女王の町」セント・ポプラへたどり着く。

しかし、政府から追われる身であり、病院へ払う治療費も持っていない。

そこで各人は、自分の能力と身体を大道芸や労働へ転用して金を稼ぐ。

クマドリは演目を披露し、ジャブラとブルーノは動物ショーを行う。カクはウシウシの実モデル“麒麟”の長い身体を滑り台にし、カリファはアワアワの実で町を掃除する。

本編では潜入、暗殺、戦闘へ用いた力が、市民を楽しませ、町をきれいにするために使われる。能力そのものに善悪があるのではなく、何の目的へ向けるかで働きが変わることを、台詞の少ない笑いとして見せる。

治療と待ち時間

稼いだ金でルッチは病院へ入り、他の構成員は買い物や町歩きをしながら回復を待つ。

ここでは、ウォーターセブンへ5年間潜伏していた頃とも異なる素顔が見える。

あの潜伏生活は任務のために職人や秘書を演じていたが、セント・ポプラでの時間には偽の身分を維持する上官がいない。カリファやカクたちは、追われる危険の中でも服を選び、ボウリングを楽しむ。

任務の外に置かれて初めて、彼らが一つの集団として日常を過ごす姿が描かれる。

ルッチの覚醒

治療を終えたルッチは退院し、仲間と合流する。

体力を戻したことは安全の回復を意味しない。CP9は世界政府から任務失敗の責任を負わされ、町へ長く滞在できない立場にある。

それでも一行はすぐ逃げるだけでなく、ボウリング場へ立ち寄る。戦闘員としてしか見えなかった人物へ、競技を楽しむ時間を挟むことで、次の暴力との落差が生まれる。

キャンディ海賊団の襲撃

セント・ポプラの港へキャンディ海賊団が現れ、住民を人質に取る。

CP9は町を守る命令を受けていない。正体を隠して逃げれば、自分たちの生存には都合がよい。

しかし、一行は海賊団の前へ出て、圧倒的な力で撃退する。

町の人々から見れば、治療費を稼いでいた旅人たちが突然、見たことのない強さで侵入者を倒したことになる。CP9が政府の肩書を失っても、身に付けた六式と集団戦能力は消えない。

ルッチの「過剰な正義」

人質を救ったCP9へ、住民は当初感謝と驚きを向ける。

ところがルッチは、敗れたキャンディ海賊団の船長へ必要以上の攻撃を加える。

脅威を無力化した後も容赦しない姿を見て、住民たちは彼らを英雄ではなく恐ろしい存在として見るようになる。

この場面が、表紙連載を単純な更生物語にしない。

ルッチは市民を救う側へ立っても、幼少期から信じる「弱さは罪」という過剰な正義を捨てていない。行動の結果だけなら町を守ったが、その方法は住民が安心して受け入れられるものではない。

一輪の花

CP9は自分たちが町へ残れば住民をさらに怯えさせると理解し、セント・ポプラを離れる。

出発前、救われた少女がカリファへ感謝の花を渡す。

町全体が彼らを称賛する展開ではない。恐怖を覚えた人々がいる一方、実際に救われた者は救助の事実を忘れていない。

一輪の花はCP9の罪を帳消しにせず、善悪のどちらか一色へ人物を塗り替えもしない。彼らの中に、感謝を受け取る行動と、感謝を遠ざける暴力が同居していることを表す。

故郷への帰還

一行はCP9の構成員が育った故郷へ戻り、次世代のサイファーポール候補が訓練する様子を見る。

六式を身に付けた諜報員は突然生まれるのではなく、幼い頃から政府のための戦闘員として教育される。

故郷の場面は、彼らが選んだ職業だけでなく、選択肢を持つ前から形成された環境を示す。

ルッチたちが訓練する子供を見つめる構図には、同じ道が次の世代でも繰り返される可能性がある。

海軍の追っ手

スパンダムは任務失敗の責任をCP9へ押し付け、海軍はベリーグッド大佐を指揮官として故郷へ現れる。

CP9は逃げるだけではなく、故郷と訓練中の子供たちを守るために追っ手を迎撃する。

ベリーグッドはベリベリの実で身体を球状に分離できるが、一行は海兵部隊を短時間で退ける。

世界政府が育てた戦力を、世界政府自身が処分しようとし、その戦力が政府から故郷を守る。エニエス・ロビーで「正義の門」の内側にいた者たちの立場が反転する場面である。

スパンダムへの宣告

入院中のスパンダムへ、ルッチから電伝虫の連絡が入る。

ルッチは元上司に対し、いつか戻ると告げる。そこには復職願いより、失敗の責任を押し付けたスパンダムへの報復を予感させる響きがある。

スパンダムと父スパンダインは、逆にCP9を抹殺する計画を立てる。

かつて同じ組織に属した上司と部下は、互いを危険人物として排除しようとする関係へ変わった。

船出と花の行方

CP9は奪った船で故郷を離れる。セント・ポプラでもらった花は、彼らの故郷へ植えられる。

持ち歩けば逃亡生活の記念品になる花を、次の世代が育つ土地へ残した点に意味がある。

彼ら自身は再び危険な世界へ出るが、故郷には任務や報復とは別の価値を持つものが残る。

表紙連載は、CP9がどこへ向かったかを断定せず、水平線へ進む船で終わる。

後のCP0への接続

後の物語では、ルッチ、カク、ステューシーらがCP0として登場し、ルッチ以外の元CP9構成員も所属を変えて世界政府側へ戻ったことが示される。

ただし、「CP9の任務外報告」の終了時点で復職の経緯は描かれない。

本連載が確認できるのは、政府に追われた一行が生存し、故郷を守り、スパンダムへ敵意を持ったまま海へ出たところまでである。

CP0加入までの交渉、処分の撤回、指揮系統の変更を表紙連載だけから補うことはできない。

扉絵連載としての役割

本編はスリラーバークへ進み、麦わらの一味はCP9のその後を知らない。

読者だけが扉絵を通して敗者側の時間を見るため、世界が主人公の視界外でも動き続けていると分かる。

全33回は、救命、労働、日常、救助、暴力、帰郷、追跡、船出という小さな段階へ分かれる。一枚の情報量は限られるが、積み重ねるとCP9が政府の道具から自律した集団へ一時的に変わる過程になる。

後に彼らが再び政府へ所属するからこそ、この「任務外」の期間は、肩書がない時にも残った結束と正義観を確認できる重要な記録である。

「任務外」という題名の意味

CP9は本来、命令された諜報、潜入、暗殺を遂行するための機関である。ところが本連載で行う救命、治療費稼ぎ、買い物、町の救助、故郷の防衛には、スパンダムからの正式な任務がない。

命令から外れた時、彼らは何もしないのではなく、自分たちで優先順位を選ぶ。最初にルッチを救い、次に町の人質を救い、最後に故郷の子供を守る。その一方で、ルッチの過剰な正義も残る。

題名は休暇のような軽さを持ちながら、組織が人物へ与えた規律と、人物自身が持つ価値観を切り分ける。復職後の姿だけでは見えにくい、CP9という集団の自発的な行動を記録した連載である。

関連項目