ドロミテ
どろみて
ネタバレ範囲: Part 8最終話まで
# ドロミテドロミテは、第8部『ジョジョリオン』に登場する岩人間である。本名は泥駒政次で、かつての事故によって両腕と両脚を失い、杜王町の六壁神社にある池のそばで隠遁生活を送る。スタンド「青い珊瑚礁」は、人間や動物を次々に感染させ、指定した標的を一直線に追わせる遠隔自動操縦型の能力である。
東方常敏の依頼を受けて東方定助を襲い、植物鑑定人へつながる情報と携帯電話を奪おうとする。本人は組織の利益へ執着しないが、失った身体を取り戻せる可能性を示されたことで、新ロカカカを巡る争いへ再び加わる。
基本情報
2011年時点で39歳とされ、生年は1972年前後である。好物はフライドチキンで、岩人間に共通するマンゴーへのアレルギーを持つ。普段は六壁神社の池へ身体を沈め、岩へ変化して周囲へ溶け込んでいる。手足を失っているため自力での長距離移動や格闘は困難だが、スタンドの射程と感染連鎖によって本体から離れた市街地へ攻撃できる。
定助と康穂に敗れた後も死亡は確認されず、戦闘不能の状態で生存する。
本名と呼び名
警察記録に残る本名は泥駒政次である。康穂は敵が残した歯を調べ、歯型と土壌の情報からこの名前へたどり着く。「ドロミテ」は岩石や鉱物のドロマイト、イタリア北東部の山地ドロミーティを連想させる呼称で、岩人間である人物像と結び付く。本名は社会生活を送っていた過去、通称は神社へ隠れ住む現在の姿を表す。
記事では同一人物として扱い、歯型照合や事件記録を説明する場面だけ本名を併記するのが混乱を避けやすい。
事故前の外見
事故以前は四肢の揃った青年で、頭の側面を短く刈り、長い髪を額の片側へ流していた。縞模様の上着を着用し、人間社会を普通に歩ける姿をしている。現在の無力感だけを見ると生来の隠遁者に見えるが、恋人と未来を思い描き、外の世界へ出る願いを持った時期があった。回想で事故前の姿を示すことにより、身体の損傷が性格と生活をどれほど変えたかが明確になる。
現在の外見
事故後は両腕と両脚が短い切断端だけとなり、歯も大きく欠けている。皮膚は岩のように荒れ、亀裂が目立ち、髪は肩より長く乱れている。四肢の末端には丸い飾りを付け、以前からの縞模様の上着を身に着ける。目は濁り、表情や食事の仕方には野生動物に近い印象が混じる。
一方で会話能力と記憶は保たれ、状況を理解して条件を交渉できるため、身体の変化と知性の喪失は同一ではない。
恋人を救った事故
ドロミテには、かつて大切にしていた女性がいた。女性は視覚に障害があったとみられ、発電施設へ迷い込んで高圧電線へ近づく。彼は危険を察知して女性を押しのけ、その身代わりに強烈な感電を受ける。電撃は腕、脚、歯を破壊し、岩人間の耐久性をもってしても元の身体へ戻れない損傷を残す。
最後に見たのは女性がその場から離れていく姿であり、その後に再会できたかは示されない。他人へ無関心になった現在からは想像しにくいが、自分を犠牲にして恋人を守った過去は、彼が初めから冷酷だったわけではないと示す。
青い珊瑚礁への夢
事故前のドロミテは、南国の孤島で恋人と二人だけで暮らす生活を夢見ていた。海へ潜って魚を捕り、ヤシの実を割り、木の上へ家を作るという想像を「青い珊瑚礁」と呼ぶ。現実の六壁神社の池は南国の海ではないが、水辺で外界から隔離された環境という点で、壊れた夢の縮小版になっている。身体を治せるかもしれないと聞いた後には、かつての女性を探し、再び誘いたいという希望が戻る。
スタンド名と本人の願望が一致し、追跡能力の恐ろしさの内側に、失われた生活への執着が置かれている。
六壁神社での隠遁生活
事故後のドロミテは、六壁神社近くの池へ住み着く。池は震災後も形が変わらず、水が枯れない場所として語られ、変化を避けたい彼に安定を与える。身体を岩へ変えて水辺へ潜み、近寄ったカエルなどを捕食する。周辺ではウサギや鶏が襲われる事件が起き、警察は泥駒政次を容疑者として追ったが発見できなかった。
他者との接触を断った生活は安全である反面、ロカカカ密売グループの壊滅や岩人間の動向からも距離を置く結果となる。本人は池で一生を終えても構わないと話し、社会復帰への意欲をほぼ失っていた。
岩人間との距離
ドロミテは田最環たちと面識を持つが、ロカカカの売買や資金洗浄へ興味を示さない。仲間が倒されたと聞いても強い悲しみを表さず、自分にはもう交換する相手も目的もないと考える。岩人間は単一の共同体として無条件に助け合うわけではなく、利害や生活圏によって距離がある。彼は組織の中心構成員ではないため、常敏の依頼にも忠誠ではなく個人的な報酬を求める。
後に上位の岩人間たちを恐れる言葉を残すことから、組織の存在は知っていても、その計画へ全面的に参加してはいなかったと判断できる。
東方常敏との取引
田最環を倒した定助を見た常敏は、父・憲助に新ロカカカの秘密を知られる前に定助の行動を止めようとする。常敏はフライドチキンを餌にして池からドロミテを呼び出す。当初のドロミテは、密売組織が壊滅した話にも、社会の役に立つという説明にも関心を持たない。そこで常敏は、定助の身体が吉良吉影と空条仗世文の等価交換から生まれた「生きた証拠」だと教える。
新ロカカカなら失った手足を回復できるかもしれないと理解し、ドロミテは協力を承諾する。常敏が求めたのは定助の殺害だけではなく、携帯電話を回収し、誰と会おうとしているかを突き止めることだった。
青い珊瑚礁
スタンド「青い珊瑚礁」は、人間や動物の精神を支配し、特定の命令へ従わせる。感染者は意識と自制を失ったような状態になり、負傷や障害物を気にせず標的を追う。最初の感染にはドロミテの身体の一部や所有物との接触が使われる。感染した生物の肉体や血液へ別の生物が触れると、支配は次の個体へ移る。
支配対象が交代すると前の感染者は停止するため、同時に大勢を操る群体能力ではなく、接触を通じて追跡役が受け渡される仕組みである。本体が池から動けなくても、感染の鎖だけが町を進み、離れた標的へ到達できる。
直線的な追跡
感染者は標的へ最短に近い直線で進もうとする。壁、窓、車、段差、人混みを避けて安全な道を選ぶ判断が弱く、自分の身体を傷つけても前進を続ける。この性質は恐怖を生む一方で、軌道を読まれやすい弱点でもある。定助は感染者が障害物を回り込まず、視界に頼らず接近することから、自動追跡の規則を推測する。
ビニールなどで物理的な接触を遮れば感染の移動を防げるが、血液が直接触れれば防御を破られる。能力の独立記事では発動条件、感染の移行、同時支配数、直線移動という四点を分けて説明する必要がある。
杜王町での感染連鎖
常敏はドロミテの歯を使い、宅配の少年を最初の感染者にする。少年は定助を追って車へ入り込み、運転していた女性へ接触する。支配は女性へ移り、さらに町の住民、通行人、動物へ次々と渡る。感染者は頭を壁へ打ち付けたり、交通の危険へ飛び込んだりしても止まらない。
定助はソフト&ウェットで歯を奪い、攻撃の証拠として康穂へ調査を依頼する。人の多い市街地では、誰が次の感染者になるか予測しにくく、無関係の住民を傷つけずに逃げることも難しい。ドロミテ本人が姿を見せないまま町全体を追跡装置へ変える点が、この戦いの脅威である。
康穂の調査と常敏の妨害
康穂は六壁神社近くのバス停で歯を見つけ、ペイズリー・パークを使って由来を調べる。歯科記録ではなく警察のデータへ導かれ、周辺で起きた小動物の被害と泥駒政次の情報を発見する。付着した土から潜伏場所を絞ろうとするが、常敏がスピード・キングで康穂の頭部へ熱を加えて意識を奪う。常敏は父に疑われることを避けるため康穂を殺さず、歯と携帯電話を処分して調査を遅らせる。
それでも康穂は回復し、定助の危機とドロミテの位置を結び付ける。この調査は、戦闘力では届かない遠隔本体へ情報探索で迫るペイズリー・パークの役割を示す。
定助の感染
感染者の追跡をかわし続けた定助も、最終的には接触を許して青い珊瑚礁の支配下へ入る。自分の意思に反して六壁神社へ戻り、携帯電話をドロミテへ渡す。ドロミテは通話履歴と予定を確認し、定助が会おうとしていた相手が植物鑑定人だと知る。目的の情報を得ると、自分が勝ったと判断し、定助へ池の底で溺れるよう命じる。
常敏は周囲の被害を気にするか事前に問われていたが、攻撃が始まれば無関係の人々も定助本人も使い捨てにされる。遠隔操縦に任せる冷酷さと、本体が四肢を失って直接戦えない事情が同じ場面へ重なる。
康穂による制圧
定助が池へ沈もうとした直前、康穂がドロミテの居場所へ到着する。康穂は金属棒で頭部を殴り、本体の意識と命令を乱す。手足のないドロミテは近距離で反撃できず、泥のくぼみへ押さえ込まれる。康穂は依頼者の名を問い、黙秘を続けるなら危険な状態へ置くと迫る。
ドロミテは青い珊瑚礁を解除し、常敏から頼まれたと告白する。定助は自由を取り戻して池から上がり、二人は植物鑑定人との合流へ進む。能力の射程では圧倒していた敵が、本体を発見された瞬間に防御手段を失う結末である。
敗北後の警告
制圧されたドロミテは、新種のロカカカを巡る争いから手を引くよう定助と康穂へ警告する。上位の岩人間たちは田最環の集団より危険であり、果実へ関わり続ければ二人の手に負えないという趣旨である。これは単なる命乞いではなく、後に病院で活動する岩人間の集団を予告する情報になる。本人は常敏の依頼を明かした後も殺されず、戦闘不能として残される。
新ロカカカで身体を治し、恋人を青い珊瑚礁へ誘う望みは実現しない。
性格
事故前には恋人を救う献身性があり、事故後には人生や社会へ意味を見いださない虚無的な態度が強くなる。岩人間の仲間や密売事業に忠義はないが、自分の身体が戻る可能性には反応する。他人の損傷を避ける倫理は弱く、感染者が自傷し、定助が溺死しても構わない。ただし任務前に常敏へ巻き添えの可否を確認しており、依頼の範囲と責任の所在を意識する面もある。
完全な狂人ではなく、失ったものが多すぎた結果、他者へ向ける関心が狭くなった人物として描かれる。
戦い方の強みと弱点
強みは、動けない本体を隠したまま遠距離へ命令を届けられることである。接触の連鎖が続く限り、標的がどれだけ逃げても別の住民や動物が追跡を引き継ぐ。人混みは感染候補を増やし、標的が反撃をためらう状況を作る。弱点は、支配対象が基本的に一体ずつで、動きが直線的なことにある。
接触を絶縁し、感染者の進路を読めば時間を稼げる。何より本体には四肢がなく、居場所を突き止められるとスタンドを再発動する前に制圧される。
物語上の役割
ドロミテは、田最環の死後に常敏が自ら敵能力を利用し、定助の調査を妨害した最初の例となる。常敏が家族のために新ロカカカを必要としながら、町の住民を犠牲にできる人物だと示す役目を持つ。また、定助が等価交換で生まれた身体そのものが、失われた肉体を持つ者にとって希望や誘惑になることを可視化する。ドロミテの夢は叶わないが、その欲望が植物鑑定人・豆銑礼との合流を遅らせ、ロカカカ組織の上層部が存在するという警告を残す。
恋人を救って身体を失った者が、他人の身体を操って目的を果たそうとする反転は、第8部の等価交換が持つ救済と損失の両面を強く映している。
関連項目
- 東方定助- 広瀬康穂- 東方常敏- 青い珊瑚礁
- 六壁神社- ロカカカ- 豆銑礼- 田最環