13ストーリー解説
冒頭、NERV本部の実験施設では装置の起動実験が進められているが、作業員たちが床や機材に奇妙な「腐食」が広がっているのを発見する。金属が溶けるように侵食されていく異常事態に、原因不明の汚染としてリツコたち技術部が調査を開始する。これが第11使徒「イロウル」侵入の最初の兆候である。
解析の結果、腐食を引き起こしているのは肉眼では見えない極微の微生物——ナノマシン状の生命体だと判明する。それが約半日前にNERV内へ侵入し、爆発的に増殖していた。赤木リツコはこの微生物群こそが使徒であると断定し、本部は突如、目に見えない敵との戦いに突入する。

イロウルは驚異的な速さで世代交代と進化を繰り返し、NERVが施す殺菌・隔離などの対抗策に次々と適応してしまう。除去が追いつかないなか、リツコは使徒の進化の方向性が一点——NERVの頭脳である戦略自律思考型電算機「MAGI」のシステム侵入へ向かっていることに気づく。
リツコはMAGIの構造を説明する。メルキオール、バルタザール、カスパーの3基からなり、設計者は故・赤木ナオコ博士、彼女自身の人格を「科学者」「母」「女」という三つの自我として組み込んだ機体だった。リツコの母であるナオコの記憶が回想として差し挟まれ、この戦いに私的な影が落ちる。

やがてイロウルはMAGIへの侵入に成功し、メルキオールを乗っ取ると、続いてバルタザールも掌握する。使徒がMAGIを自らの細胞として書き換え、「種付け」するように同化を進めるなか、3基すべてが奪われればNERV本部の自爆システムが作動するとして、カウントダウンが始まる。
司令室では緊張が高まり、碇ゲンドウと冬月コウゾウが状況を見守る。MAGIを物理的に破壊する案も出るが、リツコはより大胆な逆転策を提案する。防御ではなく、使徒の内部へ自己解析・自己崩壊を促すプログラムを送り込み、侵入してくる使徒自身を罠にかけて破壊するという賭けだった。

自爆までの時間と競争しながら、リツコは対抗プログラムを必死に書き上げる。作戦の鍵は、最後の砦カスパーへ使徒があえて侵入してくる瞬間を突くこと。そしてカスパーには母ナオコの「女」としての自我が宿っており、その人間的な揺らぎが使徒の論理的な乗っ取りに抵抗し、進行を食い止めるのだった。
カウントダウンが残りわずかとなった土壇場、リツコはプログラムを実行する。使徒は自分自身を解析・崩壊させるよう仕向けられ、カスパーに取り込まれる形で自滅する。自爆タイマーは作動寸前のごくわずかな秒数を残して停止し、NERV本部は間一髪で救われた。

戦闘らしい戦闘もエヴァの出撃もないまま、戦いはあくまでデータと電算機の中で決着した。終幕、リツコは母ナオコとMAGIに思いを馳せる。機械の中に刻まれた一人の女の人格と私情こそが本部を救ったという皮肉を残し、静かな余韻とともにこの異色の一話は幕を閉じる。


