JOJOジョジョの奇妙な冒険 百科事典
Part 7 / 人物

リンゴォ・ロードアゲイン

りんごぉろーどあげいん

第二世界線main_manga

ネタバレ範囲: Part 7第33話から第35話「男の世界」まで

# リンゴォ・ロードアゲインリンゴォ・ロードアゲインは、第7部『スティール・ボール・ラン』に登場するファニー・ヴァレンタイン配下のガンマンである。第4ステージの森林に小屋を構え、スタンド「マンダム」で時間を正確に6秒戻し、通過する騎手を同じ場所へ迷わせる。聖人の遺体を回収する任務に就く一方、本人の目的は公平な決闘を通じて精神を清め、「男の世界」と呼ぶ境地へ進むことにある。

能力を秘密にせず、武器の位置や弱点まで相手へ教え、殺す覚悟を持つ者だけを対戦者として認める。ジョニィとホット・パンツを撃った後、迷いを捨てたジャイロとの再決闘に敗れ、その成長を認めて死亡した。

基本情報

リンゴォは米国人の男性で、カンザス近郊の森林にある小屋を拠点とする。生年や正確な年齢は示されず、幼少期の事件と、レースの3年前にマンダムを発現したことが判明している。ヴァレンタインからジョニィの持つ遺体を奪う命令を受け、レース経路へ待機する。騎手としてレースへ参加せず、小屋、果樹園、森の道を自分の決闘場として整える。

使用武器は1874年型のコルトで、早撃ち、射線の判断、相手の銃器の有効距離を読む能力に優れる。

外見

リンゴォは筋肉質の長身で、長い髪を頭頂部で複数の束へまとめる。口元には濃い口ひげがあり、眼の下と顎へ縦方向の模様が入る。胸を開いた上着の縁へ丸い飾りが並び、手首にはマンダム発動の心理的なスイッチとなる腕時計を着ける。腰へ拳銃と弾薬を装備し、決闘の開始前には立ち位置と抜きやすさを互いに確認する。

左鎖骨には幼い頃の古傷があり、再び損傷すると神経が麻痺して心臓まで停止する弱点となる。

病弱な子供時代

幼いリンゴォは皮膚が弱く、わずかな傷でも出血し、頻繁に病気へかかる体質だった。父親は軍へ徴兵された後に脱走し、逮捕され、病気で死亡する。家族は裏切り者の身内として社会から排斥され、母と二人の姉妹とともに森を移動しながら貧しく暮らす。身体の弱さだけでなく、父の行為によって周囲の規範から追い出された環境が、他人の評価を信用しない思想を育てる。

10歳の夜

リンゴォが10歳の夜、軍服を着た大男が家へ侵入する。目を覚ますと、母と姉妹は机の下で殺され、血の付いた刃物が残されていた。男はリンゴォにも性的暴行を加えようとし、その後に殺すつもりで近づく。リンゴォは相手の銃を奪って口へ向け、突進してきた瞬間に発砲して殺す。

生きるための明確な殺意を初めて選んだ夜を境に、長く続いた病弱さは消える。彼はこの経験を、他人の基準へ従う側から、自分の意志で生存を決める「男の世界」へ越えた瞬間と捉える。

決闘への思想

リンゴォは自分を完成した人間とは考えず、命を賭けた決闘で精神を上へ進めようとする。護身のため仕方なく戦う者や、仲間の判断へ従うだけの者を対戦者として低く見る。自分の目的のため、相手を殺す意思を選べる「漆黒の意志」を重視する。ただし無差別な殺人を肯定するのではなく、相互に条件を理解した一対一の決闘を求める。

奇襲や能力の秘匿で勝つより、相手が最善を尽くせる情報を渡したうえで上回ることを浄化と考える。

ヴァレンタインとの関係

リンゴォは遺体回収のため大統領に雇われているが、国家理念への忠誠を長く語らない。ヴァレンタインにとっては、森の通過者を足止めし、遺体を持つ者だけを選別できる能力者である。リンゴォにとって政府の任務は、強い対戦者が必ず通る決闘場を得る手段でもある。伝書鳩で次の遺体の座標を報告し、命令上の責任は果たす。

一方、ジョニィの遺体を効率よく奪うより、ジャイロの精神を試すことへ時間を使う。

マンダム

マンダムは頭部と肩だけを持つ小型のスタンドで、時間を正確に6秒前へ巻き戻す。リンゴォが右手首の腕時計の針を戻す動作をきっかけに発動する。時計は心理的なスイッチであり、弾丸など別の物が針を動かしても能力は作動し、理論上は時計自体がなくても使える。時間が戻ると人物、弾丸、負傷、物体の位置は6秒前の状態へ復元される。

能力範囲にいる者は巻き戻された6秒間の記憶を保持するため、何が消えたのかを考え、次の行動を変えられる。

6秒という長さ

巻き戻せる時間は6秒ちょうどで、短くも長くも調整できない。長時間の失敗をなかったことにはできないが、拳銃を抜く、発射する、身をかわす一連の動作を再選択するには十分である。リンゴォは自分が能力を使う時刻を知るため、二度目の6秒では相手より早く結果へ備えられる。相手も記憶を持つため、同じ攻撃を繰り返せば対策される。

したがってマンダムは一方的な未来予知ではなく、双方が直前の結果を知って選択を変える再試合の装置になる。

森を迷わせる仕組み

リンゴォは騎手が森を通る間に定期的にマンダムを使い、進んだ6秒分の位置を戻す。見慣れない木立の中では戻された距離を認識しにくく、本人たちは正しく走っているつもりでも同じ小屋へ戻る。ジョニィ、ジャイロ、ホット・パンツは別方向を選び、目印も確認するが、何度試しても果樹園へ着く。空間を曲げた迷路ではなく、短い時間逆行を何度も重ねて方向感覚と距離感を壊す仕掛けである。

森を出る唯一の方法は、能力を使い続けるリンゴォを殺すことだと本人が告げる。

ガウチョとの決闘

三人が小屋へ着く前、レース参加者ガウチョはリンゴォの提案を受けて拳銃決闘へ入る。リンゴォは相手の武器の有効距離が自分より短いことを指摘し、近い位置へ立つ機会を与える。公平な条件を整えても早撃ちで上回り、ガウチョを射殺する。ジョニィたちが現れた時には遺体を埋葬しており、倒した相手を放置しない。

この先行例によって、彼の礼儀が殺意の欠如ではなく、決闘の形式を守るための規則だと分かる。

最初の対面

ジョニィたちは小屋を避けて森を抜けようとするが失敗し、三人でリンゴォを殺す方針へ変える。リンゴォはジョニィに漆黒の意志を認め、最初の対戦者として選ぼうとする。ジャイロについては仲間の後ろへ立つ傍観者であり、今のままでは自分に勝てないと評する。ジャイロが怒って鉄球を投げると、マンダムで6秒戻し、投擲前の位置へ戻す。

その後、能力名、発動条件、戻る時間を自ら詳しく説明する。

ホット・パンツの奇襲

ホット・パンツは前もって屋根へクリーム・スターターの肉を残し、死角から攻撃する。リンゴォは命中する直前に時計の針を回し、身体と肉片を6秒前へ戻す。一度目の結果を覚えているため、二度目には屋根から来る手を先に撃つ。公平な決闘を語る人物でも、複数人の奇襲に対して能力を封じる必要はないと判断する。

相手の準備が優れていても、命中後に発動さえ間に合えば仕切り直せる強みが表れる。

ジョニィとホット・パンツを撃つ

ジョニィはタスクの爪弾を撃ち、リンゴォへ明確な殺意を向ける。リンゴォはその目を対戦者に値すると認めながら、時間を戻して射線を外し、ジョニィの頭部へ銃弾を当てる。ホット・パンツも胸を撃たれ、二人は瀕死の状態で倒れる。ジャイロだけが動ける状態になると、リンゴォは今の彼には勝つ資格がないとして殺さずに去らせようとする。

鉄球がまだ転がっている様子からジャイロはジョニィが生きていると悟り、二人を救うため再戦を選ぶ。

ジャイロの迷い

ジャイロは少年マルコを救うという人道的な理由でレースへ入り、ジョニィを見捨てない善意も持つ。しかしリンゴォは、社会の正しさや他者の期待へ従うだけでは、決闘の瞬間に相手を殺す判断が鈍ると見抜く。再戦へ向かう途中、ジャイロは父グレゴリオの幻影から感傷を捨てて帰国するよう迫られる。そこでマルコの判決が正しいのか自分の目で確かめ、聖人の遺体が何なのか知りたいという本人の目的を言葉にする。

他人から与えられた正義ではなく、自分が知るために戦うと決めた時、リンゴォが求める覚悟へ近づく。

左鎖骨の弱点

ジャイロはスキャンで小屋の内部とリンゴォの身体を観察し、左鎖骨の古傷を見つける。その位置を再び傷つければ神経が麻痺し、心臓を含む身体機能が停止すると判断する。奇襲で弱点だけを狙うこともできたが、ジャイロは小屋へ入り、情報を本人へ告げて近距離決闘を申し込む。リンゴォが能力を説明した公平さへ、同じ方法で応じる選択である。

二人は互いの致命点と攻撃手段を知った状態で、拳銃と鉄球を構える。

最後の二度の決闘

最初の撃ち合いではリンゴォの弾丸がジャイロの心臓を貫き、同時に鉄球が左鎖骨を破壊する。双方が致命傷を負う結果となり、リンゴォは銃弾で腕時計の針を動かして時間を戻す。二度目には左腕で鎖骨を守るが、その姿勢の変化で拳銃の軌道がずれ、ジャイロの傷は肩にとどまる。前の6秒で鉄球が小屋を壊した際に飛んだ木片の軌道を、ジャイロは記憶していた。

同じ場所へ戻った木片が背後からリンゴォの左鎖骨へ刺さり、今度は時間を戻す前に身体が麻痺する。マンダムの共有記憶を、能力者だけでなく対戦者も利用した決着である。

最期

リンゴォは敗因を偶然や反則だと扱わず、ジャイロが6秒の情報を自分より有効に使ったことを認める。相手が迷いを捨て、自分の目的と殺意を選んだ成長を喜ぶ。社会の価値基準の先にある光を探せと伝え、ジャイロを「男の世界」へ迎える。決闘の規則上、敗者を生かすことは求めず、自分へとどめを刺すよう促す。

ジャイロの鉄球を受けて死亡し、ホット・パンツの能力でジョニィたちは治療される。

公平さと危険性

リンゴォは能力を開示し、相手の武器条件を整え、弱点を知らされても決闘から逃げない。この一貫性は騎士道的に見えるが、通行人を森へ閉じ込め、殺し合いを拒む自由を奪っている。彼の公平は決闘へ入った後の条件に限られ、決闘そのものを強制する暴力を正当化する。幼少期に他者の暴力から生き残った経験を、以後は自分が死の選択を課す思想へ変えている。

尊敬できる覚悟と、他人を自分の修行へ使う危険性を同時に持つ人物である。

名前と表記

日本語名は「リンゴォ・ロードアゲイン」、英字表記はRingo Roadagainである。前半はビートルズの元メンバー、リンゴ・スター、後半はウィリー・ネルソンの楽曲「On the Road Again」に由来するとされる。スタンド名「マンダム」はジェリー・ウォレスの楽曲「Lovers of the World」が日本の男性化粧品広告で使われた関係に由来する。海外版ではスタンド名がMandoへ変更される場合がある。

物語上の役割

リンゴォとの戦いは、ジャイロが善意だけで戦う段階から、自分の目的と殺す覚悟を言葉にする転換点である。6秒の時間逆行は出来事を消しても記憶を消さず、同じ局面で人が何を変えるかを比較する。リンゴォは能力を持つから勝つのではなく、最初から再試合を前提に観察し、決断することで優位を得る。ジャイロはその規則を学び、前回の木片まで計算へ入れて上回る。

敵でありながら主人公へ技ではなく精神的な基準を渡し、死後も「漆黒の意志」と「男の世界」という言葉を物語へ残す人物である。