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ANNA MOVIESハリー・ポッター
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人物・家系・歴史

マローダーズ

月影、虫食い、パッドフット、プロングズを名乗ったホグワーツの四人組。友情と才能、加害、戦争での忠誠と裏切りが次世代へ影響する。

四人を結んだ名前

マローダーズは、ホグワーツで同学年だったジェームズ・ポッター、シリウス・ブラック、リーマス・ルーピン、ピーター・ペティグリューの四人を指す呼び名である。

彼らはグリフィンドール寮で親しくなり、月影、虫食い、パッドフット、プロングズという別名を使った。四つの名は単なるあだ名ではない。リーマスの狼人間としての秘密と、ほかの三人が習得した動物もどきの姿に対応している。

四人は高度な魔法を使って忍びの地図を作り、ホグワーツの抜け道を知り尽くした。しかし友情と才能だけを称えると、彼らが他の生徒を傷付けた事実や、その関係が裏切りによって崩れた経緯を見落とす。

マローダーズの物語には、同じ四人が生んだ助けと危険が並んでいる。リーマスの孤独を和らげた行動は深い友情だったが、規則を破って満月の夜に校外を歩いた行動は、誰かを襲う事故につながりかねなかった。

ホグワーツで始まった友情

四人は1970年代にホグワーツへ入学した。ジェームズとシリウスは早くから強い自信と才能を見せ、教師からも目立つ問題児として記憶される。

リーマスは慎重で、友人の行動を止めるべき場面でも強く反対できないことがあった。狼人間である自分を受け入れてくれた友人を失うことが怖かったからだ。

ピーターはジェームズとシリウスの力に引かれ、彼らのそばにいることで安全と評価を得た。四人の関係は対等に見える場面もあるが、集団の中心と、それを追いかける者の差は存在した。

それでも学生時代の彼らは、多くの時間を一緒に過ごした。友情が作り物だったわけではない。のちの裏切りが深刻なのは、守る価値のある関係が実際にあったからである。

リーマス・ルーピンの秘密

リーマス・ルーピンは幼い頃、フェンリール・グレイバックに噛まれて狼人間となった。当時の魔法界では狼人間への偏見が強く、通常ならホグワーツで学ぶことも難しかった。

校長アルバス・ダンブルドアは、月に一度の変身を隔離できるよう準備し、リーマスの入学を認めた。暴れ柳の根元から叫びの屋敷へ続く通路が作られ、変身中の彼を人々から遠ざける。

友人たちは、リーマスが毎月「母親の病気」を理由に姿を消す説明を疑う。やがて真相を知るが、彼を拒絶しなかった。

その受容はリーマスにとって大きかった。秘密が知られれば友人も学校生活も失うと思っていた少年は、自分の危険な変身を知った上で残る仲間を得た。

三人が動物もどきになった理由

狼人間は人間に対して攻撃的になるが、動物には同じ反応を示しにくい。ジェームズ、シリウス、ピーターは満月の夜にリーマスへ付き添うため、動物もどきになる方法を学び始めた。

動物もどきの習得は難しく、未成年の学生が独力で行うには長い準備を要する。三人は数年をかけ、五年生頃までに変身できるようになった。

  • パッドフット:シリウスが変身する大きな黒い犬。
  • プロングズ:ジェームズが変身する雄鹿。
  • 虫食い:ピーターが変身する小さな鼠。
  • 月影:満月と結び付くリーマス本人。彼だけは動物もどきではなく狼人間である。

三人は魔法省へ登録しなかった。友情のために習得した事実と、危険な変身を公的な監督から隠した事実は両立する。

四つの姿が果たした役割

シリウスの犬とジェームズの雄鹿は、狼人間となったリーマスを抑えられるほど大きい。ピーターの鼠は暴れ柳の幹にある節へ近づき、枝の動きを止める役目を果たせた。

姿の違いは、四人が一緒に行動する仕組みそのものだった。一人では叫びの屋敷へ安全に出入りできず、別の一人だけでは狼人間を制御できない。

満月の夜、四人は叫びの屋敷だけに留まらず、ホグワーツの敷地やホグズミード周辺を歩いた。リーマスは友人がそばにいることで自分を傷付けることが減り、孤独な変身から一時的に解放される。

しかし外へ出れば、住民や生徒へ遭遇する危険がある。実際に大きな事故が起きなかったとしても、それは安全な計画だった証明にはならない。

ホグワーツを調べ尽くす

夜の探索を重ねた四人は、城の廊下、教室、階段、抜け道、敷地内の通路を詳しく知るようになる。教職員が把握している道だけでなく、ホグズミードへ通じる秘密の通路も見つけた。

その知識は忍びの地図へまとめられる。地図はホグワーツの平面だけを示すのではなく、城内にいる人物や幽霊の名前と移動を足跡として表示する。

地図が透明マントやポリジュース薬に惑わされないことは、その魔法が外見ではなく人物の存在を捉えていることを示す。ピーターが鼠の姿でいても、地図には本人の名が現れた。

製作者たちは自分たちの別名を署名し、合言葉で表示と消去を切り替えた。ふざけた口調の裏に、追跡、地図化、識別を組み合わせる高度な魔法がある。

忍びの地図が持つ二つの用途

学生時代の四人にとって、地図は規則を破って移動するための道具だった。管理人や教師の位置を避ければ、夜の城や秘密の通路へ入りやすい。

のちにフレッドとジョージ・ウィーズリーが地図を手に入れ、ハリーへ譲る。ハリーはホグズミードへ抜け出すだけでなく、危険な人物の位置や城内の異変を知るためにも使った。

同じ機能が、いたずらと安全確認の両方へ働く。道具そのものが目的を決めるのではなく、所有者が誰を探し、何から隠れるかによって意味が変わる。

地図は四人の学生時代を越えて、次の世代の物語へ介入した。作った本人たちは、その道具が自分たちの裏切りを暴くとは想像していなかったはずだ。

ジェームズとシリウス

ジェームズ・ポッターとシリウス・ブラックは、四人の中でも特に親しかった。二人は才能、反抗心、自信を共有し、学校内のいたずらを先導する。

シリウスにとってポッター家は、純血主義を掲げるブラック家から離れた後の居場所にもなった。ジェームズの両親は彼を受け入れ、友情は学校の外にも続く。

第一次魔法戦争が激しくなると、二人は不死鳥の騎士団へ加わる。学生時代に規則へ反発した力は、ヴォルデモートへの抵抗へ向けられた。

ただし、後年の勇気が学生時代の行動を無かったことにはしない。二人の関係を理解するには、強い忠誠と集団内の傲慢さを同時に見る必要がある。

スネイプへのいじめ

マローダーズとセブルス・スネイプの対立は、単なる寮同士の悪ふざけでは済まない。ジェームズとシリウスは、周囲の生徒が見ている前でスネイプへ呪文を使い、屈辱を与えた。

ハリーが憂いの篩で見る「スネイプの最悪の記憶」では、試験後のスネイプが標的にされる。ジェームズは明確な防衛理由がないまま攻撃を始め、シリウスも加わる。

リーマスは監督生だったが、読書を続けて止めなかった。ピーターは強い側の行動を面白がる。実際に呪文を放った者だけでなく、止められる立場で沈黙した者の責任も残る。

スネイプ自身が闇の魔術へ関心を持ち、のちに死喰い人へ加わったことは事実である。それでも、彼の後年の選択を理由に当時のいじめを正当化することはできない。

叫びの屋敷で起きかけた事件

シリウスはある時、スネイプへ暴れ柳の枝を止める方法を教える。通路の先には、満月で狼人間へ変身したリーマスがいた。

スネイプが通路へ入れば、襲われて死亡する可能性があった。ジェームズは事態を知って彼を引き戻し、最悪の結果を防ぐ。

この出来事は、シリウスのいたずらが殺人につながり得る線を越えたことを示す。同時に、ジェームズの救助が純粋な善意だけだったか、リーマスと友人たちを守る必要もあったかは、単純には決められない。

リーマスは自分の意思で罠を仕掛けたわけではない。それでも自分の変身が友人の攻撃に利用されかけた事実は、彼が仲間へ強く反対できなかった危うさを示す。

卒業後の不死鳥の騎士団

卒業後、四人はヴォルデモートが勢力を広げる時代へ入る。ジェームズ、シリウス、リーマス、ピーターはいずれも最初の不死鳥の騎士団に関わった。

学生時代の秘密を共有した仲間が、今度は命を狙われる抵抗活動を共有する。ところが騎士団の内部情報が敵へ漏れ始め、互いへの疑いが生まれる。

シリウスはリーマスを裏切り者ではないかと疑い、リーマスもシリウスの真意を知らなかった。長い友情があっても、情報を制限された戦時には信頼を確かめる方法が失われる。

実際にヴォルデモートへ情報を渡していたのはピーターだった。守ってくれる強者のそばへ移ろうとする彼の性質は、学生時代とは比較にならない結果を生む。

秘密の守人を変える計画

ジェームズとリリーは、息子ハリーを連れてゴドリックの谷に隠れる。忠誠の術によって所在を隠し、秘密の守人だけが居場所を他者へ明かせる状態にした。

当初、最も信頼されていたシリウスが守人になると思われた。しかしシリウスは、自分が狙われることを逆手に取り、目立たないピーターへ役目を移す案を出す。

ヴォルデモートもシリウスを追うだろうという予測は合理的に見えた。だが計画は、ピーターが忠実であることを前提にしていた。

ピーターはポッター家の居場所をヴォルデモートへ渡した。ジェームズとリリーは殺され、ハリーに向けられた呪文は跳ね返る。四人の友情は、魔法戦争の転換点そのものへつながった。

ピーターの偽装とシリウスの投獄

ピーターを追い詰めたシリウスは、街中で対峙する。ピーターは周囲のマグルを巻き込む爆発を起こし、自分の指を残して鼠へ変身した。

現場に残ったシリウスは、ポッター家を裏切りピーターを殺した犯人と見なされる。彼は十分な裁判を受けないままアズカバンへ送られた。

ピーターはスキャバーズという名の鼠になり、ウィーズリー家で長く暮らす。死んだ英雄として記憶されながら、敵からも司法からも隠れ続けた。

リーマスも世間の説明を信じ、シリウスが裏切ったと考える。生き残った三人は、裏切り者、囚人、誤った情報を信じる孤独な人物へ分かれた。

叫びの屋敷で明らかになる真相

ハリーの三年目、シリウスはアズカバンを脱獄する。彼が狙っていたのはハリーではなく、新聞写真でスキャバーズの姿を見つけたピーターだった。

忍びの地図を見たリーマスも、死んだはずのピーターの名に気付く。叫びの屋敷でシリウスと対面し、二人は誤解を解いてピーターの正体を明らかにする。

ハリーは両親を裏切ったピーターを殺させず、裁きを受けさせようとする。ところが満月でリーマスが変身し、混乱の中でピーターは鼠になって逃げる。

真相が分かっても、シリウスの汚名は公的には晴れなかった。無実を証明する本人が逃亡者で、真犯人も姿を消したためである。

四人のその後

ジェームズは1981年に死亡し、学生時代の仲間と再会する機会を失った。シリウスは脱獄後にハリーの名付け親として関係を築くが、神秘部の戦いで命を落とす。

リーマスは一時ホグワーツで闇の魔術に対する防衛術を教え、不死鳥の騎士団へ戻る。トンクスと結婚し、息子テディを得るが、ホグワーツの戦いで夫妻ともに死亡した。

ピーターはヴォルデモートの復活へ直接協力し、銀の手を与えられる。マルフォイ邸でハリーへの借りを一瞬ためらった時、その手が主人への不忠を罰し、彼を絞め殺す。

四人の人生は、同じ友情から始まりながら別々の終わりへ進んだ。全員が若い世代の戦争へ影響を残し、自分たちだけの物語として閉じなかった。

ハリーへ残った遺産

ハリーは父を直接知らない。マローダーズの生存者と遺品を通じて、英雄として語られるジェームズ以外の姿を知っていく。

シリウスからは家族として選び合う可能性を、リーマスからは守護霊の魔法と恐怖への向き合い方を学ぶ。忍びの地図は父たちの知識を物理的に受け継ぐ道具となる。

同時に、スネイプの記憶はジェームズの加害を見せる。父を尊敬することと、父の行動を無条件に肯定することは同じではない。

ハリーがピーターを殺さず、シリウスとリーマスにも止めるよう求めた場面は大きい。彼は父たちの友情を受け継ぎながら、その復讐まで繰り返すことは選ばなかった。

四つの別名が示すもの

月影、虫食い、パッドフット、プロングズは、正体を隠すためだけの暗号ではない。四人が互いの秘密を知り、満月の夜をともに過ごした証拠である。

月影という名は、狼人間であるリーマスを侮辱するためではなく、友人たちが共有した呼び名として使われる。パッドフットとプロングズは大きな動物の姿を、虫食いは小さな鼠の特徴を表す。

しかし別名は人物の未来も皮肉に映す。群れを守る犬のシリウスと雄鹿のジェームズに対し、鼠のピーターは隠れて生き延び、最後に仲間を売った。

動物の姿が運命を決めたわけではない。四人がその能力を何のために使ったかが、同じ地図へ署名した友人たちを別の人物にした。

才能と責任

マローダーズは学生のうちに動物もどきの変身を習得し、城全体を追跡する地図を完成させた。魔法技術だけを見れば、四人は並外れている。

ところが技術の高さは判断の正しさを保証しない。未登録の変身、満月の外出、スネイプへの攻撃には、能力を制御する責任が追いついていなかった。

ジェームズとシリウスは卒業後、同じ大胆さをヴォルデモートへの抵抗に使う。人物は学生時代の一場面だけで固定されないが、成長したから過去の被害が消えるわけでもない。

リーマスの沈黙も同じである。友人に救われた感謝と、監督生として止める責任の間で、彼はしばしば前者を選んだ。その後悔は大人になってから本人が認めている。

原作と映画の描写

原作『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』では、叫びの屋敷で四人の別名、動物もどき、地図、裏切りの関係がまとまって明かされる。人物の過去を知ることが、現在の逃亡者と鼠の正体を反転させる。

『不死鳥の騎士団』と『死の秘宝』では、スネイプの記憶や戦争中の出来事を通じて、学生時代の評価が更新される。マローダーズは一度の説明で完成する設定ではない。

映画『アズカバンの囚人』は、地図の視覚表現、暴れ柳、叫びの屋敷、動物への変身を強く描く。一方、四つの別名と地図の製作者が誰かという説明は原作より圧縮されている。

映画だけでは、なぜシリウスとピーターが動物もどきになったのか、ジェームズがどの姿だったのかが分かりにくい。原作の背景を合わせると、雄鹿の守護霊や地図の署名が同じ家族史へつながる。

友情を美化せず読む

四人がリーマスの秘密を受け入れたことは、偏見の強い魔法界で重い意味を持つ。孤立させる代わりに、自分たちも難しい変身を学んでそばへ行った。

しかし、その友情は集団の外にいるスネイプへ同じ寛容を向けなかった。内側の仲間を深く守れることと、外側の相手を傷付けないことは別の課題である。

ピーターの裏切りも、最初から友情が全て偽物だったという説明では足りない。恐怖の中で、彼は仲間より強い支配者へ自分の安全を預けた。

マローダーズを魅力的にするのは、完全な英雄の集団だからではない。友人を救った才能、他者を傷付けた傲慢さ、戦争で示した勇気、信頼を破壊した裏切りが、一つの地図に並ぶ四つの名から広がっている。