21ストーリー解説
物語はネルフ内部の機密を探っていた加持リョウジが何者かに拘束され、尋問を受ける「現在」の場面から始まる。同じくネルフ副司令・冬月コウゾウもまた身柄を押さえられており、以降は彼の回想という形で、特務機関ネルフが「誕生」するまでの十五年間が語られていく。セカンドインパクト直後の荒廃した世界が、その背景に横たわっている。
十五年前、京都の大学で形而上生物学を講じていた冬月は、優秀な教え子・碇ユイが、素行不良で知られ拘留歴まである得体の知れない男・六分儀ゲンドウと深く関わっていることを知る。ユイの身を案じた冬月は、このゲンドウという人物の正体と真の目的を、独自に調べ始めるのだった。

冬月の調査は、南極で起きたセカンドインパクトの真相、そして「人類補完委員会(ゼーレ)」と死海文書という巨大な秘密へと行き着く。葛城調査隊が接触した存在「アダム」、そして人類補完計画——その全貌の一端を知った冬月は、ゲンドウが計画の中枢へと着実に食い込んでいく姿を目の当たりにする。
やがてユイとゲンドウは結婚し、ゲンドウは碇姓を名乗るようになる。二人の間には息子・碇シンジが生まれた。研究組織「ゲヒルン」が設立され、赤木ナオコ博士が自らの人格を移植した思考体「MAGIシステム」の開発を進めていく。ナオコはこの頃、ゲンドウと男女の関係にあった。

二〇〇四年、エヴァンゲリオン初号機の起動実験(接触実験)の最中に重大な事故が発生し、碇ユイがその身を消失させる。幼いシンジの目の前で、母ユイは機体へと取り込まれ、二度と帰ってはこなかった。最愛の妻を失ったこの出来事こそが、以後のゲンドウのあらゆる行動の原点となっていく。
ほどなくゲンドウのもとに、ユイと同じ面影を持つ少女・綾波レイ(最初のレイ)が現れる。MAGI完成の日、ナオコは幼いレイが「あんなおばさん、もう要らない」とゲンドウの本心を代弁し自分を侮蔑するのを耳にする。逆上したナオコはレイを絞殺し、直後に自らの罪に絶望してMAGIの建造物から身を投げ、命を絶った。

冬月はついにゲンドウと直接対峙し、ユイの真意、セカンドインパクトの真相、そして人類補完計画の全貌を本人の口から知らされる。すべてを承知した上で、冬月はゲンドウの側に立つことを選び、ゲヒルンへと身を投じる。失われた教え子ユイへの想いが、彼を計画の内側へと導いたのである。
そして二〇一〇年、ゼーレの直轄組織としてゲヒルンは改組され、特務機関「ネルフ」が誕生する。使徒の迎撃という表向きの顔と、人類補完計画という裏の顔——二つの貌を併せ持つ組織の成り立ちが、ここに完成する。本話の題名「ネルフ、誕生」が指し示す、まさにその瞬間である。

場面は現在へ戻る。加持は、拘束されていた冬月を密かに解放することに成功する。その直後、加持は電話でミサトとリツコにそれぞれ別れを告げるメッセージを残す。受話器を置いた彼の背後に何者かの気配が迫り、やがて一発の銃声が響く。加持リョウジは謎の人物に撃たれ、その生死を強く暗示したまま、物語は幕を閉じる。


