JOJOジョジョの奇妙な冒険 百科事典
Part 8 / 人物

吉良吉影(第8部)

きらよしかげ

第二世界線main_manga

ネタバレ範囲: Part 8最終話まで

# 吉良吉影(第8部)吉良吉影は、第8部『ジョジョリオン』に登場する船医であり、スタンドキラークイーン」の使い手である。物語の開始時点ですでに死亡しているが、壁の目で発見された東方定助の身体、吉良家とジョースター家を結ぶ血統、ロカカカを巡る岩人間との争いに深く関わる。母の吉良・ホリー・ジョースターを病から救うため、空条仗世文と協力してロカカカの枝を盗み、接ぎ木によって新しい実を育てた。

その計画を田最環たちに察知されて致命傷を負い、仗世文とともに地中で等価交換を受ける。二人の身体の一部と能力が結び付いた結果として定助が誕生するが、定助は吉良が記憶を失って生き延びた人物ではない。

第4部の吉良吉影との違い

第8部の吉良吉影は、第4部『ダイヤモンドは砕けない』に登場する同名人物と別人である。第7部以降はそれ以前と異なる世界を舞台とし、第8部の杜王町にも過去作の名前や意匠に対応する人物が現れる。二人は杜王町に住み、猫を思わせる人型スタンド「キラークイーン」を操り、爪を収集する習慣を持つ。しかし第4部の吉良が殺人を繰り返す敵であるのに対し、第8部の吉良は母を救おうとする協力者であり、連続殺人者としては描かれない。

能力も完全には同じでなく、第8部のキラークイーンは爆発するシャボン玉と複数の小型シアーハートアタックを運用する。経歴、家族、行動目的、結末を混同しないため、本記事では第8部の人物だけを扱う。

基本情報

吉良は1982年生まれで、2011年の死亡時は29歳だった。日本人の船医であり、海上で負傷者へ処置できる医学知識と手術技能を備える。杜王町の258番地にある建物の204号室で一人暮らしをしていた。自宅には緑色の食品をそろえ、切った爪を採取日とともに保存し、手を題材にした彫刻や図像を置いている。

好む色と食べ物も緑で統一され、生活用品の配置にも強いこだわりが見られる。冷静で近寄りがたい印象を与える一方、医学上の問題へ直面すると即座に状態を分析し、必要な処置を選ぶ実務家でもある。

ジョースター家の血統

母はTG大学病院の医師である吉良・ホリー・ジョースター、父は吉良吉輝、妹は家政婦「虹村京」を名乗る京である。ホリーはジョニィ・ジョースターから続く家系に属し、吉良の肩にもジョースター家の星形のあざがある。したがって吉良は、第8部で東方定助へジョースター家の血統をつなぐ人物に当たる。もっとも、血統の継承だけで定助の人格を吉良と同一視することはできない。

定助の身体は吉良と仗世文の等価交換から生じるものの、記憶も自己認識も二人のどちらかへ戻る形では形成されなかったからである。京が東方家へ入り込んでいた目的も、失踪した兄の行方とホリーを害した存在を調べることにあった。

外見

吉良は顎のあたりまで伸びた黒い髪を持ち、水兵服を思わせる上着と帽子を着用する。帽子と制服は船医という職業を視覚的に示し、私服姿で行動する仗世文との差も明確にする。笹目桜二郎は吉良の手を美しいと評価し、壁の目で見つかった青年にも似た特徴を認める。定助の顔や身体に吉良を連想させる要素があることは、物語序盤の身元調査を進める手掛かりになる。

一方、発見された吉良の遺体には身体の一部が欠け、定助には通常と異なる身体的特徴があった。これらは怪奇趣味のためだけに置かれた情報ではなく、壁の目で身体の一部が交換されたことを早期に示す証拠である。

性格と生活上のこだわり

他人への応対はぶっきらぼうで、必要がなければ事情を説明しない。桜二郎に対しては、サーフィン中の事故を利用した苛烈な仕返しを行い、相手へ長く恐怖を残した。爪の保存や緑色への執着もあり、秩序へ強く固執する性格は同名の第4部人物を思わせる。しかし親しい者を道具として切り捨てる人物ではない。

幼い仗世文の命を救い、成人後には危険なロカカカ奪取計画の協力者として信頼する。康穂の髪留めに潜んでいた岩生物を踏み潰した際も、事情を説明し、壊した品を弁償すると申し出た。無愛想さと残酷さを備えながら、母と協力者への責任は行動で引き受ける人物である。

船医としての能力

吉良は船へ乗り組む外科医として、陸上の病院から離れた環境でも診断と処置を行える。眼を失った負傷者を診た時には、その場で手術できると判断するほど自分の技術へ自信を持つ。スタンド能力も医療へ応用し、小型のシアーハートアタックを体内へ送り込んで血栓を除去できる。この精密な操作によって、少年時代の仗世文を肺塞栓の危機から救った。

爆弾を破壊だけに使わず、体内の異物へ限定して作用させる運用は、吉良の能力が医学知識と結び付いていることを示す。船の操縦や海上での移動にも慣れ、田最環たちから逃れる場面では自らボートを扱った。

空条仗世文との関係

吉良と仗世文の関係は、少年時代の救命から始まる。ホリーが仗世文の異変を診察し、吉良がキラークイーンを使って血栓を取り除いたことで、仗世文は命を取り留めた。仗世文にとって吉良とホリーは、家族から十分な保護を受けられなかった時期に自分を救った恩人だった。成人後の吉良がホリーを治すため助力を求めると、仗世文は危険を理解したうえで計画へ加わる。

吉良は相手を従属させるのではなく、植物を扱う知識とソフト&ウェットの能力を持つ共同実行者として任せる。二人の協力は最終的に定助を生むが、その結果を求めていたわけではない。目的は一貫してホリーを救える果実を確保することだった。

康穂との過去

2005年、13歳の広瀬康穂は精神的に追い詰められ、ホリーの勤務する病院へ入院していた。吉良は病室へ入り、母の率直すぎる態度を詫びたうえで、床に落ちていた康穂の髪留めを踏んだことを話す。髪留めは単なる装飾品ではなく、一定期間をかけて持ち主の頭皮へ侵入する岩生物だった。吉良が踏み潰したことで、康穂は知らないまま危険から救われる。

後に康穂が吉良と仗世文の写真や過去を追うことには、定助の身元確認だけでなく、自分の幼少期を救った人物へ再び接近する意味も生じる。当時の康穂は恩を認識していないため、この関係は回想によって読者へ初めて示される。

岩人間とロカカカの発見

吉良は2009年ごろ、岩の姿で休眠していた愛唱を偶然目撃し、人間とは異なる生物が杜王町で活動していることへ気付く。調査を進めるうち、岩人間がロカカカを輸入し、等価交換の果実として秘密裏に売買していると知った。ホリーは脳や身体へ異常が広がる病に侵されていたが、通常の医療だけでは原因も治療法も確立できなかった。ロカカカなら患部を回復させられる可能性がある一方、旧来の果実は同じ人間の別の部位を石化させる。

吉良は果実をそのまま奪うのではなく、枝を別の木へ接ぎ木して自分たちで育てる計画を立てた。岩人間の流通網から独立し、ホリーへ使える実を継続して得るための選択だった。

枝の奪取と接ぎ木

吉良と仗世文は、愛唱が管理する果樹園へ入り、ロカカカの木から枝を一本切り取る。正面衝突を避けて枝だけを持ち去り、別の植物へ接いだため、当初は盗難を悟られなかった。接ぎ木された枝はやがて果実を付けるが、2011年の地震に伴って隆起した壁の目の作用も受ける。その結果、食べた一人の身体内部だけで代償を移す旧ロカカカと異なり、二人の人間のあいだで部位を交換できる「新ロカカカ」が生まれた。

二人はこの性質を十分に把握する前に追跡される。田最環と八木山夜露は失われた枝の所在を突き止め、吉良たちを拷問して栽培場所を聞き出そうとした。

キラークイーン

吉良のスタンドは、人型のキラークイーンである。猫の耳を思わせる頭部と細身の身体を持ち、吉良の近距離で行動する。主能力は、触れると爆発するシャボン玉を作ることにある。爆発は対象を破壊するだけでなく、追跡者との距離を作り、逃走経路を確保するためにも使われる。

もう一つの武器であるシアーハートアタックは、履帯を備えた小型爆弾である。第4部版のように一体だけを熱源へ向かわせる使い方に限定されず、複数を同時に出し、大きさと進路を細かく調整できる。血管内で血栓を除く微小な個体から、桟橋を吹き飛ばす大型の個体まで運用範囲が広い。第4部のキラークイーンが持つバイツァ・ダストは、第8部の吉良には確認されていない。

田最環の襲撃

田最環は能力「ビタミンC」で吉良と仗世文の身体を軟化させ、身動きを奪って拷問する。吉良は肝臓を損傷するほどの傷を負い、逃げ切っても助からない状態へ追い込まれた。それでも作並カレラの髪へシアーハートアタックを潜ませ、彼女をボートへ近づけることで爆発の機会を作る。爆発に乗じて仗世文と海へ逃れるが、追跡者を完全には振り切れない。

吉良は最後まで果実の場所を明かさず、仗世文は意識を失った吉良を接ぎ木した木の下まで運ぶ。この時点で吉良の損傷はロカカカによる治療が間に合う限度を越えていた。

死と等価交換

仗世文は熟した果実を吉良へ食べさせ、ソフト&ウェットのシャボン玉で果汁を体内へ運ぶ。新ロカカカは二人のあいだで等価交換を始めるが、吉良は作用が完了する前に死亡する。仗世文も田最環の攻撃で致命傷を負い、吉良を抱えたまま地震で崩れた地中へ埋まる。壁の目の土地が持つ交換作用と新ロカカカの性質が重なり、二人の身体は部分ごとに組み替えられる。

数日後に地表へ現れた青年が東方定助であり、別の場所から吉良の遺体も発見された。吉良の死亡日は2011年8月19日とされ、遺体は検視後に火葬された。物語序盤で示された死亡と、後半で明かされる過程をつなぐことで、定助誕生の因果関係が確定する。

東方定助との関係

定助は吉良の身体の一部、星形のあざ、キラークイーンに由来する能力を受け継ぐ。ソフト&ウェットのシャボン玉が爆発性を示すのも、仗世文のスタンドへ吉良の性質が加わった結果である。しかし定助には吉良の生活記憶も仗世文の自己認識もなく、どちらかの人格を復元することはできない。定助自身も調査の末、自分は吉良でも仗世文でもないと受け入れ、新しい個人として行動する。

それでもホリーを救う目的は引き継がれる。この継承は過去の人格が定助を支配したためではなく、吉良が守ろうとした人物とロカカカを巡る事実を、定助が自分の問題として選んだ結果である。

物語上の役割

吉良は、登場順と時間順が大きく異なる『ジョジョリオン』の謎を束ねる人物である。序盤では遺体と身元情報だけが提示され、定助が吉良なのかという疑いを生む。京、ホリー、康穂、桜二郎の証言が集まるにつれ、医師としての経歴、スタンド、岩人間の調査がつながる。田最環との戦いで仗世文との協力と死の経緯が明かされ、定助の身体が偶然の混合物ではなく、母を救おうとした二人の選択から生じたことが分かる。

吉良本人は過去の人物でありながら、ホリーの治療、新ロカカカの争奪、定助の出自という現在進行の三つの問題を残す。そのため死亡後も、物語の中心から外れない協力者として機能する。

関連項目

- 吉良・ホリー・ジョースター- 虹村京- 空条仗世文- 東方定助

- 広瀬康穂- キラークイーン(第8部)- ロカカカ- 田最環