笹目桜二郎
ささめおうじろう
ネタバレ範囲: Part 8第95話まで
# 笹目桜二郎笹目桜二郎は、第8部『ジョジョリオン』に登場するサーファーであり、スタンド「ファン・ファン・ファン」の使い手である。吉良吉影への復讐を目的にマンションの上下階を利用した罠を作り、吉良に似た定助を標的にする。物語後半では新ロカカカの存在を嗅ぎつけ、東方つるぎと東方常敏を支配して果実を奪う。
人当たりのよい話し方の裏で、誘拐、詐欺、脅迫、殺人未遂をためらわず、能力が要求する厳しい条件を周到な準備で満たす人物である。
基本情報
桜二郎は1988年生まれの日本人男性で、2011年8月には22歳、同年9月には23歳になっている。職業をサーファーと称し、海辺で過ごすことを自分の生き方として誇る。幼少期からスタンド能力を持ち、東日本大震災では生家が倒壊し、その土地に壁の目が隆起した。吉良との因縁を経て両手の指先を第二関節付近まで失い、初登場時には手袋で隠している。
後年は恋人の木谷マアコが購入した義指を装着し、胸へファン・ファン・ファンと同じ記号を刻む。2011年9月22日、新ロカカカを盗んだ直後に常敏のスピード・キングで血管を加熱され、脳梗塞を起こして死亡する。
外見
桜二郎はサーフィンで鍛えた体格を持ち、日焼けした肌が目立つ。短い髪と細い眉を持ち、再登場時には髪へ十字形の模様が加わる。初登場時は蝶ネクタイ、ジャケット、手袋を着用し、服の各所に能力の印と似た図形を配する。後半では上半身を大きく露出して厚手の上着を羽織り、ベルトや靴にも同じ記号を使う。
義指は失った部分を覆う道具であると同時に、吉良から受けた屈辱を後まで残す視覚的な特徴になる。海辺の活動的な外見と、他人を部屋や浴槽へ閉じ込めて上から操作する能力の陰湿さが強い対照を作る。
性格
初対面の相手へ親しげに話しかけ、場の空気を軽く見せることが得意である。しかし、その態度は相手の警戒を解くための表面であり、自分の利益のためなら他人の身体や生命を道具として扱う。女性を海中へ沈めて苦しむ姿を眺め、能力なら証拠を残さずに済むと考える。吉良への復讐では無関係の女性を誘拐し、写真を捏造し、定助との戦いの人質にする。
後半でもつるぎを脅して常敏の犯罪を材料にし、親子を互いに傷つけさせようとする。他方、作戦には忍耐と空間把握があり、吉良の部屋の配置を覚え、標的が傷を負う位置を細かく準備する。衝動的な残酷さと、能力の弱点を埋める計画性が同じ人物の中にある。
サーファーとしての自己認識
桜二郎は自分を海の男として語り、定職を持たない生活にも引け目を見せない。2008年、サーフボードに乗った状態で海中の女性を能力で操り、その自由を奪っていた。そこへ現れた吉良は、サーファーは海の男なのか陸の男なのかと問い、桜二郎の自尊心を刺激する。この質問は一度で終わらず、港の近くの店でも繰り返される。
桜二郎にとってサーフィンは単なる趣味ではなく、自分が何者かを支える数少ない肩書だった。吉良はその曖昧さを執拗に突き、最後には男であること自体を証明するよう迫る。
吉良吉影との因縁
吉良は桜二郎が女性を能力で苦しめる場面を見つけ、海岸へ近づかないよう警告する。後に顔へキラークイーンの爆発する泡を仕込み、桜二郎を店から退かせる。桜二郎は吉良の言葉に追い詰められ、酒などの影響下で、自分が男だと証明するために十本の指先を噛み切って食べる。この結果を吉良のせいだと考え、長期間にわたる復讐心を持つ。
ところが後の発言では吉良を友人のようにも扱い、新ロカカカを吉良からの贈り物だと都合よく解釈する。恐怖、屈辱、憧れ、所有意識が混じり、単純な友情や敵対の一語では整理できない関係である。吉良が桜二郎を攻撃した背景には、彼が女性を能力で支配していた事実があるため、桜二郎の復讐は一方的な被害への報復でもない。
吉良の部屋に仕掛けた計画
桜二郎は吉良のマンションの一つ上の部屋を借り、三日間待ち伏せる。タオルへ針を忍ばせ、スリッパへ画鋲を入れ、浴室へカミソリを置き、ベランダには蛇や切断用の道具を仕込む。狙いは吉良の四肢へ傷を作り、上階からファン・ファン・ファンで全身を支配することだった。さらに女性を誘拐して裸で浴室へ監禁し、自分が吉良に扮した写真を撮る。
写真を吉良の部屋へ残すことで、誘拐と性的な加害の犯人を吉良に見せかけようとする。復讐のための装置は傷を作るだけでなく、康穂を定助から引き離し、警察の疑いを吉良へ向ける役割も持つ。能力の発動条件を建物、家具、人質、偽造写真で補った複合的な罠である。
定助を吉良と取り違える
記憶を失った定助は康穂とともに吉良の部屋を調べ、桜二郎の待ち伏せへ入る。顔立ちが吉良に似ていたため、桜二郎は帰宅した人物を復讐相手だと思い込む。浴室の女性を溺れさせ、救助へ近づいた定助が罠で傷つくよう誘導する。四肢に印がそろうと、定助の腕や脚を操り、刃物で舌を切らせようとする。
定助はソフト&ウェットで室内の音を奪い、上階から位置を把握する桜二郎の感覚を狂わせる。人質は自分の事情から桜二郎へ協力して定助の場所を伝えるが、康穂が戻ることで状況が変わる。桜二郎が定助の腕を使って康穂を傷つけた瞬間、定助は能力の拘束から一部を外し、反撃の条件を作る。
敗北と身元の手掛かり
定助は床から摩擦を奪い、上階の桜二郎を滑らせる。さらに視力を奪って位置関係を失わせ、ベランダから落として拘束する。桜二郎は定助の手を吉良の手形と比較し、別人だと認める。同時に、見た目が似ていたから吉良だと誤認したと説明する。
定助にとっては、自分が吉良そのものではないと分かる一方、吉良と外見上のつながりがあることも示される。桜二郎は初期の敵役だが、その誤認と証言が主人公の身元調査を一段進める。敗北後は長く姿を消すものの、死亡も改心もしておらず、能力と犯罪生活を続ける。
ファン・ファン・ファン
ファン・ファン・ファンは、標的の負傷部位へ印を付け、その部位の動きを操作するスタンドである。桜二郎が標的より高い位置にいることが能力行使の条件になる。右腕、左腕、右脚、左脚に対応する傷と印をそろえれば、全身を人形のように動かせる。破壊力は高くなく、自力で標的を傷つけて制圧する用途には向かない。
桜二郎は階上の部屋、屋根、崖、鋭利な日用品を利用し、標的が自ら傷を負う配置を作る。後半ではつるぎの手へ触れて印を付ける場面があり、初登場時より素早く条件を整える。ただし、上下関係が崩れると支配は弱まり、標的の正確な位置を見失えば意図した動きを命令しにくい。能力単体よりも、桜二郎が周囲の地形と他人の心理を準備へ組み込むことで脅威になる。
木谷マアコとの生活
再登場時の桜二郎は、裕福な女性の木谷マアコと交際し、彼女のマンションで暮らすように振る舞う。マアコを親しげな愛称で呼び、相手からは信頼されている。義指なども買ってもらうが、本人が見ていない隙に財布から現金を抜き取る。マアコは東方家の土地を手に入れようとして失敗し、東方密葉への恨みと等価交換の噂を桜二郎へ話す。
桜二郎は恋人の復讐に協力する形を取りながら、新ロカカカの金銭的価値へ関心を向ける。二人の関係は対等な共同計画ではなく、互いの欲望が一時的に一致したものといえる。
東方家への接近
桜二郎は東方フルーツパーラーと東方家を撮影し、周囲の情報を集める。つるぎへ田最環のクリーニング店を尋ね、常敏が過去に資金洗浄へ関わった情報を示す。父親を警察へ渡されたくなければロカカカの場所を話せと脅すが、つるぎはペーパー・ムーン・キングで地形の認識を狂わせる。崖から落ちかけた桜二郎は生還し、東方家の屋根へ移動して再び上下の条件を作る。
つるぎの手を操って新ロカカカを撮影させ、写真をマアコへ送る。この時点で桜二郎は果実の存在と保管場所を掴み、金と支配力を得る好機だと判断する。
常敏とつるぎの支配
桜二郎はファン・ファン・ファンでつるぎを動かし、常敏にも印を付ける。常敏の腕でつるぎを傷つけるか、つるぎを守るため自分を傷つけるかという選択を迫り、親子の情を攻撃材料にする。新ロカカカを奪い、二人を殺したと思い込んで東方家を離れる。しかし、目の前の死体はペーパー・ムーン・キングが作った認識の偽装だった。
常敏は接触の際にスピード・キングの熱を桜二郎へ仕込み、逃走後に血管を内側から加熱する。桜二郎は勝利を確信したまま脳梗塞を起こし、プールへ落ちて死亡する。能力の上下関係と外見上の優位を信じたため、触れられた時点で受けた反撃を認識できなかった。
ロカカカを求めた論理
桜二郎は新ロカカカが吉良と仗世文の行動から生まれ、吉良の母ホリーを救うためのものだったと知る。それでも東方家に所有権はないと主張し、吉良の友人である自分が受け取るべきだと語る。実際には吉良への復讐を企てていたため、この友情は果実を奪うための自己正当化を含む。治療の目的やホリーの容体より、希少な果実を得た自分の幸運を優先する。
被害者として吉良を恨む時も、友人として遺産を要求する時も、桜二郎は都合のよい関係だけを選ぶ。
死後に明らかになること
桜二郎とマアコの死亡はニュースで報じられる。後に東方憲助がキング・ナッシングで桜二郎の死に関する痕跡を再現し、常敏が二人を殺した事実へ近づく。常敏は発覚を防ぐため憲助にも熱を加え、家族内の対立が決定的になる。桜二郎自身は新ロカカカを持ち去れなかったが、その侵入と死が常敏の秘密を表面化させる。
初登場では定助の身元を、再登場では東方家の内紛を進めるため、二度とも敗北後に残した情報が物語を動かす。
物語上の役割
桜二郎は第8部で定助が初めて本格的に戦う敵の一人である。見えない上階から身体を操る攻撃は、震災後の杜王町で日常の住居自体が罠になり得ることを示す。定助はこの戦いでソフト&ウェットの奪う力を音、摩擦、視力へ応用し、自分の戦い方を確立する。後半の桜二郎は同じ能力をより直接的に使い、つるぎと常敏を追い詰める。
それでも、他者の能力を過小評価し、支配できた外見だけで勝利を判断する欠点は変わらない。他人を上から操る者が、自分に仕込まれた見えない熱へ気付かず死ぬ結末は、能力と最期を対応させている。
関連項目
- ファン・ファン・ファン- 吉良吉影(第8部)- 東方定助- 広瀬康穂
- 木谷マアコ- 東方常敏- 東方つるぎ- 新ロカカカ