スージーQ
すーじーきゅー
ネタバレ範囲: Part 2からPart 4の家族情報まで
# スージーQスージーQは、第2部『戦闘潮流』と第3部『スターダストクルセイダース』に登場する女性である。初登場時はリサリサの使用人としてエア・サプレーナ島で働き、波紋修業中のジョセフ・ジョースターと出会う。戦闘能力を持たない日常側の人物だが、エシディシが赤石を運ぶために肉体を利用したことで、柱の男との争いの中心へ巻き込まれる。
事件後にジョセフと結婚してスージーQ・ジョースターとなり、ホリィの母、空条承太郎の祖母としてジョースター家の世代をつなぐ。陽気で少し抜けた振る舞いの奥に、家族の危機を察しても周囲を支える判断力と、夫や孫を信じ抜く強さを備えている。
名前と表記
日本語での基本表記は「スージーQ」で、結婚後は「スージーQ・ジョースター」となる。英語圏の公式版では「Suzie Q」と綴られる場合があり、日本語表記を単純にローマ字へ置き換えた形とは一致しない。資料によってSuzi、Suzie、Susieなどの綴りが見られるため、海外版名は別人を示すものではなく表記差として扱う。人物記事では結婚前後を分割せず、リサリサの使用人だった時期からジョースター家の祖母となった時期までを一人の生涯として整理する。
第7部以降の別世界に同名の対応人物は登場しておらず、本記事が扱うのは第1部から第6部まで連続する世界のスージーQである。
外見
若い頃のスージーQは明るい髪をまとめ、花飾り、イヤリング、エプロンを合わせた使用人らしい服装で描かれる。衣装には水玉模様や短いスカートが取り入れられ、リサリサの端正な装いとは異なる快活さが表れている。ジョセフとの結婚が明かされる場面では外套や長いスカートを身に着け、左手には結婚を示す指輪がある。第3部では老年期となり、白髪と眼鏡を備えた姿で登場する。
年齢を重ねても身振りの大きさや好奇心は変わらず、来日した際にはビデオカメラを回しながら東京の景色を楽しむ。漫画とテレビアニメでは髪や衣服の配色が異なるため、特定の色だけを不変の身体設定とはしない。
性格
スージーQは人当たりがよく、初対面の相手とも気軽に話せる明るい人物である。一方で二つの選択肢を前に長く迷ったり、大切な連絡を忘れたりするなど、そそっかしい面がある。波紋修業のためマスクを着けていたジョセフの正体に気づかず、口元の印象を率直に語って彼を困惑させる。この無邪気さは危険を理解できない幼さだけではない。
第3部では夫や娘の電話から異変を察しながら、周囲が自分を心配させまいとしている意図を受け止め、あえて普段通りに振る舞う。自分が不安を露わにしても戦地の家族を助けられない状況で、信頼を言葉にして娘を支える。若い頃の失敗と老年期の洞察を並べることで、陽気さを失わず経験を重ねた人物像が見えてくる。
リサリサの使用人
スージーQはヴェネツィア近郊のエア・サプレーナ島で、波紋の師範リサリサに仕えている。島はジョセフとシーザー・A・ツェペリが柱の男へ対抗するため、一か月の波紋修業を行う拠点である。彼女自身は波紋使いではなく、修業を指導する師範代でもない。掃除、食事、伝言といった生活面を担い、過酷な修業が続く屋敷に日常のリズムを作る。
リサリサから石を預かる立場ではないが、主の身近で働いているため、侵入者にとっては動向を探る入口となる。戦闘員ではない人物が安全圏にいるとは限らないことを、後のエシディシによる憑依が示す。
ジョセフとの出会い
ジョセフは呼吸を矯正するマスクを着けたまま島で生活し、スージーQと顔を合わせる。スージーQはマスク姿と素顔を結び付けられず、本人の前で外見について遠慮のない感想を述べる。ジョセフは自尊心を刺激されながらも、彼女の飾らない反応へ関心を持つ。二人の関係は戦場で背中を預ける仲間として始まるのではなく、修業の合間に交わす会話と生活上の接触から育つ。
策略と虚勢を得意とするジョセフに対し、スージーQは言葉を深読みせず自然に接する。相手の思惑を読む戦いばかり続けていたジョセフにとって、彼女の単純さは緊張から離れられる場所になる。
エシディシの侵入
ジョセフは最終試練の場でエシディシと戦い、肉体を破壊して勝利する。しかしエシディシの脳と神経は完全には消滅せず、ジョセフの背中へ取り付き、屋敷まで運ばれる。残った組織は人目を避けてスージーQへ移り、彼女の神経系と身体を支配する。スージーQは自分の意思で敵へ協力したのではなく、宿主として利用された被害者である。
エシディシは彼女の声と姿を使って屋敷内を動き、リサリサが所有するエイジャの赤石を奪う。ジョセフが異常を見抜いた時には、赤石は郵便物としてスイスのサンモリッツへ送られていた。この一手によってカーズとドイツ軍が赤石を巡って衝突し、戦いの場所はヴェネツィアからスイスへ移る。
救出
追い詰められたエシディシはスージーQの血液を沸騰させ、肉体ごと破裂させると脅す。敵だけを攻撃しようとすれば、神経を共有する彼女も致命傷を負う危険がある。ジョセフとシーザーは異なる側から波紋を流し、体内でぶつけて相殺する方法を選ぶ。二つの波紋に挟まれたエシディシの残骸だけが耐えられず、スージーQの身体から排出される。
救出はジョセフ単独の力押しでは成立せず、シーザーとの呼吸、出力、タイミングの一致を必要とする。スージーQは戦わないまま、二人が協力して守らなければならない生命として関係を結び直す。エシディシの最期は柱の男の執念を示すと同時に、ジョセフとシーザーが他者を傷つけず波紋を制御できる段階へ成長した証明でもある。
エイジャの赤石を巡る役割
スージーQはエイジャの赤石の能力や来歴を研究していた人物ではない。それでも彼女の身体を使った発送は、物語の進路を変える重大な出来事になる。赤石がサンモリッツへ渡ったため、ジョセフたちは休む間もなく追跡へ向かう。郵便という日常の仕組みが、究極生命体の誕生を左右する輸送手段になる点もこの事件の特徴である。
本人の意思と無関係に利用された以上、発送の責任をスージーQへ負わせることはできない。事件後の記述では、加害者であるエシディシの行動と、宿主にされたスージーQの行動を分ける必要がある。
ジョセフの生還と結婚
カーズとの最終決戦後、ジョセフは火山の噴火に巻き込まれ、仲間から死亡したと思われる。実際には生き延びており、負傷した身体をスージーQに看護される。二人は回復までの間に関係を深め、結婚する。ところがスージーQは、ジョセフの生存と結婚を家族へ知らせる電報を送り忘れる。
エリナ、スモーキー、スピードワゴンたちはジョセフの葬儀を行い、本人は義手を着けた姿で自分の葬式へ現れる。再会は死闘の重さを解く喜劇として描かれるが、連絡の失敗で長く悲しませた事実まで消えるわけではない。スージーQの失敗は取り返しのつかない破局にはならず、ジョセフの怒りと周囲の驚きを伴って新しい家族の出発へつながる。
ジョースター家の妻と母
結婚後、スージーQはジョセフと家庭を築き、娘ホリィをもうける。ホリィは後に日本人音楽家の空条貞夫と結婚し、空条承太郎の母となる。スージーQから見れば、ジョナサンとエリナの血統を受け継ぐジョセフが夫で、承太郎は孫に当たる。リサリサの使用人だった女性が、師であるリサリサの息子と結婚したことで、かつての主従関係は親族関係へ変わる。
第2部後の長い年月には、ジョセフが日本人女性との間に東方仗助をもうけた問題もある。スージーQはその事実を後年に知って強く怒るが、二人は離婚していない。夫の不貞を大らかさだけで許したと美化せず、怒りと継続した婚姻の両方を記録する必要がある。
第3部での立場
第3部では老年期のスージーQが登場する。DIOの復活に伴ってホリィのスタンドが発現し、精神力で制御できない彼女の生命を蝕む。ジョセフと承太郎たちはDIOを倒すためエジプトへ向かうが、スージーQには病状と旅の真相を知らせない。ジョセフは仕事だと説明し、ホリィも風邪だと装って母を安心させようとする。
スージーQは電話の声や家族の様子から、説明されていない危機があることを察する。それでも遠くから旅へ同行できない自分の立場を理解し、問い詰めて不安を増やすより、夫と孫への信頼を保つ。
娘ホリィを訪ねる
スージーQは執事ローゼスやスピードワゴン財団の職員と共に来日し、病床のホリィを訪ねる。東京の街ではビデオカメラを回し、そば店や通行人へ興味を示してローゼスを慌てさせる。明るい旅行者の姿は、娘の余命が迫っている状況と強い落差を作る。ローゼスは真実を伝えられず苦しむが、スージーQはすでに夫と娘の態度から事情を察している。
彼女は家族が戦っている以上、自分たちは信じて待つしかないと語り、ホリィのそばへ向かう。DIOが倒されるとホリィの症状は消え、母娘は無事に再会する。超常の戦いが見えない人物にも、その結果を待つ時間と、病人のそばにいる役割があることを示す場面である。
戦闘能力
スージーQは波紋もスタンドも使用しない。エシディシに憑依された時の発熱、血液操作、異常な言動は彼女自身の能力ではない。また、第3部で家族の危機を察する力も予知や読心ではなく、長年の関係と観察に基づく判断である。戦闘員ではないことは無力と同義ではない。
若い時には負傷したジョセフを看護し、老年期には恐怖を抱えた周囲を言葉で支え、ホリィのそばに残る。物理的な敵を倒す役割と、帰るべき家庭を維持する役割を混同せずに評価できる人物である。
人間関係
ジョセフ・ジョースタージョセフはスージーQの夫であり、エシディシから彼女を救った人物でもある。二人は性格の軽妙さを共有しながら、連絡忘れや不貞によって何度も家庭を騒がせる。第3部まで続く関係では、スージーQが夫の生還力を深く信じている。
リサリサリサリサはかつての雇用主であり、結婚後は義母となる。スージーQは彼女が守る赤石の争いへ巻き込まれ、息子ジョセフとの結婚によって家族へ加わる。ホリィと空条承太郎
ホリィは娘、承太郎は孫である。ホリィの優しさと無邪気さには、母スージーQと共通する家庭的な明るさがある。承太郎とは感情表現の仕方が大きく異なるが、スージーQは彼をジョースター家の困難を越える力を持つ若者として信頼する。
物語上の役割
スージーQは第2部の戦闘と第3部の戦闘を直接勝ち抜く人物ではない。それでもエシディシの執念、ジョセフとシーザーの連携、赤石の移動、ジョセフの生還、ホリィと承太郎へ続く家系が彼女を介して接続される。そそっかしさは喜劇を生み、他者を信じる姿勢は深刻な局面を支える。危機を知らない人ではなく、危機を察したうえで普段通りの明るさを選べる人へ成長する点が、若年期と老年期を貫く変化である。
ジョースター家の歴史では、戦場に立つ者だけでなく、生還者を看護し、子を育て、帰還を待つ者も次の部を成立させている。スージーQはその生活側の継承を担う代表的な人物である。