作並カレラ
さくなみかれら
ネタバレ範囲: Part 8第55話まで
# 作並カレラ作並カレラは、第8部『ジョジョリオン』に登場するスタンド使いであり、空条仗世文と吉良吉影の過去を知る人物である。定助を仗世文と取り違えて近づき、二人が一枚の写真に写っている事実と「空条仗世文」という名を伝える。髪を発生させて操るスタンド「ラブラブデラックス」を持ち、日常では詐欺まがいの金策へ、戦闘では着火用の導火線へ応用する。
言動には誇張や記憶違いが混じるものの、定助が失った過去とロカカカ密売組織を結ぶ証人として物語を大きく動かす。
基本情報
カレラは2011年時点で20歳の日本人女性である。かつてT学院で農学を学び、同じ学院へ通っていた仗世文へ一方的な好意を寄せていた。現在は定職と住居を持たず、駅などで寝泊まりしながら杜王町へ戻っている。手荷物は買い物袋ほどしかなく、所持金が乏しくなると能力と大声を使って他人から金品を得る。
将来の夢はファッションデザイナーだが、絵を描く能力に自信がないため、パソコンのCGソフトで服を設計しようと考えている。本編で明示されるのは彼女の現在の生活と学院時代の断片であり、家族構成や出身地の詳しい事情は語られない。
外見
長く波打つ髪と、魚の模様が入ったバンダナが外見上の目印である。前髪は大きな輪のように巻かれ、本人の能力が髪に関係することを視覚的にも印象付ける。前面にファスナーを備えた短い上着、穴が連続する長いベスト、ショートパンツ、細い吊り紐を組み合わせる。初登場時には編み上げ式のヒールを履き、買い物後は星や貝殻をあしらった靴と縞の長い靴下へ替える。
派手な衣服への関心は、ファッションデザイナーを志すという本人の説明ともつながる。一方で、歩くたびに体を左右へ揺らし、食事や身の回りの始末を気にしないため、洗練された服装と生活の粗さが同居する。
性格
気分の変化が早く、人との距離を一方的に縮める。初対面に近い定助を「セッちゃん」と呼び、抱きつき、昔から親しい恋人であるかのように振る舞う。相手が困惑しても会話の主導権を手放さず、都合が悪くなると話題を変えたり、その場から逃げたりする。その一方で、吉良が死んだと聞いた時には泣き崩れ、仗世文と吉良に対する感情が単なる金目当てではないことも示す。
過去や家族よりも今を楽しく生きることを幸福と考え、家族が何をしているかにも関心がないと語る。この価値観は、記憶を探して過去を確かめようとする定助と対照的である。ただし、過去を気にしないという姿勢にもかかわらず、仗世文への執着とロカカカをめぐる恐怖からは離れられていない。
生活と金策
カレラはラブラブデラックスを日常的な詐欺へ使う。焼き鳥店では、つくねから人の毛を生やし、異物が入っていたと騒いで代金を払わずに食事を得る。薄毛の男性には一時的に髪を増やして報酬を求めるが、能力の範囲から離れると発生させた髪は失われる。ATMでは他人が触れた画面から毛を伸ばし、カードと暗証番号に関わる情報を盗んで現金を引き出す。
タクシーでも運転手へ苦情を作り、料金を免れようとする。能力の秘密を知らない一般人には異物混入や身体の異常に見えるため、短時間で反論しにくい状況を作れる。カレラは脅して財産を奪う大規模な犯罪者ではないが、他人の不安と立場の弱さを利用することにためらいがない。
食生活と身なり
喫茶店では砂糖の小袋を大量に持ち帰ろうとし、牛脂を載せたパンへ砂糖と醤油をかけて食べる。本人はすき焼きのような味になると説明するが、定助との食事作法は大きく食い違う。食べ残しや机の汚れを気にせず、店内で足の指の間まで拭く。購入したパソコンは他人の家の屋外コンセントへ接続し、無断で充電する。
必要な物をその場で手に入れ、後の責任を考えない生活は、彼女が口にする「今」を優先する思想の実行でもある。見た目や夢には強いこだわりがある一方、住居、食事、衛生、他人の所有権にはほとんど頓着しない。
空条仗世文との関係
カレラはT学院で仗世文を見かけ、好意を抱いて追いかけるようになった。仗世文を親しげに「セッちゃん」と呼び、自分だけが呼び捨てにされることを特別な関係の証拠と受け取る。口づけをしたことがあると語りながら、自分でも本当にあったかを疑うため、恋愛関係が成立していたとは断定できない。過去の場面では仗世文がカレラをかわいいと評価するが、交際を認める描写はない。
カレラ、仗世文、吉良が一緒に写る写真も、三人が同じ場所にいた証拠ではあるものの、カレラが二人の計画へ参加していた証明にはならない。仗世文への思いは一方的で誇張を含むが、顔、呼び名、生活圏を覚えているため、定助の身元調査では貴重な情報源になる。
吉良吉影との接点
カレラは吉良の顔と名前を知り、仗世文との関係も把握している。吉良がロカカカの樹木を所有し、複数の樹を処分したうえで一本を隠したという趣旨の話も定助へ伝える。後に示される事実では、吉良と仗世文は枝を盗み、壁の目付近の樹木へ接ぎ木しているため、カレラの説明とは細部が一致しない。彼女が意図的に虚偽を述べたのか、知っている情報が不完全だったのかは確定していない。
証言を読む際には、写真や固有名のように確認できる事実と、本人が推測を交えて話す関係性を分ける必要がある。吉良の死を知らずに杜王町へ戻っていることからも、密売組織との衝突後は二人の行動を追えていなかったと分かる。
2011年8月19日の港
吉良と仗世文が田最環、八木山夜露に追われた日、カレラは杜王港にいた。吉良は彼女へ計画を説明せず、髪の中へキラークイーンのシアーハートアタックを忍ばせる。そしてカレラを自分の船の近くへ歩かせ、夜露が接近したところで爆発を起こす。爆発は田最たちの追跡を乱し、吉良と仗世文が逃げる時間を作る。
カレラは危険な役割を知らされないまま囮として利用されたが、爆発から生き延びる。この事件以後、エイ・フェックス兄弟に追われ、約半年にわたって身を隠す。吉良の機転によって助かった二人と、何も知らずに危険へ置かれたカレラでは、同じ出来事の意味が異なる。彼女が二人の協力者だったのではなく、顔を知られている周辺人物だったことが、追跡へ巻き込まれた原因になる。
定助との再会
カレラは杜王町で定助の姿を見つけ、仗世文が生きていたと考えて路地へ呼び出す。定助は相手の名も自分との関係も分からないため、康穂との関係を隠しながら情報を聞き出そうとする。カレラが違和感を覚えて逃げると、定助はソフト&ウェットを使って尻ポケットのカードから名を読み取る。名前を呼ばれたカレラは、仗世文だけが敬称を付けずに呼ぶと考え、目の前の人物を本人だと再び信じる。
実際の定助は仗世文と吉良が等価交換によって融合した新しい存在であり、仗世文の記憶をそのまま保持してはいない。カレラの誤認は外見の共通性を示すと同時に、定助が過去の誰かへ完全には戻れない事実を明らかにする。
一枚の写真が示したもの
カレラは定助へ、吉良、仗世文、自分が写った携帯電話の写真を見せる。この時、定助は自分の片方にあたる青年の名が空条仗世文であると初めて知る。吉良との関係だけを追っていた調査に別の人物が加わり、定助の身体が二人に由来するという真相へ近づく。写真はカレラの語りより強い物証だが、撮影時の三人の関係や前後の会話までは記録しない。
カレラが恋人のように説明しても、写真だけで交際や計画への参加を裏付けることはできない。情報の価値と証人の正確さを切り分ける点が、この人物を理解する鍵になる。
ラブラブデラックス
ラブラブデラックスは人型のスタンドで、人が触れた場所や物から、その人物の髪を大量に生やせる。頭部の毛を増やすだけでなく、食品、画面、機械など、本来は毛が存在しない表面にも発生させる。発生した髪は伸ばし、束ね、物へ絡ませられるため、証拠の捏造、情報の窃取、移動の妨害へ転用できる。能力は長距離へ永続するものではなく、カレラから離れると維持できない。
直接打撃を与えるより、相手が触れた物と周囲の設備を利用する時に効果が高い。髪というありふれた人体の一部を、一般人には原因を説明できない異常へ変える点に特色がある。
エイ・フェックス兄弟の襲撃
カレラは吉良の住居へ向かう途中、追跡者であるエイ・フェックス兄弟と遭遇する。定助に兄弟を知っているかと尋ねられても否定するが、直後に兄のショット・キーNo.1でガソリンを移され、火を付けられる。定助がソフト&ウェットの泡で消火すると、カレラは恐怖からその場を離れる。逃走は戦闘能力の不足だけでなく、半年にわたって命を狙われてきた経験による現実的な反応である。
しかし、兄弟が定助との戦いへ集中した後、カレラは戻ってくる。ラブラブデラックスで髪を導火線のように伸ばし、兄が落としたライターから残留するガソリンへ火を導く。定助が毒ガスを泡へ封じて兄弟の間へ運んでいたため、着火と泡の破裂が連続し、二人は倒される。カレラは一度退いたことで敵の警戒から外れ、能力の間接性を不意打ちへ変えている。
ロカカカへの関心
戦闘後、カレラは定助の姿が吉良との等価交換によるものだと見抜く。定助自身がまだ全容を知らない段階で融合を推測できるため、ロカカカの効果に関する知識は持っていた。同時に、果実を治療や救済だけでなく、大金を得て現在の生活から抜け出す手段と見る。密売組織の危険を知りながら利益を求める態度は、恐怖と欲望の両方を示す。
カレラは杜王町にしばらく残ると宣言し、再会をほのめかしながら去る。その後、定助の前へ戻って調査へ加わる場面は描かれない。
証言の信頼性
カレラの話には、仗世文の名前、吉良の存在、ロカカカとの接点など、真相へ通じる要素が含まれる。しかし、仗世文との恋愛関係、吉良の住居での生活、樹木の本数と保管方法には、後の回想と整合しない部分がある。本人は目の前の定助を仗世文だと思い込み、相手の記憶がない理由も十分に確認しない。ゆえに彼女の説明をそのまま過去の確定記録として扱うことはできない。
一方、証言全体が虚偽なのでもなく、写真と固有名は定助の身元を解く決定的な手掛かりになる。正しい断片を誇張された関係の中で語る点が、カレラを単純な案内役ではない人物にしている。
物語上の役割
カレラは、物語前半の「吉良吉影は誰か」という調査を、「空条仗世文と吉良に何が起きたか」という問いへ進める。彼女の登場によって、定助は自分の身体にもう一人の過去があると知る。さらに、ロカカカ、岩人間の追跡、等価交換という別々の謎が、2011年8月19日の事件へ収束していく。戦闘では定助に守られるだけでなく、自分を焼いた敵へ戻って決着を助ける。
善良な協力者ではなく、詐欺、窃盗、金銭欲を隠さない人物だからこそ、利害と感情が交錯する杜王町の一員として存在感を持つ。
生死とその後
カレラはエイ・フェックス兄弟との戦いを生き延びる。過去の回想にも姿が現れるが、現代の本筋へ再加入する場面はない。物語終了時点まで死亡は描かれず、杜王町に滞在するという発言の後の生活は不明である。ロカカカを探す意志も、その成果や断念を示す描写がないため、実現したとはいえない。
未解決のまま残る行方は、カレラが定助の過去を開くために現れ、必要な情報を残して去った人物であることを際立たせる。
関連項目
- 東方定助- 空条仗世文- 吉良吉影(第8部)- エイ・フェックス兄弟
- ラブラブデラックス- ロカカカ