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ONE PIECE百科事典ANNA MOVIES

映画関連資料

『ONE PIECE』巻七七七

『ONE PIECE』巻七七七は、劇場版『ONE PIECE FILM GOLD』の公開初日である2016年7月23日から、全国の上映劇場で先着500万人へ配布された入場者特典冊子である。

『ONE PIECE』巻七七七は、劇場版『ONE PIECE FILM GOLD』の公開初日である2016年7月23日から、全国の上映劇場で先着500万人へ配布された入場者特典冊子である。尾田栄一郎が総合プロデューサーとして映画制作のために描いたキャラクターデザインと、物語・人物が形になる過程を収録する。

通常のジャンプコミックス第777巻ではない。表紙と判型をコミックス風に整えた非売品の映画資料であり、原作漫画の第何話かを続けて収録した巻でもない。「七七七」という数字は、映画の舞台である巨大カジノ船と、スロットマシンの大当たりを表す三つの7に対応する。

基本情報

  • 正式名:ONE PIECE 巻七七七
  • 読み:ワンピース かんななひゃくななじゅうなな
  • 配布開始:2016年7月23日
  • 配布対象:『ONE PIECE FILM GOLD』の劇場入場者
  • 配布数:全国先着500万人
  • 著者・原作:尾田栄一郎
  • 形態:映画入場者特典、ソフトカバー、新書判相当
  • 主な内容:Film Gold Design Works、Making of Film Gold
  • 一般販売:なし

ページ数には資料間の差がある。国立国会図書館サーチへ連携された公共図書館書誌は81ページ・18センチと記録し、第三者百科事典は82ページとする。表紙・見返し・本文の数え方が異なる可能性があるため、公開ページで断定する場合は現物のノンブルと奥付を確認する。少なくとも、書店販売されたISBN付きの通常巻ではないという区分は変わらない。

配布と映画公開

映画公式情報は2016年5月に入場者プレゼントを発表し、キャラクターのラフ設定集と未公開情報を含む「お宝コミックス」と説明した。映画公開日は7月23日で、巻七七七も同日から数量限定で渡された。全国先着500万人という数字は販売部数ではなく、劇場で用意された配布対象数を示す。

同時期には、先着200万人を対象とする「オールスターゴールドトランプ」も別の入場者プレゼントとして用意された。冊子とトランプは内容も数量も異なるため、「巻七七七が200万部」と書いたり、トランプを冊子の封入付録と一括したりしてはならない。映画を鑑賞した時期と各劇場の在庫によって、受け取れた特典が変わる。

巻七七七は映画の前売券特典でも、Blu-ray・DVDの封入冊子でもない。後年の映像ソフトには別の特典が設定されており、2016年の劇場配布物という入手経路を識別する必要がある。

表紙のデザイン

表紙は、ルーレット盤を思わせる円形構図の中央へモンキー・D・ルフィを置き、その周囲を麦わらの一味の仲間たちが区画ごとに囲む。上方では、星形の意匠の中にギルド・テゾーロがマイクを持って現れる。周囲へ散らされたトランプと金色の装飾が、映画のカジノ、ショー、金を一枚で表す。

この構図は、映画の世界で人物がゲーム盤の駒のように扱われることとも響き合う。グラン・テゾーロを訪れた者は自由に遊んでいるようで、勝敗、借金、金粉によって支配者の規則へ組み込まれる。ルフィを中心に置きながら、その外側をテゾーロの演出が包む表紙は、解放を求める海賊と娯楽都市の支配者の対立を示す。

「777」は単に映画公開年やシリーズ番号を置き換えた数字ではない。スロットの三列に7が揃う大当たりは、幸運と莫大な配当の象徴である。しかし映画では、運や金を支配できると信じること自体がテゾーロの権力へつながる。華やかな大当たりの数字を、支配の設定資料を収める巻名にした点に皮肉がある。

Film Gold Design Works

前半の「Film Gold Design Works」は、尾田栄一郎が映画のために描いた人物、衣装、舞台のラフを中心とする。麦わらの一味は、グラン・テゾーロへ入る華やかな装い、カジノを楽しむ衣装、作戦のための変装、戦闘時の姿など、一つの映画の中で複数のデザインを使い分ける。

設定画を見る意義は、完成映像の静止画を並べ直すことではない。服の形、小物、色の指示、表情、人物ごとの役割が、制作前にどのように考えられたかを確かめられる。例えばナミは、カジノと潜入作戦の双方で衣装と振る舞いが変わり、過去に面識のあるカリーナとの駆け引きへ視覚的な説得力を与える。

テゾーロ一味では、テゾーロ本人のショーマンとしての姿、バカラ、タナカさん、ダイスらの能力と役職が造形へ反映される。映画は短い時間で多くの新人物を理解させる必要があるため、シルエット、衣装、動作の方向性を分けることが重要になる。冊子は、その設計を映画本編の場面と照合できる資料である。

舞台となるグラン・テゾーロも、単なる「金色の島」ではない。海を移動する巨大な船でありながら、ホテル、カジノ、競技場、ショー、居住・管理区域を持つ独立国家として設計される。人物のラフと背景設定を同じ冊子で見ることで、支配者、従業員、客、囚われた者がどの空間に置かれるかを立体的に追える。

Making of Film Gold

後半の「Making of Film Gold」は、完成した映画のあらすじを再掲するだけでなく、原案が人物と場面へ変わる過程を示す。公式告知が「映画の秘密」や未公開ページを強調したのは、映像だけでは十分に説明されない背景を含むためである。

特に重要なのがギルド・テゾーロの過去である。映画本編では、金こそすべてと考える現在の支配者と、若い頃の記憶が短い断片で結ばれる。巻七七七は、貧困と賭博に翻弄された少年期、歌への望み、ヒューマンショップで出会ったステラ、彼女を自由にするために金を貯めた時期、天竜人によって二人が引き裂かれた経緯を補う。

ステラは、テゾーロが「金で人を所有する」価値観へ傾く前に、金では測れない関係を築こうとした相手である。彼女を救うために必要だった金と、彼女を奪った天竜人の金・権力が、テゾーロの中で同じものへ結び付く。現在の彼が他人を借金と金粉で支配するのは、被害を受けた過去がそのまま正義へ変わった結果ではなく、受けた支配を自分が再演する歪みとして読める。

さらに、天竜人の奴隷状態から脱した後、ドンキホーテ・ドフラミンゴの勢力が関わるオークションからゴルゴルの実を奪い、金を操作する能力と巨大な娯楽都市を築くまでの背景が、映画の現在へつながる。映画では回想を長くしすぎるとルフィたちの物語が止まるため、冊子が人物年代記の受け皿になる。

テゾーロを理解する資料

巻七七七を読むと、テゾーロが最初から金に執着する悪役だったわけではないことが分かる。しかし、過去に同情できることと、現在の行為が正当化されることは別である。彼はグラン・テゾーロの客を罠へ誘い、借金を負わせ、能力で拘束し、金の力を使って海賊、海軍、世界政府へ影響を及ぼす。

ステラを奪われた経験は「所有される苦痛」を教えたはずだが、テゾーロは他者を所有する側へ回る。ここに映画の悪役としての矛盾がある。冊子の過去はテゾーロを無罪にする情報ではなく、なぜ彼が金を安全・自由・愛の代用品へしたのかを理解する情報である。

また、設定画に記された原作者の短い注記は、完成映像の台詞と同じ証拠ではない。採用前の案、制作指示、映画に反映された設定を区別し、人物記事へ転記するときは「冊子のデザインメモ」「映画で実際に描かれたこと」「原作漫画で確認できること」を分ける必要がある。

正史と映画設定の区分

『ONE PIECE FILM GOLD』は公式劇場作品で、尾田栄一郎が総合プロデューサーとして関わった。巻七七七も公式資料であり、映画版の人物と舞台を調べるうえで一次性が高い。しかし映画の事件、グラン・テゾーロでの戦い、テゾーロやステラの人生を、原作漫画の正史へ自動的に組み込むことはできない。

原作に登場する麦わらの一味、天竜人、ドフラミンゴ、悪魔の実の一般原則と、映画独自人物の設定が同じ冊子に並ぶため、証拠範囲を分ける必要がある。「尾田栄一郎が描いた設定画」であることは作者関与を示すが、全映画設定が原作時系列で発生した証明にはならない。

百科事典では、テゾーロの記事は映画人物、ステラは映画設定上の人物、グラン・テゾーロは映画舞台として分類する。原作人物の記事で巻七七七を使う場合も、映画衣装や映画中の行動を原作本編の出来事と混ぜない。

類似する特典冊子との違い

『巻零』は『STRONG WORLD』、『巻千〝Z〟』は『FILM Z』、『巻壱萬八拾九』は『STAMPEDE』に対応する。いずれも大きな巻数を持つ映画関連冊子だが、配布年、対象映画、収録設定が異なる。

巻七七七の固有性は、カジノの大当たりを巻名にし、『FILM GOLD』のデザイン工程とテゾーロの過去を中心にした点にある。通常コミックス第77巻とも無関係で、ゾウ編を収録する第77巻の増補版ではない。検索結果や中古流通で「777巻」とだけ記されている場合は、表紙のルーレット構図、2016年7月23日、映画特典という三点で識別する。

資料としての価値

巻七七七は、完成映像では速く通り過ぎるデザインと過去を、静止した原作者の線で検討できる。衣装、舞台、能力者、悪役の履歴を横断するため、映画記事だけでなく、人物、船、悪魔の実、劇場特典を結ぶ資料になる。

一方、数量限定配布のため、現在は一般販売の新品を通常ルートで購入する本ではない。百科事典は希少品としての価格を煽るのではなく、版の識別、収録範囲、資料の証拠強度を示す役割を持つ。表紙画像だけで終わらず、Design WorksとMaking of Film Goldがそれぞれ何を説明するかを分けることで、一冊の実用的な案内になる。

関連項目