06ストーリー解説
第6話は、さやかが魔法少女になって約一週間後から始まる。美樹さやかは夜ごと街をパトロールするが、現れるのは魔女本体ではなく使い魔ばかりで、グリーフシードは手に入らない。鹿目まどかは心配しながら付き添い、ほむらは遠くからその様子を冷ややかに見張っている。さやかは「人を守れればそれでいい」と前向きに振る舞うが、ソウルジェムは少しずつ濁り始めている。
そこへ前話ラストで姿を見せた新たな魔法少女・佐倉杏子が本格的に登場する。赤い髪をポニーテールにし、常に何かを食べている杏子は、隣町からミタキハラへ縄張りを広げに来た先輩魔法少女だ。杏子は「使い魔は放っておいて魔女に育てた方が効率がいい」と説き、人間が犠牲になろうと構わないという合理主義をさやかに突きつける。

価値観の真っ向から対立したさやかと杏子は戦闘になる。鎖付きの槍を操る歴戦の杏子に対し、なりたてのさやかは防戦一方で圧倒される。危機に陥ったところで暁美ほむらが割って入り、銃を構えて杏子を牽制する。まどかも身を挺してさやかをかばい、「やめて!」と叫んで二人の間に飛び込む。
まどかの必死の制止を受け、杏子は「次に会ったら決着をつける」と言い残してその場を去る。残されたほむらはさやかに対し、魔法少女をやめるよう冷たく忠告する。だがさやかは恭介を救った誇りと正義感から頑として聞き入れず、ほむらを敵視して反発する。両者の溝は深まり、まどかは板挟みになって苦しむ。

場面は走行中の電車内に移る。再びさやかと対峙したほむらは、忠告では届かないと判断し、いきなりさやかのソウルジェムを奪い取る。そして抗議する間も与えず、それを開いた窓から走る電車の外へと投げ捨ててしまう。まどかとさやかが事態を理解する前に、衝撃の現象が起こる。
ソウルジェムが体から大きく離れた瞬間、さやかの体は糸の切れた人形のようにその場へ崩れ落ち、完全に物言わぬ抜け殻と化す。脈も呼吸もない、まるで死体だ。まどかは「さやかちゃん!」と絶叫してすがりつく。ほむらは無言で電車を降り、線路脇に落ちたソウルジェムを拾い上げて戻ってくる。

ほむらがソウルジェムをさやかの体に近づけると、さやかは何事もなかったように息を吹き返す。呆然とする二人に、キュゥべえが淡々と真実を明かす。魔法少女は契約の際に魂をソウルジェムへと抜き取られており、肉体はジェムが遠隔操作するただの「容れ物」に過ぎない。本体と魂が約100メートル以上離れれば、体はただの死骸となるのだ。
あまりに残酷な事実に、まどかとさやかは戦慄する。自分たちの体はもはや生身ではなく、魂を抜かれて操られる死体――事実上ゾンビ同然なのだと悟る。だがキュゥべえは「魂を取り出した方が戦闘で痛みを感じず効率的だろう、機能は何も変わらない」と、人間の感覚を理解しない冷徹な論理で言ってのけ、二人の恐怖をまるで意に介さない。

最も打ちのめされたのはさやかだった。恭介の腕を治すために魂まで差し出した自分は、もう人として彼に触れることすら許されない死んだ体になってしまった。震える手でソウルジェムを握りしめ、涙ながらに「こんなの……こんなの絶対おかしいよ」と絞り出す。タイトルそのままの慟哭とともに、少女たちの希望が根底から崩れていく。


