JOJOジョジョの奇妙な冒険 百科事典
Part 5 / 人物

トリッシュ・ウナ

とりっしゅ・うな

第一世界線main_manga_and_tv_anime

ネタバレ範囲: Part 5全編、スパイス・ガール覚醒とディアボロ最終戦まで

# トリッシュ・ウナトリッシュ・ウナは、第5部『黄金の風』に登場する15歳の少女であり、パッショーネのボス、ディアボロの実の娘である。母ドナテラ・ウナが父親を捜したことから、ボスの正体を知る手掛かりとして暗殺チームに狙われ、ブチャラティチームの護衛を受ける。当初は自分の安全を周囲へ委ねるしかなかったが、ノトーリアス・B・I・Gとの戦いで物体を柔らかくするスタンド「スパイス・ガール」を発現する。

父に殺されかけた被害者にとどまらず、自分の能力と判断で仲間を守り、最終決戦ではディアボロの行動を暴く役割を担う。

基本情報

トリッシュは1985年に生まれ、2001年の本編時点で15歳である。母はドナテラ・ウナ、父はパッショーネのボスであるディアボロだが、本人は長く父の名前も姿も知らずに育つ。ドナテラが病気になり、娘の将来を案じて父親を探したことから、ギャング内部へ血縁が知られる。暗殺チームはトリッシュを捕らえてボスの正体を探ろうとし、ボスはブチャラティへ娘の護衛を命じる。

公式人物紹介では、ボスの実の娘で、ボスの秘密を探す裏切り者から狙われるため護衛される人物と説明される。

名前と表記

日本語表記は「トリッシュ・ウナ」で、ラテン文字ではTrish Unaと書かれる。Trishは英語圏の女性名として使われ、Unaはイタリア語で「一つの」「一人の」に当たる語でもある。作中では母の姓を名乗り、父の名や組織上の肩書を自分の姓として使わない。スタンド名は「スパイス・ガール」で、英語表記はSpice Girlである。

海外版の変更名は別名欄へ保持し、原作日本語版の表記を置き換えない。

外見

トリッシュは淡い色の長い髪を渦巻くようにまとめ、前髪を額へ垂らす。胸元へ特徴的な形の装飾がある上着と、短いスカートを着用する。腕輪、靴、服の模様にも円や曲線が使われ、スパイス・ガールの装甲状の外見と共通する意匠がある。逃亡生活でも身だしなみや清潔さへ強い関心を持ち、最初は護衛役へ飲料や日用品を細かく要求する。

原作カラー版、テレビアニメ、ゲームでは髪、服、瞳の色が異なるため、一種類の配色だけを固定設定としない。

生い立ち

ドナテラはサルディニアを旅行した若い時期に、ソリッド・ナーゾと名乗る男性と出会う。その男性が後のディアボロであり、二人の間に生まれた子がトリッシュである。ディアボロはドナテラのもとから姿を消し、娘が生まれたことを長く知らなかったとされる。トリッシュは母と二人で暮らし、父の素性を知らないまま成長する。

母が重い病気で入院すると、父を捜す動きがパッショーネと暗殺チームへ伝わり、日常生活から切り離される。ドナテラは本編開始前に死亡し、トリッシュは唯一の家族を失った直後に護衛と逃亡を受け入れなければならなくなる。

護衛開始時の性格

ブチャラティチームと会った直後のトリッシュは、護衛役へ命令するような口調を使い、飲み物や化粧品へ注文を付ける。周囲の男たちは自分を守る任務を受けたギャングであり、信頼できる友人ではないため、距離を置く態度には理由がある。外へ自由に出られず、敵の能力も知らず、父から直接説明も受けられない状況で、自分が制御できる身の回りの条件へこだわる。ナランチャを買い物へ向かわせる要求は敵に居場所を探られるきっかけにもなるが、本人は暗殺チームの手段を知らない。

旅の中で護衛役が命を懸ける姿を見て、要求するだけの関係から仲間として心配する関係へ変わる。

ブチャラティチームとの旅

トリッシュはネアポリスから列車、農場、ポンペイ、ヴェネツィアを経て、父へ引き渡される場所を目指す。暗殺チームはホルマジオプロシュートペッシメローネギアッチョらを送り、移動手段と隠れ場所を襲う。トリッシュは戦闘の中心から守られる一方、敵が自分を通じて父の正体を知ろうとしていることを理解していく。体内にスタンド能力の兆候があり、接近する父と精神的なつながりを感じる場面もある。

ブチャラティは任務の命令だけでなく、自分の正義とチームの責任として彼女を守るようになる。

サン・ジョルジョ・マジョーレ島

ボスの最終指令は、ヴェネツィアのサン・ジョルジョ・マジョーレ島にある大鐘楼へトリッシュを連れて行くことだった。ブチャラティは一人で彼女をエレベーターへ乗せ、受け渡し地点へ上がる。ディアボロはキング・クリムゾンで認識できない時間を作り、トリッシュの腕を切断して連れ去る。ブチャラティは残された腕と血痕から、ボスが娘を守るのではなく殺すために呼び寄せたと気づく。

彼はボスへ反逆してトリッシュを奪還し、致命傷を負いながら仲間のもとへ戻る。父と初めて接触した瞬間は再会ではなく、存在を消そうとする殺人未遂になる。

父の正体を知る決意

救出後、トリッシュは自分が何者から生まれたのかを知りたいと考える。母が父とサルディニアで出会ったことを仲間へ話し、ボスの過去を探る次の目的地を示す。父から拒絶されたから血縁を否定するのではなく、恐怖の原因を自分で確かめる道を選ぶ。ブチャラティチームはボスへ反逆した時点で組織全体から追われるが、トリッシュの情報によって受け身の逃亡から追跡へ転じる。

本人の記憶ではなく母から聞いた話が手掛かりなので、ディアボロの偽名や全経歴を知っていたわけではない。

スタンド「スパイス・ガール」

スパイス・ガールは人型の近距離型スタンドで、殴った物体をゴムのように柔らかくする。柔らかくなった物は形を大きく変えても壊れにくく、衝撃を吸収し、押し返す弾性を持つ。硬さを失わせる能力は、壁や床を無力化するだけでなく、壊れやすい物を守る防御にも使える。スタンドは覚醒直後から自分の意思を言葉でトリッシュへ伝え、戦う方法と能力の性質を教える。

力強い連続打撃も行えるが、物体の軟化と反発を組み合わせた防御と環境操作が中心になる。

ノトーリアス・B・I・Gの襲撃

ブチャラティチームはサルディニアへ向かうため空港で飛行機を確保し、接近したカルネを射殺する。カルネの死後、動く物体のエネルギーを追って捕食するノトーリアス・B・I・Gが機内へ現れる。敵は速く動くものを優先して襲い、スタンドの攻撃や飛行機の機構を吸収して成長する。ジョルノは仲間を守るため両腕を失い、ゴールド・エクスペリエンスを使えないように見える。

しかし自分のブローチを生命へ変え、失った左手へ成長するよう準備していた。トリッシュはそのブローチを守ればジョルノと全員を救えると知り、自分から危険な機内へ戻る。

スパイス・ガールの覚醒

ノトーリアス・B・I・Gがトリッシュへ迫ると、それまで内側にあったスタンドが明確な姿を取る。スパイス・ガールは床や座席を柔らかくし、敵の打撃と機体の破損を吸収する。硬い機体なら裂けて墜落する攻撃も、弾性を持たせれば大きく変形しながら持ちこたえられる。トリッシュは能力の説明を聞くだけでなく、自分で敵が速い動きを追う習性と飛行機の速度を結び付ける。

覚醒は父から受け継いだ力の存在を示すが、使い方と守る対象はディアボロと反対の方向へ選ばれる。

飛行機からの排除

ノトーリアス・B・I・Gはエンジンなど機体で最も速く動く部分へ引き寄せられる。トリッシュは機体を柔らかくして破損を遅らせ、仲間がココ・ジャンボの内部へ退避する時間を作る。敵を飛行機の速度へ執着させたまま海面へ誘導し、機体ごと海へ落とす計画を実行する。一度は飛行機を上回る動きで戻ろうとする敵にも対処し、最終的に海上を動く波へ引き付ける。

ノトーリアス・B・I・Gを消滅させることはできないが、陸地と仲間から遠ざけ、海面を追い続ける状態へ封じる。初めての実戦で能力を攻撃、防御、脱出へ使い分け、護衛されるだけだった立場を変える。

ナランチャとの関係

ナランチャはトリッシュと年齢が近く、護衛開始時から自分との共通点を意識する。彼女の買い物へ出てホルマジオに襲われたときも、「トリッシュを守る」という目的を戦う理由にする。一方、トリッシュは初期にはナランチャを使い走りのように扱うが、旅を通じて彼の負傷と献身を見る。最終局面でナランチャが殺された後、残された身体と仲間の反応から犠牲の重さを共有する。

二人が長い会話で友情を確認する場面は多くないものの、同年代の二人がギャングの都合へ巻き込まれた構図が重なる。

チャリオッツ・レクイエム後の入れ替わり

コロッセオでチャリオッツ・レクイエムが発動すると、周囲の人々の精神が別の身体へ入れ替わる。トリッシュの精神はミスタの身体へ入り、自分の身体にはミスタの精神が入る。ディアボロの精神はトリッシュの魂へ密着する形で同じ身体に潜み、仲間へ正体を隠す。血縁による感覚とスパイス・ガールの反応から、トリッシュは父が近くにいる異常へ気づく。

ディアボロは隠れたままナランチャを殺し、矢を奪う機会を待つ。父と娘の精神的なつながりはトリッシュを危険へさらす一方、完全に姿を消したディアボロを探る手掛かりにもなる。

矢の争奪への介入

ディアボロがチャリオッツ・レクイエムの仕組みを見抜いて矢へ近づくと、トリッシュはスパイス・ガールで妨害する。物体を柔らかくする能力で矢の動きと周囲の攻撃へ介入し、父がキング・クリムゾンを進化させる時間を遅らせる。ディアボロは娘の存在を呪い、キング・クリムゾンで攻撃する。致命的な危険を受けても、トリッシュは父が逃げようとした事実を仲間へ伝える。

その指摘でディアボロの誇りが刺激され、彼は逃走ではなくジョルノとの戦闘を選ぶ。守られる対象だった人物の観察と言葉が、最後の敵を戦場へ引き戻す。

ディアボロとの対比

トリッシュとディアボロは血縁とスタンド能力を共有するが、過去と他者への向き合い方が異なる。ディアボロは血縁を弱点として消そうとし、トリッシュは母の記憶から自分の出自を知ろうとする。キング・クリムゾンは危険な過程を飛ばして結果だけを残し、スパイス・ガールは衝撃を受けても壊れない柔らかさを与える。父が痕跡を切断するほど頂点へ固執する一方、娘は傷つきながら仲間との関係を作る。

能力の違いは単純な強弱だけでなく、困難を消す者と、受け止めて形を変える者の対照になっている。

物語後の立場

ディアボロがゴールド・エクスペリエンス・レクイエムに敗れた後、ジョルノはパッショーネの新しい頂点へ進む。トリッシュは最終決戦を生き延びるが、その後の生活、組織との関係、母の家へ戻ったかは原作で詳しく描かれない。ボスの娘という立場がそのまま組織の役職になるわけではなく、ジョルノの部下になったとも明言されない。戦いの前に音楽活動へ関心を示す資料はあるが、将来の職業を本編後の確定事項として扱わない。

生存と成長は確認できても、以後の人生には解釈の余地が残る。

原作とテレビアニメ

原作では護衛任務の対象として登場し、「スパイス・ガール」編で初めて単独の戦闘を担う。テレビアニメ公式では15歳、パッショーネのボスの実娘、裏切り者から狙われる人物として掲載される。テレビアニメ版の声は千本木彩花が担当する。アニメは表情、父の接近を感じる反応、スパイス・ガールとの会話を映像と音声で補強する。

ゲームや小説で追加された戦闘と後日談は媒体を明記し、原作漫画の出来事へ統合しない。

未判明事項

トリッシュの出生地、幼少期の学校生活、ドナテラとの日常は詳しく示されない。ディアボロから血縁以外に何を遺伝したのか、スタンドがいつから内在していたかも確定しない。スパイス・ガールが一度に柔らかくできる最大範囲、効果時間、元の硬さへ戻す条件にも数値設定はない。本編後の居住地、進路、パッショーネとの関係も不明である。

作中で確認できる成長と、読者が望む将来像を分けて記述する必要がある。