23ストーリー解説
物語は弐号機パイロット・惣流・アスカ・ラングレーの不調から始まる。彼女のシンクロ率は限界まで落ち込み、起動実験でも弐号機とまともに接続できない。心を病んだアスカは苛立ちと無力感に沈み、加持の死を引きずる葛城ミサトの憂いと相まって、ネルフ全体に重苦しい空気が漂っている。
そこへ第16使徒アルミサエルが、二重螺旋状の光の輪となって降下してくる。迎撃のためアスカの弐号機とレイの零号機が出撃するが、シンクロ率がほぼゼロまで落ちたアスカは敵を前にして弐号機を一歩も動かせない。戦力にならぬまま彼女は引き上げを命じられ、迎撃はレイ一人に託される。

アルミサエルは力押しではなく、糸のように細い触手を伸ばして零号機の腕に侵入し、機体そのものと「融合」しようとする。装甲を侵食しながら内部へ食い込んでくる使徒に対し、綾波レイの零号機はA.T.フィールドで抗うが、敵の侵蝕は止まらず機体内部にまで及んでいく。
融合と同時に、アルミサエルはレイの精神そのものに侵入する。使徒はレイ自身の声にも似た響きで「痛いの? 寂しいの?」と語りかけ、一つになって孤独と苦痛から逃れようと誘う。レイの内面では、痛みと孤独をめぐる問答が交わされ、自分という存在の輪郭が揺らいでいく。

危機を受けてシンジの初号機も出撃する。するとアルミサエルは零号機と初号機を光の輪で繋ぎ、シンジまでも取り込もうと侵蝕の手を広げる。接続を通じてシンジの苦痛がレイに流れ込み、彼女は「シンジ君を傷つけたくない」という思いを強く抱く。
レイは使徒もろとも自爆して決着をつけることを選ぶ。彼女はシンジに離れるよう告げ、自らの意志で零号機の自爆装置を作動させる。零号機がアルミサエルを抱え込んだまま巨大な爆発が起こり、機体は消滅。眼前で綾波が消える瞬間を見たシンジは絶叫する。

レイが死んだと信じ込んだシンジは、深い喪失感に打ちのめされる。ところがその後、彼は生きているはずのないレイの姿を目にして衝撃を受ける。駆け寄るシンジに対し、目の前のレイはどこか虚ろで、以前のような反応を返さない。同じ顔をした別人のような違和感が彼を混乱させる。
事態を理解できないシンジに、赤木リツコは「本当のこと」を見せると言い、ミサトとともにネルフ最深部の隠された区画へと彼を連れて行く。薄暗い通路の奥にあるのは、これまで誰にも明かされてこなかった、綾波レイという存在の秘密が眠る場所だった。

そこには巨大なLCLの槽があり、中には裸のレイのクローンたちが無数に浮かび、虚ろな笑みを浮かべて漂っていた。リツコは、レイが魂の器にすぎず、ダミープラグシステムも彼女を素体としていること、つまりレイは死んでも替えのきく「予備の人形」なのだと突きつける。
感情を抑えきれなくなったリツコは、その場でクローンたちの槽を破壊する。無数のレイの体が崩れ、溶けるように散っていくおぞましい光景を、シンジは呆然と見つめるしかない。自分の知るレイはもう失われ、別の個体に置き換わったのだという残酷な真実だけが、彼の前に残された。


