『ONE PIECE』第104巻〝ワノ国将軍 光月モモの助〟は、2022年11月4日に集英社から発売されたコミックスである。 原作第1047話から第1055話までの9話を収録する。
ルフィとカイドウの最終攻撃、鬼ヶ島の着地、光月モモの助の将軍就任、新たな四皇の発表、海軍大将緑牛の来訪、シャンクスの介入までを一冊へ収める。 百獣海賊団との決戦を終えるだけでなく、閉ざされていたワノ国を世界情勢へ再接続する巻である。
書誌情報
- 巻数:第104巻
- 巻題:〝ワノ国将軍 光月モモの助〟
- 著者:尾田栄一郎
- 出版社:集英社
- レーベル:ジャンプコミックス
- 発売日:2022年11月4日
- 収録話:第1047〜1055話
- 前巻:第103巻〝解放の戦士〟
- 次巻:第105巻〝ルフィの夢〟
巻題は、収録第1051話の題名と、モモの助がワノ国の民衆へ名乗る場面に由来する。 最大の戦闘を担うルフィではなく、戦後に国の責任を引き受けるモモの助を表題へ置くことで、この巻の終点が「敵を倒すこと」だけではないと示す。
表紙
表紙中央にはギア5のモンキー・D・ルフィが描かれる。 周囲には成長した龍の姿の光月モモの助、涙を浮かべる光月日和、花の都が置かれ、白から青へ移る背景と紫・橙系の巻題が決戦後の夜明けを作る。
カイドウを大きく配置した対決表紙ではなく、戦いを終わらせる力と、その後に国を受け継ぐ者を同じ画面へ置く。 ルフィの白い姿は解放の力、モモの助と日和は光月家の帰還、花の都は守られる生活圏を表す。
カバー内側や巻内イラストは、通常書影と別の図柄である。 書影、表紙を外した本体、巻頭の作者イラストを同じ「104巻の表紙」と呼ばず、装丁上の位置を区別する必要がある。
第1047話〝都の空〟
鬼ヶ島が花の都へ迫る中、ルフィは巨大化した拳を上空からカイドウへ向ける。 モモの助には、島を退けるための焔雲を自力で生み出す役目が残る。
カイドウは、ロジャーが悪魔の実の能力者ではなく、世界を制したのは覇気だと語る。 能力の覚醒が戦いを決めるように見える局面で、強い能力だけでは頂点へ届かないという反論を本人が提示する。
一方、日和の前ではオロチが再び動き、燃える身体で彼女を道連れにしようとする。 空の決戦、島の落下、地上の復讐が同時に進む。
第1048話〝二十年〟
ルフィの拳とカイドウの火龍大炬が激突する。 カイドウは炎をまとい、直接触れずに相手を焼き尽くそうとするが、ルフィは武装色と覇王色を拳へ重ねて押し込む。
花の都では、人々が空船へ願いを書いて飛ばす。 二十年間の飢え、強制労働、家族の喪失が短い言葉として空へ上がり、戦場の外にいる人々が何を取り戻したいのかを示す。
日和を襲うオロチは、傳ジローに首を斬られる。 私怨だけでなく、光月家と赤鞘が二十年間抱えた時間の決着として置かれる。
第1049話〝目指すべき世界〟
カイドウの過去が断片的に描かれる。 若い頃から国家の戦力として扱われ、ロックス海賊団を経て、キングと出会い、ジョイボーイを待つ人物へ変わった経緯が示される。
現在の戦いでは、ルフィの拳がカイドウを地中深くへ打ち落とす。 同時にモモの助は焔雲を発生させ、鬼ヶ島を花の都から離れた場所へ着地させる。
カイドウが「どんな世界を作れる」と問うのに対し、ルフィは友達が腹いっぱい食べられる世界だと答える。 王になるための抽象的な理想ではなく、飢えを経験したお玉やワノ国の生活へ届く基準である。
第1050話〝誉れ〟
ルフィとカイドウ、ローとビッグ・マムの戦いが終わり、鬼ヶ島では勝利が伝えられる。 モモの助は龍の姿で花の都へ向かい、赤鞘九人男と日和を民衆の前へ導く。
ズニーシャは、すぐに開国するのではないというモモの助の判断を受け入れる。 カイドウを倒したからといって、国境を開く条件が自動的に整うわけではない。
世界政府の艦隊は、ズニーシャが去ったことでワノ国へ直接介入する機会を失う。 島内の勝利と、外から国を狙う力が同時に存在することが分かる。
第1051話〝ワノ国将軍 光月モモの助〟
成長したモモの助は、花の都の民衆へ姿を見せる。 自分が光月おでんの息子であり、これからワノ国を治める将軍だと名乗る。
身体はしのぶの能力で二十八歳相当へ成長したが、心は八歳の経験を引き継いでいる。 堂々とした演説の裏では言葉を忘れかけ、家族や仲間との記憶に支えられて続ける。
語りは、彼が後に名将軍として知られることを予告する。 完成した英雄が即位するのではなく、怖がりながら責任を引き受けた子供が、これから成長する始点である。
第1052話〝新しい朝〟
戦いから一週間が過ぎ、ワノ国は負傷者の治療、葬儀、入浴、宴の準備へ移る。 アシュラ童子とイゾウの死が共有され、勝利が全員の生還ではなかったことを確認する。
ルフィとゾロは意識を取り戻し、食事と騒ぎの中へ戻る。 ロビンは天狗山飛徹の正体が先代将軍・光月スキヤキであると知り、ワノ国の地下へ関心を向ける。
国外からは海軍大将アラマキが接近する。 「新しい朝」は平穏の完成ではなく、戦後の空白へ次の勢力が入り込む朝でもある。
第1053話〝新しい皇帝達〟
ルフィ、ロー、キッドにはそれぞれ30億ベリーの懸賞金が付く。 世界経済新聞はギア5の姿を手配書へ掲載し、世界政府が避けたかったニカの図像を広める。
新たな四皇として、ルフィとバギーの名前がシャンクス、黒ひげと並ぶ。 カイドウとビッグ・マムが敗れた後の空席が、勝者の戦闘力だけでなく、傘下、評判、組織の見え方によって埋められる。
アラマキは兎丼でキングやクイーンらを制圧し、植物を操る能力を見せる。 宴の裏側で、勝利後のワノ国へ海軍大将が単独で入り込む。
第1054話〝炎帝〟
アラマキは花の都を目指し、赤鞘、ヤマト、モモの助が迎え撃つ。 モモの助はヤマトへ戦わないよう求め、自分たちの力で国を守ろうとする。
ワノ国近海には赤髪海賊団が現れる。 シャンクスはルフィとの再会を選ばず、バルトロメオが自分の旗を燃やした件へ対処しながら、「ひとつなぎの大秘宝」を奪りに行く時だと語る。
世界ではサボが「炎帝」と呼ばれ、革命の象徴になっている。 アラバスタのコブラ王殺害、ビビ失踪、くま奪還という情報が新聞で混ざり、読者が知る事実と世間が信じる記事の差が広がる。
第1055話〝新時代〟
モモの助は龍の姿で熱息を放ち、アラマキへ抵抗する。 戦闘経験は不足していても、将軍として国を守る意思を、自分の能力で初めて形にする。
シャンクスは遠方の船上から強大な覇王色の覇気を放つ。 アラマキは赤髪海賊団との戦いまで望まず、撤退する。 ルフィ、ゾロ、サンジ、ジンベエは離れた場所から事態を把握していたが、モモの助たちの選択を見守る。
ロビンとローは、スキヤキの案内でワノ国地下の旧国土とロードポーネグリフへ至る。 古代兵器プルトンがワノ国にあり、国境を開くことが防壁を壊して兵器を解放する条件へつながると明かされる。
9話を一冊へ置く意味
第104巻前半は、巨大な拳と火龍、島の落下という物理的な決着を描く。 中盤は、民衆への名乗り、死者の確認、食事、入浴、宴へ移り、国を生活へ戻す。 後半は、懸賞金、四皇、海軍大将、革命軍、古代兵器によって視野を世界へ広げる。
決戦の勝者がそのまま政治の完成者になるわけではない。 ルフィは国に残らず、モモの助が統治を担い、赤鞘と国民が復興を始める。 さらに世界政府と海軍は勝者の疲弊を狙い、ワノ国地下には将来の危険と選択が残る。
この三段階が一冊に入るため、第104巻はワノ国編の最高潮であると同時に、戦後を省略しない巻になっている。
ギア5の扱い
第103巻で覚醒したルフィの能力は、第104巻で決着まで運用される。 巨大化、地形への影響、雷をつかむ動きなど自由度は高いが、カイドウは戦闘中にルフィを追い込み、覇気の重要性を強調する。
したがって、この巻を「新形態を得たので一方的に勝った」と要約するのは不正確である。 覚醒による発想、覇気、モモの助による島の移動、二十年間耐えた人々の戦いが重なって決着する。
モモの助の成長
モモの助は、鬼ヶ島を動かす、カイドウへ噛みつく、花の都へ名乗る、開国を延期する、アラマキへ熱息を放つという選択を続ける。 身体を大人にしただけでは、判断や勇気が自動的に得られない。
巻題が彼の名を掲げるのは、すでに完成したからではない。 恐怖を抱えたまま、国の将来を他人へ任せず決め始めたからである。 ルフィの勝利を、ワノ国自身が自立する次の段階へ渡す人物として描かれる。
SBSと単行本独自要素
巻末のSBSでは、キッド海賊団が結成されるまでの過去、CP0の構成員名、日和が鬼ヶ島へ来た方法、飛び六胞の趣味などが補足される。 本編のコマだけでは名前や経路が確定しなかった情報を、質問への回答として整理する。
単行本化に際して、左右の手の整合、台詞の漢字、人物の装備など一部の描写が修正されている。 週刊誌掲載版と単行本版で差がある場合、後者を単なる再印刷ではなく、作者と編集部が整合を調整した版として見る必要がある。
まとめ
第104巻〝ワノ国将軍 光月モモの助〟は、第1047〜1055話を収録し、ルフィ対カイドウの決着から、モモの助の将軍就任、戦後の世界情勢までを描く。 2022年11月4日発売で、表紙にはギア5のルフィ、龍のモモの助、日和、花の都が置かれる。
戦いはルフィの拳で終わるが、物語はそこで切れない。 鬼ヶ島を着地させ、国民へ名乗り、開国を判断し、外敵へ向き合うモモの助へ責任が移る。 新四皇、緑牛、シャンクス、プルトンの情報は、解放されたワノ国が今後も世界から隔離されてはいられないことを示している。


