キラークイーン(第4部)
きらーくいーん
ネタバレ範囲: Part 4全編
# キラークイーン(第4部)キラークイーンは、第4部『ダイヤモンドは砕けない』で吉良吉影が操るスタンドである。触れた物を爆弾へ変え、吉良が手元のスイッチを押す動作によって爆破する。爆発した人間や物を跡形なく消せるため、吉良は殺人の証拠を残さず、杜王町で長く正体を隠していた。
左手には、熱源を追って自動攻撃する「シアーハートアタック」が備わる。さらに、吉良が川尻浩作の身分で追い詰められ、再び「矢」に貫かれた後には、正体を知ろうとする者を爆破し時間を約1時間巻き戻す「バイツァ・ダスト」が発現する。三つの爆弾は共通してキラークイーンに属するが、標的、操作方法、吉良本体への負担、同時使用の条件が異なる。
外見と近距離能力
キラークイーンは、猫を思わせる耳と目、口元を持つ人型スタンドである。頭部と全身には髑髏を図案化した意匠があり、手袋やベルトを思わせる装飾がある。屈強な人型として拳と蹴りを使い、近距離で康一や仗助と戦う。吉良は直接の殴り合いを好む戦士ではなく、相手が爆弾へ触れる状況を作って安全な場所から起爆する。
それでも本体の近くへ追い詰められた際には、キラークイーンで相手を拘束し、打撃を加える。近距離の破壊力だけなら、クレイジー・ダイヤモンドやスタープラチナが上回る場面がある。吉良自身も承太郎のスタープラチナによる速度と精密な攻撃には対応し切れない。キラークイーンの優位は、触れた時点では爆弾化を見抜きにくく、起爆まで攻撃の形が見えないことにある。
拳の勝負へ入る前に標的か周囲の物へ能力を仕込めるかが重要になる。
第一の爆弾
キラークイーンの右手で触れた物は爆弾になる。吉良は親指でスイッチを押すような動作を行い、任意の時点で起爆する。硬貨、ドアノブ、衣服、人間など、爆弾へ変えられる対象は広い。爆弾化した物へ別の人物が触れると、その人物を中心に爆発させられる。
吉良が標的自身を直接爆弾へ変えることもある。爆発の規模と作用は一定ではない。周囲を巻き込む爆発を起こす場合と、対象だけを消し去って近くの物を残す場合がある。吉良は証拠隠滅を目的にするため、被害を無制限に広げるより、殺した人物と痕跡だけを消す精密な起爆を行う。
爆弾を複数同時に無制限で保持する描写はなく、基本的には一度に一つの対象へ第一の爆弾を設定する。新しい物を爆弾へ変える際、以前の設定がどう扱われるかを含め、戦闘では吉良が今どの対象へ触れたかを追う必要がある。爆弾化は外見から判別しにくい。吉良が触れた可能性のある物へ不用意に接近すること自体が罠になる。
重ちーを消した爆発
矢安宮重清は、吉良が切断した女性の手を入れたサンジェルマンの袋を偶然持ち去る。吉良の秘密を知った重ちーはハーヴェストで抵抗し、吉良本人へ傷を負わせる。吉良は落ちていた硬貨を爆弾へ変え、重ちーがそれを拾う状況を作る。起爆を受けた重ちーは瀕死の状態で学校へ向かい、仗助に吉良の存在を伝えようとする。
最後はドアノブへ仕掛けられた爆弾によって消される。重ちーの死は、キラークイーンがただ大きな爆発を起こす能力ではなく、日用品へ死を隠す能力であることを示す。同時に、ハーヴェストの一体が持ち帰ったボタンが吉良を追う手掛かりになる。吉良は遺体を消しても、争いの過程で落とした服の部品まで完全には管理できなかった。
痕跡を消す能力と、本人の行動が新しい痕跡を生むことは別である。
シアーハートアタック
シアーハートアタックは、キラークイーンの左手の甲から発射される小型の自動操縦型スタンドである。車輪または履帯で移動し、髑髏のような顔を持つ。周囲の熱を感知し、より温度の高い対象を優先して追跡する。標的へ近づくと自爆するが、爆発後も本体は破壊されず、追跡を再開する。
非常に高い耐久力を持ち、スタープラチナの連続攻撃でも完全には壊れない。吉良はシアーハートアタックを放ったまま離れ、自分の日常へ戻ろうとする。細かい指示を送らなくても熱源を探すため、本体が遠くにいても攻撃を続けられる。反面、最も熱いものを優先する規則は敵にも利用できる。
承太郎は火を使って進路をそらし、康一はエコーズACT2の文字が作る熱で誘導する。自動操縦は精密な判断を不要にするが、吉良がその場で標的を自由に選び直す能力を持たない。
左手とダメージの関係
シアーハートアタックはキラークイーンの左手に属するため、受けた影響が吉良の左手へ反映される。広瀬康一のエコーズACT3は「3 FREEZE」でシアーハートアタックを重くし、床へ押さえつける。遠くにいる吉良の左手も同じように重くなり、動かしにくくなる。この反応から、承太郎たちは自動操縦型の本体が近くにいることを知る。
シアーハートアタックは打撃で壊れにくくても、スタンド能力による重量変化まで無効化するわけではない。本体へ傷が返らない完全分離型でもない。吉良は左手を切断して重さから逃れようとし、クレイジー・ダイヤモンドが切断された手を治そうとする性質を逆用されて追跡される。キラークイーンの付属能力が吉良を安全にする一方、身体との接続が所在を暴く手掛かりになった。
川尻浩作の顔と能力の継続
吉良は辻彩のスタンド「シンデレラ」を利用し、川尻浩作の顔と指紋へ自分を変える。外見と身分を変えても、キラークイーンは吉良のスタンドとして残る。川尻しのぶと早人の家で暮らし、別人を演じながら殺人衝動を隠す。新しい顔は追跡をかわすが、能力の使用習慣と性格までは変えない。
吉良は早人を衝動的に殺してしまい、自分の平穏が崩れる危機へ直面する。その絶望の中で吉良吉廣が持つ矢に再び貫かれ、新能力バイツァ・ダストへ到達する。顔を変えたからスタンドが別個体へ継承されたわけではない。キラークイーンの使い手は一貫して吉良吉影であり、川尻浩作は奪われた身分と肉体の外見に関わる人物である。
バイツァ・ダスト
「負けて死ね」はキラークイーンの第三の爆弾として発現する。一般には英語読みの「バイツァ・ダスト」で呼ばれる。吉良は自分以外の人物へ小型化したキラークイーンを取りつかせる。川尻早人が宿主となった際、吉良の正体を探る者が早人へ質問し、吉良の名や秘密へ到達すると、その人物の目へキラークイーンが入り込み爆破する。
爆発後、時間は約1時間前へ戻る。一度爆死した人物は、次の周回で同じ質問をしなくても、決められた時刻に再び爆発する。周囲の人物は以前の周回を覚えておらず、宿主の早人だけが時間が戻った事実と結果を認識する。吉良本人も周回中の細かな出来事を共有せず、朝になって何人を倒したかをすべて把握できない。
バイツァ・ダストは吉良の秘密を自動で守る能力だが、情報を完全に管理する能力ではない。早人は繰り返しの中で条件を調べ、吉良を誘導して仗助へ電話をかけ、予定より早く対決を成立させる。
バイツァ・ダストの制約
第三の爆弾を早人へ取りつかせている間、吉良はキラークイーンを自分の近くへ出して自由に戦えない。自動防御を維持する代わりに、直接戦闘の手段を一時的に手放す。吉良が能力を解除すれば、時間の繰り返しは止まり、キラークイーンは本体へ戻る。予定された爆死がすべて解除されるかは、解除した時点と周回の結果に左右される。
早人はこの制約を利用し、吉良が仗助との戦闘でキラークイーンを呼び戻さざるを得ない状況を作る。バイツァ・ダストは誰にでも自由に時間を戻すための能力ではない。吉良自身を宿主にできず、自分の正体を隠す切実な状況で発現し、秘密を探る者と宿主の接触を引き金にする。吉良が任意の時刻を選び、過去へ旅行して出来事を修正する機能でもない。
約1時間のループは、爆発の結果を固定しながら吉良へ有利な朝を繰り返す。
ストレイ・キャットとの複合攻撃
川尻家の屋根裏には、猫のタマが植物化したスタンド「ストレイ・キャット」が潜む。ストレイ・キャットは空気を固めた弾を作り、見えにくい攻撃として飛ばす。吉良は猫草をキラークイーンの腹部へ収納し、空気弾を第一の爆弾へ変える。爆弾化した空気弾は壁や障害物を越えて標的へ向かい、吉良が起爆するまで形を捉えにくい。
早人がビデオカメラで軌道を確認し、仗助は周囲の破片とクレイジー・ダイヤモンドを使って吉良の位置を逆算する。この攻撃はキラークイーン単独の固有能力ではない。ストレイ・キャットが圧縮空気を作り、キラークイーンがそれを爆弾へ変える複合技である。吉良が猫草を失えば同じ空気弾は作れない。
能力欄では「空気弾を生成する」と単純化せず、二体の役割を分ける必要がある。
最終戦と敗因
仗助は血液を固めた弾やガラス片を修復する力で吉良を追い、遠距離攻撃へ対抗する。億泰が戻り、ザ・ハンドで空間ごと空気弾を消すと、吉良は複合攻撃の優位を失う。承太郎と康一も現れ、吉良は多数のスタンド使いに囲まれる。追い詰められた吉良は救急隊員の女性を宿主にし、自分から正体を明かしてバイツァ・ダストを発動しようとする。
康一のACT3が吉良の手を重くし、承太郎が時間を止めて接近する。吉良はスイッチを押したと確信するが、能力の発動前にスタープラチナの攻撃を受ける。最終的には救急車にひかれて死亡し、杉本鈴美によって振り返ってはいけない小道へ送られる。キラークイーンは証拠を消し、追跡者を自動で排除し、時間まで巻き戻す。
それでも吉良は能力の秘密を言葉と行動で漏らし、早人、仗助、康一、億泰、承太郎が渡した情報と役割によって追い詰められる。
第8部のキラークイーンとの区別
第8部『ジョジョリオン』にも、吉良吉影が操る「キラークイーン」が登場する。名前と猫を思わせる外見、爆発する能力、シアーハートアタックを持つ点で対応する。しかし、Part 4の吉良とPart 8の吉良は別世界線の別人である。第8部のキラークイーンは爆発する泡や複数のシアーハートアタックを扱い、ホリーを救うため岩人間と戦う人物の能力として使われる。
バイツァ・ダストを使う描写はない。第一世界線のキラークイーンが世界の変化後に同じ使い手へ再発現したと断定できない。百科事典では「キラークイーン」を曖昧さ回避の入口とし、第4部版と第8部版を別記事で管理するのが適切である。
吉良吉影の欲望を守るスタンド
吉良は目立たず、争わず、平穏に暮らしたいと語る。その「平穏」は殺人衝動を止めることではなく、他者を殺しながら自分だけが追及されない生活を指す。キラークイーンは、被害者と証拠を消し、追跡者を熱源として処理し、正体へ近づいた者の時間まで巻き戻す。能力が増えるほど、吉良の望む平穏を守る仕組みは強固になる。
同時に、第一の爆弾は吉良が触れる必要があり、シアーハートアタックは熱へ機械的に反応し、バイツァ・ダストは宿主を必要とする。どの能力にも吉良と被害者の接点が残る。完全に世界から切り離されて安全になるのではなく、他者を利用して秘密を守ろうとするほど、早人たちが条件を知る機会も生まれる。キラークイーンは吉良の慎重さを完成させる能力であると同時に、彼の殺人を続けたいという矛盾を隠し切れないスタンドである。