01来歴

総督就任までの前史
ニモイディアン族の母星カトーニモイディア/ニモイディアの商人文化のもとで育ち、銀河共和国元老院に席を持つ巨大商業企業集団『通商連合(Trade Federation)』の総督(Viceroy)職に就いた。物語開始時点で通商連合の最高指導者として描かれ、同族の副官ルーン・ハーコ(Rune Haako)を伴って行動する。
ナブー封鎖と侵攻
ナブー(Naboo)への課税問題を口実に、ヌート・ガンレイは旗艦『Saak'ak』を擁するドロイドコントロール艦隊でナブー軌道を封鎖する。ジョージ・ルーカス監督『スター・ウォーズ/エピソード1 ファントム・メナス(Star Wars: Episode I – The Phantom Menace)』(1999年5月19日米国公開)で描かれ、ホログラム越しに現れるダース・シディアス(Darth Sidious)の差配により、最高議長ヴァローラムが派遣したジェダイのクワイ=ガン・ジン/オビ=ワン・ケノービの暗殺を命じるが失敗する。続いてバトル・ドロイド大軍を地表に降下させてナブー王室国家を制圧し、女王パドメ・アミダラを捕縛する。クライマックスのナブーの戦いで、幼少アナキン・スカイウォーカーのN-1スターファイター侵入により旗艦を破壊され、地表のドロイド軍が一斉停止して敗北。パドメ女王に拘束され、共和国法廷で告発されて本作を退場する。
裁判と分離主義への合流準備
ナブー敗北後、ヌート・ガンレイは共和国法廷で4度の裁判にかけられるが、シディアスとパルパティーン議長派閥の政治工作により総督職に留任する。以後の10年間、ドゥークー伯爵(Count Dooku)の差配のもとで、共和国からの離脱を企図する独立星系連合(Confederacy of Independent Systems/分離主義同盟)への合流を準備する立場として描かれる。
ジオノーシス分離主義評議会
『スター・ウォーズ/エピソード2 クローンの攻撃(Star Wars: Episode II – Attack of the Clones)』(2002年5月16日米国公開)では、ジオノーシス(Geonosis)のスタライト・ハイヴ会議室で開かれる分離主義評議会(Separatist Council)の中心メンバーとして登場する。ドゥークー伯爵が議長を務める会議で、通商連合の艦隊とLucrehulk級バトルシップを分離主義軍へ提供すると正式に表明する。同席にはワット・タンバー・サン・ヒル・シュー・マイら評議会幹部が並ぶ。続くジオノーシスの戦いでは、グランド・アリーナでパドメ・アミダラ・アナキン・スカイウォーカー・オビ=ワン・ケノービ3名の処刑を命じるが、ジェダイ騎士団とクローン軍の介入で脱出する。
クローン戦争期のアニメ展開
デイヴ・フィローニ監修のアニメ『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』劇場版(2008年8月15日米国公開)から続くTVシリーズ(2008-2020)にかけて、ヌート・ガンレイは分離主義評議会の主要悪役の一人として再登場する。シーズン1では惑星ロディアでアソーカ・タノとキャプテン・レックスのチームに一時捕縛され、シーズン4ではマンダロアでの政治折衝に絡むなど、評議会内で最も登場頻度の高い悪役の一人として描かれる。
ムスタファーでの終焉
『スター・ウォーズ/エピソード3 シスの復讐(Star Wars: Episode III – Revenge of the Sith)』(2005年5月19日米国公開)では、ドゥークー伯爵とグリーヴァス将軍の死を経て、分離主義評議会がムスタファー(Mustafar)のクラインヘ採掘施設へ避難する。ヌート・ガンレイはシディアスから『ロード・ベイダーが会議に向かう。彼が全ての段取りをつける』との直通通信を受け、評議会全員(ルーン・ハーコ/ワット・タンバー/サン・ヒル/シュー・マイ/ポゴル・ザ・レッサー/デンクー・ティル)と会議室で待機する。直後、暗黒面落ち直後のアナキン・スカイウォーカーが侵入し、全員をライトセーバーで殺害する。ヌート・ガンレイは『The war is over. Lord Sidious promised us peace. We only want…』と命乞いする台詞を遮られて斬殺され、実写シリーズを退場する。本シーンはアナキンがダース・ベイダーとして初めて実行する皆殺しとして位置づけられる。
02能力・特徴

- 通商連合艦隊指揮:Lucrehulk級バトルシップ数十隻規模の艦隊と、数百万体規模のバトル・ドロイド(B1/B2/ドロイデカ)大軍を統率する、商業企業オーナーとしての艦隊指揮能力。
- 銀河共和国元老院政治工作:通商連合総督として元老院に席を持ち、課税・通商紛争・封鎖等の経済問題を政治議題化し、シディアスの元老院支配計画の表側の駒として機能する政治工作能力。
- 分離主義評議会経営:ジオノーシス会議で通商連合を独立星系連合に正式合流させ、評議会の中心メンバーとしてクローン戦争期の銀河規模の経済戦争を取り仕切る巨大商業企業連合の経営能力。
- ニモイディアン商業交渉:共和国・分離主義同盟・ハット・カルテル・インターギャラクティック銀行など異なる勢力間で経済利害を取りまとめる、慇懃な物言いを特徴とする交渉技術。
- 総督職延命政治力:ナブー敗北後の4度の裁判を経ても総督職に留任する政治的生存能力。シディアス/パルパティーン派閥との直通通信を通じ、合法と違法の境界を渡る立ち回り能力。
03関連人物

04登場・関連作品
05名場面

ドロイドコントロール艦のブリッジで、副官ルーン・ハーコと共にシディアスから指令を受ける実写本編初登場シーン。
ナブー王宮テッド広場でパドメ・アミダラ女王を捕縛し、直接対面で降伏を迫る王室国家制圧シーン。
ジオノーシスの分離主義評議会会議室で、通商連合艦隊の分離主義同盟への正式合流を表明するシーン。
幼少アナキンのN-1スターファイター侵入で旗艦『Saak'ak』が破壊され、地表のドロイド軍が一斉停止するナブーの戦いのシーン。
ムスタファーの会議室で、暗黒面落ち直後のアナキンが分離主義評議会全員を殺害し、命乞いの途中で斬殺される退場シーン。
06制作背景

実写3作いずれも英国俳優サイラス・カーソン(Silas Carson、1965年生まれ、ロンドン出身)が、ニモイディアン特殊メイクの義眼マスク姿で実写演技と声を一貫して担当した。カーソンは同時にジェダイ評議会メンバーのキ=アディ=ムンディ(Ki-Adi-Mundi)役を3作で兼任し、『一人の俳優が善悪の主要枠を別役で兼任した代表例』として知られる。エピソード1ではさらにニモイディアン上院議員ロット・ドッド役、ナブー警備パイロット アンティダー・ウィリアムズ役も兼任した経緯がエンドロールに記録されている。副官ルーン・ハーコ役は英国俳優ジェローム・ブレイク(Jerome Blake)が同じく義眼マスク姿で3作演じた。
ジョージ・ルーカス監督は、プリクエル開始作の顔のあるメインヴィランとして本キャラクターを設計した。ニモイディアン族の造形はILMとジョン・コーエン(John Coen)らクリエイチャー・デザイン部門が担当し、義眼マスク造形の上で表情を演じるカーソンが起用された経緯がStarWars.com公式ブログおよびルーカスフィルム公開資料で公表されている。なお、ニモイディアンの独特の話し方はアジア系のアクセントを念頭に演出されたとされ、公開当時の米国で人種ステレオタイプ的描写との議論が起きた。
アニメ『クローン・ウォーズ』ではトム・ケニー(Tom Kenny、1962年7月13日生/米国シラキューズ出身)が声を担当した。ニコロデオン『スポンジ・ボブ』タイトル役で世界的に著名な声優で、本キャラクターの慇懃な物言いは実写の声色を継承しつつ、アクセント部分は緩和された描写に再調整されている。
背景設定はルーカスフィルム公式のDel Rey刊前日譚小説群で補完される。代表作はジェームズ・ルチェノ(James Luceno)著『Cloak of Deception』(2001年5月29日刊)と『Labyrinth of Evil』(2005年1月25日刊)、マシュー・ストーヴァー(Matthew Stover)著『Revenge of the Sith』ノベライズ(2005年4月2日刊)で、共和国法廷での総督職留任やドゥークー伯爵との交渉が実写の隙間を埋める形で記述される。種族・装備・艦隊構成はDK Publishing刊の公式ガイド『Star Wars: The Phantom Menace – The Visual Dictionary』(1999年)や『Star Wars: Episode III – The Visual Dictionary』(2005年)、『Incredible Cross-Sections』シリーズで体系化されている。
07評価・考察

ヌート・ガンレイは、プリクエル三部作全作に登場する数少ない悪役の一人で、シディアス/パルパティーンを除けば最も登場時間が長い。『商業企業のオーナーが政治を支配する』という設定は、共和国末期の政治腐敗、銀河規模の経済戦争、分離主義独立戦争の起点を象徴し、ルーカスがプリクエルで描こうとした『民主主義が経済利害と戦争に取り込まれて崩壊するプロセス』のテーマを最も直接的に体現する。
エピソード3ムスタファーの斬殺シーンは、アナキンがダース・ベイダーとして初めて実行する皆殺しであり、シリーズ史における暗黒面落ち完成の象徴的場面である。シディアスに利用される表側の駒として描かれた本キャラクターが、最後にシディアス自身の手駒であるベイダーに切り捨てられる構図は、シスの暗黒卿が自分の道具を使い捨てる構図を最も端的に示す場面として繰り返し引用される。
08トリビア
- 実写3作でヌート・ガンレイを演じたサイラス・カーソンは、ジェダイのキ=アディ=ムンディ役も兼任し、『一人の俳優が善悪の主要枠を別役で兼任した代表例』として公式ブログでも紹介された。
- ニモイディアンの独特の話し方はアジア系アクセントを念頭に演出されたとされ、公開当時に人種ステレオタイプ的描写との議論が起きた。アニメでは慇懃さを残しつつアクセントが緩和された。
- アニメで声を担当するトム・ケニーは『スポンジ・ボブ』タイトル役で著名で、同一人物が悪役ヴィランを演じる事実はファンコミュニティで頻繁にネタにされる。
- 命乞い台詞『The war is over. Lord Sidious promised us peace.』は、シスが自分の道具を使い捨てる構図を示す台詞として政治テーマ分析でしばしば引用される。
- カーソンはエピソード1一作だけでヌート・ガンレイ、キ=アディ=ムンディ、ロット・ドッド、アンティダー・ウィリアムズの4役を兼任した経緯がエンドロールに記録されている。
09よくある質問
実写本編での初登場は『ファントム・メナス』冒頭の通商連合ドロイドコントロール艦シーンである。通商連合総督としてナブーを軌道封鎖し、シディアスの差配でバトル・ドロイド大軍を地表に降下させる、本作で最も登場時間の長い悪役の一人として描かれる。
実写3作は英国俳優サイラス・カーソンが義眼マスク姿で演技と声を担当した。カーソンはジェダイのキ=アディ=ムンディ役も兼任している。アニメ『クローン・ウォーズ』ではトム・ケニーが声を担当する。
ニモイディアン族である。カトーニモイディア/ニモイディアを母星とし、緑がかった灰色の肌と赤い目を特徴とする商業文化主導の種族で、本人は通商連合総督として描かれる。
エピソード3ムスタファーの会議室で、暗黒面落ち直後のアナキン・スカイウォーカー(ダース・ベイダー)にライトセーバーで斬殺されて退場する。命乞いの台詞を遮られて斬られるカットで描かれる。
登場する。アニメ『クローン・ウォーズ』劇場版からTVシリーズにかけて、分離主義評議会の主要悪役の一人としてトム・ケニーの声で再登場する。
10出典
- StarWars.com 公式キャラクターデータベース: Nute Gunray
- StarWars.com 公式映画ページ: The Phantom Menace
- StarWars.com 公式映画ページ: Attack of the Clones
- StarWars.com 公式映画ページ: Revenge of the Sith
- IMDb: Star Wars: Episode I – The Phantom Menace (1999)
- IMDb: Silas Carson
- Wookieepedia: Nute Gunray (canon)
- Wookieepedia: Rune Haako
- Wookieepedia: Trade Federation
- Wookieepedia: Separatist Council
- Wookieepedia: Lucrehulk-class Battleship
- IMDb: Star Wars: Episode II – Attack of the Clones (2002)
- IMDb: Star Wars: Episode III – Revenge of the Sith (2005)
- IMDb: Tom Kenny