レオーネ・アバッキオ
れおーね・あばっきお
ネタバレ範囲: Part 5全編とサルディニアでのアバッキオの最期まで
# レオーネ・アバッキオレオーネ・アバッキオは、第5部『黄金の風』に登場するブローノ・ブチャラティチームの一員である。過去の人物や物体の動きを指定時刻から再生するスタンド「ムーディー・ブルース」を操る。元警察官として捜査と観察を学んだが、汚職へ手を染めた結果、相棒を失って職も信念も捨てる。
ブチャラティへ忠誠を誓ってギャングとなり、最後にはボスの顔を再生して仲間へ残す。
基本情報
アバッキオは20歳で、パッショーネに所属する元警察官である。公式人物紹介では警戒心が強く、他人を簡単には信用しない一方、一度信頼を置いた者の命令なら命を賭ける人物と説明される。チームでは過去の行動を再現して証拠を探す捜査役を担う。スタンドは戦闘より調査に向くが、本人は体格と格闘能力に優れ、敵を拘束する場面でも前へ出る。
名前と表記
日本語版の名前は「レオーネ・アバッキオ」で、ラテン文字ではLeone Abbacchioと書かれる。leoneはイタリア語でライオンを意味する。abbacchioは子羊を使う料理や食材名として使われる語である。スタンド名は「ムーディー・ブルース」で、英語表記はMoody Bluesである。
海外版の変更名は別名欄で管理し、日本語版と異なる人物や能力へ分割しない。
外見
アバッキオは長い髪を中央で分け、頭頂部を覆うように結んでいる。額には複数の三角形を並べた帯を着け、胸元が開いた暗色の服と長い外套を身に着ける。唇には濃い色を使い、チームの中でも冷たく鋭い表情を見せることが多い。原作カラー版とテレビアニメでは髪、瞳、服の色に差があるため、一つの配色だけを漫画本編の固定設定としない。
性格
アバッキオは新入りのジョルノへ強い不信を抱き、言葉と行動が一致するかを試す。自分の能力を軽々しく見せず、チームの安全と任務の成功を個人の感情より優先する。危険な場面では救助より指令を選ぶ冷徹さを示すが、それは仲間を軽視する態度ではない。命令を果たす者がいなければ全員の犠牲が無意味になると考え、自分の傷や死も任務の材料にする。
ジョルノの楽観的な提案へ反発しながらも、結果が正しいと分かれば手掛かりをつなぐ。
警察官になった理由
アバッキオは社会の秩序と市民を守ることを望み、学校を出た後に警察官となる。現場では犯罪者が法の隙間を抜け、賄賂と圧力によって正義が曲げられる現実を知る。努力して逮捕しても処罰へ結び付かない経験が重なり、自分の仕事へ疑いを持つ。その迷いは悪人へ屈しない意志ではなく、受け取っても何も変わらないという諦めへ向かう。
正義を信じた出発点と、制度への失望が同居した状態で大きな過ちを犯す。
汚職と相棒の死
アバッキオはある犯罪者から賄賂を受け取り、見逃す。後に同じ犯罪者を相棒と追う状況になり、癒着を知られることを恐れて一瞬動けなくなる。その隙に相棒が銃撃を受け、アバッキオをかばって死亡する。犯罪者は逮捕されるが、賄賂を受けた事実も明らかになり、アバッキオは職を失う。
彼が抱える罪悪感は、違法な金を受け取ったことだけでなく、正しい行動を選ぶ最後の瞬間に相棒を死なせたことへ向く。
ブチャラティとの出会い
警察を追われたアバッキオは、自分を生きている価値のない人間とみなす。ブチャラティは過去を知った上で彼をチームへ迎え、任務を任せる。アバッキオは善悪の理想を語り直すのではなく、信頼するリーダーの命令を確実に果たすことへ生きる基準を置く。ブチャラティへの忠誠は盲目的な服従ではなく、失った判断軸を再び他者との信頼から築く行為でもある。
組織のボスへ反逆する場面でも、ブチャラティが決めた道なら危険を受け入れる。
ジョルノへの不信
ポルポの入団試験を通過したジョルノがチームへ加わると、アバッキオは歓迎しない。新人へ飲み物を勧める形で屈辱的な試しを行い、反応と機転を観察する。ジョルノはゴールド・エクスペリエンスで歯をクラゲへ変え、液体を吸わせて試しを切り抜ける。アバッキオは騙されたことに気づかないままでも、平然と対応する新人が普通ではないと見る。
二人の対立は単なる相性の悪さではなく、ブチャラティの計画へ未知の人物を加える危険を巡る警戒である。
ムーディー・ブルース
ムーディー・ブルースは人型のスタンドで、指定した人物や物体の過去の行動を映像のように再生する。対象の姿へ変身し、声、動作、位置の移動を同じ時刻に沿って再現する。額の表示で再生時刻を確認し、早送り、巻き戻し、一時停止を使って必要な瞬間を調べる。再生体は過去の出来事を演じるが、当時の人物が考えた内容まで読む能力ではない。
また、再生中はスタンドが捜査へ占有され、敵の攻撃へ十分に対処できない場合がある。
捜査能力としての価値
ムーディー・ブルースは目撃者がいない事件でも、現場と対象を指定できれば過去の動作を追える。声と姿を再現するため、会話の内容、通信先、隠した物、移動経路を証拠として仲間へ示せる。敵が嘘をついても、過去に実行した動作自体は別の形へ変わらない。一方、再生開始には対象と時間の見当が必要で、何年分もの出来事を無制限に瞬時検索する能力ではない。
現場へ残った痕跡とアバッキオの推理を組み合わせて初めて、必要な時刻へ到達する。
ソフト・マシーンの調査
カプリ島へ向かうヨットで仲間が次々に消えると、アバッキオはナランチャの行動を再生する。ジョルノへ能力を見せることを嫌うが、彼が自分を犠牲にして手掛かりを残した姿を見て使用を決める。再生体が配管へ入る動きを追い、ナランチャが海へ落ちず、船内の見えない層へ運ばれたと分かる。ズッケェロの攻撃を受けた際にも血を残し、その血が見えている船体へ付着しない矛盾をブチャラティへ伝える。
アバッキオ自身が捕らえられても、証拠はリーダーの推理へ引き継がれる。
ポンペイでの任務
アバッキオ、ジョルノ、フーゴは、ボスの指示に従ってポンペイの遺跡へ鍵を取りに行く。イルーゾォのマン・イン・ザ・ミラーによって鏡の世界へ引き込まれ、仲間同士が分断される。アバッキオは再生中のムーディー・ブルースを自分の姿へ変え、敵へ本体だと思わせて反撃する。身体の半分だけを鏡世界へ引き込まれた後は、自分の手を切り離して再生能力へ鍵を運ばせる。
任務の鍵を守るためなら自分の身体を犠牲にする判断は、警察官時代に動けなかった過去との違いを示す。
ブチャラティの反逆に同行する
ヴェネツィアでブチャラティがトリッシュをボスへ引き渡した後、彼女を殺す意図に気づいて反逆する。アバッキオはボスの強さと組織を敵に回す危険を理解している。それでもブチャラティが戻ると、選択の結果を受け入れて同行する。忠誠の対象はパッショーネの制度ではなく、自分へ再び役割を与えたブチャラティである。
以後はボスの正体を追うため、飛行機の操縦再生や過去の情報解析を担う。
サルディニアでの再生
一行はトリッシュの母ドナテラを撮影した写真から、サルディニアの海岸を特定する。アバッキオは写真が撮られた約15年前の地点と時刻を割り出し、撮影者をムーディー・ブルースで再生する。目的はボスの若い頃の顔を確認し、追跡可能な情報を得ることである。長い年月を巻き戻す間、ブチャラティとナランチャは周囲に現れた敵の反応を確かめに向かう。
アバッキオは再生を中断せず、単独に近い状態で完成を待つ。
ディアボロの奇襲
ディアボロはムーディー・ブルースが自分の顔を再生しようとしていると知り、記録が完成する前に止めようとする。一般の子供へ近づく姿を利用して警戒を外し、アバッキオへ致命傷を与える。アバッキオは敵の外見を完全に認識できないまま倒れるが、最後まで再生を続ける。攻撃を受けた時点で自分の生存より、仲間がボスを追える証拠を残すことを選ぶ。
最後に残した顔
ムーディー・ブルースは再生した若いディアボロの顔を地面の岩へ押し付け、形として残す。仲間はアバッキオの死後、岩に刻まれた顔と指紋を発見する。再生体が消えても、物理的な痕跡へ変換された情報は残る。ジョルノたちはその顔を手掛かりにボスを探し、アバッキオの任務を引き継ぐ。
捜査用の能力が最後に果たす役割は敵を倒すことではなく、正体を未来へ渡すことである。
相棒との再会
死の間際、アバッキオは警察官時代の相棒と再会するような場面を経験する。相棒は、結果だけを求めるのではなく真実へ向かおうとする意志が大切だと伝える。アバッキオは自分が死んだ事実へ気づき、仲間へ残した手掛かりを振り返る。過去の失敗を消すことはできないが、最後の任務を果たしたことで、止まっていた自己評価が変わる。
この場面は現実の会話として他の人物に観測されず、死後の精神的な再会として描かれる。
チームへの影響
ナランチャはアバッキオの死を受け入れられず、ジョルノへ治してほしいと訴える。ブチャラティは悲しみを抑え、残された情報を無駄にしないため捜索を続ける。アバッキオの身体にはジョルノが花を咲かせ、仲間がその場を離れるまでの弔いとなる。厳しく不愛想だった人物の死によって、チームが彼をどれほど仲間として頼っていたかが明らかになる。
原作とテレビアニメ
漫画本編では元警官の過去、ポンペイでの任務、サルディニアの最期が異なる局面で描かれる。テレビアニメ版の声は諏訪部順一が担当する。アニメ版では回想の配置や仲間が死を悼む演出が拡張され、第28話の花に覆われた場面も追加される。公式制作ノートは、この追加が原作の場面を尊重しながらジョルノの行動を補った演出であると説明する。
小説やゲーム独自の台詞と行動は媒体を明記し、漫画本編の経歴へ混在させない。
未判明事項
アバッキオの家族、警察学校時代、ブチャラティと出会った正確な時期は明かされない。ムーディー・ブルースが再生できる過去の最大期間、対象選択に必要な情報量、同時再生数にも数値設定はない。再生体が物理的に触れられる範囲と戦闘能力には場面ごとの差があり、通常の攻撃型スタンドと同じ基準では測れない。アニメで追加された演出と漫画本編の出来事を区別しながら、双方の役割を説明する必要がある。