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2011年版 第135話
2011年版アニメ第135話「コノヒ×ト×コノシュンカン」を解説。メルエムの降伏、コムギとの再会、薔薇の毒、最後の軍儀を整理する。
2011年版アニメ第135話「コノヒ×ト×コノシュンカン」は、2014年6月25日に放送されたキメラ=アント編の終幕である。原作No.314、No.315後半、No.316の一部、No.317からNo.318前半を映像化する。
王と人間の戦争は、メルエムがパームへ頭を下げる場面で実質的に終わる。残り時間が少ないと知った王は支配も勝利も求めず、コムギともう一度軍儀を指すことだけを望む。

第135話で最期の時間を過ごすメルエムとコムギ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

毒を知った後も続ける最後の軍儀 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

軍儀を通じて関係を築いた王とコムギ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

二人が最後まで向き合う軍儀盤 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博

王のそばに残ると自ら決めたコムギ 引用『HUNTER×HUNTER』冨樫義博
基本情報
| 媒体 | 2011年版TVアニメ |
|---|---|
| 話数 | 第135話 |
| 副題 | コノヒ×ト×コノシュンカン |
| 放送日 | 2014年6月25日 |
| 原作対応 | No.314〜No.318前半 |
パームへ示した降伏
メルエムは粒子状の円で地下を探り、パームが隠れる戸棚の前へ来る。敵意を向けず、コムギの場所を教えてほしいと頼む。
パームは王が人間へ降伏するはずがないと疑う。拷問して情報を奪えばよいと挑発するが、メルエムは戦いは終わったと答える。
王は残された時間が短いと理解し、コムギと過ごすこと以外を望まない。パームの前へ膝をつこうとし、その姿が彼女の敵意を崩す。
パームは二人の最期を自分の能力で見届けることを条件に、居場所を教える。討伐隊の任務より個人の願いを優先する選択を、心の中でキルアへ謝る。
この取引では力関係が反転している。世界を統べるため生まれた王が、情報を持つ一人の人間へ拒否権を認め、自分の願いを言葉で託す。
コムギとの再会
メルエムは箱の中で眠るコムギを見つけ、穏やかな表情で起こす。コムギは宮殿襲撃中の事情を知らず、王に救われたのだと思う。
王は自分が救ったとは言わず、部下の一人が連れ出したと説明する。コムギが礼を言いたいと話すと、近く部下へ会うから伝えると答える。
実際にはプフとユピーは薔薇の毒で死亡し、ピトーもゴンに倒されている。メルエムは死を明言せず、間もなく自分も同じ場所へ行くという意味を含ませる。
コムギはいつもどおり軍儀盤を用意する。宮殿の支配者と盲目の棋士という立場ではなく、長く対局を続けてきた二人の時間へ戻る。
パームは遠隔視でその場を見守る。討伐隊の誰も介入せず、二人が選んだ最後の時間を保つことが、戦闘後に残った役割となる。
互いの名前を告げる
対局前、メルエムはコムギが以前自分の名を尋ねたことを思い出す。女王から与えられた名前を自ら名乗り、王という称号ではなく個人として向き合う。
コムギも姿勢を正して名乗り返す。彼女は最後まで敬称を外そうとせず、王は勝ったら呼び方を変えるという条件を提案する。
過去のメルエムなら、拒否を命令で押し切った。ここでは軍儀の勝敗へ委ね、コムギ本人が守る礼儀と選択を認める。
コムギは自分が死ぬのかと尋ねる。メルエムは以前の自分とは違うと答え、命を賭けさせて勝利を強要した頃から変わったことを示す。
名前の交換は身分差を消す儀式ではない。互いが違う存在であることを保ったまま、最後を共にする相手として認め合う場面である。
貧者の薔薇が残した毒
メルエムはネテロとの戦いで貧者の薔薇の爆発を受けた。プフとユピーの細胞によって肉体は再生したが、爆弾が残す毒までは消えなかった。
毒は感染性を持ち、近くに長くいる者へ広がる。王へ身体を捧げたプフとユピーも同じ毒を受け、先に命を落とす。
メルエムはコムギへ、そばにいれば彼女も毒に侵されると説明する。真実を隠して一緒にいるのではなく、離れる選択肢を本人へ返す。
コムギは危険を理解しても盤を離れない。この瞬間のために生まれたと思うと答え、延命より王との対局を選ぶ。
薔薇は人類の悪意が作った兵器であり、王を力で上回れなかった人間側の最終手段だった。その毒が最後には、戦争から離れた二人の静かな時間まで奪う。
最後まで続く軍儀
メルエムは対局の中でコムギを破る手順へ近づくが、完全な勝利には届かない。毒で身体が弱る中でも、二人の会話は盤上の読みを中心に続く。
コムギは自分にこれほど幸せなことが起きてよいのかと涙を流す。貧しい家で家族を支えるため勝ち続けた彼女が、勝敗以外の理由で対局を喜ぶ。
メルエムの円の光は次第に弱まり、視界と感覚も失われていく。王はコムギがまだそこにいるか何度も尋ね、彼女はそのたびに返事をする。
盤面で詰みを認めても、コムギは次の一局を提案する。王は一度も勝っていないと答えるが、彼女にとって勝敗は二人が続ける時間を止める理由にならない。
軍儀は王が人間の価値を知った入口であり、最後に戻る場所でもある。戦闘力や国家の支配では測れない相手へ、メルエムは最後まで勝てなかった。
名前を呼ぶ最後の会話
メルエムは疲れたため少し休むと告げ、コムギへ手を握ってほしいと頼む。すぐ目を覚ますと言いながら、自分がもう戻らないことを理解している。
コムギはずっとそばにいると答える。毒に侵される未来を受け入れ、王が感覚を失っても手と声で存在を伝え続ける。
王は最後に一度、名前で呼んでほしいと願う。コムギは「おやすみなさい」と応え、間もなく自分も後を追うことを静かに受け入れる。
映像は二人を暗い画面と声で描き、宮殿戦の激しい動きから極端に速度を落とす。見えなくなった王の感覚を、視聴者も共有する演出である。
パームがイカルゴへ終わったと告げた時、終了したのは討伐作戦だけではない。王と護衛軍を中心としたキメラ=アントの国家計画が、二人の死によって完全に閉じる。
補足と位置づけ
メルエムがパームへ膝をつこうとする姿は、王としての権威を捨てた演技ではない。力で情報を奪えばコムギの意思も、居場所を守った人間の選択も踏みにじると理解し、相手が納得して教える手順を選ぶ。
パームが見届ける条件を出すのは、二人の私的な時間を覗きたいからではない。王が本当に戦いを終えたかを確認し、コムギの安全と死を最後まで人間側の目で記録する責任を引き受ける。
コムギは王の部下へ礼を言うつもりでいるが、その相手たちはすでに死んでいる。メルエムは感謝を否定せず、自分が間もなく会うとだけ答える。この短いやり取りに、護衛軍への評価と自分の死の受容が含まれる。
王が自分の毒を告げる場面は、かつてコムギへ命を賭けさせた対局と対照になる。以前は相手の同意を形式的に扱ったが、最後は危険の内容を説明し、離れるか残るかの判断を完全に彼女へ渡す。
円の光が弱まるにつれ、メルエムは盤面を見る力よりコムギの返事を必要とする。感覚の届く範囲を支配する能力が消え、最後には握った手と名前だけが相手の存在を確かめる方法として残る。
コムギの「まだ始まったばかり」という態度は、王に勝ち続けた自負の表現だけではない。終わりが近いことを知りながら次局を提案し、死までの時間を敗北の待機ではなく、二人が最もよく知る営みへ変える。
報道、ネテロの辞任映像、独裁者の替え玉発見といった後処理は、二人の対局と並行する。世界は事件を政治的に整理し始めるが、王とコムギの名前や選択は公的記録へほとんど残らない。
記事の読みどころ
ネテロは王へ個人名を伝えず、戦いの最後に人間の悪意を見せた。コムギは名前を尋ね、盤を挟んで何度も個人として向き合う。メルエムが自分の名を最後に渡す相手を選ぶことで、戦闘と対局が王へ与えたものの違いが明確になる。
王がコムギへ一度も勝てなかった事実は、彼の成長を否定しない。勝てない相手を殺して序列を守る段階から、敗北を受け入れ次の一局を望む段階へ変わった。軍儀の勝敗が、支配以外の関係を学ぶ尺度になる。
コムギは自分を価値の低い人間だと思い、軍儀で負ければ生きる資格がないと考えていた。王との最後の対局では、勝ち続ける義務より一緒に指せる喜びを語る。メルエムだけでなく彼女の自己評価も変化している。
二人の遺体は手を取り合った状態で残る。王を倒した英雄や軍儀の世界王者としてではなく、互いの名前を呼んだ二人として最期を迎える。作品内の公的評価と、視聴者が知る結末の間には大きな差がある。
位置づけ
メルエムの最期を知るのはパームたち一部の関係者に限られる。一般社会では東ゴルトーの独裁体制崩壊と協会会長の死が大きく報じられ、王が一人の棋士へ名前を告げて死んだ経緯は歴史の表面へ出ない。この情報差も結末の静けさを支える。パームが見届けた記憶だけが、政治報道からこぼれた二人の真実を人間側へ残す。イカルゴへ告げる「終わった」という一言が、その私的な記録の区切りになる。二人の声はそこで途切れる。
2011年版 第135話が残したもの
第135話は、最強の王が敗北を認めた後に何を選ぶかを描く。メルエムが最後に守ろうとしたのは王国でも種の繁栄でもなく、コムギが選ぶ一局の時間だった。
コムギは王に従って死ぬのではない。毒を知らされたうえで残ると決め、最後まで勝負相手として返事を続ける。二人の対等さは力ではなく、互いの選択を奪わないことから生まれる。
ネテロと王の戦いを終わらせたのは薔薇の毒だが、メルエムという個人の物語を閉じるのは軍儀と名前である。兵器の決着と人物の結末が別に置かれている。