01来歴

キャプテンから提督へ昇進
アドミラル・ピエットは、アーヴィン・カーシュナー監督『スター・ウォーズ/エピソード5 帝国の逆襲』(1980年6月28日日本公開/米国1980年5月21日公開)序盤、エグゼキューター艦橋にキャプテンとして初登場する。偵察ドロイドの通信から反乱同盟軍前線基地エコー・ベースの所在を絞り込み、ダース・ベイダーに具申する。直後、上司オジェル提督が艦隊をハイパースペースから至近距離へ強行接近させる失策を犯し、反乱同盟軍に防御シールド展開を許したとして、ベイダーのフォース絞首で絶命する。ベイダーはその場でピエットを提督へ昇進させ、艦隊指揮権を直接命じる。
ミレニアム・ファルコン追撃
ピエットは、ホスの戦いでエコー・ベースを陥落させた直後、ハン・ソロ・レイア・オーガナ・チューバッカ・C-3POが乗るミレニアム・ファルコン号の追撃指揮を、ベイダー直属の提督として執行する。中盤のアステロイド帯では、エグゼキューターを含む帝国軍艦隊と複数の賞金稼ぎ(ボバ・フェット、ボスク、IG-88、デンガー、ザッカス、4-LOM)を動員する追跡網を維持する。ファルコン号が惑星ベスピンの雲都市クラウド・シティへ向かう航路を、ボバ・フェットの追尾と組み合わせて追い込む役回りを担う。
第二デス・スター護衛位置確保
ピエットは、リチャード・マーカンド監督『スター・ウォーズ/エピソード6 ジェダイの復讐/ジェダイの帰還』(1983年7月2日日本公開/米国1983年5月25日公開)中盤以降、惑星エンドー周回軌道上で建造途中の第二デス・スターの護衛位置確保を、引き続きエグゼキューターの艦長兼提督として指揮する。皇帝パルパティーンが第二デス・スター艦内へ移った状態でも、ピエットは艦橋に留まる。第二デス・スターのスーパーレーザーが本格稼働するまでの間、反乱同盟軍艦隊の到着を惑星の陰に隠した艦隊配置で迎え撃つ任務に従事する。
エグゼキューター艦橋の終焉
本編終盤の惑星エンドー上空の決戦『エンドーの戦い』では、アクバー提督率いる反乱同盟軍のY-ウィング・X-ウィング・B-ウィング・A-ウィング各編隊が、建造途中の第二デス・スターと帝国軍艦隊の間に乱戦を仕掛ける。ピエットは艦橋に留まり指揮を続けるが、被弾し操縦不能となったA-ウィング・パイロット、アーヴェル・クライニッドの機体が、偏向シールドの停止したエグゼキューター艦橋へ体当たり突入する。直撃を受けた同艦は姿勢制御を失い、ピエットを含む艦橋要員とともに第二デス・スター船体表面へ墜落して大破する。
02能力・特徴

- スーパー・スター・デストロイヤー『エグゼキューター』を『帝国の逆襲』序盤から『ジェダイの帰還』終盤まで一貫して指揮する艦隊指揮能力。実写映画本編で同艦の艦長として描かれる唯一の士官であり、帝国軍艦隊機動の中核を任される地位として造形される。
- ダース・ベイダー直属士官としての判断遂行能力。オジェル提督が絞首される同じ艦橋場面で後任に昇進し、ホスの戦いの仕上げ、ファルコン号追撃網の運用、第二デス・スター護衛など、複数艦・複数賞金稼ぎ・複数戦闘機隊を組み合わせた中規模以上の艦隊運用に集中する。
- 艦橋に留まる艦長としての職務貫徹姿勢。パルパティーンとベイダーが第二デス・スターへ移った後もエグゼキューター艦橋で指揮を続け、クライニッドの体当たり突入を受けて艦と運命を共にする。職務を最後まで貫徹したまま絶命する数少ない帝国軍士官の一人に位置付けられる。
03関連人物

04登場・関連作品
05名場面

『帝国の逆襲』序盤、エグゼキューター艦橋でキャプテンのピエットがエコー・ベースの位置をベイダーに具申する初登場場面。直後にオジェル提督が絞首され、ピエットが提督へ昇進する起点となる。
『帝国の逆襲』中盤、新任提督ピエットが帝国軍艦隊と賞金稼ぎを動員し、クラウド・シティへ向かうミレニアム・ファルコン号をボバ・フェットの追尾と組み合わせて追い込む場面。
『ジェダイの帰還』中盤、エンドー周回軌道で第二デス・スターの護衛位置を確保する場面。皇帝が艦内へ移った後もピエットは艦橋に留まり、惑星の陰に隠した艦隊配置で反乱軍を待ち受ける。
『ジェダイの帰還』終盤のエンドーの戦いで、クライニッドのA-ウィングがエグゼキューター艦橋へ体当たり突入。同艦は姿勢制御を失い第二デス・スターへ墜落し、ピエットの出演が完結する。
06制作背景

演者は英国の俳優ケネス・コリー(Kenneth Colley/1937年12月7日英国マンチェスター出身)。ニコラス・ローグ/ドナルド・キャメル共同監督『パフォーマンス』(1970年英国公開)、テリー・ジョーンズ監督『ライフ・オブ・ブライアン』(1979年英国公開)のジーザス役などで知られる演技派俳優である。ケン・ラッセルやピーター・グリーナウェイの作品群、英国製ドラマにも出演歴を持ち、ピエットの抑制された士官口調と艦橋上の張り詰めた表情を造形して、2作品で連続して本役を担当した。シリーズ後もスター・ウォーズ・セレブレーション等に度々登壇し、ピエット役の代名詞的キャスティングとして長く結び付けられている。
監督は『帝国の逆襲』がアーヴィン・カーシュナー(Irvin Kershner/1923年4月29日米国ペンシルベニア州フィラデルフィア出身/2010年11月27日没)、『ジェダイの帰還』がリチャード・マーカンド(Richard Marquand/1937年9月22日英国ウェールズ・カーディフ出身/1987年9月4日没)。カーシュナーはルーカスの南カリフォルニア大学時代の教師であり、マーカンドは同作を事実上の代表作として1987年に他界した。両監督はピエット昇進やA-ウィング体当たりなど、本キャラクターの起点と終焉を成す艦橋場面の演出構成を担当した。
脚本は『帝国の逆襲』がリー・ブラケット(Leigh Brackett/1915年12月7日米国カリフォルニア州ロサンゼルス出身/1978年3月17日没)とローレンス・カスダン(Lawrence Kasdan/1949年1月14日米国フロリダ州マイアミビーチ出身)、『ジェダイの帰還』がカスダンとジョージ・ルーカス(George Lucas/1944年5月14日米国カリフォルニア州モデスト出身)の共同クレジットで、原案・製作総指揮はいずれもルーカス。ブラケットは初稿執筆後の1978年に他界し、ピエット昇進命令を含む艦橋場面のセリフはカスダン執筆稿で仕上げられた。プロデューサーは前者がゲイリー・カーツ(Gary Kurtz/1940年7月27日米国ロサンゼルス出身/2018年9月23日没)、後者がハワード・カザンジアン(Howard Kazanjian/1942年7月26日米国フレズノ出身)で、前者はカーツが手掛けた最後の本編『スター・ウォーズ』にあたる。製作はルーカスフィルム、配給は20世紀フォックス(当時)、視覚効果はインダストリアル・ライト&マジック(ILM)。
音楽はジョン・ウィリアムズ(John Williams/1932年2月8日米国ニューヨーク州フラッシング出身)が両作のスコアを担当し、『帝国の逆襲』で初導入した『帝国のマーチ(The Imperial March/Darth Vader's Theme)』を含むベイダー艦隊側の楽曲レイヤーを書き下ろした。同モチーフはピエットが指揮する艦橋場面の重厚な緊張感を音楽面から構成し、彼の士官口調・張り詰めた表情と分離不能に機能する。ウィリアムズは『新たなる希望』(1977年)から『スカイウォーカーの夜明け』(2019年)までシリーズ本編全9作のスコアを担当した。音響はベン・バート(Ben Burtt/1948年7月12日米国ニューヨーク州ジャマイカ出身)が、スーパー・スター・デストロイヤー内部音響、艦橋計器の電子音、フォース絞首の喉元効果音、A-ウィング直撃時の艦橋破壊音を構成した。
衣装は『帝国の逆襲』がジョン・モロ(John Mollo/1931年3月18日英国ロンドン出身/2017年10月25日没)、『ジェダイの帰還』がアギー・ゲラルド・ロジャースとニロ・ロディス=ハメロの共同担当。モロはピエットやオジェル提督、ジェネラル・ヴィアースが着る帝国軍士官制服(オリーブ・グレー基調/階級章ピンバッジ+胸ボード/士官帽)の造形を確立し、前作『新たなる希望』(1977年)でアカデミー衣装デザイン賞を受賞している。同制服は第二次大戦期のドイツ軍・ソ連軍の軍服を参照した造形で、階級章配置と士官帽の有無により艦長兼提督のピエットが艦橋要員やストームトルーパーから視覚的に弁別される。撮影は『帝国の逆襲』がピーター・サショウスキー(Peter Suschitzky/1941年7月25日英国ロンドン出身)、『ジェダイの帰還』がアラン・ヒューム(Alan Hume/1924年10月16日英国ロンドン出身/2010年7月13日没)で、青味がかった艦橋照明やホログラム通信の階調、A-ウィング直撃直前のクローズアップ照明を設計した。
07評価・考察

アドミラル・ピエットは、『帝国の逆襲』『ジェダイの帰還』の2作にまたがり、ベイダー艦隊旗艦スーパー・スター・デストロイヤー『エグゼキューター』の艦長兼提督として一貫描写される唯一の士官である。実写映画本編で同艦の艦長として描かれる人物は彼のみであり、エグゼキューターという艦そのものが本キャラクターと不可分の指揮系統として造形されている。
本キャラクターは、上司オジェル提督がベイダーのフォース絞首で絶命するのと同じ艦橋場面で昇進する造形を通じ、帝国軍内部の昇進が現場士官の死と直結する命令系統である事実を、極めて短い場面のうちに可視化する役割を担う。ピエット自身もエンドーの戦いで艦橋に留まったままクライニッドの体当たり突入を受けて絶命する造形により、ベイダー直属士官という地位そのものの代償を物語側で完結させている。
出演はジョージ・ルーカスのオリジナル三部作のうち『帝国の逆襲』『ジェダイの帰還』の2作のみに限られる。『新たなる希望』やプリクエル三部作・シークエル三部作の他の実写映画群、および『マンダロリアン』『ボバ・フェット』『オビ=ワン・ケノービ』『アソーカ』『アンドー』等の実写ドラマ群には登場しない。
08トリビア
- ピエットは『帝国の逆襲』『ジェダイの帰還』の2作でケネス・コリーが演じた。同俳優は『ライフ・オブ・ブライアン』のジーザス役でも知られる英国の演技派である。
- ピエットは、上司オジェル提督がベイダーのフォース絞首で絶命するのと同じ艦橋場面で提督へ昇進する。帝国軍内の昇進が現場士官の死と直結する命令系統を可視化する場面である。
- 彼の指揮艦スーパー・スター・デストロイヤー『エグゼキューター』はインペリアル級より大幅に大型化された艦級で、実写映画本編で艦長として描かれる士官はピエットのみである。
- ピエットの劇中フルネーム『フィルマス・ピエット(Firmus Piett)』はオリジナル三部作の本編ではセリフとして読み上げられず、エンドクレジットや公式設定資料側で記載されている。
- エグゼキューターのミニチュア模型はILMが『帝国の逆襲』用に新規造形した。艦橋窓越しに要員が見える特殊撮影と合わせ、ピエットと艦の不可分性を視覚面から成立させた。
09よくある質問
『スター・ウォーズ/エピソード5 帝国の逆襲』と『エピソード6 ジェダイの帰還』の2作品に登場する。プリクエル・シークエル三部作の他の実写映画や、『マンダロリアン』等の実写ドラマには登場しない。
英国の俳優ケネス・コリー(Kenneth Colley)が2作品で連続して演じた。『ライフ・オブ・ブライアン』のジーザス役などで知られる演技派俳優である。
死亡する。『ジェダイの帰還』終盤のエンドーの戦いで、A-ウィングの体当たりを受けたエグゼキューターが第二デス・スターへ墜落・大破し、ピエットは艦と運命を共にする。
いいえ。『帝国の逆襲』冒頭ではエグゼキューターのキャプテンであり、失策した上司オジェル提督がベイダーに絞首された直後、その場で提督へ昇進する。
ピエットはベイダーの直属士官である。艦橋でオジェルの絞首直後に昇進を命じられ、以後2作品を通じてベイダー直属の艦隊提督として行動する。
10出典
- StarWars.com 公式: The Empire Strikes Back
- StarWars.com 公式: Return of the Jedi
- StarWars.com Databank: Admiral Piett
- StarWars.com Databank: Admiral Ozzel
- StarWars.com Databank: Darth Vader
- StarWars.com Databank: Executor
- Wookieepedia: Firmus Piett
- Wookieepedia: Executor
- IMDb: Kenneth Colley
- IMDb: Irvin Kershner
- IMDb: Richard Marquand
- IMDb: George Lucas
- IMDb: Leigh Brackett
- IMDb: Lawrence Kasdan
- IMDb: John Williams
- IMDb: Ben Burtt
- IMDb: John Mollo
- IMDb: Gary Kurtz
- IMDb: Howard Kazanjian
- IMDb: Peter Suschitzky
- IMDb: Alan Hume