『ONE PIECE』115巻〝せかいで1ばんつよいもの〟は、2026年7月3日に集英社から発売されたジャンプコミックスである。原作第1167話から第1179話までの全13話を収録し、エルバフ先王ハラルドが死亡した14年前の事件の真相と、現在のエルバフで始まる反撃を一冊の中で接続する。
前半では、国を平和に変えようとしたハラルドが世界政府の力に組み込まれ、息子ロキへ自分を殺すよう求めるまでが描かれる。後半では「父殺し」と呼ばれてきたロキの評価が覆り、麦わらの一味と巨人族が神の騎士団へ反撃する。最終第1179話は、聖地からエルバフへ向かうイムを描き、戦いの相手が派遣部隊から世界政府の頂点へ拡大したところで終わる。
書誌情報
- 書名:ONE PIECE 115
- 巻題:せかいで1ばんつよいもの
- 著者:尾田栄一郎
- 発売日:2026年7月3日
- 出版社:集英社
- レーベル:ジャンプコミックス
- 判型:新書判
- ページ数:248ページ
- 定価:594円(税込)
- ISBN:978-4-08-885130-3
- 収録範囲:第1167話〜第1179話、全13話
集英社の公式あらすじは、理想の世界を求めたハラルドと息子ロキの間に何が起きたのか、全てを知ったルフィたちがエルバフを救うため反撃することを中心に据える。巻題は収録第1174話と同じ「せかいで1ばんつよいもの」である。
収録話
| 話数 | サブタイトル | |---:|---| | 第1167話 | イーダの息子 | | 第1168話 | エルバフの雪 | | 第1169話 | 一刻も早く死ななくては | | 第1170話 | 裏腹 | | 第1171話 | 鉄雷(ラグニル) | | 第1172話 | おれの憧れたエルバフ | | 第1173話 | 戦士の世代 | | 第1174話 | せかいで1ばんつよいもの | | 第1175話 | 雷竜(ニーズホッグ) | | 第1176話 | 誇り高く | | 第1177話 | 怒り | | 第1178話 | 醒めてゆく悪夢 | | 第1179話 | ネロナ・イム降臨 |
公式告知は第1179話まで13話分を収録すると明記する。第114巻が第1166話で終わるため、本巻は第1167話から始まる。巻数だけでなく開始話と終了話を併記すると、週刊連載で読んだ場面を探しやすい。
ハラルドが目指した国
ハラルドは、略奪と戦争を誇りとしてきたエルバフを、交易と教育によって他国と共存できる国へ変えようとする。巨人族が世界各地で働き、海軍にも加わり、エルバフの特産品が外へ知られていく。サウロが学校を開くことも、力だけでなく知識を次世代へ渡す改革の一部だった。
この方向は、戦士の国らしさを弱める行為として反発も受ける。しかしハラルドは、巨人族が恐れられるだけの存在であり続ければ、世界政府へ加盟できず、国民の選択肢も増えないと考える。彼の理想は世界政府への服従そのものではなく、外交関係を結んで孤立を終わらせることにあった。
第1167話では、イーダと二人の息子を巡る関係、各国との交流、シャンクスとの接点が積み重なる。ハラルドが「名君」と呼ばれるまでに何を変え、誰を守ろうとしたかを先に示すことで、後の暴走が本人の望みではないと理解できる構成になっている。
世界政府との契約
エルバフを加盟国にするため、ハラルドは神の騎士団へ入る道を選ぶ。力と不死性を得る契約は、表面上は国を交渉の席へ近付ける。しかし契約者はイムの支配を受け、命令へ逆らえない仕組みを含んでいた。
ハラルドは虚の玉座に座る存在を見て、加盟の条件が対等な外交ではなかったと知る。世界政府が望んだのは、巨人族の戦力を組織し、自分たちの軍隊として使うことだった。エルバフの戦士を奴隷のように差し出す命令は、国民を世界へつなげたいというハラルドの目的と正反対である。
支配が強まる前に、ハラルドは自分を柱へ拘束させ、ロキとヤルルを呼ぶ。自分の意思と身体が完全に奪われる前に死ななければ、国全体を手に掛けると理解したからである。第1169話「一刻も早く死ななくては」は、命を惜しむ王ではなく、死によって国を守ろうとする切迫を表す。
14年前のアウルスト城事件
これまでロキは、伝説の悪魔の実を奪うため父ハラルドを殺した人物として拘束されていた。115巻は、その公的な説明を反転させる。暴走するハラルドは外敵に倒されたのではなく、イムの契約に抗い、最も信頼できる息子へ自分を止めるよう頼んだ。
ロキにとって父を倒すことは王位を奪う反逆ではない。ハラルドの改革、エルバフの戦士、国の未来を残すため、父自身から託された役目だった。それでも事件の全容を公表すれば、巨人族が世界政府への報復へ動き、ハラルドが避けようとした戦争国家へ戻る危険がある。
ロキは事情を語らず、父殺しの汚名を受け入れる。国民から憎まれ、長く磔にされても、真相を自分の名誉回復へ使わない。この選択によって、乱暴で信用できないように見えた言動と、エルバフへの忠誠が同時に成立する。
第1171話では事件の決着と現在の判断が重なり、ハイルディンたちはロキを解放する。過去を知ることは説明で終わらず、現在の戦力配置を変える。長く危険人物として封じられていたロキが、国を救う側へ戻る転換点である。
現在のエルバフへ
第1172話から物語は現在へ戻る。神の騎士団は巨人族の子供を誘拐し、戦闘奴隷として利用する計画を進めている。学校、図書館、村へ火災と怪物が広がり、悪魔化された戦士たちも住民を襲う。
スコッパー・ギャバンは敵の目的と能力を伝え、麦わらの一味と新巨兵海賊団は複数の救出班へ分かれる。子供の確保、火災の消火、拘束された仲間の救助、悪魔化した巨兵の阻止、ヤルルの保護を同時に進めなければならない。
ヤルルはエルバフ全土へ事件の真相を伝え、ロキを単純な父殺しとして扱ってきた歴史を改める。ハラルドが望まなかった全面戦争を避けるため沈黙してきたが、世界政府が子供を奪い国を直接支配しようとする現在、沈黙を続ける理由がなくなる。
「おれの憧れたエルバフ」という言葉は、強い戦士がいる国を見たいというウソップの憧れと、ハラルドが作ろうとした開かれた国の両方へ関わる。戦士の誇りは他国を襲うことではなく、子供と文化を守るため立ち上がる力として再定義される。
ロキの力と反撃
解放されたロキは、武器ラグニルと雷の力を使い戦場へ加わる。第1175話「雷竜(ニーズホッグ)」では、その力の性質がより具体的に示される。長い拘束で恐れられていた力が、神の騎士団と彼らの作った怪物へ向けられる。
一方、ルフィたちは騎士の不死性を理由に攻撃を諦めない。ソマーズ、キリンガム、軍子が作った分断と拘束を崩し、敵の能力がどう接続しているかを見抜いていく。単純な一対一の勝敗ではなく、子供を人質にする作戦を解体し、複数の現場を再接続する戦いである。
ロキは強大な力を持つが、一人で島を救う英雄として完結しない。麦わらの一味、新巨兵海賊団、教師、住民、ヤルルがそれぞれ別の役割を担い、過去に分裂した王家と国民が同じ敵へ向き直る。巻題の「せかいで1ばんつよいもの」は、最大の攻撃力を持つ一人を決めるだけの問いではなく、何を守るために力を使うかを比較する言葉として読める。
第1179話「ネロナ・イム降臨」
巻末では、聖地マリージョアにいるイムがエルバフへ直接向かう決断をする。ハラルドを支配した過去の契約と、現在の神の騎士団による侵攻が、同じ意思から出ていたことが明確になる。
ルフィたちが現地の騎士を退けても、指揮者が遠くから次の駒を送るだけでは戦いは終わらない。イム自身の降臨は、その距離を消す。第1179話で終える構成により、115巻は反撃の成功を一時的な安心で閉じず、次巻の直接対決へ強い引きを作る。
同時に、イムが世界政府創設期から続く存在であるという問題と、エルバフ王家の14年前の悲劇が同じ場へ集まる。ロキが父の仇として向き合う相手、ルフィが仲間と島を守るため戦う相手、世界の歴史を支配する相手が一人へ重なる。
114巻から115巻への流れ
114巻は、ゴッドバレー事件からハラルドとロックス、シャンクス、ロキへ至る長い過去を描き、第1166話「新しい物語」で次の段階へ渡した。115巻はその過去編を単に続けるのではなく、ハラルドの最期まで描いて現在へ戻る。
そのため115巻だけを読むと、契約に至るまでのハラルドの変化やロキの成長を十分に追いにくい。一方、115巻の内部では「改革した王がなぜ暴君のように死んだのか」「父殺しとされた息子が何を守ったのか」という二つの問いに答えが与えられる。
第1172話以降は、過去で得た情報が直ちに反撃の理由と人間関係へ反映される。回想と現在戦を別々の長編として収録せず、一冊の中で因果関係を回収する点が115巻の構成上の特徴である。
115巻の位置付け
115巻は、エルバフ編における「真相編」と「反撃編」の境界に当たる。ハラルド、ロキ、世界政府の関係を確定し、国民が信じていた過去を修正したうえで、現在の侵略へ対抗する。
書誌面では248ページ・全13話という大きな収録量を持つ。物語面では回想の決着、ロキ解放、複数戦場の立て直し、イム降臨まで進み、一冊の開始時と終了時で敵の見え方が大きく変わる。
115巻を調べる際は、発売情報と物語の要約を混ぜないことが重要である。発売日、価格、ページ数、ISBN、13話収録は集英社の書誌情報で確認できる。個々の戦闘、能力、発言の意味は収録話本文へ戻って確認し、次巻以降で更新された推測を115巻時点の確定事項として書き足さない。
関連項目
- エルバフ
- ハラルド
- ロキ
- 神の騎士団
- 五芒星(アビス)
- イム
- ONE PIECE 114巻


