01来歴

オビ=ワンとの再会と平和主義路線
原典『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ(Star Wars: The Clone Wars)』シーズン2第12話『マンダロアの陰謀(The Mandalore Plot)』(2010年1月29日米国カートゥーン・ネットワーク放送、カイル・ダンレヴィー監督、メリンダ・スー・テイラー脚本)で初登場する。マンダロアの公爵として首都サンディーリの王宮に滞在し、ジェダイ評議会から派遣されたオビ=ワン・ケノービと再会する。伝統的戦士文化を放棄し平和主義に転換した歴史を語り、過激派デス・ウォッチ(Death Watch)の存在を否定する公式立場を表明する。オビ=ワンとは過去に警護任務を共にした経緯があり、両者の私的関係が示唆される。
コロネット号船上の暗殺未遂
第13話『誘惑の航海(Voyage of Temptation)』(2010年2月5日放送)で、中立星系評議会の代表として銀河元老院に向かう途中、宇宙船コロネット号でデス・ウォッチの暗殺者に襲撃される。護衛のオビ=ワンとアナキン・スカイウォーカーの協力で暗殺未遂を退ける。クライマックスでは、過去に両者が恋愛関係寸前まで進んだ事実が対話で明示され、オビ=ワンが『公爵が頼んでくれていたら、私はジェダイ騎士団を出ていただろう』と告白する。
元老院演説での陰謀暴露
第14話『マンダロアの公爵(Duchess of Mandalore)』(2010年2月12日放送)で銀河共和国の元老院に出席し、共和国軍のマンダロア介入を阻止する演説に立つ。オビ=ワンが入手した、デス・ウォッチが分離主義勢力のドゥークー伯爵の支援下でマンダロア掌握を画策していた証拠をホロプロジェクターで投影し、公的に暴露する。これにより介入計画は議会で否決され、デス・ウォッチ指導者プリ・ヴィズラは衛星コンコーディアへの撤退を余儀なくされる。
国内汚職との戦い
シーズン3第5話『汚職(Corruption)』(2010年9月24日放送)と第6話『卒業(The Academy)』(2010年10月15日放送)で、マンダロア国内の闇市場汚職と政府関係者の腐敗問題に直面する。第6話では自らの招請でパダワンのアソーカ・タノがマンダロアの王立アカデミーで講師を務め、生徒たちと共に副首相ジョーディ・キャスト系列の汚職組織を摘発する。この過程で、自らの統治能力に対する自省も口にする。
シャドウ・コレクティブと死
シーズン5第15話『道理の影(Shades of Reason)』(2013年2月9日放送)で、マウルとプリ・ヴィズラの『シャドウ・コレクティブ(Shadow Collective)』が偽旗作戦で首都サンディーリを掌握し、捕縛・投獄される。第16話『無法者(The Lawless)』(2013年2月16日放送)では、実妹ボ=カタン・クライズと救援に駆けつけたオビ=ワンの脱獄計画で一時救出されるが、マウルに再捕縛される。オビ=ワンの目の前でダークセイバーにより胸を貫かれて殺害され、最期に『私のことは決して諦めないで』『あなたを今でも愛している』と告げ、腕の中で息を引き取る。
02能力・特徴

- 政治指導力・外交:中立星系評議会の議長として1500超の星系をまとめ、クローン戦争期の銀河政治に第三勢力を形成する。元老院演説では共和国軍のマンダロア介入計画を阻止する政治力を示す。
- 弁論術・修辞:コロネット号船上で武装介入を主張するパドメ・アミダラら元老院議員団との議論を制し、反対の論拠を提示する。平和主義への確信は、伝統的氏族戦争で惑星を不毛の砂漠に変えた歴史的反省に立脚する。
- 危機管理・指揮:シャドウ・コレクティブによる掌握の最終局面でも、捕縛直前まで側近への避難指示とオビ=ワンへの救援要請を最優先で実行する。武装しない平和主義者ながら冷静な意思決定と他者優先の責任感を示す。
- 象徴的存在感:戦士文化と非戦文化の二項対立を体現する政治的アイコンであり、その死はマンダロア平和主義路線の終焉を象徴的に示す。
03関連人物

04登場・関連作品
05名場面

S2第12話:首都サンディーリの王宮でオビ=ワンと再会し、戦士文化で惑星を砂漠に変えた歴史を語りつつ平和主義への転換を説明する。二人の過去関係が初めて示唆される導入場面。
S2第13話:コロネット号船上でオビ=ワンと二人きりで対話し、恋愛関係寸前まで進んだ過去を告白される。『公爵が頼んでくれていたら、私はジェダイ騎士団を出ていただろう』が名場面。
S2第14話:元老院でマンダロアへの共和国軍介入に反対する演説を行い、ホロプロジェクターでデス・ウォッチの陰謀の証拠を投影して公的に暴露する。政治指導者としての力量を最も鮮明に示す場面。
S3第6話:アソーカ・タノを招請し王立アカデミーで講師を務めさせ、共にマンダロア国内の闇市場汚職組織を摘発する。平和主義体制の構造的問題への自省を口にする内省的場面。
S5第16話:マウルがオビ=ワンの目の前でダークセイバーによりサティーンを殺害する。最期に『私のことは決して諦めないで』『あなたを今でも愛している』と告げ、腕の中で息を引き取る。
06制作背景

声は米国の女性声優アンナ・グレイヴァー(Anna Graves)が一貫して担当する。グレイヴァーは『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』全7シーズン(2008-2020)のレギュラー声優陣の一人で、本キャラクター以外にもコ・コトニーズ(Sy Snootles)など複数の脇役を兼任している。共演のオビ=ワン・ケノービはジェームズ・アーノルド・テイラー、アナキン・スカイウォーカーはマット・ランター、パドメ・アミダラはキャサリン・タバー、アソーカ・タノはアシュリー・エクスタインが演じる。
敵対者マウルの声はサム・ウィットワー、実妹ボ=カタン・クライズの声はケイティ・サッコフが担当する。サッコフはシーズン4第14話『友のために』での声優出演を経て、後にDisney+実写ドラマ『マンダロリアン』から実写でも同役を演じる。デス・ウォッチ指導者プリ・ヴィズラの声を担当したジョン・ファヴロー(Jon Favreau)は、後に『マンダロリアン』の原案・脚本・製作総指揮として実写マンダロア・サーガを主導する人物となる。
本キャラクターを主軸とするマンダロア三部作(シーズン2第12〜14話)は同一監督カイル・ダンレヴィーが手掛けた連作で、本シリーズで初めてマンダロアを本格的に描いた連続エピソード群である。死の場面を含む第16話『無法者』は監督ボスコ・ンー、脚本クリス・コリンズのチームが手掛けた。死の場面は脚本のデイヴ・フィローニが最大の感情的山場として綿密に演出したものである。首都サンディーリのドーム都市デザインは、レジェンズ期の不毛の砂漠像と平和主義路線の対比を視覚化するためコンセプト・デザイナー陣が新規創作したものである。
07評価・考察

本キャラクターは、本シリーズに『戦士文化を放棄した元戦士民族』という政治哲学的テーマを初めて導入する象徴的人物である。マンダロアの平和主義路線を代表する公爵として、戦士文化と非戦文化の二項対立を体現し、その死は平和主義の終焉と過激派文化への回帰を象徴する。この構図は、後のDisney+実写ドラマ『マンダロリアン』『ボバ・フェット』『アソーカ』に至るマンダロア再建劇の歴史的起点となっている。『公爵』という立憲君主制的な政治体制像は、レジェンズ期のマンド'アロール中心の戦士国家像からの切り替えを象徴する。
オビ=ワン・ケノービとの関係は、『エピソード3/シスの復讐』以前のオビ=ワンの私的生活を提示する数少ない作劇装置として重要な機能を果たす。第13話『誘惑の航海』での『公爵が頼んでくれていたら、私はジェダイ騎士団を出ていただろう』という告白は、後のオビ=ワンの孤独な後半生に深い情緒的厚みを与える原点として参照される。また、マウルがオビ=ワンへの復讐の手段として本キャラクターをダークセイバーで殺害する演出は、『エピソード1/ファントム・メナス』でのクワイ=ガン・ジン殺害への対称的補完として機能し、その死は長期復讐線の中継点として設計されている。
実妹ボ=カタン・クライズは、死後にマウル陣営から離反し、ニテ・アウルス派閥を経て『マンダロリアン』S3でマンダロア再統合の中心人物となるため、本キャラクターのアークはDisney+期マンダロア政治劇全体の前史を担う。平和主義対戦士文化という姉妹間の対立と、死後にボ=カタンが姉の理念を部分的に内面化していく過程は、本シリーズ屈指のキャラクター・アークとして高く評価される。
08トリビア
- 本キャラクターとオビ=ワンの過去関係の詳細は、カノンでは第13話『誘惑の航海』のオビ=ワンの言及に留まり、レジェンズ期の漫画 Star Wars: Republic(2002-2006)で描かれた詳細とは別個の歴史線として扱われる。
- 死の場面は脚本のデイヴ・フィローニ(Dave Filoni)が最大の感情的山場として綿密に演出したもので、本キャラクターの最期の台詞を後年のインタビューで本シリーズ屈指の名シーンとして本人が言及している。
- 名 Satine の日本語標準表記は『サティーン』で、Disney+公式日本語字幕でも一貫して用いられる。姓 Kryze はマンダロアの貴族クライズ家に由来する。
- 首都サンディーリのドーム都市デザインは、後の『マンダロリアン』S2第3話以降でも継承され、カノンにおけるマンダロアのビジュアル・アイデンティティの原点となっている。
- マンダロア三部作(S2第12〜14話)は本シリーズで初めてマンダロアを本格的に描いた連作で、3話とも同一監督カイル・ダンレヴィーが手掛けた。
09よくある質問
『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』シーズン2第12話『マンダロアの陰謀』(2010年放送)が初登場である。マンダロアの公爵として、派遣されてきたオビ=ワン・ケノービと再会する場面で登場する。
米国の女性声優アンナ・グレイヴァーが全登場を通じて一貫担当する。『クローン・ウォーズ』では複数の脇役も兼任している。
シーズン5第16話『無法者』でマウルにダークセイバーで胸を貫かれ殺害される。オビ=ワンへの精神的復讐の手段として狙われ、その腕の中で息を引き取る。本シリーズ屈指の衝撃的な死亡シーンとして知られる。
若き頃のクライズ家警護任務で出会い、恋愛関係寸前まで進んだ過去をもつ。オビ=ワンは彼女の政治活動の最大の擁護者であり、その死を腕の中で看取る。
ボ=カタンは実妹で、当初は平和主義に反発しデス・ウォッチ側に立つ。サティーンの死後にマウル陣営から離反し、後に『マンダロリアン』S3でマンダロア再統合の中心人物となる。
10出典
- StarWars.com 公式キャラクターデータベース: Duchess Satine Kryze
- StarWars.com 公式シリーズページ: Star Wars: The Clone Wars
- IMDb: Star Wars: The Clone Wars (TV Series 2008-2020)
- IMDb: Anna Graves
- Wookieepedia: Satine Kryze (canon)
- Wookieepedia: Bo-Katan Kryze (canon)
- Wookieepedia: Pre Vizsla (canon)
- Wookieepedia: Mandalore (canon)
- Wookieepedia: Sundari (canon)
- Wookieepedia: Death Watch (canon)
- Wookieepedia: Council of Neutral Systems
- Wookieepedia: The Mandalore Plot (S2 ep.12)
- Wookieepedia: Voyage of Temptation (S2 ep.13)
- Wookieepedia: Duchess of Mandalore (S2 ep.14)
- Wookieepedia: The Lawless (S5 ep.16)
- Wookieepedia: Maul (canon)
- Wookieepedia: Obi-Wan Kenobi (canon)
- StarWars.com 公式キャラクターデータベース: Bo-Katan Kryze