ナランチャ・ギルガ
ならんちゃ・ぎるが
ネタバレ範囲: Part 5全編、ナランチャの過去とコロッセオでの最期まで
# ナランチャ・ギルガナランチャ・ギルガは、第5部『黄金の風』に登場する17歳の少年で、パッショーネのブチャラティチームに所属する。小型戦闘機型スタンド「エアロスミス」を操り、機銃と爆弾に加え、二酸化炭素を検知するレーダーで敵を追跡する。学校教育を十分に受けられず勉強を苦手とするが、追い詰められた戦闘では環境、呼吸、敵の能力を結び付ける高い判断力を示す。
自分を救ったブチャラティへの恩だけでなく、トリッシュと自分の境遇を重ね、自らの意思でボスへの反逆を選ぶ。
基本情報
ナランチャは1983年5月20日生まれで、本編時点では17歳である。イタリアのネアポリスで育ち、パッショーネへ加入した後はブローノ・ブチャラティの部下として行動する。公式人物紹介では、人生に絶望していた時に自分を叱って救ったブチャラティへ恩を感じ、力になるため入団した人物と説明される。無邪気で感情が表へ出やすく、勉強は苦手だが、射撃とエアロスミスの操作には優れる。
チーム内では索敵、広範囲の銃撃、上空からの偵察を担当し、見えない敵の位置を探す場面で欠かせない。
名前と表記
日本語表記は「ナランチャ・ギルガ」で、ラテン文字ではNarancia Ghirgaと書かれる。naranciaはイタリア語のaranciaを連想させるが、作中で名前の由来は説明されない。日本語資料で生じる「ギルガ」「ギルガー」などの揺れは、原作の人物名へ正規化する。スタンド名は「エアロスミス」で、英語表記はAerosmithである。
海外版で使われる変更名は別名欄へ保持し、原作日本語版の固有名と別スタンドへ分けない。
外見
ナランチャは小柄で細身の少年で、額へ布を巻き、短い髪を上向きに立てる。上半身には短い丈の服を着て腹部を露出し、腰にはスカート状の布を付ける。腕輪、足首の装飾、靴にも円形の模様があり、活発な動きを強調する軽い服装である。年齢はジョルノより二歳上、トリッシュより二歳上だが、体格と率直な言動から年下に見られやすい。
原作カラー版、テレビアニメ、ゲームでは髪、服、装飾の色が異なるので、一種類の配色を固定設定としない。
幼少期
ナランチャは10歳の頃に母を目の病気で亡くす。父親は息子へ十分な関心を向けず、ナランチャは学校へ通わなくなり、友人の家や街で食べ物を得て暮らす。本人は友情を最も大切なものと考え、年上の友人の言葉を疑わずに信じる。友人から髪を明るく染めるよう勧められた翌日、同じ外見の犯人と間違えられ、罪を着せられて少年院へ送られる。
裏切られた可能性を認めるより友人を信じようとし、自分を守る判断が遅れる。
少年院と病気
ナランチャは少年院で一年を過ごし、暴力と劣悪な環境にさらされる。出所後は目の周囲に病気を発症し、母と同じ病気が感染すると誤解した友人たちから避けられる。父のもとへも戻れず、食べ物を探して街をさまよい、生きる意欲を失う。病気そのものより、家族と友人の双方から見放された経験が絶望を深くする。
この時期に受けた裏切りが、後のナランチャにとって仲間を置き去りにする行為を受け入れにくくする。
フーゴとの出会い
街で食べ物を探すナランチャをパンナコッタ・フーゴが見つけ、ブチャラティのもとへ連れて行く。ブチャラティは同情するだけで放置せず、病院へ運んで治療を受けさせる。回復したナランチャは恩返しのためギャングへ入りたいと頼むが、ブチャラティは危険な生活へ来るなと強く叱る。拒絶は価値がないから追い払う態度ではなく、少年の将来を考えて組織から遠ざけようとするものだった。
ナランチャは自分のために本気で怒る大人へ初めて出会い、その言葉からブチャラティを信頼する。
パッショーネへの入団
ブチャラティの反対を受けても、ナランチャは自分の意思でポルポの入団試験を受ける。試験に関係するスタンドの矢を生き延び、エアロスミスを発現して組織へ加わる。恩を受けたから命令へ盲目的に従うのではなく、自分もブチャラティの力になれる位置を選ぶ。学校へ戻る道ではなくギャングになる選択には危険があるが、居場所と仲間を初めて自分で決めた行動でもある。
フーゴは加入後も読み書きや算数を教え、ナランチャが問題を間違えると激しく怒りながら面倒を見る。
性格
ナランチャは嬉しさ、怒り、悲しみを隠さず、仲間の冗談や食事へ素直に反応する。計算問題や道順の暗記に苦戦し、フーゴから教わっても簡単な答えを取り違える。自分の無知をからかわれると怒りやすいが、戦闘では分からない条件を観察し、試して確かめることができる。敵に小さくされた状況でも、呼吸、炎、物体の重さから居場所と能力の仕組みを推理する。
仲間が傷つくと冷静さを失う一方、その感情が危険へ踏み込む勇気にもなる。無邪気さと戦闘の残酷さが同居し、敵へ容赦ない銃撃を行った直後に買い物の失敗を嘆くこともある。
スタンド「エアロスミス」
エアロスミスはプロペラ式の小型戦闘機に似た遠隔操作型スタンドである。機首と翼の機銃による連射、爆弾の投下、プロペラを使った切断攻撃を行う。本体から離れて飛行でき、建物の内部や上空を偵察しながら攻撃へ移れる。レーダーは周囲の二酸化炭素を反応として表示し、姿が見えない生物も呼吸量から追跡する。
反応は個人の顔や名前を示さず、炎、群衆、動物、激しく呼吸する者も検出するため、状況を読んで対象を選ぶ必要がある。機体が受けた損傷はナランチャへ返るので、遠距離にいれば本人が完全に安全になる能力ではない。
ホルマジオとの戦い
トリッシュのための買い物へ出たナランチャは、暗殺チームのホルマジオから襲撃される。リトル・フィートの傷を受け、身体とエアロスミスが少しずつ小さくなる。ホルマジオはトリッシュの居場所を聞き出そうとし、ナランチャを蜘蛛と同じ瓶へ閉じ込める。ナランチャは情報を渡さず、エアロスミスのレーダーで小さくなった敵の呼吸を追う。
ネズミへつかまって反応を隠す方法にも、余分に息をする個体を見分けて銃撃する。身体が小さいほどスタンドの火力も下がる条件を受けながら、攻撃を次の仕掛けへつなげる。
炎と二酸化炭素の利用
ナランチャは自動車の燃料へ穴を開け、漏れたガソリンが燃えるまで待つ。爆発と熱でホルマジオを攻撃し、リトル・フィートの効果が弱まった隙に元の大きさへ戻る。炎は大量の二酸化炭素を出すため、レーダー上では敵の呼吸を隠す障害になる。それでも逃げ道をなくすため周囲の自動車を次々に炎上させ、隠れる場所そのものを焼く。
最後は至近距離で互いのスタンドを出し、エアロスミスの機銃でホルマジオを倒す。買った品物と金銭も燃やしてしまうが、護衛対象の居場所を守るという主要な目的は果たす。
トリッシュへの共感
ナランチャはトリッシュが15歳だと知り、自分と年齢が近い少女が家族と離されて追われていることへ同情する。ホルマジオに拷問されても居場所を話さず、本人と長く話していない段階から守る意思を持つ。ボスが娘を殺そうとした後、ブチャラティは組織を裏切るか、任務から離れるかをチームへ選ばせる。ナランチャは一度ボートへ残り、危険の大きさに迷う。
しかし岸にいるトリッシュへ自分の孤独を重ね、泳いでブチャラティを追い、反逆へ加わる。この決断はブチャラティから命令されたものではなく、見捨てられた経験を持つ本人が選んだ行動である。
フーゴとの別れ
ボスへの反逆を選ぶ場面で、フーゴは勝算がないとしてチームに残らない。ナランチャは長く勉強を教え、自分をブチャラティへ連れてきたフーゴと別れることになる。二人がその場で長い別れの言葉を交わすことはなく、反逆した側と組織へ残った側に分かれる。ナランチャが泳いでボートへ向かう行動は、恩人の判断をそのまま選ぶのではなく、自分の価値観を優先した証拠になる。
原作本編では以後に再会しないため、フーゴがナランチャの死をどう知ったかは描かれない。
クラッシュとトーキング・ヘッド戦
ヴェネツィアの飲食店で、スクアーロのクラッシュが水分から現れ、ナランチャの舌を傷つける。ティッツァーノのトーキング・ヘッドが舌へ取り付き、敵について真実を話そうとすると反対の発言をさせる。ナランチャは仲間を水場から遠ざけたいのに安全だと説明し、クラッシュの攻撃へ誘導させられる。ジョルノは敵の習性を見抜き、自分が傷つくことを利用して追跡の手掛かりを残す。
ナランチャは言葉で警告する方法を捨て、自分の舌を傷つけて能力の支配を断つ。エアロスミスのレーダーで離れた屋上の二人を発見し、銃撃でティッツァーノとスクアーロを倒す。
アバッキオの死
サルディニアでナランチャのレーダーは崖上の呼吸を捉え、結果的にドッピオとリゾットの戦いへ介入する。ブチャラティとナランチャがリゾットの遺体と囮を調べる間、アバッキオは一人でボスの過去を再生する。ディアボロは少年へ姿を変えて近づき、アバッキオを殺害する。戻ったナランチャは死を受け入れられず、ジョルノへ治すよう何度も求め、置いていけないと泣く。
ブチャラティに進むよう命じられても反発するが、アバッキオが残した顔の型を見つけ、最期の行動を理解する。仲間の死を合理的な損失として処理できない性格が、最も明確に表れる場面である。
ローマへの移動
チョコラータのグリーン・ディが海岸の村へ広がると、低い位置へ動いたナランチャの身体にカビが発生する。ミスタが船を爆発させ、その勢いでナランチャを高い陸地へ飛ばして救う。負傷後はココ・ジャンボの内部でジョルノの治療を受け、ローマへの移動を続ける。エアロスミスは広域の探知に強い一方、カビや死後型スタンドのように呼吸だけで本体を判断できない敵には制約がある。
チームは各人の能力でナランチャを守り、彼も回復後にコロッセオの探索へ加わる。
コロッセオでの精神入れ替わり
チャリオッツ・レクイエムが発動すると、ナランチャの精神はジョルノの身体へ入り、ジョルノの精神はナランチャの身体へ入る。スタンド能力が強化された影響で、エアロスミスは本人の予想以上の速度と力を示す。一行は入れ替わった身体のまま矢を追い、内部へ潜むディアボロの精神を探す。ディアボロは時間を消し、ナランチャの精神が入ったジョルノの身体を壊れた鉄柵へ突き刺す。
肉体はジョルノのものでも、致命傷を受けた時に宿っていたナランチャの魂が死亡する。ジョルノは自分の身体を修復して戻れるが、去ったナランチャの魂を生命能力で呼び戻すことはできない。
最期と仲間の反応
ナランチャはボスを倒した後の希望を話した直後、敵の姿を確認できないまま殺される。故郷へ帰り、学校へ通い、フーゴにもう一度勉強を教わりたいという願いは実現しない。ジョルノは仲間の身体を植物と花で覆い、戦いが終わったら故郷へ連れて帰ると誓う。ミスタとトリッシュも死を悲しむが、ディアボロと矢を巡る戦いを止めることはできない。
ナランチャの突然の死は、アバッキオを置いて進むことを拒んだ本人が、今度は仲間を先へ進ませる側になる出来事でもある。
戦闘能力の評価
エアロスミスは広い範囲へ機銃を撃てるため、隠れる敵と複数の標的へ強い。二酸化炭素レーダーは縮小、透明化、遮蔽物を越える索敵へ有効だが、反応の正体を自動で区別しない。ナランチャは射撃の正確さだけでなく、火災で探知が乱れる欠点を逆に逃げ道の封鎖へ使う。トーキング・ヘッド戦では発話を奪われても、レーダーという別の情報経路から本体へ到達する。
感情的な性格から無計画に撃つ場合もあり、味方や可燃物を巻き込む危険がある。追い込まれるほど観察が鋭くなる点が、学力の低さだけでは測れないナランチャの強みである。
原作とテレビアニメ
原作ではチーム加入後の買い出しから本格的に活躍し、ホルマジオ戦とスクアーロ・ティッツァーノ戦で中心人物となる。テレビアニメ公式では17歳、ブチャラティの部下、恩義から組織へ入った人物として掲載される。テレビアニメ版の声は山下大輝が担当する。アニメはアバッキオの死を悼む場面を拡張し、花に覆われた遺体を振り返る演出などを追加する。
ゲームで描かれる復活や別の結末は各作品の独自展開であり、原作第5部の生存情報へ反映しない。
未判明事項
ナランチャの父親の名前と本編後の消息、母の詳しい人物像、罪を着せた友人のその後は不明である。少年院で受けた処分の正式な記録、病気の医学的な診断名も示されない。エアロスミスのレーダーが識別できる最大距離と、二酸化炭素量をどこまで正確に測れるかには数値設定がない。死後に身体が故郷へ運ばれたか、フーゴへ最期が伝えられたかも原作では描かれない。
確認できる生涯と、派生作品が示す別の可能性を分けて記述する必要がある。