『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に (THE END OF EVANGELION)』は、1997年7月19日に東映系で公開された劇場アニメ作品である。テレビシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』の物語を締めくくる旧劇場版の2作目で、前半「Air」と後半「まごころを、君に」の二部構成をとる。ゼーレとネルフの最終決戦、人類補完計画の発動と碇シンジの選択を描き、TV版最終2話とは異なる結末を示した完結編として位置づけられる。
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1997年7月19日に東映系で公開された旧劇場版2作目『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に (THE END OF EVANGELION)』を、Wookieepedia 級の詳しさで解説する。Air と まごころを、君に の二部構成、TV版25・26話との対比、人類補完計画の発動と帰結、戦自侵攻シーン、主題歌「Komm, süsser Tod」、興行成績、受賞歴、評価、さらに新劇場版4部作への接続まで、一本にまとめて追っていく。
『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』、通称『THE END OF EVANGELION』(EoE)は、1997年7月19日に東映系で公開された旧劇場版2作目である。TVシリーズから旧劇場版へと続く、最初の正史ルートにおける真の完結編にあたる。総監督・原作・脚本は庵野秀明、音楽は鷺巣詩郎、製作はGAINAX。物語は同年3月の『シト新生』で予告された Air の続きから幕を開け、第25話『Air』(約46分) と第26話『まごころを、君に』(約40分)、計約87分の二部構成で、人類補完計画の発動とその帰結を描く。配給収入14.5億円、興行収入24.7億円、観客動員164.6万人を記録し、1997年の邦画ランキング第4位・アニメ第2位に食い込み、第21回日本アカデミー賞 話題賞、第2回アニメーション神戸 特別賞に輝いた。庵野秀明自身が「TVシリーズの外側の世界で実際に何が起きていたか」への解答として作り上げた本作は、エヴァンゲリオン・シリーズ最初の幕引きであると同時に、後の新劇場版4部作 (2007〜2021) を生む直接の起点ともなった。
あらすじ
前半『Air』(第25話の別バージョン)は、戦略自衛隊によるNERV本部襲撃の場面から幕を開ける。SEELEは人類補完計画の発動準備として、NERV本部の地下深くに眠るリリスと弐号機を確保すべく、戦自部隊と量産機を投入する。抜け殻のように地上施設に取り残されていたシンジは救出され、ミサトに励まされながら初号機ケージへと向かう。第3新東京市の地下では、再起動した弐号機に乗ったアスカが戦自とSEELEの量産機部隊を相手に凄惨な戦いを繰り広げる。一方、リツコは地下のリリスを、ゲンドウは綾波レイの胎内に潜むものを目指し、それぞれの最終的な目的に向けて動き出す。本編冒頭の予告編はTV第拾参話「ゼーレ、魂の座」の正史的な続きにも当たり、ここまで隠されてきたSEELEの真意がついに明かされる。
後半『まごころを、君に』(第26話の別バージョン)では、初号機に乗り込んだシンジが、月軌道上のリリスから生まれた「巨大化した綾波レイ=リリス」と接続し、「人類補完計画」が発動する。地球上の人類すべてがそれぞれのA.T.フィールドを失い、LCLの海に還る大規模な「補完」が描かれる。シンジは個と他者の間の関係を改めて選び直すよう求められ、最終的に「他者と関わる痛みを引き受けて生きていく」ことを選び、A.T.フィールドを再構築する。物語の最終場面、海岸に横たわるアスカとシンジが漏らす「気持ち悪い」というセリフをもって、シリーズの旧劇場版正史は幕を閉じる。
TV版第25話・第26話との対比
『EoE』を理解するうえで外せないのが、TV版第25話「終わる世界」、第26話「世界の中心でアイを叫んだけもの」との対比だ。TV版の2話は、シンジの内面と他者との関係を象徴的かつ抽象的に描いた「内側からの結末」であり、抽象的なホワイトボードとモノローグを多用する実験的な構成だった。これに対し『EoE』は、ほぼ同じ時間軸上の出来事を「外側からの結末」として描き直す。第25話の戦自侵攻、第26話の補完計画発動、量産機部隊との戦闘、リリスとの融合、人類のLCL化、そしてシンジによるA.T.フィールド再構築の意思決定——そのすべてが、TV版では描かれなかった具体的な映像として提示される。タイトルこそTV版と同じ第25・26話に対応しているが、両編は対立するものとしてではなく、同一の物語の表と裏として鑑賞されることを想定して作られている。
制作背景
1996年4月、GAINAXはTV版最終2話を当初の脚本に沿った形でリメイクする劇場版の制作を正式に発表した。当初は単一の劇場版で完結させる計画だったが、新作部分の分量が膨大であること、そしてTVシリーズの既存ファンを劇場へ呼び戻す導線が必要との判断から、1作目『シト新生』(1997-03-15)と2作目『THE END OF EVANGELION』(1997-07-19)の二段公開へと分割された。本作の制作と並行して、放送終了後にファンからGAINAXや庵野秀明宛に届いた多数の手紙・FAX・メールが、Air中盤の「人類補完計画/SEELEシーン」でテロップとしてそのまま画面に映し出される、という演出が採られている。TV版終盤2話への反響を正面から作品へ取り込む、極めて作家性の高い庵野自身の判断であり、本作が単なる商業的続編ではなく、観客への直接的な返答として作られていたことを物語る。
制作協力はGAINAXを中心に、Production I.Gほか多数のスタジオが原画・動画の工程に参加した。庵野秀明が総監督・脚本を直接手掛け、両編の演出には鶴巻和哉と摩砂雪が中心スタッフとして加わっている。両者はのちに株式会社カラーの主要スタッフとして、新劇場版4部作でも庵野総監督を支える役回りを続けていくことになる。
主題歌・音楽
音楽はTVシリーズに続いて鷺巣詩郎が手がけた。劇中曲では、Bachの弦楽曲やパッヘルベルのカノンといったクラシックの引用に、鷺巣詩郎オリジナルの大編成曲、さらにヴォーカル付きの楽曲までが、同一場面で複雑に絡み合う。Air編の主題歌「THANATOS -IF I CAN'T BE YOURS-」(LOREN & MASH名義)は鷺巣詩郎作曲のロックバラードで、TV版第拾参話の劇伴「THANATOS」に歌詞を付けて再構築したものだ。まごころを、君に編の主題歌「Komm, süsser Tod」(ARIANNE歌唱)は鷺巣詩郎が作詞・作曲を手がけた、ドイツ語のタイトルに英語の歌詞を乗せた一曲。補完計画発動シーンに重ねられる極めて軽快なメロディが、破滅的な映像とあえてミスマッチさせられている。本作のサウンドトラックは1997年9月26日にスターチャイルドからリリースされ、オリコン週間アルバムランキングで3位 (1997年10月6日付)を記録した。
興行成績と評価
1997年7月19日に公開されると、本作は配給収入14.5億円、興行収入24.7億円、観客動員164.6万人を記録した。1997年の邦画興行ランキングで第4位、同年のアニメ作品では第2位という、当時の劇場アニメとしては破格の成績である。第21回日本アカデミー賞で話題賞を受賞し、TV版に続いて第2回アニメーション神戸 特別賞も獲得した。この興行的成功は、TVシリーズが起こした社会現象の勢いを、そのまま劇場アニメへ転化できることを示した事例といえる。以後の日本アニメ業界における「TVシリーズから劇場版完結編へ」というビジネスモデルの、一つの参照点となった。
批評と観客評価の両面で、本作は今日に至るまで議論を呼び続けている。Filmarks(2026年5月時点)の累計レビュー数は4万件を超え、エヴァンゲリオン・シリーズのなかでも極めて高い関心を集めてきた。とくに最終場面でアスカが口にする「気持ち悪い」というセリフ、補完計画の倫理的な位置づけ、観客自身を作品のなかに投影させるメタ的な演出など、論点は数えきれない。本作が以後の日本のアニメや実写映画の作家性表現に与えた影響は、計り知れないものがある。
主要登場人物
本作の声優陣はテレビシリーズと同一布陣である。主人公の碇シンジ (CV: 緒方恵美) は劇中ほぼ全編を通して極限状態に置かれ、終盤の補完計画下では象徴的な「選択者」として描かれる。綾波レイ (CV: 林原めぐみ) は本作で「リリス」と一体化し、人類補完計画の触媒として極めて重要な役割を担う。惣流・アスカ・ラングレー (CV: 宮村優子) は弐号機での戦自・量産機部隊との戦闘でシリーズ屈指の名シーンを演じ、最終場面ではシンジとともに地上に取り残される。葛城ミサト (CV: 三石琴乃) はシンジを初号機まで送り届けた直後に絶命し、赤木リツコ (CV: 山口由里子) はゲンドウとの最後の会話のさなかに銃撃を受ける。碇ゲンドウ (CV: 立木文彦) は自らの補完計画の到達点で、望み続けたものに直面し、その先で文字通りに「食べられる」。各キャラクターの詳細は エヴァンゲリオン登場人物 から順次掘り下げていく。
配信状況
2026年5月時点で確認できる主な配信状況は次の通り。配信権は随時変動するため、視聴前に公式情報を改めて確認したい。
関連作品
本作は、TVシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』(1995-96) と 『シト新生 (DEATH & REBIRTH)』(1997-03) を直接受け継ぐ作品であり、旧劇場版2作の流れに真の決着をつける完結編である。だが、ここで一度幕を下ろした物語は、その後、庵野秀明が新たに設立した株式会社カラーの手によって、ふたたびゼロから描き直されていく。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(2007) に始まり、『破』(2009)、『Q』(2012)、そして『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2021) へと続く、新劇場版4部作がそれである。観る順番を整理したい場合は エヴァンゲリオン観る順番ハブ を参照されたい。
本ページの主な参考資料
本ページに記載した事実は、以下の一次情報および信頼性の高い二次情報を WebSearch / WebFetch で参照して記述している。記述の現状は2026年5月時点。
追加参照: ja.wikipedia「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」/ eiga.com 映画情報「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」/ allcinema / Filmarks / Netflix Japan タイトル60024788。
Key terms in this work
10本作で重要な用語
本作を理解するうえで押さえておきたいエヴァンゲリオン用語へのショートカット。各リンク先は本サイトの用語集ページに接続し、設定・劇中での扱い・新旧シリーズでの差分・関連用語をまとめている。
Main characters in this work
本作の主要登場人物
本作で重要な役割を果たす登場人物のページへのショートカットだ。各リンクは本サイトの登場人物事典につながっており、プロフィールや来歴、人物どうしの関係、名場面、担当声優までを整理している。