広瀬康穂
ひろせやすほ
ネタバレ範囲: Part 8最終話まで
# 広瀬康穂広瀬康穂は、第8部『ジョジョリオン』の主要人物であり、杜王町の壁の目で東方定助を発見した大学生である。記憶も名前も持たない青年を救出し、身元調査を続けるうちに、吉良吉影、空条仗世文、ロカカカ、岩人間の関係へ到達する。スタンド「ペイズリー・パーク」は電子機器と情報網へ接続し、目的地や必要な情報へ使用者を導く。
戦闘能力だけでなく検索、通信、経路選択を担うため、康穂は離れた場所にいる定助たちを結ぶ作戦の中心になる。幼少期から自覚せず使っていた能力は透龍にも利用されており、最終決戦ではその過去を乗り越えて定助のゴー・ビヨンドを敵へ届ける。
基本情報
康穂は1992年前後に杜王町で生まれ、2011年時点で19歳である。身長は166センチメートルで、地元の大学の人文社会系学部へ通う。母の広瀬鈴世と二人で暮らし、両親は康穂が10歳の頃に離婚した。父は山形へ移り、康穂は母と同居しながら週末に父と会っていた時期がある。
幼い頃に飼っていた犬の名も定助であり、壁の目の青年へ名前を与える時にその思い出を使う。視力が悪くコンタクトレンズを着用するが、物体間の距離を目測する能力と情報処理の感覚に優れる。
外見
康穂は肩までの明るい髪を複数の束へ分け、球形の髪飾りで留める。肩紐に花をあしらった上着、花で覆われた短いスカート、脚を包む短いウォーマーを組み合わせる。花と曲線を多く使う服装は、幾何学的な制服を着る定助や東方家の人物と並んだ時にも見分けやすい。戦闘用の装備は持たず、携帯電話を情報収集と能力発動の端末として使う。
初期には敵の攻撃を受けると救出を待つ場面が多いが、経験を積むにつれて端末、医療機器、排水経路まで周囲の設備を武器へ変える。
性格
穏やかで好奇心が強く、他人の説明を聞いたうえで自分の目で確かめようとする。記憶喪失の定助を危険人物と決め付けず、吉良の部屋で不穏な写真を見た後も、目の前の青年の振る舞いとは一致しないと考える。同時に感情を押し殺す人物ではなく、定助との距離、常秀の執着、母の生活態度へ苛立ちを表す。敵との戦いを重ねると判断は強くなり、ドロミテを泥へ沈めて情報を聞き出し、羽伴毅の侵入に自分で処置を施す。
他人を助ける優しさと、必要なら敵へ苦痛を与える覚悟が共存する。
家庭環境
康穂は父を慕い、離婚後も父との面会を楽しみにしていた。一方、母の鈴世は酒や交際相手を優先するように見え、家へ男性を連れ込む生活が親子の信頼を損なう。父から別の女性と暮らす方が幸福だと告げられた時、康穂は家族のどこにも居場所がないと感じる。思春期の友人関係でも連絡の失敗から非難され、自分だけが取り残される感覚を深めた。
壁の目で一人の青年を救い、その人物から必要とされる経験は、康穂が自分の役割を取り戻す契機になる。定助を助ける理由は恋愛感情だけでなく、誰かを見捨てない選択を自分で行うことにもある。
2001年の透龍との出会い
幼い康穂は母に連れられて参加したサマーキャンプで孤立し、透龍と出会う。この時点でペイズリー・パークは自覚のないまま働き、鈴世の携帯電話から情報を探し出す。能力を見た透龍は、親しい身寄りのいない高齢の医師を検索するよう頼む。康穂が示した候補の一人が明負悟であり、透龍は後にその人物の姿と社会的身分を利用する。
康穂は依頼の意味を理解せず、出会い自体も忘れる。ペイズリー・パークの情報が敵の偽装へ使われた事実は、能力が善悪を判断して答えを選ぶのではなく、求められた経路を開く性質だと示す。
2005年の自傷と髪留め
中学生の康穂は露店で美しい髪留めを買うが、その品は持ち主の頭皮へ入り込む岩生物だった。友人への連絡を忘れて非難され、家庭でも孤立した康穂は手首を傷つけ、病院へ運ばれる。入院中、吉良・ホリー・ジョースターは自分の内側だけを見ていると大切なものを見落とすという助言を与える。吉良吉影は床の髪留めを踏んだと説明し、壊れた破片を返す。
実際には吉良が髪留めに潜む岩生物を踏み潰したことで、康穂は寄生から救われた。後年の身元調査は、康穂が知らなかった恩人である吉良家へ戻っていく。
透龍との交際
高校時代の康穂は透龍と再会するが、幼少期の接触を覚えていない。二人は恋人として付き合い、康穂は当時の透龍を本気で好いていた。透龍は自分の姓、家族、生活基盤をほとんど明かさず、2010年ごろに一方的に関係を終える。康穂も姓を検索しておらず、相手の経歴に空白があることを追及しなかった。
物語後半で透龍が再び近づくと、懐かしさと不信の両方を感じる。新ロカカカを撮影した写真と病院の院長との関係から、元恋人が現在の事件へつながると見抜く。
壁の目での発見
震災後の杜王町を歩いていた康穂は、壁の目の地面から裸の青年が現れるのを見つける。青年には名前も記憶もなく、身体には星形のあざと通常と異なる特徴がある。康穂は警察へ任せて立ち去らず、衣服を用意し、傷を確認し、身元の手掛かりを一緒に探す。水兵帽の印から吉良吉影の部屋へたどり着き、笹目桜二郎の襲撃にも巻き込まれる。
青年が吉良と完全に同一ではないことを早くから感じ、東方家へ引き取られた後も調査を続ける。第8部の物語は、康穂が定助を見つけ、他人として放置しなかったことから始まる。
定助との関係
康穂は定助にとって最初の知人であり、記憶がない状態でも自分を一人の人間として扱った人物である。定助は康穂へ強く信頼を寄せ、離れて行動する時も彼女の調査と通信を頼りにする。康穂も定助へ恋愛感情を抱くが、二人の関係は告白や交際の形式より、危険な調査を続ける共同作業で示される。定助が吉良と仗世文のどちらでもないと受け入れる過程でも、康穂は過去の名前を押し付けない。
最終話では東方家の果物店へ同行し、家族として新しい道を選ぶ定助のそばにいる。
東方常秀との関係
康穂と常秀は幼い頃から知り合い、一度キスをした過去がある。常秀はその出来事を恋愛関係の根拠のように扱い、康穂へ一方的な執着を続ける。康穂は常秀を幼なじみとして知るが、現在の恋人とは認めない。定助への嫉妬から常秀が暴力を振るうこともあり、三人の関係は対等な恋愛競争ではない。
一方、最終決戦で康穂が腕を失った際、常秀はナット・キング・コールで自分の腕を接続しようとする。行動には自己中心的な期待も混じるが、結果として康穂が通信を続ける時間を作る。
東方つるぎとの協力
つるぎは八木山夜露の指示で康穂を誘拐し、紙の能力で閉じ込める。しかし康穂と行動するうちに信頼を持ち、東方家の長男へ現れる病とロカカカの秘密を話す。二人は大年寺山愛唱を追跡し、岩人間の行動、果実の鉢、杜王スタジアムの関係を調べる。康穂の電子的な追跡と、つるぎの町と家族に関する知識が補い合う。
年齢も目的も異なるが、定助を介さずに成立する協力関係である。康穂が主要人物として独立して事件を進められることを示す組み合わせでもある。
ペイズリー・パーク
康穂のスタンド「ペイズリー・パーク」は、細身の人型として電子画面や通信網へ現れる。目的に合う情報を検索し、安全または有利な道筋へ使用者を導く。携帯電話から個人情報、地図、監視映像を調べ、遠隔地の端末を操作して扉や設備を動かす。進路を二択で提示し、限られた時間内に康穂が選ぶことで危機を回避する場面もある。
能力は完全な予言ではなく、利用できる情報と機器をつないで実現可能な経路を作る。通信が遮断され、端末へ接続できない場所では力を発揮しにくい。
能力を自覚するまで
康穂は幼少期からペイズリー・パークの恩恵を受けていたが、検索結果や偶然の案内だと思っていた。ホリーは康穂の影にいる存在を見て、本人がまだ自覚せず使っていると気付く。つるぎとの事件で人型の姿を認識し、情報が自動的に現れる現象を自分の能力として扱い始める。自覚後も能力へ細かな命令を並べるだけでなく、提示された選択肢から自分で決断する。
ペイズリー・パークが経路を示しても、危険な場所へ進むか、敵へ反撃するかは康穂の意思に委ねられる。
羽伴毅との戦い
TG大学病院で東方密葉の異常を調べた康穂は、羽伴毅の粒子を耳から侵入させられる。粒子が頭蓋骨へ定着すると筋肉を操作されるため、身体を自由に動かせない。康穂はペイズリー・パークをMRIと病院のシステムへ接続し、異物の位置と成分を特定する。さらに注射器を自分の眼から通し、骨へ達する前の粒子を吸い出す経路を選ぶ。
痛みを伴う処置でも、敵へ身体を奪われる前に自分で実行する。初期に救助されるだけだった康穂が、情報能力を医療処置へ変えて単独で支配を破る場面である。
新ロカカカを巡る東方邸での戦い
透龍の写真から新ロカカカの枝が東方家の果樹園にあると察し、康穂は東方邸へ向かう。果実を確保したい常敏と、院長を追う定助の計画が同時に進み、康穂は双方の間で情報をつなぐ。常敏は秘密を守るためスピード・キングで康穂を攻撃し、排水溝へ落とす。康穂は地下からペイズリー・パークを使い、定助との通話と位置情報を維持する。
追跡そのものへ災厄を返すワンダー・オブ・Uに対し、離れた二人が同じ標的を攻撃するには通信の経路が欠かせない。
透龍との最終対決
透龍は元恋人として康穂へ近づき、定助を追うより自分と行動するよう誘う。康穂は過去の感情に流されず、写真、院長、ロカカカを結ぶ人物が透龍だと判断する。ワンダー・オブ・Uの災厄によって腕を失い、航空機の部品まで落下する中でも定助との接続を切らない。定助が放つゴー・ビヨンドのシャボン玉は通常の物理法則から外れ、本人にも正確に狙えない。
康穂はペイズリー・パークを介してシャボン玉を携帯電話から別の場所へ通し、透龍の身体へ命中させる。定助の新しい力だけでなく、康穂が攻撃の出口と標的を結んだことで決定打が成立する。
物語上の役割
康穂は主人公の隣で説明を聞く案内役にとどまらず、読者より先に証拠へ触れ、事件の関係を組み立てる調査者である。定助の出自、ロカカカの流通、TG大学病院の組織、透龍と院長の正体は、康穂の検索と現場行動を経てつながる。過去には能力を透龍へ利用されたが、最後は同じ能力で透龍を倒す攻撃を導く。孤立して自分を傷つけた少女が、複数の人物と情報を結ぶ存在へ変わる成長も第8部の長い軸になっている。
定助が新しい自分を選べたのも、康穂が発見時から過去の誰かとしてではなく、目の前の一人として接したためである。
関連項目
- 東方定助- ペイズリー・パーク- 透龍- 東方つるぎ
- 東方常秀- 吉良・ホリー・ジョースター- 羽伴毅- ワンダー・オブ・U